夢を見せる魔法   作:二次創作しか知らないフリーレン

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妾は魔族である

 妾は魔族である。

 見た目は桃髪と紫の瞳の幼い女性で、生まれつき魔法が使えた。

 生きていくだけなら、そこまで不便も苦労もないのは幸いだ。

 

 人間基準で言えば、何処へ出しても恥ずかしくない美人なのは間違いないだろう。

 これなら人を騙して殺すのは問題はないが、最低限自衛できるだけの力がないと逆に狩られる。

 

 何しろ森に踏み入ってくる人間たちは、誰も彼もが強そうな者ばかりだ。

 自分が臆病な性格をしているのもあったが、百年以上も森の奥深くでひっそりと隠れ住み、獲物である人間を注意深く観察して対応を考えていた。

 

 結果、森に入った人間が村に戻らないと、魔物か魔族に襲われたと考えて討伐隊を派遣される。

 住処がバレて追い出されるか、もしくは逃げ出す暇なく殺されるだろう。

 

 妾はちょっと巻き気味の山羊の角の生えているので、異彩を放って悪目立ちしている。

 森の中に逃げ込んだ同族が、冒険者に狩られるのを目撃した。

 仲間の仇だと叫びながら囲んで斬りつける人間ヤベエと、容易に理解することはできたので、自分はああはなりたくない。

 

 一対一なら大人にも勝てるが、相手のほうが数が多い。

 連携して攻撃されたら敗北確定だ。

 それに妾のような雑魚魔族なら、囲んで棒で殴られるだけで即終了である。

 

 

 

 けれど、本能的に人間を餌だと思っているからか、やはり欲求には逆らえなかった。

 森の外に村があることは知っており、百年以上も隠れ住んで我慢していたが、そろそろ限界だ。

 

 一か八かで人間たちより質素な服を着て、助けを求める子供を演じて声をかける。

 すると武器を持った屈強な人々がぞろぞろ出てきて、すぐに周りを取り囲まれた。

 

 予想はしていたので、恐怖に震えるフリをして必死に命乞いをする。

 おかげで縄で縛られはしたが、木に吊るされるだけですぐに殺されそうな様子がないのは幸いだった。

 

 しかし脱出して人間たちを食べたいと思っても、剣や槍を持った冒険者らしき人たちに囲まれているし、他の人間たちも農具を持っている。

 

 雑魚魔族の妾に、勝ち目などあるはずもない。

 一人か二人倒せれば良いほうで、そのあとは一方的にタコ殴りにされて終わりだ。

 

 

 

 今の妾は大勢の村人に尋問されているが、火に油を注いだら本当に燃やされかねない。

 狂人や、見た目相応の子供のフリをするのも止めたほうが無難だと判断する。

 

 しかし何でもかんでも知ってるわけじゃないので、わからないことはわからないと正直に答えていく。

 

 

 

 そうこうしているうちに、やがて向こうの質問が終わったので、今度はこっちから尋ねる。

 すると魔族は言葉を喋って人を襲う獣と同じような存在で、見つけたら問答無用で殺すのは当たり前らしい。

 もっともな意見で反論の余地もなかった。

 

 ならば妾が木に吊るされている状態は、人間たちにとっての温情だと理解する。

 しかしいつまでもこのままではいられないし、何とか打開策を考えないと遅かれ早かれ殺されてしまう。

 

 正直いつ首をはねられてもおかしくないし、死んで悔いなしとは絶対に言えない。

 何とか拘束を解くために知恵を巡らして、駄目で元々だが頼んでみることにする。

 

「お主ら、縄を解いてくれぬか?」

「駄目だ! 魔族は人を騙すからな!」

「そうだ! この人食いの獣め!」

「自由にした途端に、俺たちを食うつもりだろ! その手に乗るか!」

 

 その後も、周りを囲んでいる村人たちを説得する。

 しかしまるで耳を貸す様子がない。それでも魔族とはいえ、子供を手にかける躊躇いはあるようだ。

 

 人間の感情に納得はできないが一応理解はしているため、そういうものだと受け入れる。

 そして妾はまだ死にたくはないので、利用できるなら躊躇わず使わせてもらうことにした。

 

(それにしても、誰も彼もとても美味しそうじゃな)

 

 魔族には、人間を食べたいという本能的な欲求があるようだ。

 そして妾は焦ってはいるが、取り乱してはいない。

 人肉に対する忌避感もないので、生でも美味しくいただけるだろう。

 

(じゃが妾にとっては、人肉よりもあっちのほうが良いのう)

 

 妾は一旦考えを整理して、この切羽詰まった状況を何とかしようと知恵を絞る。

 

(優位なことと言えば魔法じゃが、……ふむ)

 

 今までずっと、魔法を使って生き延びてきた。

 今回もそれが、状況打開のキッカケになるかも知れない。

 

 だがそれで目の前の人間を倒せても、反撃されて妾がやられるのは目に見えている。

 

(やはり、暴れるのは得策ではない。

 数の不利はどうにもならぬし、ここで死ぬのはごめんじゃ)

 

 妾の固有魔法は戦闘向きではないし、数の不利はどう足掻いても覆せない。

 しかしそれに頼らなければ脱出できないのも事実であり、どうしたものかと考える。

 

 縄で縛られたままでは、たとえ斬り殺されなくても餓死は避けられない。

 もはや迷っている時間はないので、妾は思いきって村の人たちに提案する。

 

「提案があるのじゃが」

「魔族の言葉に耳を貸すものか!」

「信用できるわけないだろうが!」

 

 駄目なのはわかっていたことだが、ここで諦めたら本当に殺されてしまう。

 絶対に引き下がるわけにはいかず、なおも大きな声で発言する。

 

「村の者には、決して危害は加えぬ!

 もし妾が怪しい動きをしたら、その場で斬り捨てても構わん!

 少しで良いので、縄を解いてくれんか?」

 

 この提案にも、村人たちは反論しようとした。

 しかし少数ではあるが賛成意見も出たようで、何やら相談を始める。

 

 魔族とはいえ、子供を殺すのに抵抗があったのだろう。

 妾の目論見通りに話が進んでいるようだが、取りあえず気づかないフリをして様子を見る。

 

 

 

 村人たちはしばらく相談したあとに、やがて妾は縄を解かれて自由になる。

 剣や槍を突きつけられたままだが、取りあえずは良しとしておく。

 

「縄を解いたぞ! それで何をする気だ!

 逃がせと言っても! 怪しい真似をしても!

 その場で斬り殺すからな!」

 

 屈強な戦士の冒険者が、妾の喉元に剣を向けながら大声で脅してくる。

 油断すれば容赦なく魔族に食い殺されるので、きっと怖がっているのだろう。

 

 だが今のところは、そんなことをする気はない。

 なので縄を解かれて自由になったあとの要求を、率直に彼に伝える。

 

「お主の子種をくれぬか?」

「「「えっ!?」」」

 

 目の前の筋骨隆々の冒険者だけでなく、話を聞いていた村人たちが大いに驚いている。

 しかし、妾は正直に告げただけだ。

 何をそこまで驚愕するのかと、はてと首を傾げるのだった。




二次創作を読んであまりにも素晴らしかったので自分も書いてみようと思い立ち、見切り発車で書き始めました。

神話の時代なら大まかな設定ぐらいしかないやろし、想像や捏造で書いても許されるやろ!

お願い…許して…許して…そっそれに、フリーレン二次創作は活発化してるし! 一つぐらい増えてもバレへんやろ!
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