名無しのナナはキヴォトスで平和に過ごしたい 作:Moools
拝啓先生。お元気ですか?今頃はシャーレに戻って来て私がいない事に驚いているところでしょうか。それともまだ散歩から帰ってきてないだけだと思っているでしょうか。…ごめん、シャーレには行けません。いま、知らない路地裏にいます。不良のような格好をした人が私の目の前に立っています。……本当は、こんなことは言いたくないけど…多分これカツアゲです。タスケテ…
「なぁお嬢ちゃん、アタシ今金欠でさぁ。痛い思いしたくなかったら…分かるよな?」
「あの、その…お金ないです…イタイコトシナイデ…」
治安いいって言ったじゃん!いいって言ったじゃん!え?大丈夫としか言ってない?…いや、大丈夫でもないでしょこれ!?今までカツアゲなんて経験しないで生きてきたんですよ!?え?初めてもらっちゃったね?やかましい!スマホすらないのにお金なんて持ってるわけないじゃん!うわぁぁぁぁぁん!痛いの嫌だよぉぉぉ!
「へぇ…この状況で嘘つくなんて、随分と余裕じゃん」
「嘘じゃないです…文無しなんです…」
「嘘じゃないってんならそこでジャンプしな」
「はいぃ…」
言われた通りジャンプするけど、もちろんお金の音なんて鳴るはずもなく…
「…………じゃあせめて金になりそうなもの置いてきな」
「お金になりそうなものなんてこの服しか…」
「いや流石に服は…」
おや?この不良さん実は結構優しい?……いや私この人にカツアゲされてる最中だった
「他になんかないの?ほら、スマホとか銃とかさ」
「銃なんて持ってるわけ………」
………む?銃?そういえばお茶の時に先生が言ってたな。キヴォトスは銃社会だって。ということはこの人のメインウェポンは銃?…ふっふっふ、見えてきたよ私の勝利の方程式!
「ふっふっふ…」
「な、何だこいつ急に笑い始めたぞ!?」
そう言いながら銃をこちらに向ける不良ちゃん
ほーら、やっぱり銃だ。普通の人なら銃なんて見たら震えあがると思うけど、ナナちゃんは違うのですよ!ちゃーんと先生から情報をもらってるんですから!この頭の上にある光輪…ヘイローだっけ?これがあれば銃が効かないって!え?何であるのかって?分かんない!きっと異世界特典!銃が効かないとなれば言いたかったセリフがあるんだよね〜
「銃を抜いたからには命を賭けなよ?」
「はぁ?何言ってんだ」
「それは脅しの道具じゃないって言ったんだよ」
キマったー!やってみたかったんだよね!シャン○スごっこ!
「いや、知ってるけど」タァン
あーあ、撃ってきましたよ。いいんですか?私ヘイローあるから効きませn
「いったぁ!?」
え、なんかすごい痛い!なんで!?効かないんじゃなかったの!?また先生に嘘つかれた!?…あっ、もしかして
「あ、あのー…」
「一マガジンくらい撃てば気絶するか」
「まっ、待って待って! 一つだけ質問させて!も、もしかしてなんだけど…ヘイローあっても死なないってだけで痛い…?」
「…何当たり前なこと言ってんの?」
ア、オワッタ…
「痛い!痛いです!やめてぇ!誰か助けてぇ!」
普通に考えれば分かるじゃん!『ヘイローある=銃効かない』なら銃が武器になるはずないんだからさ!私馬鹿じゃないの!?本当に馬鹿じゃないの!?
「全然気絶しないなこいつ…」
「いやぁ!痛めつけるみたいなことしないでぇ!気絶させるならすっとやってよぉ!」
「お前が全然気絶しないのが悪いんだろ!?」
「理不尽!あっ、痛いっ!痛いですっ!」
ごめん先生ぇ…本当にシャーレ行けないかも…
そう思ったその時、銃声と共に目の前の不良が倒れた
「大丈夫?」
訳も分からず声のした方に視線を向けてみると、そこにはパーカーを着た白と黒の髪の女の子が立っていた
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〜少し前〜
タァン!
「…またどこかで喧嘩でもしてるのかな。まぁいいや。あ、社長?依頼終わったよ」
『お疲れ様カヨコ。今日の依頼はそれで最後よね?』
「うん。だからこれからそっちに行k「だ…か!たすけ…!」…!ごめん社長。後でかけ直す」
『えっ!?カヨk』
今確かに『誰か助けて』って聞こえた。ゲヘナの生徒ならほとんどが風紀委員長に出くわしたとしても、助けを呼ばないで逃げるか応戦する。さらに言えば、特定の個人に助けを求めるならまだしも、不特定の誰かに助けを求めるなんて普通じゃない。だからあの声はたとえゲヘナ生であってもなくても、喧嘩ではなく一方的に攻撃されていてることになる。さすがにそんな状況を放っておけないし、それを放っておくほど堕ちたつもりもない。そう思い銃声と声の聞こえる方に歩を進める
「…見つけた。ッ!」
声の正体を路地裏で見つけたその瞬間、私は目を疑った。正直な話、気弱な生徒が不良にカツアゲされてるくらいのものだと思っていた。しかし、私の目に映ったのは、銃すら持っていないムツキよりも小さい女の子に不良が痛めつけるように発砲している姿だった。それを理解した瞬間、私は不良の頭を撃ち抜いていた。そして、倒れた不良の先で涙目になっていた少女に声をかける
「大丈夫?」
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「え…あ…」
「君だよね。助けてって言ってたの」
色々と理解が追いついていなかった私にそう声をかける女の子。その言葉に私はハッと気が付く。咄嗟に出てきた『助けて』の言葉。それを聞いてわざわざ駆けつけてくれたんだということを
「は、はい!そうです!ありがとうございます!ありがとうございま…す…あれ、なんで…」
それを理解した瞬間、安心したのか勝手に涙が出てくる
「…もう大丈夫だよ。頑張ったね」
その言葉と一緒に抱き締められる。優しい声と温かさでさらに涙が溢れてしまう
「は、い…グスッ…」
仮にも大人のレディーとか言ってた私だけど今回くらいは泣くことを許して欲しい
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「ごめんなさい迷惑かけちゃって…」
「気にしないで、そもそも悪いのはカツアゲしてた方だし。それで?どこ行くところだったの?送ってあげるよ」
「えっ?」
「そろそろ暗くなりそうな時間だし、どこか行くにしても、家に帰るにしても一人で返すのは心配だからさ」
「いやいやいや!悪いですよ!」
さすがにこんなに優しい人にそこまで迷惑かける訳にはいかないよ!
「そ、それに目的地はすぐ近くなので心配しないでください!」
嘘ですごめんなさい!なんなら自分がどこにいるかすら分かってません!
「すぐ近くなら私も負担にならないし送ってくよ?」
本当に優しいなこの人!?尚更迷惑かけられないよ!
「本当に大丈夫です!そこまで迷惑かけられないですし!」
「…そう?分かった。それじゃあ気を付けてね?」
「はい!ありがとうございました!」
女の子が角を曲がるまで手を振り続け、姿が見えなくなったのを確認してから膝から崩れ落ちる私
振り出しに戻ったぁぁぁぁぁ…だってしょうがないじゃん!『ここからシャーレに行きたいんですけどどうすればいいですか?』とか言ったら絶対あの人送ってくれちゃうじゃん!多分道知らなくても道わかるまで付き添ってくれるよ!?申し訳ないじゃんそんなの!………よしっ!頑張ろう!最悪の場合野宿になるかもしれないけど!恩人に迷惑かけるより100倍マシ!第三村人さんに道を聞いて帰ろう!…え?先生、不良、女の子だから次は第四村人なんじゃないかって?はっはっは…不良さん?知らない子ですね。よーしそれじゃあ!第三村人探し頑張っていこー!
「おー!」
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「………急に膝ついたと思ったら今度は元気になってる…本当に大丈夫かなあの子」
かっこいいよカヨコ。かわいいよカヨコ。好きだよカヨコ