勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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これは何もかもを喪った少年と少女の話


兄を喪い、復讐の為だけに全てを行使した者達



その果てにあるものは



本編が始まる前の出来事でカズイが死んでいたら?
というifの話


はっきり言って救いなんて欠片もありません
それでも良ければどうぞ


 DARKNESS turn 絶望の果て

「…嘘、だろ?」

シン・アスカは

 

「…お兄、ちゃん?」

マユ・アスカはその日大切なものを

かけがえの無いものを永遠に喪った

 

 

 

 

 

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ある日の事だった

コーディネーターとナチュラルの兄妹であるシンとマユ。そして2人が生まれてからずっとそばにいたと言っても決して過言ではない兄カズイ・バスカーク

 

その日も3人はいつもの様に近くの店での買い物を済ませると、のんびりと家路に着いていた

 

 

オーブの外では大西洋連邦をはじめとした所謂『プラント理事国』とプラントによる武力衝突が起きるだろうと言われていたが、彼等にとっては遠い世界の事

 

3人は明日も笑い合って生きていける

…そう信じていたのである

 

 

 

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S2インフルエンザの爆発的流行により、多くの世界中に住むナチュラルが命を落とす一方で、遺伝子を弄ったコーディネーターは殆ど被害を受ける事はなかった

 

故にナチュラルとコーディネーター双方はお互いに『違うもの』として認識し合い、少しずつだが、確実に不満を高めていく

 

 

 

そして、地球全土における『反コーディネーター運動』の高まりは地球に住むコーディネーター達の居場所を奪い、彼等は自分達が生きる為にプラントに移住する事を余儀なくされる事となる

 

そしてC.E70

2月上旬にそれは起こる

 

 

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前年である69年にプラントは食糧の自給生産を開始

プラントの一部を農業用として改装。地球側に頼る事なくプラントで自己完結できる様な体制を作り出そうとする

が、当然出資者であるプラント理事国はこれに対して猛反発。速やかに農業用コロニーの運用を停止しなかった場合は『武力による制裁』を辞さぬ事をプラント側に通達

 

が、プラント側は既に新兵器MSの開発、生産を始めており地球側の主力であるミストラルやメビウスと言ったMAに対して圧倒的優位に立てると判断

 

理事国の部隊を撃滅し、プラントの安全を確保する

 

 

この勝利をもって、プラント最高評議会議長であるシーゲル・クラインはプラント理事国に対して『完全自治権』と『対等貿易』を要求する事となった

武力を背景とした一種の恫喝とも取れる方法はプラント側が対立しているプラント理事国のやり方とさして変わる事はなく、当然プラント理事国側は一応の議論はしたもののこの要求を却下する

 

 

そして、プラントはこれが受け入れられない場合、本来の役目である筈の『プラント理事国に対する工業製品の輸出』の凍結を通告

回答期限はC.E70の1月1日とした

 

プラントの評議委員がテロにより死亡し、その背後に理事国の存在があるとしたプラント側は通告通りに輸出の凍結を行い、プラント理事国側は工業製品の窮乏に陥る事となる

 

 

これにより、プラント側はプラント理事国が根を上げると考えたのかもしれないが、地球側はこのプラントのやり方に対して地球全土で大規模なコーディネーターに対するネガティブキャンペーンを展開

地球における反コーディネーター感情はS2インフルエンザの時よりも高まる事となった

 

あくる2月

国連事務総長の提案により、月面においてプラントとプラント理事国による会談の場が設けられる事となる

所謂『月面会談』と後に呼ばれる出来事

 

これにより、多少なりとも事態の進展を地球市民は望んだ

 

 

 

 

…だが、月面会談に向かう理事国代表者と国連事務総長らはテロにより死亡

プラント側の出席者であったシーゲル・クラインは諸事情により到着が遅れた事で難を逃れる

 

 

言ってしまえば、地球側の数少ない対話路線派の中心人物がこのテロにより命を落としたのである

これにより、会談は決裂。更に国連はその機能を事実上喪失し、新たな組織として『地球連合』が誕生

 

 

これにより、元々頑なだったプラント理事国の対応は完全に軍事制裁の方向へとシフト

プラントもそれに応じるという最悪の状況となった

 

因みにこの時期にウズミはオーブの立場を示した『オーブによる中立宣言』をしている事を此処に合わせて記す

 

 

 

 

 

この様な流れにより、プラント理事国とプラントはいよいよ全面的な軍事衝突に突入する事となる

 

 

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2月11日に月面のプトレマイオス基地より艦隊が発進

プラント側もその動きを察知して、艦隊やMS隊を展開

 

その戦闘はプラントの軍事組織であるザフトによる圧勝に終わった

 

 

 

…そう、その戦闘()

 

そして2月14日、プラント側が農業用に改造したコロニー『ユニウスセブン』に一発の核ミサイルが打ち込まれ、同コロニーは崩壊。

プラント側はこれを地球側による卑劣な攻撃と非難

プラント理事国側はこれに対してザフトによる自作自演(自爆作戦)との見解を示す

 

 

2月18日にはユニウスセブンの犠牲者を弔う国葬の場でシーゲルはプラント理事国に対する徹底抗戦の意思を示し、また非プラント理事国に対しては積極的中立勧告を行なった

 

 

そして4月1日

ザフトは作戦によって決定された『オペレーション・ウロボロス』を発動。Nジャマーを地上に投下し、原子力発電を無効化した

 

その結果、投下された地域において深刻な電力危機が発生

一部施設には非常電源があったものの、それはあくまでも急場を凌ぐためのものであり、送電網などが寸断された事態を想定してのもの

 

大元である発電所自体の機能が停止するなどというのは想定外であった

 

 

 

故に電力危機により、地球各地で餓死者や凍死者などが発生する

犠牲者は10億人にものぼるとされている

 

 

 

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そんな地球側の混乱をよそにザフトは地上への侵攻を開始する

ザフトやプラントにとって、それは寧ろ当然の事であると言えるのかもしれない

 

 

 

…だが、プラントに移住したコーディネーターばかりではない

少数ながらに地球に住む事を選択したコーディネーターも確かにいたのである

 

 

彼等を取り巻く状況は『悲惨』などという表現すら生温いもの

 

 

 

そしてそれは、地熱発電を大規模に導入し『エイプリル・フール・クライシス』の被害から逃れられた上に、プラントとの戦争に中立を決め込んでいたオーブのコーディネーターであるシンにすら届きうるものとなってしまったのである

 

 

 

 

 

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オーブは平和を謳歌していた

だが、地球連合の各国やプラントに誼を通じている国家などからすれば余りにもふざけたものと見えていたとしても不思議ではない

 

しかも、ウズミの中立宣言の少し前にオーブのモルゲンレーテ社による『大西洋連邦軍の新型MS』の開発が計画されていた

法律上問題がないとしても、結局のところそれを受け入れられるかどうか?は個々人の問題

 

それが露見するのはもう少し後の話ではあるが、オーブはコーディネーターを受け入れている事もあって『反コーディネーター感情』を強く持つ者達からすれば、ザフトを受け入れている国家並みに忌々しいものであったのかもしれない

 

 

 

そして、その日が訪れる

 

 

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「…お前はコーディネーターだな?」

 

「…ウチの弟に何の御用ですか?

随分と剣呑な雰囲気の様ですが」

 

「貴様には関係のない話だ

コーディネーターはこの宇宙に混乱と破滅を齎す存在

『青き清浄なる世界の為』に死んでもらわねばならない」

3人の前に現れた男達

カズイは不穏なものを感じ取り、シンとマユを守るべく前に出る

 

「シン、マユ逃げろ!」

 

「で、でもっ!」

 

「カズイはどうするんだよ?」

 

いいから行け!死にたいのか!!

カズイの言葉に戸惑うマユとシンにカズイは怒鳴る

 

 

その常にないカズイの剣幕にシンはマユの手を引いて逃げた

 

 

 

…逃げてしまったのだ

 

…それが兄との今生の別れになるとも知らないで

 

 

 

 

 

そして、逃げていた2人の耳に銃声が届いた

 

2人はそれでも、(カズイ)の無事を信じるしか無かったのである

 

 

 

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夕刻カズイと別れた2人だったが、夜になっても一向に姿を見せないカズイに2人は言い知れない不安と恐怖を覚えてしまう

 

帰宅した両親に涙ながらに話をすると、父親は顔を青褪めさせ急いで車を息子達が襲われた場所へと走らせる

母親は恐怖と不安のあまり情緒不安定となった2人を抱きしめながら、もう1人の息子ともいえるカズイの無事を祈った

 

 

 

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シンの両親にとっても、カズイはもう1人の息子の様な存在であり、また歳の離れた恩人でもある

 

どうしても、この時代にあっても育児休暇は中々取りづらいものであり共働きであったアスカ夫妻も後ろ髪をひかれる思いでまだ幼い我が子らを残して仕事にいかねばならなかった

ハウスキーパーやベビーシッターといった職もこの時代にあるには有ったが、娘ならばともかくとして息子はコーディネーターである以上どの様な扱いをされるか分からない

 

その点自分達と親しい上に、まだ2人が小さい時から積極的に面倒を見ていたカズイならば無条件に信用できる

何かあれば直ぐに自分達へと連絡する事を厭わないのもそれを補強する材料であった

 

 

恐らく息子を狙ったものであるのはカズイとて理解していた筈だ

それでも息子達を守ってくれた事については親として感謝しかない。…だがそれでカズイの命が脅かされるのであれば、辛いものがある

 

(無事でいてくれよ、カズイ)

シンの父親はそう願いながら、車を走らせた

 

 

 

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だが、彼等の祈りは届く事はなかった

 

 

カズイを襲ったブルーコスモス過激派は国外追放となり、バスカーク夫妻の元には少しばかりの見舞金と形だけの謝罪

カズイの命と引き換えにそんな下らないものが彼等のものとなったのだった

 

 

「…許せん

なんだ、これは?」

 

「カズイを殺すのをオーブも手伝った様なもの

ふざけているわ」

ブルーコスモス過激派を国内に手引きしたのが、他ならないオーブ市民であり、軍が動いた時には既に彼等の多くは国外へと逃れていた

 

国外追放などと言っているが、それは現状の追認に過ぎずオーブから加害者に対して何らかのアクションが出来たわけでもない

 

それを知るからこそ、カズイの両親は怒り狂ったのである

 

 

そして兄を、息子と思っていたカズイを喪ったアスカ家と共にプラントへと移住する事を決めたのだ

 

 

 

プラント(実力主義社会)ならば、この様な事が起きるはずも無い

そう考えて

 

 

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勿論プラントに移住した彼等であったが、ナチュラルである以上周囲からの視線は冷たかった。加えてオーブからの移民ともなれば尚更

 

だが、そんな事はどうでも良かった

 

息子を奪ったブルーコスモスを野放しにする地球連合やそれに対してろくな事も出来ないオーブ

 

 

…ならばその全てを滅ぼしてやろう

 

息子を喪ったバスカーク夫妻は躊躇いもなく、大西洋連邦軍の新型MSに搭載する予定であった新技術(ミラージュコロイド)をプラントに対して提供

更にオーブのモルゲンレーテ社が大西洋連邦軍の新型MS開発に協力している事をも伝える

 

 

流石にそれだけの技術や情報を提示されておきながら、バスカーク夫妻を冷遇する事は彼等コーディネーターの矜持にも関わる事

その結果、バスカーク夫妻は兵装局のユーリ・アマルフィの部下として迎え入れられる

 

 

事情を知ったプラント最高評議会はこの事実をプラント全体に知らせる事で、どれだけ今の地球連合が危険なものであるのかを市民に理解させようとする

 

結果として、アスカ一家に対する風当たりも弱まるばかりか、同情的な意見が増える事となった

 

 

 

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「ナチュラルがコーディネーターを守ろうなんてアンタも災難だったな」

 

「ナチュラル如きが何を思い上がっているんだか」

 

 

周りが何かを言っているが、俺には関係のない話

確かにあの時カズイが俺よりも強かったなんて事は無かったのかも知れない

…でも、今でも俺はカズイに勝てないと思う事が一つある

 

心の強さ

 

多分いつまで経っても、俺がカズイに勝てないんだろうと思うところ

 

 

 

父さんも母さんもマユも

おじさんもおばさんも

…そして、俺も

 

もう一度、アンタに会いたいんだ

 

…クローン技術があるのは知っている

けど、おじさん達や父さん達はそれに手を出そうとはしない

 

 

分かってるんだ

例え、それでカズイと同じDNAを持った人物が生まれたとしても、それは俺達の知っているカズイじゃないって

 

 

 

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今、俺はザフトに入隊する為にアカデミーって所に通っている

カズイは言ったよな?

 

「お前が誰かを傷付ける度、お前もまた傷付くんだ」

って

 

 

…でも、ごめん

カズイを殺した連中やそれに何もしない連中を俺達はどうしても許せないんだ

 

 

あっちで会ったらどれだけ叱ってくれても良い

 

だけど、この怒りだけはどうしようもないんだ

 

 

 

 

 

…俺は兄さんを守れなかった自分が

兄さんが死ぬ様な世界が

 

 

心底憎いのだから

 

 

 

 

 

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クルーゼ隊って所に配属される事になった

 

父さん達やおじさん達はどうやら、『ザフト勝利の為の兵器』開発に回されるらしく、マユと共にザフトに入隊する事となるとの事

 

 

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「…君達がシン・アスカとマユ・アスカか

私はラウ・ル・クルーゼ。君達の話は聞いている

しかし、戦場に出る以上死ぬ事もあり得る。…それでも構わないのかな?」

 

「…構いません。俺達はアイツらを許せない」

 

「…うん。あの人を殺されたのに何一つ変わらないあんな国

そして、あんな連中を野放しにする奴等を」

 

(…ほう、これはこれは)

私は新たに自分の部下となった2人の目にある絶望の光を見て、驚いた

 

 

部下となる以上、しかも妹の方はザフトでは間違いなく希少であろうナチュラル

となれば、『事情持ち』である事は疑いようの無い事だろう

 

自分の様に高い身体能力や技能を持つ訳でもない

だが、彼女はそれすらも己を削る様な努力によって克服したのだろう

 

 

彼女のオペレーターとしての実力は間違いなくザフトの平均的な水準よりも高い

…彼女に『何を期待』しているのかは定かでは無い

 

 

が、彼女にせよ彼にせよアスラン・ザラ(母親をユニウスで喪った者)よりも深く熱く、それでいて凍てつく様な感情を持っているのははっきり言ってクルーゼにとって興味を惹かれるものではあった

 

 

 

(…予想よりも使える(・・・)様だな)

アスラン達は勿論、ニコルよりも年下であるシン。それよりも年若いマユであったが、こと軍務に対しては忠実であり任務中にも関わらず軽口を叩く連中より余程軍人としての自覚が2人にはあった

 

旗艦ヴェサリウスの艦長であるアデスや僚艦ガモフの艦長であるゼルマンの2人への信頼は中々なもの

クルーゼ自身、許されるならばシンこそ敵から強奪した新型を与えたいとすら思ってしまう程

 

…どうにも、アスランに対する風当たりがややキツイところがあるものの、ある意味では仕方のない話であるとクルーゼは判断している

 

 

ヘリオポリスにおいて、無理矢理出撃したり、足つきの追撃戦において勝手な判断で敵の新型を捕獲しようとした挙句、その撃破の好機を逃したのだ

 

「アンタは何がしたいんだよ!?

敵は倒さなきゃならないんだ!下手に手心を加えて、アイツが味方の命を奪わないと思うのかよ!」

アルテミスに向かう足つきを取り逃がした戦闘の後、彼はそう言って理解不能な行動をとったアスラン・ザラに詰め寄っている

 

 

事実としてイザークやディアッカのみならず、クルーゼ隊の中においてもアスランに対する不信感は少しずつだが高まりつつある

 

それを彼は直接相手にぶつけたに過ぎない

 

 

寧ろ彼の妹などは

 

「敵を必要以上に気にする味方なんて、敵よりも遥かにタチの悪いものですよ」

とブリッジで吐き捨てている

 

それに対してはアデスすらも何も言わない

 

 

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クルーゼが知る事はない話だが、2人はカズイから生前こんな話をされている

 

「いいか、シンにマユ

素性を隠す仮面をした人間も信用ならないが、こと『赤い機体』に乗る人間については警戒を怠るな」

と2人は聞いている

 

故にアスランの動向については、シンもマユもそれとなく注視していた

 

 

だからこそ、気が付いた

ヘリオポリスでラスティやミゲル(仲間)達が死んだにも関わらず、彼は明らかに大西洋連邦軍に唯一残された機体、ストライクに拘っている事に

 

 

別にそれでも戦闘においてキチンと活躍するのであれば問題ない

しかし、アスランはストライクを倒さんとするイザークを邪魔する様な動きを見せ、結果としてストライクを倒せるであろう千載一遇の好機を逃した

 

 

シンとマユは確信している

『ストライクのパイロットはコーディネーターであり、しかも平均的なコーディネーターのそれを上回る実力者』だと

 

つまり足つきを落とすとなれば、間違いなく障害となる相手

 

 

倒せる好機を尽くアスランに潰されたとあっては、またクルーゼ隊に犠牲者が出るのは間違いない

 

『武器を持ちながら、その状態で悩む』などというのは本人はどうでも良いが周りの者達を確実に不幸にする事だ

 

 

 

 

だからこそ、シンとマユはアスランに対して不満を顕にするし、その点ではイザークやディアッカと同意見なのだ

 

 

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シンとマユはザラ隊として地球に降りる事はなかった

 

クルーゼとしても、ゼルマンが死んだ以上アデスの様な自身の考えにある程度の理解を示す者は貴重。加えてザフトが開発している新兵器、いや改良に2人と近しいバスカーク夫妻や2人の親であるアスカ夫妻はプラントのこれからを考えると決して外せないもの

 

 

更に言えば、2人とアスランの関係は悪化する事はあっても改善する事は終ぞなかった

 

 

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クルーゼが宇宙に戻ると、シンは新型機で次期量産機となるゲイツの先行生産型を与えられており、マユもまたヴェサリウスクルーと上手くやっていた

 

…相変わらず、その瞳の奥には仄暗い光が煌々とその存在を主張していたが

 

 

そしてアスランのザフトからの離反と、ラクス一派による新造艦エターナルの強奪

 

動揺するヴェサリウスクルーと異なり、2人は全く動揺していない様にクルーゼには見えた

 

 

 

「ニコル先輩が死んでから、復讐の為に戦ったんです

…そんなもんですよ」

 

「別にニコル先輩以外にも沢山の死者がクルーゼ隊からも出ています。ヘリオポリスではミゲル、オロール、マシュー先輩達。軌道上ではゼルマン艦長らガモフのクルー

それだけの人間が死んでいても、矛先の鈍る人間なんて信じる方がどうかしてますよ」

 

2人の目には明らかに冷ややかなものが混じっているのをクルーゼは見てとった

 

 

 

そして、メンデル付近での戦闘によりヴェサリウスは撃沈

だが、アデスの判断によりマユは脱出ポッドにて逃されており、クルーゼはシンとマユに自身の望みを打ち明ける

 

 

何となく予感があったのだ

この2人は全てを壊さんとしているというものが

 

 

 

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クルーゼの話を聞いたシンとマユはそれぞれ動き始める

 

歴戦の武勲艦であったヴェサリウスでオペレーターを務めていたマユはヤキンの管制員として

シンは引き続きクルーゼの部下としてそれぞれの道を選んだ

 

…それが二度と逢えない選択と知りながら

 

 

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クルーゼの暗躍により、NJCが地球軍に渡り地球軍はそれを用いてボアズを攻略

更にプラント本土にその凶刃を向けようとしていた

 

…だが

 

「この一撃が我等コーディネーターの創生の光とならん事を

…発射!」

 

核攻撃部隊『ピースメーカー隊』に対してプラントのザラ議長はヤキンの付近に秘匿していたジェネシスを持ってこれの殲滅とピースメーカー隊の母艦らを擁する地球軍艦隊をも殲滅させる

 

更に再装填の後に月面にある地球軍の拠点プトレマイオス基地に対する攻撃をも実施

これにより、プラントは圧倒的優位に立つ事となる

 

 

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この惨劇を目撃したアスランはジェネシス阻止の為にヤキンの司令部への突入を敢行

 

原典であれば、パトリックは自身を制止しようとするユウキ隊長を撃ち、撃たれた彼が最期の力を振り絞りパトリックの命を奪う

 

 

しかし、此処に1人の人物がいた

 

『ザフトは直ちにジェネシスを停止しなさい』

…うるさい

 

『核を撃たれ、その痛みと悲しみを知る私達は、それでも同じ事をしようというのですか?撃てば癒やされるのですか?』

今更になって、何を言うの?

アンタ達が核の報復で行なった事で人生を終わらせた人の事なんて関係ないの?

 

『同じ様に罪なき人々子供を。これが正義と?互いに放つ砲火は何を生んでいくのか、まだ解らないのですか?』

分かるはずないじゃない

軍に属している訳でもないアンタ達が奪った兵器

それがあれば、もっと別の未来があったかも知れないのに

 

その未来を奪ったアンタ達がどのツラ下げてプラントやザフトを批判するというのか?

 

『戦争は始まるのは些細なきっかけかも知れん

が、終わらせるのは並大抵の事ではない。国土が焼かれ、民が困窮し地獄に落とされたとしてもその怨みが次の戦争を呼び起こす

…断言しても良い。今の武力衝突が終わったとしても10年もしない内にまた同じ様な事をする』

中途半端に終わらせれば、市民はその残酷な事実から容易に目を逸らし

完全に屈服させたとしても、負けた側の恨みや無念がまた新たな争いの狼煙となる

 

 

…だから、アンタ達のしている事は次の戦争を呼び込むだけ

 

「はぁ…奴等が敵はまだそこにいるのに、何故それを討つなと言う?討たねばならんのだ!討たれる前に!敵は滅ぼさねばならん。何故それが解らん!!」

そうですよ?議長

…でも一つだけ間違ってます

 

「議長!射線上にはまだ我が軍の部隊が!」

 

「勝つために戦っているのだ!皆!覚悟はあろう!」

そう、勝つの

…でもそれは貴方達(プラント)ではないの、ザラ議長

 

ザラ議長は意見をしてきた隊長を撃った

…でもダメ

 

まだ息があるでしょう?

 

 

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「ぎ、議長っ!」

パトリックに撃たれたレイ・ユウキはそれでもプラントの破滅を防ごうと銃を撃とうとする

 

 

だが

 

パン!

 

「う、ぐ」

管制席に着いていた少女がユウキを撃ち、その命を奪ったのだ

 

 

「ザラ議長。あと少しで全てが終わります(・・・・・・・・)

ジェネシス第三射の命令を」

 

「うむ。ミラーブロックの換装はどうなっている?」

 

「…あと数分で終わるかと」

彼女の報告を聞いたパトリックは力強く頷くと

 

「各部隊に通達

あともう少しで我々の勝利となる!

各員奮起せよ!!」

ザフト全軍を激励したのだ

 

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「父上!

もうやめて下さい。これ以上は」

 

「…アスランか

ふん、クラインの小娘に誑かされた挙句プラントに剣を向けるとはな」

アスランはヤキンの司令部に突入したが、誰1人として混乱している様子はない

寧ろある種の狂気と熱狂が司令部を支配していた

 

「議長。ミラーブロックの換装終わりました

ジェネシス第三射いけます!」

 

「これで我々コーディネーターの未来が始まるのだ

…思い知るが良い、ナチュラル共」

 

「父上っ!」

アスランは思わず銃を抜き、実の父親を撃った

 

 

 

 

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「ちち、うえ」

 

「撃つ、のだ

我等の、世界、報い、を」

そうしてパトリック・ザラは息子の手で殺されたのである

 

 

「これは!?

ヤキンの自爆とジェネシスの発射が連動されている!?

こんな事をしても、戻るものなんてどこにも無いのに!」

アスランは端末を弄り、ジェネシスの発射を止めようとするが最悪の事態である事を認識しただけであった

 

 

そこに

「アスランっ!」

彼の恋人であるカガリが司令部に駆け込んできた

 

 

 

…それこそが彼女の狙っていた状況である事を知らぬままに

 

 

パンッ!

ヤキンの司令部要員達が混乱の中逃げ出そうとしていた時、乾いた銃声が響き渡った

 

「ようこそ、ヤキンの司令部へ

歓迎します。カガリ・ユラ・アスハと裏切り者のアスラン・ザラ」

そこにはマユ・アスカの姿があった

 

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「何故こんな事をするんだ!」

 

「何故?そんな事決まっているじゃないですか?

やっと此処までこれたんですよ?

忌々しいブルーコスモスと私達の兄さんの人生を奪ったプラントのコーディネーター達。そして兄さんを救う役にも立たなかったオーブに復讐する為に」

マユは嗤う

 

マユは手元の端末を操作し、感慨深そうに呟く

 

 

「本当にこの一年程の間は私や兄、両親達にとって吐き気がする様な時間でした

アスラン・ザラ。貴方は自身の母がユニウスで死んだ

ストライクのパイロットはコーディネーターで友人だから戦いたくない。などと弱音を吐くものだから、思わず私や兄は吹き出しそうになりましたよ?」

銃口をアスランではなく、カガリに向けたままマユは続ける

 

「家族を喪ったから武器を取った

親友がいるから、その武器が鈍った

その甘さが仲間を殺した

その激情のままに親友を殺そうとして、自爆までした

そこまでして、殺そうとした相手を実の父親、唯一残った肉親を裏切ってまで助けた

嗚呼、素晴らしいですね

何一つ貴方に芯がない。だから、貴方はあっちにふらふらこっちにふらふら

この戦いで貴方は実の父親でありプラントの最高指導者を殺した

…当然貴方はその罪に向き合う事なく、逃げるでしょう?

貴方の恋人であり、国民全てを見捨てた冷酷非道なカガリ・ユラ・アスハの元に」

マユは高らかに歌いながら、アスランを責める

 

「カガリは見捨てた訳じゃない!」

アスランはそう反論するが

 

「貴方には理解出来ないでしょうね

マスドライバーカグヤ。そこから打ち上げられたのはアークエンジェルとクサナギ

アークエンジェルにはストライクとバスター。そして貴方のジャスティスとラクス・クラインの手引きで奪われたフリーダム

…では、クサナギには何が載っていましたか?」

マユの笑顔が消える

 

「そう、M1アストレイ(オーブ軍最高戦力)

まだオーブで避難している民間人や必死に抵抗しているオーブ国防軍や避難誘導をしている者達を見捨てて、あの男は

ウズミ・ナラ・アスハは!

自分の娘や理想の為にオーブという国を滅ぼした!!

…此処プラントにも少なくないオーブの人間が逃れてきています

彼等は何故プラントに逃げてきたと思いますか?」

彼女は怒りを必死に押し殺した声で問いかける

 

「そ、それはっ」

カガリは言い淀む

 

「国土が焼かれ、行政府やモルゲンレーテの本社工場、マスドライバーと言った本来、オーブが復興する為に必要であるものの尽くが貴方達がオーブから逃れたすぐ後に自爆したんですよ?

オーブは地球軍によって焼かれました。再興させるとしても何も無い所から復興できると思いますか?

地球連合から敵と見做されたオーブが

ウズミやホムラ達が死のうが生きようが知った事ではありません

…ですが、死ぬ連中の自己満足の為にまだ生きているオーブ国民がどうして苦しまないといけないのでしょうね?

…ああ、自分勝手な正義とやらの為に自分達の故郷の新兵器を数多く強奪した方達と一緒ならば大して気になる訳もありませんでしたね」

マユはそう嗤うと、カガリに向けていた銃口を自身のこめかみに当て

 

「精々自分達のした事に苦しむと良いでしょう

こんな世界に私や兄は未練なんてありませんから

義理は果たしましたよ(・・・・・・・・・・)

 

 

……ごめんなさい、お兄ちゃん

その引き金を引いた。最期に流した涙は誰に向けたものであったか?

それを2人が知る事は永遠に、ない

 

「待て!」

アスランが制止するが、既に遅く

 

パン!

彼女の命は既に3人しかいないヤキンの司令部で消える事になった

 

 

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『シン、此処まで苦労だったな』

 

「…マユは多分死んだよ

父さんと母さんにおじさんとおばさんもジェネシスから逃げるつもりはないみたいだ

…クルーゼ隊長。アンタの願いを手伝うのは此処までだ

……俺には俺のやるべき事がある」

クルーゼからの通信にシンはそう答える

 

シンとマユそして2人の両親とバスカーク夫妻はクルーゼの願いを知りながらも協力していた

と言うか、プラント市民としては確かに強引なやり方であったのは認める所だが、プラントの最高意思決定機関である最高評議会の決定に沿って動く事は何の問題もない

 

…例えそれで人類が滅んだとしても

少なくとも、アスカ、バスカーク両夫妻はそう考えていた

 

それはとって、この世界は滅んで良いと思えるものだったのだから

 

兄が、カズイが死んだ

ブルーコスモスによって。…いや、シン達に相手がブルーコスモスの人間であったのかは知るところではない

 

 

 

だが、少なくとも1人の命が失われたのだ

誰とも知れぬ、勝手な意見によって

 

 

 

----

 

「何故ですか!?

息子が死んだのです!その理由を知りたいと思うのがそんなにおかしな事だと言うのですか!!」

 

「…今オーブと地球軍の関係を拗らせる訳にはいかんのだ」

 

カズイが死んだ後、すぐにカズイの両親は事情を知る為に動いた

幸いなどと言いたくもなかったが、カズイの両親はオーブの国営企業であるモルゲンレーテの技術者

しかも大西洋連邦軍の新型機開発に携われる程度には実績もあった

 

その計画の推進者であるサハク家と必然的に関わる事になっていたからこそ、警察があてに出来ない今回の件についてもある程度の事情を知る事が出来た

 

 

…否、出来てしまった

 

 

そこで彼等が知ったのは

この程度(・・・・)でオーブの希望となり得る計画を止める訳にはいかない』

という上層部(うえ)の都合だった

 

 

「…分かりました

そう仰るのであれば、やむを得ません

私共は今日をもって、本プロジェクトから離脱します

明日には辞表を提出させて貰います」

カズイの父はそう自分達に話をした上司に告げる

 

勿論、オーブにとってこの新型機開発プロジェクトは重大な意味を持つ事を知っていた2人の上司は慌てて2人に慰留を求めた

 

しかし

「ご冗談を

私や妻はこれがオーブの為に、息子達の未来を守る為に必要と思ったからこそ、この計画に加わったのです

守るべき息子の命が理不尽に失われて、その下手人達の事もわかっていながら我等に『口を閉ざし、目を塞げ』という様な国や組織の為に働くつもりはありませんからな」

とカズイの父親は冷笑を浮かべると妻と共にモルゲンレーテ社を後にした

 

 

2人は前言通りに翌日辞表を提出

此処でサハク家の者なりが気付いていれば問題にならなかったのだが、彼等とて危ない橋を渡っている自覚があった。故に開発現場の詳しい事情まで把握するだけの余裕はない。加えて開発主任であるエリカ・シモンズは新型機に搭載するOSについてかかりきりとなっていた事もあり、バスカーク夫妻がモルゲンレーテを辞した事を知ったのはバスカーク夫妻がアスカ一家と共にオーブを離れてからの事であった

 

本来2人を何としても止めねばならなかった筈の直接の上司は所謂『デスクワーク組』と呼ばれる立場の人物であり、情報についてある程度知らされていたのではなく

『恐らくこうであろう』

という自分の予想を平気で口にする人物であった

加えて開発の進捗には神経を使う割には『誰がどの様な開発に長じている』かすらも対して知ろうとしないある意味では問題人物

 

 

その様な事やプラントでナチュラルである事から、様々な差別や嫌がらせを受けてきた夫妻やそれをすぐそばで見ていたアスカ夫妻にとってオーブも連合もプラントも等しく憎むべき存在となっていた

 

----

 

故にこそアスカ夫妻とバスカーク夫妻はジェネシスにて最後の仕上げを

マユは暴走しているパトリック・ザラに最後の役目を

そして、シンは

 

『…ふ、どうやら君も死に場所を見つけた様だな』

 

「…ああ

アイツらだけは何が何でも許す訳にはいかないんだ

…隊長」

 

『何かな?』

穏やかな会話だった

内容こそ物騒極まるものであったが、クルーゼとシンはある意味では同類と言える

 

だからこそ、これが最期の別れとなる事をお互い確信している

 

「あっちに行ったら、俺とマユと一緒にカズイ兄さんに謝って貰うからな」

 

『…ほう、君とマユがいつも話していた君達の兄の事かね

しかし君達も自分の意思で決めたのだろう?…それに久しぶりの再会に水を差すのは私としても憚られるのだがね?』

シンの言葉にクルーゼは苦笑混じりの答えを返す

しかし最後は少しだけ笑みを浮かべると

 

『人は他人を容易く乏し、傷付け、自身の痛みには敏感だが他者に与える痛みには酷く無関心だ

そんな人類など滅んだ方が良い

…行け、シン・アスカ

どれだけの者が君を非難しようとも、私は君のその怒りを否定しないさ』

 

そう、シン(共犯者)を送り出した

 

 

----

 

『シン』

 

シンは兄の遺した願い、いや祈りに自分達が逆らった事をしていると自覚している

 

確かに両親の方がカズイと過ごした年月は長いのだろう

マユの方がカズイを喪ったショックが大きかったのかも知れない

 

 

でも

 

でも、シン・アスカにとってカズイ・バスカークという人物はこの世に生まれ落ちてから共に過ごさなかった時間の方が少ないと断言出来る。そんな人物だった

 

 

あの日、兄の言葉に必死になって逃げた事

それは一年程経った今ですらシンの心を締め付け続けている

 

 

何度カズイ()が死んだ時の事を夢に見て飛び起きたのか、なんて今更数えられるものではない

 

…何度兄と笑って過ごしていた時の事を夢に見て、現実との非情とも言える差異に絶望したのか数えたくも無い

 

 

『俺もだが、お前も大概不器用だ

だが、俺よりもシン。お前は強く優しいんだ

…もし俺が死んだとしても、頼むから血に(まみ)れた道だけは選んでくれるな

死んだ人間が何を思うかなんて俺には分からん

…だけどな。もし、俺が死んだとしてお前やマユちゃんが復讐に突き進んで破滅する姿は見たく無いんだ』

 

今更ながらにシンは思い出した

まだマユが幼かった頃。コーディネーターである自分が周囲から妙な目で見られていた事に戸惑っていた頃

兄は両親の帰りが遅い時は自分達を寝かしつけるまで、一緒にいてくれた時に眠りにつく自分に願った。数少ない兄の祈り

 

 

自分のゲイツも激戦をくぐり抜けてきた為か、かなりボロボロだ

地球軍は小規模な戦隊クラスにまとまって、それでもジェネシスへの攻撃を続けようとしている

 

「…はは」

シンは今更どうしてそんな大事な事を思い出してしまったのか。そう自分を嗤う

もう自分は

自分達は兄が最も選んでほしくなかった未来を選んだのだ

 

 

----

 

単機で突入してくるザフトのMSに対して連合側は必死に統制を維持しながらも迎撃を試みる

 

敵MSはボロボロであったが、それでも明らかにこちらに対する攻撃の意思は潰えていない様に見える

ならば、それは明確な『敵』でしか無い

 

 

残存するMS隊から、敵機に対してビームライフルによる攻撃が行なわれた

 

----

 

シンは迫りくるビームの壁よりも

 

「父さん、母さん。おじさん、おばさん

…マユ。クルーゼ隊長」

辛うじて生きていたセンサーがジェネシスの発射と爆発を捉えた事に集中していた

 

もうどれだけ被弾したとしても、関係ない

 

 

「…ごめんカズイ

俺アンタの願いを裏切ったんだ

 

…でも、もう一度だけ会いたいんだ

会ってあの時の事を

 

 

…ごめん。兄さん」

 

そうシンは呟くと、目を閉じた

 

 

 

 

そして、次の瞬間

また一つ宇宙(そら)に光が煌めいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳でアスカ一家とカズイの両親が闇堕ちしたルートとなります


なお、パトリックがユウキ隊長に撃たれたのではなく、アスランに撃たれた事くらいしか然程に原典と変わりませんね
勿論シンとマユがクルーゼ隊の一員であった事は大きな差異でしょうが」

突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?

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  • それより本編でしょう?
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