プラントにて終わる兆しのない内乱が激化しようとしていた頃
「投薬、か」
「…らしいわよ
おはよう……このねぼすけ」
大西洋連邦の病室でカズイはようやく目を覚ました
可能な限りカズイのそばにいたフレイはそれにいち早く気付き、彼の胸の中に飛び込んで、涙を流す
そして少し経って漸くフレイがナースコールして、検査を受けた後カズイは彼女から自分が意識不明の時に何があったのかを聞き、ため息をついた
絶対安静であり、本来なら面会謝絶なのだが
何せフレイはカズイが死んだら直ぐに後を追う事を公言する程に愛の
その健気でどこか危うい雰囲気を持った彼女を引き離すのは恐らくフレイの精神面で良くないとして特例という形で病院側がそれを許可した形となった
カズイの意識が戻った事について知るのは入院している病院関係者とアズラエルにそのアズラエルが警備を依頼したロゴス傘下の警備会社の警備員とその上層部
そしてロゴスのみ
『そうか、意識は回復したのだね?』
「これである程度の
…やれやれ、此方の準備が無駄にならずほっとしましたよ、本当に」
『落とし所としては微妙だが、仕方あるまいな』
『間に合うのか?』
「今回ばかりは少し無理をしましたよ。…お陰でボク達の影響力も下げざるを得なくなりますが」
『問題なかろう
減れば増やす。無くなろうが壊れようがもう一度作り直すか立て直せば良い。…それが我等の本質ではないか?アズラエル』
「…っ!
いやぁそうですね!まさか皆さんからそんな前向きな話が出てくるとは思いませんでしたよ、ボクは!」
ロゴスでの会談でカズイの回復と今後の見通しをメンバーに告げたアズラエル。少し無理を通した為に自身の立場やロゴスの立場も少しばかり悪くなった事も伝えたのだが、返ってきたのは予想外の前向きな言葉だった為にアズラエルは思わず声を出して笑う
…そうだ、またやり直せる
それが生者の特権なのだから
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「エザリアは処理した!」
「エルスマンは?」
「それも問題ない!」
「マクスウェルは?」
「確認中だ!」
クーデターを成功させ、プラントの権力を握る為の最終工程を進めているザフト司令部派の者達
…いや最早クーデター一派と呼ぶべきだろう
彼等は市民の反発に対して服役中だった犯罪歴のある者達を動員。それをもって鎮圧にあたらせると共に、コロニー各所の工廠や基地のMSなどを速やかにザフト司令部付近へと集結させた
更にザフト司令部ならびプラント最高評議会連名によりザフト各部隊へ集結を命令
戦力の集中と現在混乱中のプラント各市に対する圧力を強めんとしていた
既に彼等の中でプラント本国を守らんと奮闘しているヤキン守備隊や未だ何とかしてヤキンか本国へ脱出しようとしているボアズ守備隊に対する関心は無くなっていた
…寧ろヤキン司令部要員は現在のザフトの在り方に不満を抱いているとクーデター一派は判断。更にヤキン、ボアズ両守備隊の中には旧クライン支持者やエザリア支持者が多くいた事から合流されては面倒と判断して捨て駒とする事としていた
「…懸念すべきは未だにパトリック達への支持を取り消さない連中か」
彼等としても既に戦力のガタ落ちしているザフトでは満足な反攻は勿論、彼等が考えている作戦の実施すら危ういと見ていた
その為、優先的に工廠を抑えた。これにより少数ながらも新型量産機ゲイツが自分達の戦力となっている。そして
「サトー隊のハイマニューバやハイマニューバの改良型
何とかして手に入らないものか」
サトーの乗るハイマニューバⅡ型は武装においてビームカービンではなくシグータイプの盾と一体型のバルカンであったが、その高い機動性と近接戦闘能力は彼等にとって必要と思えるもの
何せ今のザフトで地球軍のMSに対抗する1番勝率の高い方法は近接戦であるからだ
彼等クーデター一派も流石に装備や性能面においてザフトが地球軍に対して劣勢である事は認めねばならないと認識している
ましてや此方は数において劣り、練度の高い部隊などほぼいない
…だが、地球軍とてMSに慣れている者はそこまでいないだろう。いたとしても流石に自分達ザフトよりは数が劣る筈
ならば徹底的に相手の懐に入る事で援護射撃を防ぎ、一対一に持ち込んだ方が遥かに勝機はあるのではないか?と考えた
その為、MSの生産ラインの一部を強化した重斬刀の生産ラインへと変更し、何とか本国にあるMSに行き渡るギリギリの数を揃えている
その様な意味でもハイマニューバやハイマニューバⅡ型は是非手元に置きたいものであったと言えるだろう
だが、サトーは頑としてその意見には従わなかった
曰く
「マトモな整備が出来ているのかすら定かではない機体に部下の命は預けられん!」との事
事実として本国にあるジンの半数くらいは『念の為に』あるシステムを搭載しており、それを叶うならばサトー達に当てがいたかった
しかも、本国の整備兵のレベルもかなり下がっており開戦初期や地上戦線では考えられない様なミスが多発していたのも事実
結果今の今まで彼等はサトー隊の編成について口を出す事が出来ていなかったのである
サトー隊にルナマリアを配属したのもそれに注意を向けておきたかったという思惑があったりするのだから、もう何処と争っているのか分かったものではない
それでも彼等は足掻くのだ
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「で、どうするんだよ?」
「あまり騒ぐな、ジャンク屋
今到着したシャトルにアズラエルからの援軍が乗っていると聞いている。それと合流してからだ」
「…アズラエル
……ブルーコスモスのムルタ・アズラエルか」
アメノミハシラに戻ったギナは自身のゴールドフレームとロウと凱の機体をイズモに預け、ブリッジで今アメノミハシラに入港した大西洋連邦本土からのシャトルを見ながら会話していた
「貴様がどの様な感情をあの男に抱いているのかなど、私にはどうでも良い話だ傭兵
やるべき事はしっかりして貰うぞ?」
「…ああ」
凱の言葉に危険なものを感じ取ったのかギナはそう凱に告げる
そして
「おい、あれってザフトの機体じゃないのか?」
「今は黙っていろ。後で纏めて説明してやろう」
「……」
そして
「失礼します
シホ・ハーネンフース、未来の為に本作戦に同行します」
黒髪の少女がギナ達に敬礼する
「…キラ・ヤマトです
友達を、守りたいものの為に僕も戦います」
「ロンド・ギナ・サハクだ
歓迎するとしよう、ハーネンフースにキラ・ヤマト。何そう構える事もない
此処にいる者達は明日を知れない者達なのだからな」
ギナは苦笑を浮かべながらそう2人に話しかける
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『では話し合いを行おうか。…ラクス・クライン』
『…ええ、宜しくお願いしますわ。アーヴィング大西洋連邦大統領さん」
未来を決めるのは
最後の戦いが幕を開ける
守る為に力を求めた者がいた
守る為に武器を取った者がいた
多くの血が
涙が流れ
そして悲劇が生まれた
だが、それでも手に入れた物もまたあったのだろうか?
明日を
未来を迎える為に
次回最終話
「道の果て」
という訳で次回最終話です
此処までは短長文合わせていたので割と短い期間で更新出来ましたが、次回は少し間が空くと思います
感想については全て読ませてもらっております
いつもありがとうございます
この辺のカズイについては完結後に補完すると思いますので、御理解下さると嬉しく思います
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ