なので複数まとめてみた
「おかしな話ですね
僕は別にオーブに対して不利益を与える訳でもなく、唯の一市民としてこの国に移住するつもりなんですけどね
何でこんな扱いをされないといけないんでしょうか?
…ねぇ、ウズミ・ナラ・アスハ殿?」
アズラエルは心底不愉快そうに吐き捨てた
夢の欠片
小噺集
その壱 圧力面談
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「しかし、貴殿はブルーコスモスの盟主であろう」
ウズミの言葉にアズラエルは面倒くさそうに応える
「ですから僕は盟主の地位を降りたんですよ
今は唯の一商売人にすぎません」
「だが」
アズラエルとて、ウズミの懸念は理解出来る
何せ自分は間違いなく大西洋連邦のみならず、プラント理事国にすら大きな影響力を持っていたのだ
それをいきなり、誰かに明け渡した挙句一族が有していた利権の殆どを手放すなど大凡正気の沙汰とは思えないだろう
だが、アズラエルはこの判断を後悔してもいなければ、誰かに言われたとしても改めるつもりはない
今頃アズラエルの後任であるジブリールは間違いなく、その立場を得た事を後悔しているだろう
が、そんな事は今のアズラエルにとって関係ないし興味のない話
今目の前で困惑しておるウズミについても同じであるのは言うまでもないだろう
「勿論、オーブに住む以上税金もしっかり納めますしオーブの法をしっかり守りますよ?
なんなら、地球側との交渉の仲介役でもしましょうか?」
確かにアズラエルは様々な地位を降りたのは事実だろう
だが、彼が培った人脈というのは決して無意味な訳ではない
が、既に今回のプロジェクトの成功を聞き付けた一部の者達はアズラエルに対してコンタクトをとっている
「彼等は実利さえ伴えばそこまで問題になりませんよ」
とアズラエルは思っている
アズラエルから言わせれば、何故ロゴスの者達との付き合い方に悩むのか理解に苦しむところ
彼等が重視するのは主義思想ではない
利益になるか?ならないか?なのだから
…その点で言えばアズラエルの後任であるジブリールの方が余程
(まぁそこらへんについては、僕の知った事ではないんですけどね)
アズラエルがブルーコスモス盟主の座を降りる時、反対したのはサザーランド大佐などごく一部
ロゴスに関して言えば、無関心
アズラエル自身、胃薬を友としながらも何とかブルーコスモスの過激派を宥めてきたと思っている
確かにアズラエル個人としては過去の事からコーディネーターに対して未だに些か以上に不快に思う事もなくはない
だが、コーディネーター全てではない
ナチュラルにだって、ロゴスの連中の様に利益至上主義者がいたり、ジブリールの様な主義主張に傾倒する者
かと思えば、カズイ・バスカークの様にアズラエルには到底理解し難い考えの元動く者もいる
ジブリールら過激派からすれば忌々しいものにどうやら彼は見える様だが、アズラエルとしては興味深いものに見える
何の縁か彼とアズラエルが気まぐれで身元を引き受けていた連合の強化された少年達と少女は出逢った
間違いなく彼等は世間一般からすれば異端そのものであり、ともすれば倦厭されていても不思議ではない筈
まぁ、そのきっかけが彼の弟分による
「旧世紀に流行ったマンガか何かですかねぇ?」
と苦笑してしまったが
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「う、む」
それでもなお渋るウズミに不満を抱かなくもなかったが、此方はオーブにこれから住もうとしている側
あまり不興を買うべきではないとあまり強くない自制心をアズラエルは発揮、結果としてオーブへの移住は認められる事となる
「いやぁ、ああいった立場になるのは初めてでしたが、まぁ面倒ですねぇ。今度から僕も少しばかり身の振り方を考えるとしましょうか」
とその時の事をカズイ達に笑いながら話すアズラエルの姿があったそうな
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「ところでカズイさん
私思うんだけど」
「ん?どうしたよ、ルナマリアちゃん」
「だからちゃんはやめて下さいって
確かに私やメイリンはカズイさんより年下ですけど」
ある日ルナマリアはカズイと珍しく会話していた
…別にルナマリアがカズイを嫌っている訳ではない。ないのだが、最初の模擬戦以来どうしても苦手意識があったのは彼女自身理解している
ついでに言うと
カズイと話しているのを知られた場合
加えてメイリンはカズイに対して『呼び捨てで呼ぶ事』を何とか認めさせている
それに対してルナマリアは恥ずかしいから余り好んでその呼び方をされたくはないのだが、その一方で彼女にとっては無縁である『
なので、妹メイリン程強く言えなかったり
斯くも女心とは複雑なものであった
それはそうとしてルナマリアはよく思っている事がある
そしてそれを口にした
「…ケバブってヨーグルトソースの方が合いますよね?」
それが大戦の引き金になるとも知らないで
その弐 小さな戦争
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「あ?」
「は?」
「だよねぇ!」
偶々ルナマリアとカズイの会話中に部屋に入ってきたシャニ、オルガ、クロトはルナマリアの発言に対して各々の反応を示す
「…ルナマリアちゃん
それを言ったら戦争になるのだが」
カズイは深いため息をついたそうな
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シャニ・バスカークにとって、音楽ほどではないにせよ食事というものはそれなりに楽しみなものとなっていた
だからこそ、
あの女はよりにもよって自分達の兄に『ヨーグルトソースをすすめたのである』
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「食べ物だけではないが、人の好みは千差万別
人の数だけ違いがある。だからこそ『万人受けする味』というのはある意味では人類にとって永遠のテーマの一つだと俺は思う
『自分の好きなものを相手にも好きでいて欲しい』
そう思う事は決して悪いことではないと俺は考えている
でも、そうでなかったとしてもそれを受け入れる事はそれ以上に大事な事だ
『人と違う事を受け入れて、その上で相手の事を尊重する』
難しい様に聞こえるかも知れないが簡単な事なんだ
俺と君は違う
でもそれだけなんだ
それだけで世界は少しだけ幸せになると考える
…まぁ、一つの参考意見として頭の隅にでも置いといてくれるとお兄ちゃんは嬉しいな」
そう兄さんは言っていた
だから、俺達が偶にケバブを食べに行って、やれチリソースだ。やれヨーグルトソースだ
と言い合っていても楽しそうに兄さんは俺達を見ている
いつも兄さんの手元にはチリソースとヨーグルトソースのケバブが置いてあるのが日常だ
そんな兄さんにあの女はヨーグルトソースを推した発言をしたのだ。これは許されては、許してはならない
オルガと頷き合って俺とオルガはスティング達に連絡をとった
これは、戦争だ
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「と言う事で本日皆さんに集まってもらったのは他でもない
ケバブにどちらのソースが合うか?ではなく
どちらも美味しい事を再確認しようとの催しです
…今回協力を仰いだのは俺達が毎回食べに行っている『美味しいケバブ』の店長さんです
本日は宜しくお願いします、店長」
「オケオケ、マカセルヨ
カズイノタノミナラ、イツデモケバブツクルヨ」
その日の晩、バスカーク家別邸にいつものメンバーが勢揃い。更にカズイが物心ついた頃から贔屓にしているケバブ店の店長が楽しそうにキッチンカーを中庭に入れていた
更に更に
「ドネル・ケバブ、ですか
いやぁ本当にオーブに来てよかったと思いますよ、僕は
中々こういったものを食べる機会がなかったもので」
アズラエルは嬉々としてこの催しに参加している
なんならこの催しの代金を普通に払おうとしてカズイとシンに止められていたりする程
「ドネル・ケバブ
確か回転する肉を細かく切って、カットしたパンや円形で内部が空洞のパンであるピタを半分にカットし、その空洞部分にサラダと共に肉を入れるものでしたか
私も初めて食べます。楽しみですね」
とアズラエルの秘書の女性はこの短時間で調べた事を呟きながら目を楽しそうに輝かせていた
「カズイ、アタラシイオトモダチ?
オイシカッタラタベニキテネ?」
と店の宣伝をするのも忘れない店長
なお、この店長もやはりオーブ市民らしく『持ってけ、ドロボー』(extra turn第一話参照)の常連客であり、クルーゼすら圧倒する実力の持ち主であり、
更に商店街における有力店の店主であり、元は『氾ムスリム会議』からオーブに来た人物
元々店を立ち上げたばかりの時に幼い頃のカズイと出会い、それ以降の付き合い
常連客と店主という関係ながら、お互いに切磋琢磨し合う間柄
シンの母親と並ぶカズイの料理の師でもあったり、シンとマユの幼い頃の事をよく知っている
ナチュラルであるが、別にコーディネーターに対して隔意はなく、人当たりの良い性格
そして始まる食事会
「へぇ、ヨーグルトソースも案外イケるんだね」
「甘ったるいだけだと思ったが、これはこれでイケるな」
「だろ!
でもチリソースもいいな。少しだけ辛さがあってもっと食べたくなる」
とシャニ、オルガとクロトは楽しそうにケバブを頬張る
「まったく、どっちがうまいじゃなくて
どっちも美味いで良いだろうが」
「だよな。下らない事やってんなって
…でもま、それで食べられるんだから良いけどさ」
スティングとアウルはそれぞれケバブにかぶり付く
「…やっちゃったかなぁ」
「気にすんなって、ルナ
別にカズイも怒ってないし、クロト達もそこまで怒ってないからさ」
「しかし、こう言った豊富な種類の食事の数々はプラントでは体験できるものではないな」
落ち込むルナマリアを励ますシンとケバブを食べながら思案するレイ
「やはり彼の作るケバブは美味しい
一朝一夕で真似が出来るとは思えんが、そのうち師事してみたいものだ」
「君は最近料理にハマっている様だが、そのうちレストランでも開けるのではないかな?ラウ」
「流石に主婦として料理で負けたくはないのだけど
…勝てなさそうね」
店長のケバブの味を食べ比べながら唸るクルーゼとそれを見て苦笑するギルバートと肩を落とすタリア
「こういう料理もまた乙なものですね」
「ええ、何だか楽しいです」
と笑顔のアズラエルと秘書の女性
「もぐもぐもぐ」
「こらステラ。ソースが服に付くだろう?」
「まぁ良いじゃないカズイお兄ちゃん
ステラはケバブ大好きなんだし」
「美味しいですね」
ケバブライスを食べるステラをカズイとマユが優しく見守り、メイリンも楽しそうに笑っていた
今日もオーブは平和です
という訳で本日作者が食べたヨーグルトソース味のケバブライスにより出来上がったものでした
元々日本橋や秋葉原でケバブはよく食べていたのですが、チリソースばかりだったので今回初めてヨーグルトソースを食べました
ならこの話を書くっきゃない!
と思い立ち急遽書き上げました
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ