勘弁して、ほんとマジで   作:鞍馬エル

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救いのない話

次の話も30分後に投稿するから読んでくれると嬉しい


 闇の手

プラントと地球による武力衝突

 

それは開戦時の予想を覆し、地球側の勝利で幕を閉じた

 

 

プラント市民がどう思おうが、関係ない

地球側は確かに多くの人命が失われた。だが、ある一国を除き生還環境が激変する事はなかったと言えるだろう

 

ところがプラントはそうではない

生存圏であったプラント本国は全てが物言わぬ墓標となり、悲劇の象徴であったユニウスは宇宙の深淵へと消えた

 

ボアズは東アジアにより接収され、ヤキンは完全に放棄された

唯一の勝ち筋と思われていたジェネシスは東アジア最期の光(劫火)により消える事となってしまう

 

 

プラント市民は選択を迫られた

辺境にあるコロニーへと移住するか?ナチュラル(劣等種)ひしめく地球へと下りるか?

 

市民達は残された僅かな時間の中で口々に言い合いながら選択する事となる

 

 

 

 

 

実のところ、この時点でプラント市民の意識がさして戦前と変わっていない事が彼等を見つめていた者達には理解出来ていた

地球へ『下りる』

移住ではない

 

プラント市民の中に無意識のうちに存在する『地球市民への侮蔑』

それは何も変わっていないのだと

 

 

プラント市民の中で家族や友人を喪った者

もう殺し合いや悲しみ、憎しみを持つのに疲れ果てた者などは挙って地球への移住を選択した

 

彼等、彼女達は理解していたから

まだプラント市民の中には『負けていない』という到底理解し難い考えを持つ者が多いと言う事を

 

 

 

 

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大西洋連邦と東アジアの首脳が同時に退陣を表明し、両国の軍も併せて軍縮へと舵を切った頃

 

 

この流れを好ましからざるものと見ていた者達は密かに動き始めようとしていた

 

 

「プラントと地球間の武力衝突は終わった

…だが、私達の予想に反して勝者と敗者は定まってしまった」

 

「…痛恨ごとですな。よもや地球に居るコーディネーターが地球軍に協力する事になろうとは」

 

「幸福とは不幸があってこそ、その尊さを誰しもが知る事となる。プラント市民のみが割りを食うでは少し宜しくないのでは?」

 

口々に意見を言い合う者達

 

「政治のまとめ役であるアーヴィングは退き、経済を動かしていたロゴスもメンバーを一新すると言う

加えて軍縮に伴い、目障りなサザーランドとハルバートンも舞台から降りると聞く」

 

まとめ役と思しき者は重々しく口を開くが

 

「…それ自体が陥穽である可能性は?」

 

それに対して疑問の声が挙がる

何せギリギリの状況から政治から体制を立て直し、あの連中をもうまく処理したアーヴィング達を警戒しない訳にはいかなかった

 

更に叶うならば騒乱の元となり得た筈の芽を次々と摘んでいる彼等の動きは決して軽んじるべきではない

…そう彼等は判断していたのだから

 

「MSが世間に溢れたならば、容易く戦火を拡げる事も煽る事も出来るでしょう

…ですが、現状MSの管理体制は寧ろプラントの敗北によって強化されつつありますからな」

この者達の中心人物と思しい者は

 

「…ジャンク屋(ハイエナども)を使えば良いのでは?」

一部の声に対して

 

「それが出来れば苦労はしない

現在ジャンク屋組合はMSのみならず兵器の流通について重く見ているそうだ」

そう苦々しく答えた

 

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ジャンク屋組合の暫定トップとなったリーアム・ガーフィールドは度重なる連合との会議の中で相手側は自分達ジャンク屋に対して不信感を抱いている事を痛い程理解していた

その為、現在組合内で出ている不満を対して彼等の感情は理解できるものとしながらもそれが表に出ない様努めている

 

何せジャンク屋組合成立の手助けをしたマルキオは既にその職を追われているばかりか、彼自身地球軍によるオーブ攻撃の混乱の最中行方不明となっている

更にマルキオに外交官の特権を与えた連合事務総長であるオルバーニもまたその地位を追われている。その上未だ後任の事務総長について定まっていない

 

つまりジャンク屋組合の後ろ楯となる人物や組織は現状存在しないという事となってしまっていた

加えてジャンク屋の一部はリーアム等の警告を無視して未だに反連合色の強い南アメリカ合衆国に対してジャンクを提供している始末

 

動いた者達は連合側が把握していない、出来る筈がないと甘く見ている。…しかし、そんなリーアムの願いと裏腹に南アメリカ合衆国政府は連合。特に大西洋連邦との交渉に際して『自国の軍備』というカードをちらつかせている

合衆国側としては先のオーブ攻撃やプラント本国への攻撃が市民から決して受け入れられていない事から合衆国への攻撃オプションは取りづらい選択と見做していた

故に『少し強気』に出た外交姿勢を示すべき

との論調があったのである

 

加えて本土を焼かれる事となったオーブや状況故に理事国へと頭を下げざるを得なくなった『親プラント国』からの国際協力も受けられるのではないか?との思惑も多少なりとも存在していた

それこそ旧世紀から北米国家からの圧力に苦しんできたと自負する南アメリカ合衆国としてはプラントの軍であったザフトを受け入れてでも大西洋連邦との問題を解決したいと言う強い思いがあったのである

 

 

因みにラクスやセレイン、つまりカガリの受け入れにも南アメリカ政府は積極的な姿勢を示していた

勿論フレイやカズイと言った影響力のある、しかも若年層の(転がしやすい)人物を受け入れたいと独自のルートでカズイにコンタクトをとってきていたりする

 

まぁ、ラクスにせよセレインにせよフレイとカズイにせよ「勘弁してよ、もう」と疲れ果てていた為にその誘いに乗る事はなかったが

 

 

少し後ろ暗い話となるが、これをアーヴィングやコープランドにアズラエル達は『敢えて』見逃していた

酷な話ではあるが、仮に彼女達や彼に権勢欲があったと見做された場合然るべき処置(・・・・・・)をせねばならないと判断していたからである

何せ彼女達や彼は外部から監視されているとは言えども、コロニー内については基本不干渉としていた

その為やろうと思えば、新たな戦乱の芽を生み出す事も可能だったのだから

 

保険に保険を重ねたとしても仕方のない事であった

 

 

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話を戻すが、本来南アメリカ合衆国にMSと言うものは存在する筈もない。…確かに一時的にザフトが部隊を入れていたが、戦況の悪化に伴いザフトとしても戦力を集中すべきとの考えから南アメリカ合衆国からザフトを引き上げている

とは言え、合衆国側としてもザフトが駐留していた時に何もしなかった訳ではなかった

MSの模倣やパーツの自国内での生産などに積極的に取り組んでいた

 

が、彼等にとっての不幸は理事国に比べてコーディネーターに対する風当たりが強い世論を放置してしまった為に合衆国国内からコーディネーターは潮が引く様に退去してしまっていた

その為、MSを動かすOS関係の解析や開発は遅々として進む事はなく、加えて史実では『切り裂きエド』の異名を持つ事となるエドワード・ハレルソン。彼に対して大西洋連邦軍はストライクダガーを与える事はあっても、ソードカラミティの様な機体をあてがう事はなかった

 

と言うよりも、地球軍におけるMSは高級機であってもロングダガー程度でありレイダー、フォビドゥン、カラミティについてはTP(トランスフェイズ)装甲やフォビドゥンに採用されたビーム偏向装甲(ゲシュマイディッヒ・パンツァー)の試験機としての意味合いが強かった

加えてプラントのMS開発が鈍化していた事も明らかとなった事などからその発展系の機体を開発する理由は弱かったのである

結果としてハレルソンは戦後までストライクダガーで活躍する事となり、当然それは軍を退役するにあたって彼の元から離れていた

 

ザフト水中艦隊に対抗する為『水中用MS』の開発をすべきとの声も各軍から挙がったが、すでにその頃には東アジアの海鳥が戦果を挙げていた事もあって其方へとリソースを割く方向へとシフトしていく事となった

 

 

そもそも、水中用MSと言えどもバッテリー機である以上稼働時間はそこまで長くない上にそれを効果的に運用するとなると母艦が必要となるのは自明

既存の潜水艦ではMSの概念が登場する前の設計の為にそれだけの搭載スペースはない

水上艦艇であっても、まさか露天駐機という訳にもいかぬ以上、どちらにせよ『MS運用前提の母艦』が必要となろう

これが無重力下であれば、スペースさえ確保すればどうにかなる問題だったが大気圏内となれば重量にも気を払わねばならない

 

ある程度の質量であればバラストで対応出来なくもないと思われたが、その程度しか搭載出来ないのであれば(航続距離)の長く展開力も早い輸送機の方が問題ないと艦政本部は判断

特に凶鳥やcrazyの運用の関係上、制空権確保を至上命題としていた事もあって、こちらの方が今後の事を見据えても最良とされた

 

結果、MSと母艦双方を用意せねばならなくなるであろう水中用MSの開発については各軍で議論される事はあっても生産されるには至らなかったのである

特にプラントとの武力衝突の後に大規模な軍縮を念頭に入れていた者達からすると開発や生産のリソースは絞るべき

との結論があったのも大きかった

 

 

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プトレマイオスにおける終戦宣言

それは大西洋連邦との対立…いや、必要とあらば戦争をも辞さないつもりであった合衆国政府にとって最悪の知らせとなってしまう

 

何せザフトを打ち砕いた強大な軍事力がフリーハンドを得てしまったのだから

連合事務総長であったオルバーニ氏はどちらかと言えば『非理事国』側の人間であった事から上手い事立ち回るつもりであった

 

史実において南アメリカ解放運動に従事する事になったエドワード等であったが、その圧倒的とも言える軍事力と生産力を地球軍の一員として間近で見た

そして南アメリカ合衆国は曲がりなりにも独立国家として存在している事もあり、過ぎる動きは寧ろ合衆国を滅ぼしてしまうのではないか?との懸念を抱く事となる

 

何せオーブという実例があるのだから

 

 

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「ジャンク屋も動かせないならば、南アメリカはどうか?」

 

「…今は時期が悪過ぎる。仮に動いたとしても大西洋連邦とアフリカ統一機構から袋叩きに合うだけだ」

 

大西洋連邦は南アメリカ合衆国を

ユーラシア連邦はスカンジナビア王国や氾ムスリム同盟を

東アジア共和国はオーブと大洋州連合を

 

自国にとって忌々しい存在をそれぞれ許容していた

仮に滅ぼしたとして、どうするのか?

これに尽きるからである

 

オーブにおいて『国を滅ぼす』という事がどれだけの面倒ごとを生み出してしまうのか各国は理解したのだ

故にこそ、彼等は慎む

中途半端(・・・・)は好ましからざる未来しか呼び込まないのだから

 

 

が、それはつけ込む隙があるのと同義でもある

 

 

「オーブに向かった者達の牙は折れているだろうな」

 

「『ヘリオポリスⅡ』ですか、となると?」

 

「しかし、それはどうかと思いますが

何せコロニーともなれば、最悪傷をつけられるだけでも従わざるを得なくなります」

彼等は与える者であり、舞台に立つ事を良しとしない

だが、世界を己が思うままに操ろうとしている部分はある

 

「…一つ悪い知らせがある

大西洋連邦軍に打ち込んでいた楔が解き放たれた」

ある人物の言葉に場の空気は張り詰める事となった

 

 

 

 

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大西洋連邦軍総司令部に所属していたウィリアム・サザーランド

彼はブルーコスモスという組織に近過ぎる事から此度の武力衝突の終結を見届け、退役する事とした

 

…だが、『飛ぶ鳥跡を濁さず』と東アジアの日本で言われる様に彼なりに軍内部の風通しを良くすべく最後に動いていたのである

 

幸いにも彼の伝手により、大西洋連邦大統領であるアーヴィングへの働きかけも出来たという実績から総司令部や参謀本部等もこの動きについて妨害する事はなかった

そして大西洋連邦軍内部の組織を詳らかにしていった彼であったが、その中に明らかな不適当としか思えない部隊がある事を初めて知る事となる

 

軍の最高指揮権を持つ大統領、総司令部や参謀本部。果ては各軍有力者に密かに問うてみたものの、その部隊の指揮系統は判然としなかった

指揮系統も不明で、しかも作戦行動についても階級から明らかに逸脱しているとしか思えない大権を有する事が出来る

当然、その様な部隊についてこれから行なわれる大規模な軍縮という大鉈が振るわれる事になるのは自然な事

 

最高指揮権を有する大統領直轄の部隊ならばいざ知らず、一部の有力者の為の私兵部隊の存続など百害あって一利もない

とし、更に諜報部隊についても一度背後関係を洗い直す事としたのであった

 

 

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「…余計な事を」

彼等は確かに世界の影で蠢いているのだろう。…だが、密かに動かねばならないが故にその動ける範囲もまた決して広くなかった

 

「今は動くべきではない

まだ戦力も整っていないのだから」

 

「では可能な限り急いで新型を作るべきですな?」

 

この場にいる者達は口々に今後の事を考え、発言する

 

「幸福とは不幸なくばわからないものです

私達がその幸福を与えねばなりません」

そう1人が発言すると、皆一様に頷いた

 

 

 

 

 

そして彼等は潜む事を選んだのである

 

 

 

 

 

 

だが、闇に潜むのが自分達だけの特権ではない

その事に彼等が気付くのは今暫くの時を必要とする事になる

 

 




という訳である組織がアップを始めました

感想でも割と言われていたので薪にしたいと思います

突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?

  • いる
  • いらん
  • それより本編でしょう?
  • ifstory補完しろよ
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