シャンフロのペンシルゴンとサンラクの絡みが描きたかった、はずだった。 作:サニハレ
目の前に並ぶ、白飯、焼き鮭、味噌汁、沢庵、ライオットブラットの完璧な日本の朝食。
これぞ日本の朝ごはんという感じの献立である。
(ちなみにこの鮭は父さんが4匹ほど釣ってきたおかげ(せい)で相当な量がある)
そして!これが普段の俺ならゲームか学校を理由に急いで食べてしまうが今日は休日。
務めて穏やかに、ゆっくりと味わって偶には食の良さを感じようではないか。
食には生きるのに必要と言う要素以上に娯楽という面がある。
娯楽だと言うなら楽しまなければs「おにーちゃん!!とっとと朝ごはん食べて歯磨いてこっちに来て!!」
…今日はどうやら優雅な朝食は送れないようだな。
いや!モーションだけは優雅に行こう!
ただし倍速だ!
という事で3分で飯を食い終わり、1分で歯磨きと洗顔を終わらせた。
我ながらなかなかの出来では無いか?昔こんな感じのクソゲーをやったような気がするがそのゲームと比べても中々なスコアだったはず…
「うわっ…何今の動き…所作は綺麗なのに倍速みたいになっててキモイ…まあいいや、今日撮影があるんだけど荷物が中々に重くて…持ち運びが大変だから荷物持ちになってくれない?どうせ暇でしょ?」
「我が妹よ、せっかく急いだのにキモイは無いんじゃないか?いやまぁ暇だから荷物持ちくらいなら良いが」
「ありがとう、助かる〜。あ、部屋漁って服は見繕っておいたからそれ着て出てきて!」
「おい、瑠美…と、もう行ってしまった。仕方ない、着替えるか」
とりあえず自室に戻ることにする。
部屋に入ると妹が漁ったと言う割にしっかり整っていて、卓上に服1式だけが置いてあった。
…これしっかりと管理してたとはいえ結構適当な所に入れてたマネキン買いした服じゃないか?
…タンスとクローゼットを開ける。
結構ぐちゃぐちゃに入ってた服がしっかり畳まれて分類分けされてる。
妹よ、俺に早くてキモイとか言ってた割に大概凄まじい速さでは?
とりあえず、切り替えてとっとと着替えて軽く整える。
そういえば撮影という事はファッション関係者が多いのか。
さすがに普段の格好で行ったら浮きまくるな…
ん?なんか引っかかるな?
今のどこに引っ掛かりを覚えたんだ?
「おにーちゃん!!!時間きついから急いで!!」
やばい!とにかく急ごう!
持ち物は…財布とケータイだけでいいか、何をする訳でもないし。
階段を駆け下り持ってる限り一番カッコイイ気がする靴を履いて外に出る。
「急ぐよ!おにーちゃん!」
「おい!そんなに時間タイトなのかよ!?」
瑠美に手を引かれ駅に向かって結構な速度で走る。
一応TPO的にいるかな?とか思って付けてきたワックスがなかったら髪グチャグチャグチャになってたぞ…
ううん!?にしても腕を引く力強いな!?
何をそんなに焦ってるんだよ!?
リニアに急いで乗り込んで1度荷物を下ろす。
意外と重いんだよなぁこの袋…
暇なので瑠美と軽く喋るがあんまり受け答えがしっかりしていない。
「なんだ瑠美、結構な数仕事受けてきたはずだが緊張してるのか?」
「今回は失敗出来ないからね…」
ほーん、今回は大仕事なのか。
そりゃあこの焦りようも頷けるな。
それならちゃんとサポートしてやらないとな!
可愛い妹の偶の頼みだ!
…うーんやっぱり微妙に何か違和感がある。
なんだろう、TDRPGで言うところの何か大事なものを見落としているような…
「着いたからとっとと降りるよ!おにーちゃん!!」
「うぉっ!?分かったから急かすなって!」
駅に着きまた急いで走る。
俺の服は割と崩れてるのに瑠美の服と髪型は一切崩れてないのはそういう走り方があるのか?
物理法則さんお仕事してます?
「着いたよ!おにーちゃん!私身支度と着替えしてくるからこの控え室で待ってて!」
「お、おう」
なんかあそこまで血気迫る瑠美を久々に見たな…
確か前に見たのはペンシルゴンが出てるテレビ番組の生中継の時だったか。
ん?ペンシルゴン!?
ここってさっき見た限り、瑠美がよく買ってるファッション誌の会社だよな?
つまりここには奴がいる確率が高いわけで…
「ハァイ!瑠美ちゃん!!元気してたかな!!あれ?瑠美ちゃんの控え室にいてその顔…サンラク君だね!」
「チッ!言い逃れは無理か。ペンシルゴン!貴様、何を企んでいる!」
「いやー、そんなに身構えなくていいよ。そんなに多くのことは企んでは居ないから」
「そんなにってことは企んでるってことじゃねぇか!リアルでお前と顔を合わせるなんて、何があるかわかったもんじゃねぇ!」
「酷いなー。瑠美ちゃんを弟子にしたんだけどあんまり会話が進まないから緩衝材として呼んだだけだよ。あと言わない方が面白いと思ってね!サプライズサプライズ!」
「絶対それだけじゃないだろ…キリキリ吐きやがれ!」
「確かにそれだけじゃないね。とは言ってもこの前のGGCで顔見れなかったからなんか不公平な気がするし次いでに見とこうかなってくらいだけど。本当にメインは瑠美ちゃんのことだよ」
とりあえず分かりやすく前傾姿勢になってガンを飛ばしてみる。
うーん…とりあえず読み取れる限りではこれ以上の企みは無さげだな。
「その言葉に嘘はないようだな。まあ、良いか他のやつにばらさなきゃこれでイーブンだしな」
とりあえず椅子に座るか、こいつとの対面で警戒する以外で気を張っていても疲れるだけだ。
にしてもさすが有名な会社だけあって椅子の座り心地がいいな。
お高いゲーミングチェアとかこんな感じなんだろうか?
今度カッツォに聞いてみるか。
「うーん、椅子が1個しかないのにナチュラルに座る辺り君も外道だねぇ」
「お前に配慮なんてするかよ、瑠美なら兎も角」
「えー酷いなぁ、私にも配慮くらいしてくれても良くない〜?一応は女の子なんだよ?」
「はっ、ディストピアの女王様がなんか言ってやがるぜ。女の子って柄でも無いだろ」
あれで女の子とは甚だ笑えるね。
お涙頂戴展開の時に笑顔で大規模爆破を決め込む野郎だぜ?
女の子とか言う括りに入れたら世の女の子が可哀想だ。
「くっ、この顔めっちゃ殴りたい!」
「リアルでは暴力行為に走りにくいと言う特権を最大限利用してやるぜ」
いくらこいつとはいえ無茶な事はそうしないだろ。
邪教徒たる妹が怖いと言えば怖いがまあそん時はそん時だな。
「おにーちゃんお待たせ!言ってなかったけど今日はトワ様が…ってトワ様!?」
「お、瑠美ちゃん。それが今日の撮影で着る衣装かい?中々似合ってるよ!永遠チェック的にも高得点だよ☆」
「ピ!?あ、ありがとうございます、っておにーちゃん!」
!?瑠美が瞬間移動して俺の椅子を奪い取ってペンシルゴンの後ろに回った。
この間なんと5秒足らず、いくらなんでも早過ぎないか?
と言うか椅子を引くとか普通なら死んでもおかしくない案件だぞ?
気合と筋力で耐えたが危なすぎる。
「妹よ、人の椅子を引くという行為は、これ引くって言っていいのか?まあともかくだ、椅子を引くのは危ないから余りやるもんじゃないぞ」
「え?そんな事知ってるけど、永遠様を立たせておく訳には行かないし、おにーちゃんだからまあいいかなって」
「それは酷いんじゃないか?我が妹よ」
「…意味わからない挙動して椅子を持ってくる瑠美ちゃんとそのまま綺麗すぎる空気椅子して足組んでるサンラク君。血を感じるね」
「昔友達と空気椅子をどんくらい続けられるか勝負してた時があってな。やろうと思えば1時間くらいなら持つ」
ペンシルゴンがまるで珍獣を見るような目でこちらを見てくる。
俺が珍獣だとでも言いたいのか?さすがに失礼では?
は?鳥頭の人間も珍獣だって?そうだよ悪いか!?
「また1人で自分に喧嘩売ってるよ。面白いね!…本当に面白いよ、君は」
またあの狩人みたいな目だ!?ゲームならいくらでも殴り合うがリアル強者のこいつには適わんぞ!?
ましてや邪教徒の瑠美もいる、不味い!
「ま、まあ、こんな下らない事より本題を話そうぜ?そんなに時間も無いんだろ?」
「うーん…まあ、今回はメイクの時間考えたらちょっと危ういくらいか…今回は見逃してあげるよ!」
その後、瑠美とペンシルゴンの通訳を勤め上げ円滑に話を繋げきった!
頑張ったぞ!俺!一言二言話をするとノックアウトする瑠美をあの手この手で話させきったわ。
これで一旦お約束ごめんだ!あとは帰りだけ。
「んじゃあ、収録中もお願いね」
な!?いや、それもそうか。
この調子だと会話が儘ならないよな…今日中の辛抱だ。
可愛い妹のためだそのくらい耐えないと。
ん?ペンシルゴンが近づいて来る。
何かまだあったかな?っておい!?
「チュ!」
こ、こいつ俺のほっぺにチューしながら写真を撮りやがった。
こんなん見られたら社会的に殺される!?そこには邪教徒。
終わった…
「じゃあメイクの時間だし、私たちはそろそろ行くねぇ!後で呼びに来るから本番も〜よろしく!」
ペンシルゴンはそういうや否や瑠美を連れて部屋の外に出ていってしまった…
は?なんだよ今の!態々顔を付き合わせたってのに弱みを握りに来たのか!?あいつに弱み握られるとかかなりまずい状況だぞ!!
side:瑠美
え?トワ様がおにーちゃんのほっぺにキス!?どういうこと?
トワ様はスタスタ歩いてっちゃうし何が何だか…
「瑠美ちゃん、私彼のこと好きになっちゃったみたいで、この事は内緒にしといてくれないかナ?」
普段とは全く違う耳まで真っ赤に染まりきったトワ様。
その姿は美しいというより可愛らしくて、とても眩しかった。
「え、トワ様可愛い!かっこよくて、綺麗で可愛いとか無敵じゃん!!でも、なんでおにーちゃんなんかの事を…」
「あー、サン…いや楽浪君とはゲームで知り合ってね。気兼ねなく遊べる関係がとても楽しく感じたから…かな?」
「あんな兄貴のいい所がよく分からないけどトワ様のためなら精一杯手伝います!コーディネートは任せてください!」
「頼もしいね!じゃあこっから切り替えて仕事の話に入ろうか!ここでパッと切り替えられるようになればもうどこでもやって行けるよ!」
「はい!」
こうしてペンシルゴンと瑠美の共同戦線が組まれて居る時、サンラクは何をされるのかビクビクしていたのであった。