本編前1
# 《目覚め編》
……ん?
ここ、どこだ?
確か昨日は普通に布団へ入って寝たはずなんだけど。
目を開けたら、見渡す限りジャングルなんですが?
夢か?
そうだよな、夢だよな。
とりあえず頬でもつねって――
……あれ?
届かない。
いや、それ以前に。
俺の目線、なんか山と同じ高さじゃね?
…………。
…………いやいやいや。
そんな訳あるか。
恐る恐る、自分の手を見る。
黒い。
太い。
鋭い爪。
…………。
夢だ。
これは夢だ。
そうに決まってる。
そうだ、自分の姿を確認しよう。
近くに池とかないかな。
ドッスン。
ドッスン。
…………。
夢だ。
歩くだけで地面が揺れる訳ない。
……お、池発見。
よし。
夢の中の俺は一体どんな姿――
「……………………」
黒い鋼鉄みたいな鱗。
巨大な身体。
山みたいな尻尾。
ギザギザの背びれ。
そして、生物の頂点に立つ者だけが放つ圧倒的な存在感。
「…………え?」
数秒固まる。
もう一回見る。
やっぱり変わらない。
「うわあああああああああああああああああああ!!!!」
俺。
ゴジラになってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!
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# 《モンスターバース編》
落ち着け。
まずは落ち着こう。
深呼吸だ。
……できるのか? ゴジラって。
まあいい。
整理しよう。
俺は寝た。
起きた。
ゴジラになっていた。
以上。
……いや意味分からん。
でも現実っぽい。
体の感覚もある。
暑さも感じる。
風も吹いてる。
腹も減る。
夢じゃない。
つまり。
「マジかよ……」
ゴジラに転生したらしい。
……まあ。
世の中にはもっと酷い転生先もある。
例えば『進撃の巨人』。
無理。
あの世界は本当に無理。
知識があっても生き残れる気がしない。
ホラー世界?
もっと無理。
ゲームだから遊べるのであって、実際にあんな化け物がいたら失神する自信がある。
それに比べれば。
「ゴジラって結構当たりじゃね?」
少なくとも簡単には死なない。
スペックもぶっ壊れてる。
そう考えると悪くない。
……いや待て。
ゴジラって放射能を浴びて誕生するんじゃなかったか?
俺は自分の身体を見る。
黒い鱗。
巨大な尻尾。
鋭い爪。
ギザギザの背びれ。
「完成してるじゃねぇか!!」
もう完全体だった。
その時だった。
遠くから鳴き声が聞こえる。
恐竜みたいな鳥。
バッファローより遥かに巨大な獣。
二十メートル級の木より大きい脚を持つ蜘蛛。
「…………」
嫌な予感しかしない。
さらに奥から。
《ホッ、ホッ、ホッ》
ドラミング。
現れたのは巨大な猿。
俺を真っ直ぐ睨みつけている。
その瞬間。
全部繋がった。
「……あ。」
ここ。
モンスターバースじゃね?
「GRAAAAAAAAAAR!!」
向こうが咆哮を上げる。
……上等。
「GRAAAAAAAAAAR!!」
来いよクソ猿!!
ゴジラ舐めんな!!