勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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長くなり過ぎると思ったので途中で切りました

タイトル名の通り迷走中ですが私は元気です


 迷走

 割と個人的にはヤバいと思っていたアルテミス要塞が何故か普通に終わった件について

 

 

ガルシア司令と何故か話をする機会があったのだが、思わず口に出しそうになったわ

 

誰だテメェは!!」と

それを誤魔化そうとして割と妙な事を口走った気もしなくはない。が、些細な事とスルーしておこう

 

何が違ったのか

確かに軍属となっていたトール達は未だに民間人

 

というのも、爆弾娘パート2ことアルスターが余計な事を口走らない為であり、ひいては後々までしこりの残るアレを回避せねばならないのだから

 

 

はっきり言ってしまうと、トールやミリアリアだけなら軍属となっても然程に問題ないと思っている

責任感もあるし、自身の職務にキチンと向き合おうとしていたのだから

 

 

が、アーガイル

お前はダメだ

 

確かに善性の人物ではあるだろう

しかし、時折無自覚なのかコーディネーターとナチュラルの事を口にしてしまい、その度にキラのメンタルにダメージが入っている

 

既にアークエンジェルでも何度かやらかしているとトールやミリアリアからも聞いた

ついでに言うと婚約者であるアルスターに弱過ぎるのも問題

 

 

此処がヘリオポリスのカレッジや街中なら別に文句を言うつもりはない。好きにやってくれたら良い

だが、此処は規則を守らねばならない軍艦の中である。にも関わらず、それを分かっているのか理解し難い言動を見せる事もしばしば

 

どうにも忘れがちな様だが、トールやミリアリア、アーガイルにアルスターは民間人の中でも待遇の良い扱いを受けている

他の避難民については個別の対応が難しいとして大部屋を使って生活してもらっているのが現状なのだ

 

アルスターが父を喪ってから支える事に注力しなければならなかったがそれも出来ず、人間関係を複雑化

しまいにはストライク(アークエンジェルの命綱)で勝手に出撃する

しかも理由が『キラに対抗する為』ときた

 

我儘言いたいなら、原作のカズイみたく艦を降りてからにして、どうぞ?

 

という訳でトール達を軍人にするのは余り好ましくないと思っている。流石にトールとミリアリアは良くてアーガイルは駄目、では色々としこりが残るだろうしなぁ

とはいえ、特にトールはアスランにやられる可能性があるからその方が良いと思うんだ

 

憎しみに囚われてディアッカを殺そうとするミリアリアの姿は今なお俺の心に強く残っている

あれだけで、どれだけ彼女がトールを愛していたのかが分かるのだから

 

 

いや、あんなに良い奴が早死にするとかないわ

多分生きてたらキラにとってかなり良い方向に向かったのではないだろうか?

 

 

 

ユニウスセブンに向かわなきゃ大丈夫

 

そう思っていた時期がありました

 

 

 

 

----

 

アルテミスでガルシア司令から受けた補給物資が既にヤバい件について

 

「困ったわね」

 

「言葉もないな」

 

「流石にこれはなぁ」

 

「いやホントないですわ

というか頭ん中どうなってんのでしょうね?避難民の方々」

 

アルテミス要塞に立ち寄った事で補給が満足に(・・・)出来たのだと早とちりした奴が避難民の中に居たのだ

 

「ヘリオポリスから俺たちは我慢してきたんだ!

物資があるならもっと配給の量を増やすべき!」

 

などと頭の中お花畑な主張をして、あろう事かそれに賛同する者がかなりの数居たのだ

 

 

いっその事、(宇宙)に放り出すべきだったかもしれん

初代ガンダムの避難民もびっくりだ、このザマは

 

 

何一つやろうともせず、何もしない

はっきり言って無駄飯ぐらい以外の何者でもないだろうよ

 

 

良い歳した大人達が口を開けて餌を待ってる雛鳥の真似事とか

悍まし過ぎて頭おかしくなるわ

 

 

此方としてもそんな思慮の足りない連中をアルテミス要塞に保護してもらおうとは思わない

いやいや、ホント同じオーブの国民として恥ずかしい限りだよ

 

「本当に申し訳ない

同じオーブの人間として」

 

「やめておくのだな、伍長

此処にいる艦長やフラガ大尉、それにブリッジクルーなどは伍長。君の働きを、覚悟を理解している。謝る必要はないさ」

 

「そうだな

それにそんな事を言っちまったら、俺達は青い連中とそこまで変わらない人間になっちまうだろ?

コーディネーターにもザフトの連中みたいなのがいりゃあ、坊主みたいな良い奴もいる。それはオーブの人間だろうが、俺達大西洋連合の軍人だろうが変わりゃしないからな」

 

「そうね

寧ろこれからの事を一緒に考えてくれる方が私達としては助かるわ

カズイ君。頼めないかしら?」

…いやホントこの艦のクルーって善人ばっかだわ

戦争という常に緊張を強いられない状況でこの人達と出会いたかった

 

本気でそう思える

 

俺の謝罪を止めて俺の言葉を正すバジルール少尉

場の空気も考えながら『お前はお前』と言ってくれるフラガ大尉

少し表情を和らげて俺の沈んだ気持ちを切り替えようとしてくれる艦長

 

…というか、初めてじゃね?

艦長から君付けで呼ばれたのって

 

いやぁ、魅惑のボイスでそう呼ばれるとねぇ

柄にもなく嬉しくなっちゃうよ

 

 

…というか、このヴォイスをいつも聞いていたのか第三新東京市で『人類の敵』と戦ってた彼と彼女達は

うーん、羨まし

…いや羨ましくはないか(クールダウン)

 

 

などと突然現実逃避を始めるカズイであった

 

 

 

----

 

全く、子供達に助けられている我々も我々だが

その奮闘を全く顧みない者達がこんなにいるとは

 

私は分かりづらいが表情をコロコロ変えている彼の姿を見つめながら、自分勝手な物言いをする者達に対して内心ため息をつく

 

どうにも私は良くため息をついているらしく

 

「少尉、少尉

あまりため息をつかない方が良いですよ?

俺達のご先祖様達は『ため息をつくと幸せが逃げる』と言っていたそうですし、少尉も憂鬱な気持ちになるでしょ?」

と他の者には聞こえない様に耳打ちしてきた

 

 

非常に有難かったのだが

 

「まぁ少尉みたいな美人さんが憂鬱そうにため息を付いているのも、それはそれで絵になると思わなくもありませんが」

と続けて言ってきたので、感謝を口にするのはやめておいた

 

気遣いは出来るし、周りの事も見ていない様で見ている

悪い人物ではないし、私としても初めての部下が彼で良かったと思うのだが

以前の全く面白くないダジャレにせよ、偶に評価に困る事をするのだから困ったものだ

 

 

 

「…気が進まないが」

 

「墓荒らし、ですかね

この場合だと」

フラガ大尉の言葉に伍長も嫌そうな顔をしながら賛同する

 

墓荒らし?

それはいったい

 

戸惑う私とラミアス艦長に

 

「この艦の予定航路にあるじゃない」

 

「この大戦のきっかけとなった『始まりの地』が

いやホント外道っすね、俺ら」

 

「そうだな

死んだとしても碌な目に合わんだろう」

大尉と伍長は憂鬱そうな声で話をしていた

 

 

 

----

 

「ユニウスセブンに、ですか」

僕は耳を疑った。アルテミスでガルシアさんから補給を受けたばかりなのに

 

「流石にキラ。あっちも宇宙というザフトの勢力内にいるんだ

加えて補給物資を届けるユーラシアの艦には『傘がない』。となると、…分かるだろう?」

 

「そっか。向こうも余裕なんてなかったんだね」

カズイの言葉に自分の勘違いを理解する

 

「加えて我等が親愛なるオーブの市民が配給を増やせと言ってきた

何でも下手をすれば暴動になりかねなかったらしい」

実はその時、カズイは休む様に言われておりその場にいなかった。キラもそう

 

「それじゃあ意味ないのに」

 

「彼等からすれば連合だろうが、プラントだろうが関係ないんだろうよ?

本土に戻りさえすれば、な?」

 

ヘリオポリス(自分達の住んでいた場所)を壊そうとした相手を頼る?

理解出来ない考え方だった

 

 

 

でも、それなら

 

 

----

 

「意味がわからんのだが」

 

「でも僕は嬉しいかな?」

 

カズイ・バスカークです

今俺はストライクのコックピット内にいます

 

勿論、シートの後ろにいるとです

 

「別にカズイがシートに座って、僕がカズイの上に座れば良いと思うんだけど」

と何か寝言を言っていた様な気がしますが、スルーしました

 

それについて何かキラが言っていましたがガン無視ですわ

 

 

----

 

「…ひどいね」

 

「日常生活を送っていたところにいきなり、だったそうだからな」

 

「そんな人達なのに、どうしてヘリオポリスを攻撃したんだろう?」

 

「分からん。確かにアークエンジェルとストライクを始めとした新型は脅威だろうが

そう言えばアレだろ?OSはキラがいじったと聞いたが?」

 

「うん。アレだとマトモに動かないって思ったから」

 

「それであの転倒して起き上がった時から動きが全く変わった訳か

たまげたもんだなぁ」

 

ユニウスセブンの中で僕とカズイは何とか使える物を探しながら話をしている

カズイとは色々話をしたいんだけど、時間が合わないから今回の話は僕にとっても有り難いものだった

 

話も出来るし、カズイの声を近くに感じられるのだから

 

 

 

カズイは決して僕の事を特別視している訳ではないと思う

トールから聞いたけど、カズイには相手の家族公認の異性すらいるらしい(いや、マユちゃんをそういう目で見ろとかどうなのよ?byカズイ)

 

なら一番仲の良い友人でいたいと思う

 

 

「…カズイ」

 

「どした?」

だから僕はカズイには話したいと思う

 

「実はイージスに友達が乗っているんだ」

アスランの事を

 

 

----

 

「実はイージスに友達が乗っているんだ」

マジか、いや本当にマジかぁ

 

そのカミングアウトもそうだけど、よりにもよって此処(その母親が眠る場所)でそれを言いますか、キラ・ヤマトくんよ

というか、そのイージスをついこの前貴方ボコボコにしてましたよね?

 

 

既に記憶は朧げだけど、本来ならイージスに捕獲されそうになってませんでしたっけ?

 

まぁ別にアスランだから良いけどね(無関心)

 

 

----

 

確かにアスラン・ザラという人物はある意味この世界において1番人間らしい

と思わなくもない

 

幼い頃からの友人との立場の違いに苦しみ

仲間の死に悲しみ、復讐の為に感情のまま凶刃をかつての友に振り下ろした

 

だが、それで彼が手に入れたのは満足感でも達成感でもなく、虚しさだけだった

 

そして自らの婚約者もまた自分が、父達が望む未来を否定し違う道を歩くという

 

そして殺したと思っていたはずの友人が生きており、その命が危険な事になっていたのだ

思わずそれを助けようとするのも仕方ないのかも知れない

 

 

 

…まぁ、此処までなら分からなくもない

とはいえ、自分の意思でプラントの軍隊に入っておいてのコレ

 

いやお前さぁ

と言いたくもなるが

 

 

何せ現場の人間の暴走であっさり予定されていた作戦範囲が拡大する事を許容するザフトだ

 

何を言わんや

と言ったところであろう

 

 

----

 

 

盗んだバイクで走り出す

ではなく、奪った兵器で自分達の信念を貫く

 

という大凡マトモとは思えない事をやらかして、一応戦争を終わらせたアスラン達

 

 

 

そりゃ、プラントに帰れなくなるのも仕方ない

で、恋人となったカガリの所に彼女の護衛としている事になりましたとさ

 

 

そしてアーモリーワンで戦闘に巻き込まれる

そこでの戦闘は緊急避難となるかも知れない

 

だが、アレックス・ディノと名乗ってさえいたアスランなのに、ザフトの一員として今更戦おうとするのはどうなんだろうね?

一度ザフトを裏切っておいて、オーブに逃げた

戦争指導者の息子として、出来る事は幾らでもあった筈なのに

 

 

終戦協定を締結したのはアイリーン・カナーバ

パトリックら強硬派によって排除された穏健派(笑)のクライン派の人物

 

本来ならば、戦争を主導したザラ派の人間がそれをしなければならなかったはず

でなかったからこそ、プラントの人間は終戦に納得していない者が多く残ったのではないだろうか?

 

 

そんなアスランがザフトに復帰したとして、果たして心の底から喜べた者はそこまでいただろうか?

 

そして、ザフトの作戦に従ってフリーダム(混乱の元)(なおザフトから強奪されたもの)をシンが撃墜したら、何故かシンを責める

議長の思惑を知ってした事が何かと思えば、また逃げる

 

そして、またオーブに与して剣を取る

 

 

『殺されたから殺して

殺したから殺されて、それで最後に平和になるのかよ!』

とかつて言われた事のある人間のした事がこれである

 

『お前はいったいどっちの味方だ!!』

と翻弄され続けたかの人物もこれには激怒する事間違いないだろう

 

 

それでオーブ軍として動けるのだから、理解も弁護も出来ん

しかもカガリとの関係を終わらせているというおまけ付き

 

 

さぞやオーブの軍人達からすれば忌々しくアスランの姿は映っただろう事は疑いの余地もない

 

----

 

そんなアスランにかける労力を俺は必要とは思っていない

 

キラは叶う限りフォローしよう

トールとミリアリアの幸せは守る

アルスターが余計な事(・・・・)をしない様に手を尽くそう

 

シンとマユは命を賭けてでも守る

 

あいにくと俺の手はそれで手一杯なのだ

別にアスランと良好な関係を築こうとも思わないのでな?

 

 

だから

 

「キラがそのアスランとやらを気遣う気持ちは凄いと思う

…だが俺はキラが傷付くのを見るのはあまり嬉しくない。本当に無理なら逃げても良いんだからな」

 

「うん、ありがとうカズイ」

人生には逃げて良い時と逃げてはならない時があると思う

幾らアークエンジェルを守る為の戦力の要であると言っても、それでキラが壊れては意味がない

勿論フォローはするつもりだが、それとて万全とは言い難いだろう

 

「…なぁ、キラ」

 

「?どうしたの、カズイ」

 

「何が正しくて、何が間違っているんだろうな」

思わず弱音が口から出た

 

----

 

「何が正しくて、何が間違っているんだろうな」

僕は耳を疑った

 

カズイは弱音を吐く事がないし、悩んでいてもそれを表に出さない人だと思っていたから

 

「や、悪いな

忘れてくれると助かる」

…忘れるもんか

僕はいつからかカズイは僕の出来ない事を全部出来る人の様に思っていた。でも違うんだ

 

カズイだって、苦しくて逃げ出したいのにそれでも必死に前を向いているんだって

 

「カズイ」

 

「おう、どうした?」

 

「僕が君を守るよ」

だから僕は君を守る

 

何処か僕に似ている様な、それでいて全く違う君を

 

----

 

「僕が君を守るよ」

 

 

なしてそんな結論になったと!?

 

いきなりキラに告白まがい(違います)の事をされて戸惑っているカズイくんです

え、何がどうなってそんな結論に至ったんですか!

 

…分からん!全く分からんぞ!!

 

 

最高のコーディネーターだっていうならさぁ!

もう少し分かりやすい感情表現させろよなぁ!ユーレン・ヒビキィィッッ!!(盛大なネタバレ&錯乱中)

 

 

 

いや落ち着け

落ち着かねばならんのだ

所詮は一般パンピーな俺なのだから、冷静さを失ってしまえばどうにもならんだろう

 

「カズイが取り乱す所を僕初めて見たよ」

なぁんか楽しそうに言ってますけどねぇ、君のせいなんですよ?キラ・ヤマト君

 

確かに弱音というか愚痴が出た事は否定しない

ってか、これアークエンジェルに聞かれてないよな?聞かれてたら少しばかり冷静沈着なキャラで通っているカズイくんのキャラが崩壊するのだが!?

 

「大丈夫だよ

一応少し前に通信は切っているから」

 

「そっか」

なら、よしっ!

 

と俺は安心した

 

 

実はキラの奴がコクピット内に録音テープを用意していたなど知る事もなく

 

----

 

「一先ずある程度の物資は集まったな?」

 

「うん。これだけあれば大丈夫じゃないかな?」

 

『此方でも確認した

准尉、伍長ご苦労だったな。アークエンジェルへ』

 

「ストップ。少尉」

カズイはバジルール少尉の言葉を遮ると僕にレーダーのある一点を手で指し示した

 

「…敵だ」

僕はそう呟く

 

----

 

『敵機を肉眼で視認

…見た事のない形状だが、カラーリングから察するに早期警戒機かそれに類するものに思えるな

…キラ、武装は見えるか?』

 

『うん。長い砲みたいなのを持ってるかな』

 

『…スナイパー、狙撃型の機体?

いや、ザフトのMSの基本はスペックによる力押しの筈

となると、偵察機の自衛の為の長距離用の装備か?』

伍長と准尉の会話がアークエンジェルの艦橋内に流れる

 

「へぇ、中々いい所みるじゃないの伍長はさ」

楽しそうにフラガ大尉は発言する

 

「フラガ大尉。ご存知なので?」

何せ大尉は前線で幾度となくザフトのMSと交戦している

心当たりがあるならばやはり大尉だろう

 

「多分だが、偵察用それも強行偵察用のタイプだと思う」

 

『単機なら倒した方が良いのかな?』

 

『アークエンジェルの安全を優先するならそうかも知れないな

おおかたユニウスセブンでなんらかのイベントでもしてたんだろうよ』

2人の会話は続く

 

『イベント?

どうして』

 

『此処は奴等プラントのコーディネーター達がどんなに非道な事をしても許される免罪符。…まぁ実際にはそんな事ないんだが。少なくとも国内に対してはそう言えるだろ?

だからこそ、その痛みを風化させない為にやってるんじゃないかね?』

 

『本来戦争中にやる事でもなし

加えて此処ならば運が悪ければ地球側の部隊とやり合う可能性もある

だがそれでもやるだけの価値があるって事だろう』

 

『あるのかな?』

 

『なら想像してみるこったな

足でも腕でもどこでも良い。出血するくらいの傷が出来たら痛いだろう?』

カズイの淡々とした言葉が続く

 

『だがその内その傷に瘡蓋(かさぶた)が出来る

そうなりゃ余程な事がない限り痛む事はない

…だがそれじゃあプラント上層部は困るのさ。いつまでも後生大事に『血のバレンタイン』という悲劇を受けた被害者として振る舞いたい。だから忘れることを何よりも恐れるんだろうさ

何ならそこに新しい生贄でも加われば万々歳だろうよ?』

カズイはかなり前から思っていた事がある

 

----

 

原作において『プラントの歌姫』ラクス・クラインがアークエンジェルに保護された理由

それが彼女の立場からすると余りにも不自然に思えたのだ

 

プラントの歌姫であり、プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの一人娘

 

であるならば、その護衛についてもそれなりのものを動かさねばならないのではないか?

それをしなかったのは、ユニウスセブンへと赴く際に地球側の手によって彼女が亡き者とされるのを何処かで期待していたのではなかろうか?

 

曲がりなりにも穏健派(とてもそうは思えないが)のトップであるシーゲルの大切な娘が仮に地球側の手にかかれば1人の親として怒りを露わにしないだろうか?

しなければそれを声高に非難し、シーゲルの率いる穏健派のやり方では何も守れない。そう主張出来よう

激発するのであれば、そのままシーゲルを此方に引き込めば良い

 

つまり1人の小娘と少数の犠牲で現在のプラント最高評議会の意見の対立構造が解決する可能性は大いにある

死ねばそれをナチュラルによる非道な行為と喧伝しよう

 

生きていれば、クルーゼ隊によって救助されたと大いにプラント市民にアピール出来る

 

 

どう転んだとしても問題なかったのだ

故にこそ、ラクスをユニウスセブンへのイベントに向かわせる

 

無理矢理な気もしなくもないが、どうにも自分の妄想にしては余りにも出来が良過ぎる気がしたのだ

 

 

となるとユニウスセブンへの慰問ライブというイベントの持つ意味すら別の所にあるのでは?

そう考えた結果、カズイはキラに話した内容の結論に至ったのだ

 

----

 

「なんとまぁ、おっそろしい事を考えるもんだな伍長は」

 

「まさか、そこまでするのかしら?」

 

「分かりません。ですがそこまでおかしな事であるとも思えない。私はそう感じましたが」

困惑するアークエンジェル

 

『そういう事すら平然とやるのが戦争なんだよ、キラ』

そんなアークエンジェルなど一切気にしない様子でカズイは心底不快そうな顔で吐き捨てた

 

----

 

怖い

そんな考え方をする、そしてそれをあっさり受け入れるカズイが

 

…でも、それだけがカズイの全てでない事を今の僕は知っている

 

 

コーディネーターとしての力だけが僕の全てで無い様に

カズイだって色んな部分があるんだ

 

「面倒なもんだよ。戦争なんざ

勝手に始める奴がいるのに、止める時には誰も進んで止めようとしないんだから」

 

「…カズイ」

本当にカズイが僕と同い年なのかといつも思う

どうしても、彼と比べてしまうと僕もトール達も子供っぽく思えてしまうのだから

 

でも

 

「以前僕に言ってくれたよね?

話を聞いてくれるって」

 

「言ったが?」

 

「僕もカズイの困った時には力になりたいんだ

いつでも話を聞くよ?」

僕も君を助けたいと思うのは自由だよね?

 

カズイは少し驚いたみたいで目を丸くすると

 

「助かるわ

そん時は宜しくな、キラ」

僕に微笑んでくれたんだ

 

 

 

なおこの会話の裏側ではひっそりと偵察用ジンが落とされている模様

 

いつだって世界は残酷なのだ

 

 

----

 

「脱出ポッド?」

 

「どこかで見た様な光景だな、キラ」

アークエンジェルに帰投中、脱出ポッドをキラが見つけた

 

はい、どう見てもプラント製

しかも割としっかりした奴ですね

 

となると十中八九中身は彼女でしょう

流石に放置しろとは言えませんし

 

 

大人しく少尉に怒られますかね

…まぁそれはそれでご褒美だったりするんですけどね!

 

同じ声なのにアルスターと少尉では全く此方の気分が違うのはやはりその人物に対する印象の差、なのでしょうか?

 

 

----

 

「任務ご苦労だった

と言いたいのだが、またか」

 

「また、ですねぇ」

 

「准尉の判断ならそうだろうが、伍長。どうにかならなかったのか?」

 

帰艦した俺を待っていたのは渋面全開の少尉だった

やはりどんな顔をしても少尉はお美しい、そう思います

 

 

なお、この場にキラが居ないのはアイツは機動部隊、つまりフラガ大尉の部下である為だ

 

そのお陰で少尉との2人っきりの会話(超意訳)が楽しめるのでカズイさんとしてはばっちこいですけどね!

 

「お言葉を返す様ですが、無理かと」

どうもその反論も予想していたらしく

 

「…まぁ仕方ないな

いや、本来ならば准尉や伍長の選択こそが真に褒められるべきなのだろうな」

と力の無い笑みを浮かべる

 

…その笑みはちょっと嬉しく無いかなぁ(身勝手の極み)

 

「恐らく相当立場のある人物かと思いますが、如何します?」

 

「そうだろうな。明らかに機能性重視だ

要人を乗せるものなのだろうな」

少尉は頭を左右に振る

 

 

そして俺たちの視線の先でポッドが解放された

 

 

----

 

どうやら(わたくし)は地球軍の戦艦に保護された様です

 

ですが、この艦の皆様は私がプラントのコーディネーターと知っていても何かをしようとはなさいませんでした

 

ただ、私をこの部屋まで連れてきてくださった方は

 

「…えっと、この部屋を使って下さい

何かあればこのモニターで知らせてもらえれば誰か来ますから」

 

「ありがとうございます」

 

「いえ

じゃあ僕も仕事があるので失礼しますね?」

 

そう言って綺麗な茶色の髪をした男の人は居なくなりました

話し相手がいないというのは少し、寂しいですわね

 

 

…そう言えば、この船にお世話になるというのに手を洗っていませんでした

船内での不衛生な事は可能な限り慎むべき。私はそう教わっていましたから

 

確かこの部屋のすぐそばに手洗い場があった様な

少しだけですので、直ぐに戻れば大丈夫ですね

 

私はそう思って扉をくぐりました

 

 

----

 

「ゲホッ、ゲホッ!」

くそ、やはり戦闘機動でのGに俺の身体がついてこないか

 

俺は艦橋やキラ達の部屋から離れた所にある手洗い場で息を整えようと必死になっていた

薬は既に服用しているが、即効性の高い薬は身体に相応の負荷をかけるとの事で処方されていない

 

俺の身体には片肺がない

故に俺は呼吸器系に問題を抱えている

 

普段通りの生活ならば少し息切れしやすい程度なのだが、先程のストライクによる戦闘機動などの際に発生するG。それは俺の身体にかなりの負担となってしまうのだ

 

 

だからこそ、戦時任官以外の選択肢は俺になかったのだ

出来る限りはこの事について誰にも知られたく無い

 

これもまた俺の選択の結果なのだ

こんな事でシンやマユを悲しませたくないし、キラに余計な負担をかけたくも無い

 

だが、どうにもMSによる戦闘機動は戦闘機のそれよりもキツいみたいだ

 

「ゴホッ、ゲホッ!」

中々咳が治らないし、呼吸も安定しない

これではいつまで経っても持ち場に戻れない

 

マズイと内心焦っていると

 

「大丈夫ですか?」

誰かが俺の背中をさすってきた

 

 

----

 

「みっともない所をお見せした

確かラクス・クラインさんでしたか。私はカズイ・バスカーク伍長

助けて頂いた身で言うのもなんですが、あまり艦内を彷徨かない様にお願いします」

 

「すみません」

 

「いえ、此方こそありがとうございます」

 

「何処かお身体が悪いのでしょうか?」

面倒なところを面倒な奴に見られてしまった

俺はそう思った

 

「まぁそんなところですよ

ところで何かご不便はありますか?叶う限り対応したいと思いますが」

一応この担当となったので聞いておく事にしよう

 

「まぁ。ありがとうございます

もし宜しければ、お話をしたいのですが」

話し相手、ねぇ

 

やはりキラが適任か?

そう思っていたのだが

 

「もしよろしければ、貴方とお話をしてみたいのです

…どうでしょうか?」

そうくるか

俺は思わず天を仰いだ

 

 

 




たった1日でお気に入り登録500件突破とか震えてくる

まさか作品のタイトルをそのままリアルで呟く事になろうとは
低評価も頂きましたが、それはそれで仕方ないと思っております


出来れば何処か悪かったかを伺いたくはあったりするのですが
それはそうとして完結まではさせるのでもし宜しければお付き合いして頂けたならば嬉しく思います

 本作のヒロインは?

  • 大天使ナタル
  • 妹系少女マユ
  • フレイ
  • 猪突猛進娘カガリ
  • キラ
  • シン
  • その他
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