「でかいイノシシだ」
ぎっしり毛皮の付いた牙のある獣がこちらの様子を伺っていた。
ひさしぶりに人里に戻ったはいいが、最近無難なものしか食べていないことに気付き、いっちょなんか挑戦しますか!と意気込んでいた所出会った獣だ。
えー、猪肉かぁ。
無難に言えばぼたん鍋とか、ワイン煮込みとか、そんな感じなんだけど芸がないよね。
ジビエ料理は鮮度が命。
臭みも癖も、鮮度の前では敵わないだろう。
私はスチャリと包丁を取り出して血抜きをはじめたのだった。
──モレポブラーノ(2人前)
鶏もも肉……1枚
カットトマト……400g
玉ねぎ……1個
ニンニク……1欠片
レッドペッパー……小さじ1/2
クミン……小さじ1
シナモン……小さじ1/2
塩胡椒……適量
ナッツ……適量
ごま……適量
コンソメ……1個
チョコ(70%以上)……40g
まず、モレポブラーノとはなんぞやって言うのをお肉の下処理をしながら頭の中で整理しよう。
「血抜きと筋取りして〜」
モレ……ソース
ポブラーノ……唐辛子の一種
つまり少しピリ辛のソースってことになる。ポブラーノはフレッシュ唐辛子(生)で、乾燥したら別の名前になるんだよね。
で、モレポブラーノを端的に言っちゃうと鶏肉のチョコレート煮込み。
うわ〜!不味そう!聞いてるだけでワクワクしちゃうけど、よく良く考えればカレーの隠し味としてチョコレートを入れるから、スパイスとチョコの相性は悪くない。甘さの弱いチョコを使うから、割とほろ苦ピリ辛って感じでちゃんと料理になるんだよね。甘いチョコをイメージしすぎて似合わないってだけで。
「とりあえず低温調理して、オリーブオイルでじっくり火を通しておこうかな」
さぁ。ソース作りだ。
「まずはみじん切りの玉ねぎをニンニクとバターで炒める」
バターを入れてるからか焦げやすくなっている。怯えず中火で焦げ付かないようにしながら飴色になるまで火を通していった。
カレーもスパイスから作ってみたいよねぇ。今度やってみようかなぁ。
「よし、火が通った」
飴色になるにはビビるくらい火を通さなきゃいけないから、最初は怯えながら作るんだよね。懐かしい〜。
「次はスパイス」
本来、入れる順番とか火の通し方まで考えなきゃスパイスの本来の風味が損なわれちゃうけど。私は気にしない。
レッドペッパー、クミン、シナモン。これだけじゃ味に深みは足りないけれど、家庭料理として手を出すならこれで十分。ハーブソルトやオールスパイスとかを使ったら手っ取り早く深みが出るからおすすめ。
なお、全部ブレンダーで混ぜるからそのまま入れてるけど、ブレンダーが無い人は事前に細切れにしておくこと。
「カットトマト缶と、ナッツ、ごま、コンソメもくわえて」
ある程度火が通ればブレンダーでギャーーっと混ぜる。
塩コショウで味をととのえ、チョコを入れて溶かしたら、見た目はカレーみたいになってくるから美味しそう。匂いは嗅いだことない感じだけど。
あとは火入れしたお肉をバターやオリーブオイルでパリッとする感じに焼いて。それをピラフの上とかに盛り付けて。
「そこにモレポブラーノをかけると……」
そこらに漂うスパイスの香り。
──いただきます!
「アミーゴって感じの味」
モレポブラーノが食べられる飲食店、全国範囲で探してます