「………」
室内に重い沈黙が満ちていた
今この室内にいる者達は部屋の中央にある円卓にそれぞれ中央を向いて腰掛けていた
そして、その中央には1人の人物が
ロープどころか、鎖で動けない様に椅子とその人物を巻き付け固定されている人物がいた
「ご、ご趣味ですか?」
と恐らく彼の姿を見た誰もが引き攣った様な顔で思わず問うてしまうだろう
その人物に対して
『皆さん集まりましたね?
…ではこれから査問会を始めましょうか?』
モニターの向こうから心底面倒臭そうに、しかし全く笑っていない目をした白いスーツをその身に纏う金髪の人物が声をかけた
これから始まるは記録に残される事のないとある日のもの
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怒りの日
「
宇宙再開発機構の特別顧問となったウィリアム・サザーランドは自身の執務室で頭を抱えていた
というのも、『
シャンバラには外部との通信手段は非常用のもの一つしかなく、それも付近にある艦が一隻駐留するだけの拠点への連絡しか出来ない仕様と徹底されている
その為、あちら側から外部へ連絡するには定期的に物資搬入の為に入港する輸送艦『アークエンジェルⅡ』に手紙を渡すのみと厳格に規定されているのだ
今回拠点主となっているカズイ・バスカークからサザーランドは私信を受け取っているのだが、その内容が問題だった
『どうしてこんなにもパンジャンを推してくるのですか?』とのもの
件のコロニーに対して物資納入は新旧ロゴスメンバーや元大西洋連邦大統領アーヴィングがその予算を私費にて出している
言い換えれば、彼等が納入リストを作成出来る権限を有しているとも言える訳であった
別にそれ自体サザーランドやカズイも問題視していない
最近では少量ながらに件のコロニー産の野菜や果物が届く様になっており、宇宙生活における一つの癒しとなっているとサザーランドは部下達から聞いている
貰うばかりではなく、自分達の出来る形で少しずつ返そう
その姿勢はサザーランドから見ても好ましいものであり、偶に執務室で話し合いをするアズラエルも
「素朴な味ではありますが、これもまた良いものですね」
と笑っていた
あの檻は確かにロゴス主導で用意したものではあるが、彼等彼女達が自らの意思でそこでの生活をしているからこそ成り立っている部分も決して少なくは無い
どこから聞きつけてきたのか、バジルール少将やバジルール中佐も此方に出資したいと言ってきているらしいが、機密保持という点において致命的な破綻は起きていないとサザーランドは判断している
あのコロニーは
1番警戒せねばならないのは『ヘリオポリスⅡ』に居住している元プラント市民であり、仮にラクス・クラインやニコル・アマルフィ、ロミナ・アマルフィの存在が公になればどの様な化学反応が起きるのか?想像したくも無い
その他にも元オーブ代表カガリ・ユラやオーブ内乱において功罪の評価の分かれるカズイ・バスカークも現在のオーブと交わればどうなるか分かったものではない
決して無視できるものではないのだ、あのコロニーは
同封された物資納入リストをサザーランドは確認すると
「ジブリールの後継者でもいるのか?」
と渋面になり、
…まぁ言葉を偽る事なく言えば
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「はぁ!?」
アズラエル様はサザーランド氏から受けた連絡の中身を見ると思わず大声をあげられました
…サザーランド氏から、しかも通信を使わないところを見るに恐らく『例の案件』関係なのだと思います
既に過去のものとなりつつある『真のコーディネーター』
私やアズラエル様、それにアーヴィング元大統領やロゴスの皆様にとっては今も頭を悩ませて
…いえ、最後まで責任を果たさねばならない問題の一つでしょう
「どうされましたか?アズラエル様」
とにかく冷静になっていただかない事には何も始まりません
なので、声をかける事にしましょう
「…ふぅ、ありがとうございます
いえね?どうやらジブリール君の遺した負の遺産がまだあるみたいなんですよ
その対策をしなければならないと思うと、はぁ」
どうやらあの気持ち悪い小男の亡霊がまだ現世に残っていたみたいですね
…全く、猫の趣味は悪くなかったと言うのに、往生際が悪いと言うか
顰めっ面をしたアズラエル様のサポートをすべく、私は今後の予定について頭を回す事にしました
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舞台は室内に戻る
『それにしても驚いたものだ
…なるほど確かに耕作用機械としてこの『
『そうだもしても、だ
その試験運用をよりにもよってあのコロニーでさせる事はなかったのではないか?』
『全くその通りだ。あそこは穏やかな最後を迎える者達の為の場所であり、それ以上の意味を持ってはならんのだ』
モニター越しに元ロゴスメンバーが口々に意見をぶつける
「死者の墓でテストをしようなどと、流石に人としての倫理観に欠け過ぎてはいないかね?」
「そもそも何故
「まさかジブリールの後釜を狙っているのか?」
「そもそも論として、本来特攻兵器であるパンジャンを彼の地に送り込むなど相手側の心情を全く無視しているのではないのかね?」
室内にいる現在のロゴスメンバーも口々に責め立てる
「し、しかし肝心要な炸薬などについては全て使用不能としていました」(after STORY 穏やかな日々後書き参照)
口々に責められている人物が弱々しく反論する
「そういう問題ではない!
此方がどの様な意図で送ったとしても、それが相手に誤解なく伝わるとでも思っているのか!」
「その認識の齟齬こそが先の武力衝突を生み出した原因だと何故分からんのだ!!」
その反論を一部の現在ロゴスメンバーとなった者達が声を荒げて糾弾する
「…我々は先のメンバーから託されたのだ
平和を維持する為に。故にこそ危険な芽は摘み取らねばならない
それが分からない訳もないだろう?」
「……申し訳ありません」
その言葉に責められている人物も俯くと謝罪した
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『…まぁ、それについては良しとしましょう
幸いにもあちらの皆さんは理性的な方々ばかりですからね』
アズラエルは場を纏めると
『それはそうと『このリスト』はどうなっているのだ?』
次の問題へと取り掛かる事とした
「…何というか」
「…うむ」
海千山千の怪物揃い新旧ロゴスメンバーが集う場であったが、何とも言えない微妙な空気に支配されてしまう
「いや、まぁ分からなくもない?」
「いやいや何だこの『観覧車型パンジャンドラム』とは?」
皆が一様に困惑する中、ある人物がそのまま疑問を口にした
「書いてある通りですが?」
それに対して瞬時に反応する人物
「そ、そうかね」
これには皆ドン引きである
「そもそも北アフリカ攻略戦やジェネシス破壊、更に耕作用機械として転用出来る事から判ります様にパンジャンドラムには無限の可能性があるのです」
いきなり演説じみた主張を始める人物
なお、鎖で椅子に括り付けられているのだが、本人は全く気にしようともしない
『う、うむ』
「そ、そうかも知れんな」
いっそ狂気的とも言えるその人物の発する謎の圧に皆が気圧されていた
「これから更なるパンジャンドラム開発を推進し、将来的には『一家に一台パンジャンドラム』というスローガンを実現したいと私は思っている次第です」
『そうはならんでしょうに』
アズラエルが何とかツッコミを入れたが
「何を言われますか!東アジアに『成せばなる、なさねばならぬ何事も』という言葉があると聞きます!
やってやれない事は決して無いのです!」
「…構わん、やりたまえ」
ある人物は頭を押さえながら指示を出す
「旧世紀では技術的にかの兵器を運用する事ができませんでした
ですが、今の技術力ならばかの、ぐえ」
ボシュン!
尚も主張を続ける人物の頭にゴム弾が撃ち込まれ、気絶した
「中々の狂気だったな」
「紅茶の飲み過ぎか?それとも危ない薬でもやっているのか?」
「念の為に検査させましょう」
『…これもまた戦争の狂気なのだろうな』
『やはり戦争など碌なものではない』
『改めて『一族』とやらを許す訳にはいかなくなりましたね』
室内とモニター内全ての人間はアズラエルの言葉に力強く頷いた
という訳で改めて『一族』への決意を固めた新旧ロゴス結束の回となりました
一族
「誠に遺憾である」
突発アンケート 本作設定の完全なお遊び回いります?
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いる
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いらん
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それより本編でしょう?
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ifstory補完しろよ