夢を見せる魔法   作:二次創作しか知らないフリーレン

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のじゃロリ魔族は旅に出る

 リリー女王国は大陸全土を統治する巨大国家になった。

 人間と魔族が共存して栄華を極める、高度な魔導文明を築いたのだ。

 

 栄光の時代はとても長く続き、誰もが別け隔てなく平和と幸福を謳歌できる、まさに地上の楽園だった。

 

 

 

 だが現代の文明レベルは、当時よりも大きく後退していて、この年代の情報は殆どが消失して残っていない。

 

 なので様々な憶測がされて衰退の原因は諸説あるが、一つだけ確かなことがあった。

 

 それは偉大なる世界最古のエルフ女王である、リリー様が崩御したのが全ての始まりなことだ。

 

 生きとし生ける物の全ての母で、世界でもっとも優れた最高統治者。

 さらには地母神様として今なお崇められる彼女ではあるが、死の原因については未だに不明であった。

 

 だがその後のリリー女王国は多くの統治者が交代で政治を行ったが、どうにも上手くいかずに権力争いや内乱が勃発し、共和国に移行して分割統治をすることになった。

 

 しかしそれでも平和にはならず、各国で侵略戦争が起きて人類と魔族は疲弊して大きく数を減らし、高度な建造物や道具も破壊されて文明レベルは大きく低下し続ける。

 

 やがてこのままではどちらかの種族が滅びるか、もしくは両方とも絶滅してしまうかも知れないと危惧し始めた頃、奇跡が起きる。

 

 女神様から神託が下されたのだ。

 

 あらゆる障壁や結界を通り抜けて、全ての生きとし生ける物に直接語りかけてきた。

 それはまさに神の御業や奇跡としか思えずに、まだ戦争を続けようとした者たちは強制的に眠らされて悪夢にうなされるため、女神様が本当に存在すると確信に変わる。

 

 おかげで世界滅亡一歩手前で踏み止まり、人間と魔族は滅亡を免れた。

 文明は失われて狩猟民族の時代に逆戻りし、大陸全土が焼け野原になってしまったが、それでも絶滅するよりはマシだ。

 

 

 

 なお神話の時代以降、女神様は一度も姿を現されていない。

 ただし神託については、世界各地に同じような伝説が残っている。

 やはりこの世の何処かで我々を見守っておられる可能性は、とても高いのだった。

 

 

 

 

 

 

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 女王の仕事が忙しくなり、かれこれ百年以上も休んでいない。

 ことここに至ったとき、妾はとうとうやってられるかと匙を投げた。

 

 最初は小さな領地だったのに、いつの間にか大陸全土を統一していたのだ。

 全ての面倒も妾が見ないといけなくなったので、そりゃあ仕事も激増する。

 

 おかげで部下も大勢増えたし、妾の魔力量も上がった。

 それに進化した魔法を使えば、距離や時間を関係なく高速で情報のやり取りが行える。

 国民の夢を一つに束ねて、リアルタイムで通信できるので仕事の効率も大幅アップ間違いなしだ。

 

 既に十分過ぎるほどの結果を出しており、リリー女王国は魔族と人間が手を取り合って平和と繁栄を謳歌する理想郷になっている。

 

 

 

 ちなみに妾の内心では常に疑問を浮かべ、違うそうじゃないとツッコミを入れ続ける有様だ。

 何しろ女王になったのは、美味しい精気を吸うのが目的である。

 

 なのにここ百年以上は積み重なった仕事に忙殺される日々を過ごしており、はっきり言って労力の割に利益が全く釣り合っていない。

 

 いくらステーキ大好きな人間だって、毎日最高級のお肉ばっかり食べてたら飽きる。

 自由気ままな散策で出会った人間を誘って、精気をチューチューしたいのだ。

 

 もはや千年以上ご無沙汰だった妾はブチ切れ、執務室に女王を辞めます。探さないでくださいと書き置きを残し、雲隠れすることに決めた。

 

 

 

 フードを被って正体を隠し、護衛やメイドを眠らせて闇夜に紛れて城から出る。

 

 ここまでは順調だが、城門の前で全知のシュラハトが立ち塞がった。

 しかしその表情には涙が浮かんでおり、泣きながら辞めないでくださいとすがりついてきた。

 

 だが、そんなの今の妾には知ったこっちゃない。

 千年先の未来をも予知できるのだし、懇願されても意見を曲げないことも知っているだろう。

 当然無視すると、いつから居たのか魔王や他の幹部たち、さらには人間たちの精鋭部隊に囲まれ、誰も彼もが厳しい顔つきを浮かべて妾を見ている。

 

 ここを通りたければ自分たちを倒していけ的なこと大声で叫んだので、妾は一体いつから魔法を使ってないと錯覚していたと返す。

 

 そして現実と錯覚する夢の世界に驚いているこの場の全員を地面に転がしたまま、追ってこれないように殺しはしないが、数日はまともに動けなくなるまで精気をいただく。

 

 やがて全員を腰砕けにしたあと、元女王らしからぬ盛大なゲップをして一息つく。

 いつもならストレス発散したので城に戻っても良いかなと思うところだが、今回は本気である。

 

 まだ夢の世界で悶えている彼らに、現実でも別れの挨拶をし、王都から脱出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 女王を辞めますとか言っても、認められるわけない。

 何処か人が来ない場所に隠れ潜みつつ、怪しまれる前に棒倒しでもして次の行き先を決める。

 目指せ、のんびりスローライフと自由気ままな旅である。

 

 

 

 その後、リリー女王国はバラバラになって戦国乱世が始まった。

 女王を辞めて山奥に隠れ潜んでいる妾にとっては、対岸の火事なので正直どうでもいい。

 

 ただしこのまま放置すると、どっちかが滅びるまで殺し合いそうになり、久しぶりに世界中の夢を一つに繋げて白昼夢を見せ、お前らいい加減にしろよと叱った。

 

 幼女ではなく女神っぽい姿で騙すという念の入れようだ。

 実際に戦争や内乱は収まり、人間と魔族はそれぞれ復興へと進み始める。

 まだ悪さをする者には悪夢を見せることで、徹底的に心を折った。

 

 

 しかし大規模な夢を見せる魔法を使用したことで、妾の居場所が逆探知される。

 

 ゼーリエが文字通り飛んできて、玄関の扉をノックされた。

 思わず苦虫を噛み潰したような顔になったが、態度には出さずに出迎える

 

「久しぶり。母さん。色々と積もる話があるけど、女王に戻って──」

「妾はお主の母ではないと、何度言えばわかるのじゃ!

 それにとっくの昔に隠居した女王を、担ぎ上げるでないわ!」

 

 咄嗟に夢を見せる魔法を放ったが、ゼーリエは呪いを反射する魔法がかけていた。

 しかし盾で矢は跳ね返せても、洪水は防げずに押し流される。

 

 たちまち深い眠りに落ちて、あちらでは現実そっくりの夢を見ている。

 そちらでも妾と話し合いの真っ最中だ。

 

「はあ、全く……何度言っても聞かぬ友人にも、困ったものじゃのう」

 

 確かにゼーリエと出会ってから生活の面倒は妾が見ていたし、何だかんだで同居生活も長い。

 友人と言える関係ではあるが、向こうは自分のことを母として見ていたようだ。

 

「まあそれは別にいいが、……面倒じゃのう」

 

 今はそんなことより、彼女の他にもこの場所に向かってくる者は大勢居るので、そっちの対処のほうが重要だ。

 

 世界中の魔力を感知できる妾はとっくに気づいているが、取りあえず慌てず騒がずだ。

 

 眠っている友人のエルフを担いで、ベッドに運んで横にした。

 続いて急いで荷物をまとめ、出発の準備をする。

 

「やれやれ、次の隠れ家を探さねばな」

 

 妾は二度と女王になるつもりはない。

 これまで通りに正体を隠して自由気ままな旅をして、時には適当な場所で羽を休めてちょっと変わった娼婦として働く。

 

 バレない程度に精気を吸えれば、それで良かった。

 

 なお相変わらず勿体ない精神で、世界中の生きとし生けるものが無駄に吐き捨てられた精は、ちゃんと妾が回収している。

 その際に使い道のない魔力が増える一方なので、夢の世界にほんの少しだけ流していた。

 

 今は適性が高い人間が無自覚にアクセスし、そこから力を引き出しているようだ。

 世間では、女神様の加護や魔法などと呼ばれている。

 

 だが実際には、人間牧場の自衛や管理を目的にして開発した魔法だ。

 主に回復や防御系、魔族特攻が多い。

 なので人々を守るための、神聖な力だと勘違いしたのだろう。

 

 わざわざ訂正する気もないし、使い方としては別に間違ってはいない。

 訂正することもなく、このままでいいやと放置していた。

 

 

 

 だがそれはそれとして、今は行方をくらますのが先決である。

 また女王をやらされるのは、マジ勘弁だ。

 

「しかし妾の魔法は、ちっとも役に立たぬのう」

 

 夢を見せる魔法は、大勢の人や魔族の願いを叶えてきた。

 妾も最初はそうだったが、今はそのせいで追われる身になっている。

 

「本物の女神様は、とんだ魔法を授けたものじゃな。

 まあ、まだ諦めるつもりはないが」

 

 妾は大きな溜息を吐きつつ、旅の荷物をよっこらしょと担ぐ。

 そして玄関に向かって扉を開けて、自由への逃避行に出発する。

 

 自分の夢が叶うまで、何としても逃げ隠れして生き延びるのだと決意を固めて、大きく一歩を踏み出すのだった。




二次創作と大雑把な設定しか知らない作者なので、矛盾や捏造だらけのうえに早々にネタが切れました。申し訳ありません。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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