進撃の巨人―数十年に一人の逸材の兄弟―   作:夏玉 尚

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壁外訓練

調査兵団兵舎――――

 

 

「こ、ここが地上かー!」

 

 

 二人はエルヴィンに連れられ、調査兵団兵舎へとやってきていた。

 兵士たちに蔑んだ目で見られながらもジルバとリゼフはエルヴィンから渡された服を着る。

 

 

「なぁジルバ。俺たちはなんでこんなに睨まれなきゃならねぇんだ?」

 

「それは俺たちが地下から来た盗人だからだ。きちんとした訓練を受けてきた兵士たちに嫌われても不思議じゃない」

 

 

「良くわかってんじゃねぇか! ジルバ……だっけ?」

 

 

 話しかけてきたのは二人の班の班長、ミハエルだ。

 

 

「俺の名前はミハエル。よろしくな。 俺も裕福な出じゃないからお前たちを別に変だとは思わない。一緒に巨人を駆逐してやろう!」

 

 

 差し出された手をジルバ、リゼフは握る。

 

 

「早速だがこの後訓練で壁外に出る。確かお前たちと同じ地下から来たリヴァイってやつも別の班にいるはずだ。気になったら話して見るといい」

 

 

 そういうとミハエルは自分の持ち場に戻り、他の班員たちにジルバとリゼフと仲良くするよう説得する。

 

 

「いい班長だな。ジルバ、リヴァイがいるってよ。会いに行くのか?」

 

「いや、行く必要もないだろう、縁があれば戦場で会うさ」

 

「ははっ! 確かにな」

 

 

 ジルバとリゼフは他の班員を見ながら支給された立体機動装置と超硬質ブレードを装備する。

 

 

「へぇー、こんな武器を使うのか……このトリガーを押せば外れて新しいのと交換するのか。へぇー良くできてるなぁ。俺たちはトリガーしかなかったから使い方わかんなかったもんなー」

 

「こんな武器がないと倒せない相手だってことだよ。隊長も言ってたが相手は『巨人』らしい」

 

「でもジルバなら余裕だろ」

 

「そうだといいけどな」

 

 

 ジルバは巨人が容易に倒せる相手ならばわざわざエルヴィンが地下にまでやってきて勧誘していくとは思えない。

 自分の装備をチェックしていきながらジルバは相手をイメージした。

 

 

 

「お、お前ら上手く装備できるじゃないか。そうか、地下でも立体機動があったんだってな!」

 

 

 班員の一人が話しかけてくる。他の班員はどうやらまだジルバとリゼフを疑いの目で見ている。

 

 

「ああ、一応使い方はわかりますが皆のように動けるかは不安です」

 

 

 ジルバは余計なことを言わないように気を付けながら返事をする。

 まずは背中を預ける相手に信用してもらわなければいけない。

 

 

「ははは、すぐに慣れるって! 最初の遠征は生きて帰ってくることが大事なんだ」

 

 

「巨人とはどんなやつなんですか?」

 

 

「そうだなぁ……2メートルから15メートルくらいのもいてな、掴まれた瞬間終わりさ。仲間の死に驚いてる暇はない。次は自分の番だからな」

 

「そんなやつらと調査兵団は戦い続けていたんですね」

 

 

「あぁ! 尊敬したか?」

 

「すごいと思います」

 

 

 ジルバの印象に班員たちも少しだが警戒がほぐれてきたようだ。

 立体機動装置の装着を終えた班長が手間取っている二人の元へとやってくる。

 

「皆が警戒するのは許してくれ。お前らよりちょっと前に来たリヴァイってやつがちょっとアレでな。もう大丈夫だとは思うが……大丈夫か皆!?」

 

 

「「 大丈夫です! 」」

 

 

「な? もう大丈夫だ。そろそろ時間だし、行こうぜ」

 

 

 ミハエルは二人の装着を手伝い、終わると班員と共に兵舎を出る。

 

 

「リヴァイってどんなやつなんだ?」

 

「俺もよく知らない」

 

「愛想が悪いんだな、きっと」

 

「そうかもな」

 

 

 既にそこには調査兵団四百名程度が集まっていた。

 

 

「意外とすくねぇのな」

 

「それだけ死んでるってことじゃないか?」

 

 

「ジルバ、リゼフ、こっちだ。一列に並べ」

 

「はい!」

「はい」

 

 

 

 二人は隊列の最後尾に加わると、しばらくして演台の上に団長らしき人物とエルヴィンが現れた。

 

 

 

「今回は訓練ということもあるが、同時に物資を配置すると言う大きな意味のある作戦だ! くれぐれも油断だけはするな! 心臓を捧げよ!!」

 

 

 

 ザッと兵士たちは固く握って右拳を左胸に当て、左手は後ろに回す。

 どうやら敬礼らしい。ジルバとリゼフは見よう見まねで敬礼をする。

 

 

 

「では皆配置につけ! 五分後に出発する、解散!」

 

 

 小走りで配置に着く班長のミハエルに続きジルバとリゼフも指定された場所へと急ぐ。

 そこには既に援護部隊が馬を用紙してくれていて、皆既に騎乗し、準備を整えていた。

 

 

「緊張するぜ……」

 

 

 リゼフが震えながら言う。

 そう、昨日までは地下でどぶ臭い生活していたのが今日は壁外に出る。まだ見ぬ世界、壁で仕切られていない世界へと出発するのだ。

 

 

「震えてるじゃないか、ちびったか?」

 

 

 ジルバは馬の手綱を握りながら横にいるリゼフを見る。

 

 

「武者震いだ、馬鹿野郎!」

 

 

「はは、俺もだ。 生きて帰らねぇと妹にも会えねぇってわけか」

 

 

「ここまで来たからには巨人どもを駆逐してやるぜ!」

 

 

「ははっ、見たこともないくせに」

 

 

「うるせー!」

 

 

 緊張と興奮に打ち震えている間に城壁の上で鳴り響いていた大砲の音が止まる。

 どうやら周辺の巨人を駆逐したらしい。

 大きな音を立てて門が開く。

 

 

 

「作戦開始だッ!!」

 

 

 団長の声と共に、自由の翼を背中に掲げた兵士たちが勢いよく馬を駆ける。

 

 ジルバとリゼフも仲間に続き、新たな世界へと飛び出していった。

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