誤字脱字指摘いつもありがとうございます
地雷を世界中にばら撒くphaseⅡ
「息子を大西洋連邦に、ですか?」
「ええ。正直に言いますが、息子さんの手術こそ懸命に行われているでしょうがその後の事を考えるとボクとしても不安があるんですよ」
「…それは、確かに」
カズイの父親は訪ねてきたアズラエルの言葉に唸った
間違いなく、現政権の上層部は息子の事を重用しているところから考えて助ける事に出来る限りの事をしてくれるだろう
が、幾らトップが懸命に旗を振ろうとも下の者が付いてくるかどうかは未知数なのが今のオーブ
元々ヘリオポリスの一件から直接の上役となるサハクにも、オーブの
「平和を叫ぶだけではどうにもならない
だからオーブも国防軍が必要なのだろう」
曲がりなりにも
「平和を守る?なら何故ヘリオポリスに国防軍は居なかった?
それとも
確かに大西洋連邦軍が多少なりとも居たのは事実。だが仮にあの場にオーブ軍がいたならば、或いはザフトもそこまで強硬策に出なかったのではないか?との思いが夫妻にはあった
もしかしたら意味などなかったのかも知れない
だが、その一点においてオーブは『出来る事を叶う限り行なった』と2人にはとてもでは無いが思えなかったのである
更に言えば、大西洋連邦軍の尉官として従軍していた息子を除隊の機会すら与える事なくそのまま国防軍に入れる決断をした現政権に対しても大きな不満と不信感を抱いていた
挙げ句、息子自身が望んでいた訳でもない階級や大き過ぎる期待によって息子は襲われ、意識不明となっている
2人も軍の関係者の1人であるが故に、事の顛末を聞き及んでいた
軍の統制維持の為に息子を快く思っていない連中に護衛を任せ、その上護衛指示を受けた人物は個人の感情を優先して護衛任務を放棄
その結果息子は襲われているときた
その話を聞いた時夫妻は現在開発中の新型装甲の試作設計図を思わず破り捨てた
「ふざけるな」
と
息子を慕っており、息子の為にオーブ軍に入隊したアスカの息子も心を痛めている事だろう
アスカ夫妻やその娘さんもこの国に未練などあるとも思えない
息子を利用しながら、助けようとも守ろうともしない
…ならば
「分かりました
ただ息子の事を本当に心配する一家がいます。叶うならば」
「ええ、分かりましたよ。その一家も連れて行くとしましょう」
----
「理事国とプラントの武力衝突
これが早期終結するのは我々にとって都合が悪い。理事国には悪いが、可能な限り時間を稼がねばならんのだ」
「…そうですな」
世界が揺れ動く中、アフリカ共同体政府高官達は会議を開いていた
自国の今後を左右する重要な会議を
「開戦当初プラントは勝ちすぎた。結果ザフトやプラントは目の前の現実から目を逸らす事となり、それ故に詰めを誤った」
アフリカ共同体としては理事国とプラントの武力衝突の隙をついてアフリカを統一したいという密かな野望があった
確かにアフリカ共同体自体の戦力は理事国はおろか、同じアフリカ大陸にあるアフリカ統一機構にすら劣るもの
その為、プラントの軍事組織であるザフトを受け入れる事によりザフトを利用してアフリカ統一を果たそうとした
…ところが
「時間をかけ過ぎた。…いや、プラントの者達が地球環境に無関心だったのやも知れんな」
地球軍は体制を整え、ザフトを圧倒し始めた
当然ながら、プラント側についていたアフリカ共同体は窮地に立たされる
そして今となってはアフリカを代表する立場は自分達の手の中から零れ落ちた
アフリカ統一機構に対しては理事国、特に大西洋連邦とユーラシア連邦が中心に破壊したビクトリア基地の再建や軍の装備更新などに協力している
勿論、ストライクダガーの様な最新鋭機まで提供していないがそれでもアフリカ統一機構の軍事力や国力増加に寄与しているのも事実
付け加えるならば、国内に反政府組織ともいえるものを抱えていたのも問題視される事になった
それ故か自分達に向けられる視線は到底友好的と言えるものではなく、挽回できるだけの機会すら与えられない
今更地球軍に味方しようにも、そもそもそれだけの戦力がない上に資源や物資の供出すら儘ならない
宇宙軍を保有するのは理事国とオーブくらいなのだ
となれば自分達の立場は間違いなく『敗者』
それでは今後国際的立場は勿論、国内における立場すら危うくなってしまう
このままいけば、理事国はプラントに対して譲歩する余地すらない
つまり圧倒的優位に立つ
それは自分達にとってもそうなるだろう
…だからこそ、彼等は願わずにはいられない
このまま戦争が終わらない事を
その為に何としても理事国の足を引っ張らねばならない。しかも、理事国の不興を買わない方法で
戦局が泥沼化すれば、或いは自分達の立場を上げる
戦争は当事国のみのものではない
中立国すらも巻き込む非条理なものなのだから
----
「…オーブ侵攻か」
「はい。最早それ以外に方策はないかと」
サザーランドは大西洋連邦軍参謀総長と共に大統領の元を訪れていた
大西洋連邦大統領アーヴィングは窓の外を見ながら
「オーブの現政権樹立の為にそれなりの支援をしたと思うが?」
「その通りです、
しかしながら、事実として我々の望む状況になっておりません。…寧ろ正反対の状況となっているかと」
大統領の叱責にも参謀総長は動じる事なく言葉を紡ぐ
「…後方の安全を確保し、プラント攻略を円滑に進める
だったな」
「はい。しかし、ザフトによる偽降、オーブの軌道上拠点であるアメノミハシラにおけるテロ未遂に加え」
「地球に住み、地球軍に協力しているコーディネーター達の希望も斃れた」
参謀総長の言葉をアーヴィングが続ける
「プラントからすれば結構な事だろうな
奴等は自分達が動く事なく、我々を混乱させているのだからな
…いや、口は動かしたかも知れないが」
「閣下、議会の方は」
「最早混乱の極みにあると言えるだろうな
…マトモな議論をしていると言えぬよ」
与党側としてはまず何よりも現在の武力衝突を一刻も早く終わらせて戦時体制を解除し、未だ復興していない地域の復興や産業などの再建にこそ力を注ぎたいと考えている
非情な話であるが、政府や与党にとって自国民の生命や生活を守る事こそが第一であり、
だが、野党やアーヴィングに反発する与党内部の反体制派からすれば、ここで武力衝突が勝利に終われば戦争指揮を最高責任者として行なっていたアーヴィングの支持は盤石なものとなる
そうなれば、幾ら野党やアーヴィング等に反発する者達が声を上げようとも選挙での勝ち目は消えてしまうだろう
勿論『人道的見地』からもプラント市民の生活するプラントへの攻撃はすべきでないとの論調を展開。何とかプラントとの和睦に持っていき、アーヴィング等の強硬論を潰さねばならないと考えていた
彼等野党からは
「ザフトが偽降などという常軌を逸した行動をとった理由の一つは軍がプラントを追い詰め過ぎたからだ!」
等と主張してもいる程
アーヴィングからすれば呆れるほかない
「国の為に戦っている兵士達に、世界中に無差別な刃を振り下ろした連中の為に死ねとでもいうつもりか?」
と思わず反論しそうになった程
あの忌まわしき再構成戦争の後、曲がりなりにも現在の様な対立構造でありながらも辛うじて平和であったのは
軍とは有事の為に持たねばならないものであり、政治はその有事を可能な限り引き起こさない為のものである。そうアーヴィングは常に思っているのだから
アズラエルと親密にしているのは相手が経済界の大物であり、国防産業理事である事
そして
「反対するのは大いに結構
対立するからこそ議論が生まれ、その結果それに対する議論が深まり認識を共有出来たり、意識していなかった部分にもしっかりと焦点を当てられる
だが、反対ばかり言われても困るのだがな」
批判するだけならば子供でも出来よう
立場ある者ならば、代案を出すなり改善策を主張するなりすれば良い
ただ反対だと喚くばかりの連中にかかる時間などアーヴィングは持っていない
「プラントの政治体制が好ましいとは思わんが、斯くも議会制民主主義とは脆いものだと痛感するよ」
----
「…心中お察しします」
アーヴィングの言葉に参謀総長は頭を下げる
軍としてはそれでもアーヴィングがまだ理解ある人物だからこそ、現在の状況があると思っていた
何せ、大西洋連邦軍宇宙艦隊は出来てまだ日の浅い組織
それ等に対して新兵器であるMSを大量に配備するというのは決して楽なものではなかっただろう
加えて旧世紀の兵器の発展系である『凶鳥』の研究、開発、量産など決してコスト面で考えても安いものではない
特にエイプリル・フール・クライシスで市民生活も混乱し、プラントとの貿易も停止している事による工業製品の不足など目の前の人物からすれば優先したい事はもっとあっただろう
それでも財務長官や関係閣僚を根気強く説得し、議会において臨時予算を通したアーヴィングは軍にとって好ましく、頼もしい存在といえた
だからこそ、プラントとの戦闘が終わり次第戦時体制を解除し、民間に人を戻す事を参謀総長やサザーランド等は受け入れている
(経済界はアズラエルが抑えるだろう。政治は何とか大統領が
民間特に先鋭化しているコーディネーターについては本来ならば
…儘ならないものだな)
サザーランドや参謀総長を始めとした大西洋連邦軍司令部は暴走する可能性のあるブルーコスモス強硬派については、現在フレイ・アルスターを表に出す事で抑え、コーディネーターについてはカズイ・バスカークやキラ・ヤマトの功績などでコントロールするつもりであった
子供、しかも状況故に選択肢の無かった少女や少年を看板にする事にはさしものサザーランド達も心を痛めた。しかし、彼女達も曲がりなりにも軍人に志願したのもまた事実
サザーランド達は心を殺してでもその方法を取る事で状況が好転するならば悪魔にすら心を売り渡すだろう
しかしまさか、自国の人間すらも満足に守れないとはサザーランドも予想していなかった
----
「後方の安全を確保するどころか脅かしかねないオーブの存在は毒にしかなりません」
「…まったく、アスハの
参謀総長の言葉にアーヴィングは嫌悪感すら滲ませて言葉を紡ぐ
「と言いますと?」
「中立というのも幾つか種類があると私は考えているのだよ、君達
戦術的、戦略的において攻めるよりも放置した方が利となるから許される中立
敵にすると厄介だから仕方なくそうせざるを得ない中立
停戦などの窓口として機能する為の中立
だが、オーブはその何れの機能をはたしてもいない」
アーヴィングを始めとした理事国首脳がウズミの宣言を受けてもオーブに対して何の手も打たなかった理由がこれである
勿論当時国内や世界が混乱していた事も理由の一つではあるが、オーブは国是としてコーディネーターとナチュラルの共存を掲げていた
今でこそ、理事国ではある程度コーディネーターに対する不満や不信感は薄まってきてこそいるが、当時はコーディネーター排斥が声高に叫ばれていた時期
そんな中でもコーディネーター系市民に対して排斥を行わなかったオーブ。加えて先にも触れた様に宇宙にも戦力を有している。加えてプラントとの貿易もあった
だからこそ、戦況が膠着した時にオーブが停戦或いは終戦交渉の窓口となればプラントもその提案を無碍にはしないだろうとの判断。反発するであろう議会や国民からの批判は各国トップが責任を持って纏める
そう言った話が内々に出来ていた
…まぁ、軍の一部がそのオーブと組んで新型開発を行なった結果、この未来図は実現不可能となってしまったのだが
----
「…その様なことが」
「君たち軍人は戦場の事を考えれば良い
だが、我々政治家は始まってしまった戦争や紛争に対して『どの様にして終わらせるのか?』を考えねばならんのだ
『
…まぁ、相手がその辺の感覚に鈍いどころか疎いせいで徒労に終わったのだがね」
中立交渉をするにせよ、ある程度国際的地位が必要であり、また信用も必要なのだ
故にスカンジナビア王国を通じての交渉を打診された時アーヴィングは何の期待をしなかった
スカンジナビア王国は確かに中立国だろう
だが、別に理事国としては緊迫する世界情勢において、国際社会の一員としてなんら寄与しなかったスカンジナビア王国に何の価値も認めていない。精々がユーラシア連邦からすれば『邪魔』程度のもの
プラントとしても頼る場所がスカンジナビア以外存在しなかったから仲介を求めただけであり、しかもプラントとしては『
如何なプラント最高評議会であろうとも、プラント市民による世論などを気にせねばならなくなっていたのだろう
それは即ち、それだけプラント指導部が自分達が窮地に陥りつつある事を自覚している事を示しているとアーヴィングは判断
それを受けてボアズ包囲やジェネシス破壊に踏み切ったのだが
それもプラントで起きたクーデターによりプラント最高評議会のメンバーは変わってしまい、早期戦争終結への道筋は断たれてしまった形となる
----
「…オーブ侵攻については作戦案をまとめておいて欲しい
ユーラシアはそうでもないが、東アジアが意欲的なのでな」
「東アジア、ですか?」
「うむ」
アーヴィングの言葉に参謀総長は怪訝な表情を浮かべるが
「貴官らは知らないかも知れんが、オーブ建国の功労者の多くは旧日本の出身者だそうだ
故に東アジアからすれば、自国民の末裔がいつまでも独立国としているのが気に食わないらしい」
アーヴィングの更なる言葉に参謀総長とサザーランドは耳を疑う事となった
----
カオシュンという東アジアにとって喉元に突きつけられた
そして、国力も大した事がないにも関わらず国際的にはその国力に比べて大きな立場を有するオーブ
これ等を東アジア政府は除きたいと考えていた
先のオーブ侵攻艦隊の撤退は大西洋連邦とユーラシア連邦の顔を立てた。そうであるならば、今度は我々の面子も立ててほしい
と言うのが東アジア政府の偽らざる本音
プラント理事国として、また地球連合加盟国として確かに東アジアは世界屈指の国家だろう
だが、今回のザフトによる侵攻において東アジアは唯一無二の宇宙拠点『新星』を早期に奪われた挙句、それをプラントは改修しボアズと名を変えて今もまだ運用している
この時点で東アジアの面子は潰されたと考えていた
加えて武力衝突のきっかけとなったユニウスセブンへの核攻撃を行なったのは東アジアの部隊。これもまた作戦に基づくものであったが『大戦の引き金をひいた』との非難を受けるに足るものだろう
更に東アジア本土、しかも重要拠点でありマスドライバーの存在していたカオシュンをも攻略された事により、プラントは勿論の事プラント側についていたアフリカ共同体や大洋州連合、南アメリカ合衆国。それに連合加盟国からも軽んじられる恐れがあった
その後確かにカオシュンを奪還こそしたものの、文字通り『拠点を更地にした』カーペンタリアやビクトリア。列車砲や艦隊などを総動員して火の海に沈めたジブラルタルに比べるとどうしてもインパクトに欠ける
元々権威主義的なところがある東アジアとしては
「このままでは我等の立場が危うくなる」
という危機感を持っていた訳だ
更に言えば、ボアズ包囲網を完成させたのは大西洋連邦宇宙軍であり、ジェネシスを無力化させたのはユーラシア連邦宇宙軍
東アジアの宇宙軍は予備兵力という形であったが故に結果として戦果を残す事が出来ていない
故にこそのオーブに対する攻撃なのだ
既にユーラシアから購入した
此処までが政治の都合
だが、当事者ともいえる東アジア共和国軍司令部はオーブ侵攻に対して然程積極的ではない
何故か?
「地上からザフトを駆逐したと言うが、完全に駆逐したと言うわけでもない
特にザフト潜水艦隊についてはその全容が明らかでない以上、それに対する警戒や対策は必要だろう」
つまり、潜水艦隊に対して有効打を与える東アジアの『海鳥』はたとえ武力衝突が終わったとして、数こそ減らされるであろうがその重要性は変わらないどころか高まる事すらあり得るのだ
それに今こそ
が、それはそれとして勲功を稼げるならば稼ぐべきだと言うのが東アジア共和国軍司令部の見解だったりするのだ
終わらない戦争
繰り返される過ち
それでも刻は流れ続ける
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
-
いる
-
いらん
-
それより本編でしょう?
-
ifstory補完しろよ