勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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カウント

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カウント省略もまた様式美、なり(開き直り)


 落日

「どういう事だ!お前達っ」

 

「どうもこうもありませんよ、カガリ・ユラ・アスハ

貴女には責任を取ってもらわねばなりません」

 

「だから、私は此処に残って!」

地球軍からの通告が届いた翌日、カガリはコトーの護衛によって拘束されていた

 

「…責任の取り方も色々あるのです、代表

オーブの負の遺産は我々が全て持っていきましょう。貴女はオーブの民の明日の為にも生きてもらわねばなりません」

ウナトは穏やかな顔でカガリに告げる

 

「だがっ、私はオーブの代表なんだぞ!

お前達が責任を取るのに私だけがそれを免れる訳にはいかないだろう!」

 

「ウズミやホムラ達の暴走を食い止められなかったのは貴女ではなく、我々の罪。オーブに蔓延している思想もまた我々が背負うべき罪なのだ。…辛い道となろうが、オーブの明日を任せたい

それが貴女の責任の取り方です」

 

「ミナ!お前もなのか!」

 

「…」

ミナは言葉を発そうとしない

 

「…後を頼む」

 

「待て、まだ話は

…うっ」

コトーの護衛を務める人物はカガリに当て身を食らわせて、その意識を刈り取った

 

 

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「では代表をクサナギへお連れしろ」

 

「…はっ」

意識を失ったカガリをすまなそうにコトーは見やると護衛にそう指示を出し、護衛を送り出した

 

 

「では私が防衛の指揮をとる

それで構わぬのだな?」

ミナはコトーとウナトに確認を取ろうとする

 

…だが

 

「お前もだ。ミナ

お前もアメノミハシラに行き、オーブの明日の為に力を尽くせ」

 

「どういう事だ?それは」

 

「…ミナ様、失礼」

 

「っ!

…な、にを」

コトーの言葉に困惑するミナ。その隙を彼女の側近は逃さず彼女を昏倒させた

 

 

「…すまぬな

だが、これもオーブの明日の為。耐えてくれるか」

 

「…はっ、必ずやミナ様と共にオーブの明日を掴み取ってみせます

……コトー様、ウナト様失礼します」

 

「うむ。達者でな」

ミナの護衛の男はそう言うと頭を下げ、部屋を後にした

 

 

----

 

 

 

「カガリ様とミナ様の収容が確認でき次第、クサナギは発進する!

各員発進シークエンスを!」

 

『こちらカグヤコントロール

クサナギ発進までは何としても持ち堪えよう。貴官らは発進の事だけを考えて構わない』

 

地球軍との協定により、今回のクサナギの脱出をもってオーブからの脱出は如何なる理由があろうとも認められなくなる

殆どのオーブ国防軍関係者はオーブに残っているが、そこに関して当人や政府も理解している

 

勿論『熱心なアスハシンパ』についてはオーブと共に滅びる事を求められていた

 

サハク派と言われた国防軍人や先のクーデターで銃を下ろし、協力した者達もその大半がオーブに残っている

…既にオーブ各所では『アスハシンパ』と彼等の戦闘も始まっており、彼等の最後の使命はマスドライバー『カグヤ』と発進するクサナギの護衛であった

 

オーブ議会関係者もその殆どが残留する事を選んでおり、今オーブに残っているのは国外へ逃れる事を認められなかった市民と政府広報を大袈裟として避難指示に従わなかった市民

後者は事此処に至って漸く事態の深刻さを理解したらしく、クサナギへの搭乗を希望していたが、コトー等はそれを認めなかった

 

「既に数えるのも億劫になる程にこの事を市民には伝えていた

…現実感がないのも理解出来るが、機会は何度もあった

今更になって言い出すなら、どこかで足を引っ張る事となろう」

コトー達にとっても苦渋の決断だった

 

だが、全てを救う事は出来ない

必ずこぼれ落ちる命がある

 

 

それが戦争だと、コトー達は漸く実感した

 

 

----

 

 

『貴様等のせいでオーブは焼かれるんだ!』

 

『黙れ!オーブを好き勝手にしたサハクの手先が何を言うか!』

M1アストレイがオーブの各地で激突していた

既に民間人に対する配慮などどちらにもなく、ただ己の行き場のない怒りを相手に叩き付けるだけ

 

そんな無意味な戦闘が行われていた

 

 

 

----

 

 

「こちらカグヤゲート前!

そろそろ保たないぞ!」

 

『こちらカグヤコントロール。クサナギ発進あと3分となった

…貴官らの奮闘に感謝したい』

オーブ唯一の宇宙との連絡手段であるマスドライバー『カグヤ』

その唯一の出入り口では激しい銃撃戦が繰り広げられている

 

MSを投入すればあっという間に障害は排除できるだろうが、その場合でもカグヤ内部まで制圧する事は不可能

…厳密に言えば制圧は出来る

但し、マスドライバーの機能を損失する事はほぼ確実。そうなるとアメノミハシラへの移動が不可能となり、仮に攻撃側の望む『ウズミ体制の復活』が叶ったとしても問題が大き過ぎた

 

既に市街地やモルゲンレーテ本社付近でもMSによる戦闘が行われている以上、オーブの復興の為にもアメノミハシラに避難した市民を本土へ戻す必要がある

何をするにしても、やはり人の数が多くなければならないのだから

 

 

そして防衛側の主任務はあくまでも防衛(時間稼ぎ)

となればM1アストレイを此処に配置する必要はない。元よりアストレイの絶対数が少ないのだから

 

 

 

 

『…こちらカグヤコントロール

クサナギ発進までカウントダウンに入った

…感謝する』

 

「…ああ、随分待たせやがっ、て」

管制員からの通信を受けたオーブ兵はそういって息絶えた

 

 

彼等は最後の希望を守ったのだ

その顔は何かを成し遂げた様なものであった

 

そして

それらを吹き飛ばして、敵は進む

 

「急げ!時間がないぞ!!」

彼等はウズミの考えを支持していたが、先のクーデターにおいてウズミは降伏を促す行為をしている事から自分達が説得しようと立ち上がらない可能性もあると考えていた

その為、『サハク等に利用されていたカガリ』を確保してオーブ復興の為の象徴としようとも考えた。それ故にクサナギの発進は何としても阻止せねばならなかったのである

 

 

しかし

 

 

「突入してきたぞ!」

 

「構うな応戦しろ!」

カガリ達を守る為に此処にいる者達は既に命を捨てていた

…いや、どの道死ぬのは変わらないとしてもオーブを滅ぼす引き金を引いた連中にだけはこの国の最期を任せたくない

 

それがオーブを守ろうとした自分達の最後の意地

 

そう彼等は決意し、侵入者を撃退しようとする

 

 

 

----

 

「各ブロック閉鎖!各部発進シークエンスよろし」

 

『…行ってくれ。君達が生きていれば、またオーブは蘇る

……ハウメアの護りがあらんことを』

 

「……発進!」

そしてクサナギ(オーブの希望)は宇宙へと向かう

 

 

 

 

----

 

 

「正面ゲート前突破されました!」

 

「クサナギ発進を確認!

カグヤコントロールより『希望は宇宙へ至り』!」

 

「皆、すまなかった

我等がもう少し早く動ければ、或いは別の未来があったのやもしれぬ」

オーブ行政府の会議室でコトーが頭を深く下げる

 

 

 

室内に沈黙が満ちる中

 

 

「東方面より大西洋連邦軍!

北よりユーラシア連邦軍に東アジア共和国軍!」

索敵手が声を上げる

 

 

そして

 

 

「…すまぬ」

 

その僅か数分後、オーブ行政府に弾丸の雨が降り注いだ

 

 

----

 

 

家も

植物も

道路も

教会も

何もかもが火の海に沈む

 

 

 

そしてマスドライバーカグヤもまた崩壊する

 

 

 

「き、機長」

 

「…命令なのだ。オーブは滅ぼさねばならん」

照準担当の声に機長は言葉少なく答える

 

 

本島であるヤラファス、中心地であるオノゴロを始めオーブに属する離島すらも全てを焼き尽くす炎

そしてその後にユーラシア連邦軍と東アジア共和国軍による徹甲弾を転用した地中破砕用の爆弾が降り注いだ

 

 

 

大西洋連邦軍もユーラシア連邦軍も東アジア共和国軍もそれぞれの軍に所属する兵士達も誰もが望まない

 

 

後に『誰も望まない戦争』と呼ばれる事になるオーブ戦争は此処に終わりを告げた

 

 

 

----

 

 

 

 

 

オーブ本土が焦土となった頃、プラント本国でも動きがあった

 

 

 

「地球側とどの様な形で和平を結べるというのか」

プラント最高評議会議長エザリアは必死に考えを巡らせていた

 

優秀なコーディネーターである彼女にも既に打つ手がない事は理解出来ている

問題は此処で和平(という名の全面降伏)をしたとすれば息子の命は無いだろう。加えてプラント市民からの猛反発が予想される

息子とプラントが助かるならば、命を差し出す事には躊躇いとない

 

しかし

 

「マクスウェルがどう出るか」

パトリックの跡を引き継いだジェレミー・マクスウェルは息子を失って以降ナチュラル殲滅を声高に主張する強硬派の1人となっていた

 

新体制となり、国防委員長となった彼は基本的にザフト司令部の意見に賛同するばかりであり、ストッパーとしての役割は果たせていない

 

 

そしてエザリア自身、ザフト司令部と決して好ましい関係を築いているとは思ってもいないのだ

 

だが、マクスウェルが問題視していない『徴兵年齢の引き下げ』や『プラント市民からの寄付を募る(・・・・・)』というのは到底受け入れ難いものであった

 

シーゲルやパトリック等が重要視していた『コーディネーターの出生率の問題』

これは担当していたギルバート・デュランダルがプラントを離れた為に一からやり直しとなっているが、実質これについての研究はストップしていた。喫緊の課題である事は疑いようの無い話なのだが、先ず目の前の脅威をどうにかしない事には潤沢な予算な人員も用意できない

 

既にプラントの社会構造は働き盛りの二十代から四十代の男性の数が著しく減少しており、未婚の女性や未亡人がプラントに増えつつある

将来を見据えるならばとてもでは無いが座視すべきものではないだろう

 

 

市民からの寄付と言っても、資金的なものではない

寧ろ『資源的な意味合いでの寄付』

 

それ等を使ってMSなどの生産資源に充てようというのだ

 

 

「市民生活を圧迫して戦争が出来る訳ない」

市民というのは勝手なもので自分達に被害が及ばねば対岸の火事として受け止める者が多い。プラントにおいても戦局が怪しくなってくると一部のコロニーで暴動が起きている

これについてはなんとか鎮圧出来たが、当然不満は蓄積しているだろう事は容易に想像出来るだろう

 

加えて地上における大敗により、ザフトは多くの将兵を喪失した

勿論帰還など出来る訳もなく、未だに帰国しない家族や知人達に不信感を募らせる者も増えているのは想像に難くない

 

 

そんな状況で市民生活を圧迫すれば、最悪の事態すら起こり得る

 

 

コーディネーターの優秀さを疑っていないエザリアであっても、この様な状況となればどうなるか分からないというのが本音であるのだから

 

 

 

エザリアの苦悩は終わらない

 

 

 

----

 

同じ頃

 

「エザリア・ジュールとダッド・エルスマンの息子の居場所は特定出来たのだな?」

 

「間違いなく」

 

「ならば奴等はもう不要

これからプラントは我々が導く」

 

「「「ザフトの為に!」」」

 

そしてまた狂気が動き出す

 

 

 

 

 

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