そろそろフラグ回収
「クーデターだと!?」
『はい、間違いなく』
ヤキン救援の為に部下を率いて出撃準備を整えているサトーのところに衝撃的な連絡が飛び込んできた
「…くっ、詳細は?」
『まだ判然としておりませんが、エザリア議長が撃たれたと
…現在ゼルマン等が救出に向かっていますが』
「……最悪は免れたか
…どう思う、クルーゼ?」
「ヤキンが攻撃されている中で起きた事を考えれば、元々その様な計画だったのではないかね?
今回の混乱に乗じて邪魔者を始末。実権を握り、これからの戦争指揮を取る。…そう思うが」
部下の報告にサトーは安堵し、今後の見通しについてクルーゼへと尋ねる
あくまで現在の立場で言えば隊長であるサトーの方が上官になるのだが、サトーとしては開戦から常に最前線で戦っており、尚且つザラ国防委員長にも頼りにされていたクルーゼを粗忽に扱うつもりは微塵もなかった
勿論クルーゼの元部下達も、だ
仮面で素顔を隠したり、
ましてやサトー自身戦闘技術こそあれど、政治的センスなどある訳もないと自覚しているからこそ、そちらに造詣の深いクルーゼの意見は参考にして然るべきものだったのだ
「…笑えん話だ。クライン議長やザラ委員長、ジュール副委員長にすらなし得なかった事を火事場泥棒するしか取り柄のない連中に出来る訳もなかろうが」
「…それには全面的に同意しよう」
不愉快そうに吐き捨てるサトーの言葉にクルーゼもまた苦笑しながら同意したのである
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「何がどうなっている!」
「分からん!全く連絡が取れなくなったぞ」
ディアッカを監禁している部屋では混乱が起きていた
彼等に指示するはずの者達からの定時連絡が途絶えたのだから
「随分とまぁ取り乱しちゃってさ
…あーあ、みっともないね」
「状況が不透明なのだ。仕方あるまい」
ディアッカの言葉に監視役の隊長が憮然としながら口を開く
「呑気だねぇ。普通に考えたらクーデターでも起きたんじゃない?」
「!まさか、そんな事が」
ディアッカの言葉に狼狽するが
「いやいや、戦争中に
ディアッカは足つき追撃中に経験した事や地上での出来事、そして今まで目の前の人物から聞いた話からこう思っていた
(他人事って事なんだよなぁ。どれだけ地上で味方が死んでも自分の身に実際に降り掛からないと
…これがナチュラルよりも優秀?はっ、笑えないよな)
元々彼は皮肉屋であった事から、物事を少し別角度から見る事が多かった。だからこそこの歪さにコーディネーターの
…いや、
「…ディアッカ・エルスマン」
「なんだよ?」
「…イザーク・ジュールの所へ向かう
ついて来れるか?」
「…はっ!
本土で戦争の真似事しかしてないアンタらよりは動けるつもりだけど?」
隊長の言葉にディアッカは彼らしい笑みで答えた
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同時刻プラント某所
「大丈夫ですか?エルスマン委員?」
「…ああ、助かった
君は確か」
「フレデリック・アデスと申します
元クルーゼ隊『ヴェサリウス』の艦長をしておりました」
銃撃され、出血の為に意識を失っていたダッド・エルスマンはアデス達によって救出されていた
「…そうか、パトリックの
これからどうすれば良いかね?」
「我々と合流してもらえれば、と」
「一度死んだ身だ。構わんよ」
アデスの言葉にダッドは力無く笑うと歩き出す
まだ、終わりではないと
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「ああもう、頭おかしいでしょう!」
思わずデスクを殴りつけるアズラエル
「…どうしたんですか?」
今フレイはバスカーク家とアスカ家の住居や手続きなどの関係、そして彼女の亡くなった父ジョージの遺産関係の手続きの為にアズラエルの元に訪れていた
フレイ個人としてはアズラエルという人物に好意など欠片も持ち合わせてはいない
勿論オーブから出国する際には世話になったからそれについては感謝しているが
何せ目の前の人物はカズイに色々な重石を押し付けようとした人物。確かにオーブもアレではあったが、この人物もフレイにとっては到底許し難い人物であったのだ
…まぁ、だからと言って懐にあるナイフで斬りかかろうとは全く思わない
「何言ってるのよ?
との事である
その為アズラエルとは貸し借りなしの関係が好ましいとフレイは判断していたし、アズラエルもそんな彼女の在り方に好ましいものを感じてもいた
「…クーデターですよ」
「アメノミハシラで、ですか?」
アズラエルの心底呆れ果てた言葉にフレイは小首を傾げて呟く
「やめて下さいよ。これでまたアメノミハシラで騒ぎが起きるならアメノミハシラを破壊しなければならなくなるんですよ
…プラントですよ、プラント」
恐ろしい事を平然と口走るフレイに内心戦慄しながらも、アズラエルは彼女の考えを正す
「…え?でもプラントって一度クーデター起きたんじゃ?」
「二度目ですよ
いい加減にして欲しいんですが」
「…もしかしてコーディネーターって少し頭が残念なんじゃ?」
「………
否定したくとも否定できませんね。まぁボク達も似た様なものでしょうが」
フレイの言葉にアズラエルは肩をすくめて呆れた様なため息をついた
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『こんのぉぉぉ!!』
『っ!思い切りが良いな、坊主!』
フレイとアズラエルが会話をしている頃、アークエンジェルにシンとマユの姿があった
シンとマユは兄がこれからも無事に生きていられる世界を守りたいとアズラエルに頼み込み、アズラエルもカズイが助かった時の交渉の材料になるとしてこれを請け負った
そしてアズラエル→
『真のコーディネーター』とされたカズイが斃れたものの
『
事実として士気が目に見えて低下していたキャリー隊の者達もシンとマユがカズイの為に強くなろうとしている事に衝撃を受ける
その結果、シミュレーターや模擬戦などがアークエンジェル内で活発に行なわれる事となり、艦長としてマリューは安堵の息を吐いたという
「なぁ坊主」
「なんだよ?」
「お前俺達を憎んじゃいないのか?」
お互いシミュレーターを終えて時間が空いた為に小休止していたシンとフラガ
フラガはついそう切り出した
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それはフラガがカズイが凶弾に斃れたと聞いてから
…いや、カズイとキラが大西洋連邦軍に志願してからずっと心の中に秘めていた本心だった
アークエンジェルが助かる為
ストライクを守る為
などと言ったところで、それは大西洋連邦軍の都合であり民間人であるカズイや善意の協力者でしかなかったキラには関係のない話
無論ストライクの機密情報を話さない様になどの多少拘束はあっただろうが、こんな血塗られた道に少年少女を引き摺り込んだ事をフラガは後悔していたのだ
だが
「憎んだら
…アンタを、誰かを殺したらカズイは帰ってくるのかよ」
そうシンは遠くを見つめながら呟いた
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「憎んだら
…アンタを、誰かを殺したらカズイは帰ってくるのかよ」
…耳を疑った
そして周りから音が消えた
「殺された
じゃあ殺す
多分それで家族や仲間を殺された奴は満足するんだろうな」
「…ああ」
「じゃあ
それで殺された奴の家族や仲間はどうするんだよ?」
「っ!」
圧し潰される様な気配を俺は感じた
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「拳を振り上げて殴ったら相手を傷つける
けど、だからって殴った方も傷付かない訳じゃない
…アンタ達もそうじゃないのかよ?」
「…どうだろうな」
「多分その辺の感覚が麻痺してるんじゃないか?
…それがアンタ達の仕事だから仕方ないのかも知れないけどさ」
「耳が痛いぜ」
「『良薬は口に苦し』。正論は耳に痛いんじゃないのかよ」
俺の言葉にシンは少し笑った
「随分と古い言い回しを知ってるな?」
「カズイがその手の事好きだったからな
アンタやこの艦の人間を憎んでいない。…なんて気休めは言わない
でも、それでも、それを抱えて生きていかなきゃならないんだ」
苦しそうにシンは言う
「何でだ?」
「カズイと約束したから
誰かを傷付けたら俺も傷付く。だから、しっかり『
「…そうか」
「…それに」
「それに?」
「悪いけど、俺はプラントのコーディネーターと一緒にはなりたくないからな」
シンのそのぎこちなく、それでも強い光を秘めた瞳を見て俺は思った
(…カズイ、お前さんの兄妹は本当に、強いな)
と
「殺したから殺して
殺されたから殺して
それで最後に平和になるなんて俺は、俺達は思わない
…思っちゃいけないんだ」
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『殺したから殺して
殺されたから殺して
それで最後に平和になるなんて俺は、俺達は思わない
…思っちゃいけないんだ』
大西洋連邦軍に引き渡されるまでの間ドミニオンからアークエンジェルに移され、勾留されているアスランはシンの言葉を通信越しに聞いた
(アスラン、貴方)
自分は母を殺されたから武器を取った
そこに後悔も迷いもない
そう思っていた筈なのに
「…どうして」
アスランの記憶の中にある母親の笑顔が思い出せなくなっていた
刃は周りを傷つける
だから鞘が必要なのだ
抜き身の刀は触れるもの全てを傷付ける
という訳で今回は更に混乱するプラントとアークエンジェルをメインでお送りしました
着地地点は決まっているのでブレないって素敵ですね(なお話数)
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ