原初のヴィラン"ゴジラ"   作:あいあいしか勝たん

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本編前2

《モンスターバース編》

 

俺がゴジラになってから十年。

 

この世界にもすっかり慣れた。

 

最初の頃は右も左も分からず、出会う怪獣全部にビビっていた。

 

……まあ、向こうはそんなのお構いなしに喧嘩を売ってきたけど。

 

もちろん全部返り討ちにした。

 

一回。

 

二回。

 

三回。

 

「学習しろや!!」

 

って思ったけど、怪獣って意外と脳筋だった。

 

そのおかげか、一年も経つ頃には大抵の奴は俺を見るだけで逃げるようになった。

 

平和である。

 

……いや、怪獣基準だけど。

 

だが。

 

そんな中にも学習しない奴らがいる。

 

## ラドン。

 

あのクソ卑怯鳥である。

 

最初は真正面から勝負してきた。

 

そしてボコボコにされた。

 

すると次からはどうなったか。

 

寝込みを襲う。

 

飯食ってる最中を襲う。

 

後ろから急降下。

 

そして逃げる。

 

「お前プライドねぇの!?」

 

空の王?

 

知らん。

 

俺の中では"クソ卑怯鳥"で固定だ。

 

いつか焼き鳥にして食ってやる。

 

……いや、不味そうだからやっぱ食わん。

 

---

 

もう一匹。

 

MUTO。

 

こいつは放射能を食う。

 

つまり。

 

俺の近くによく現れる。

 

「飯だーー!!」

 

くらいのテンションで突っ込んでくる。

 

だから毎回ボコる。

 

それでもまた来る。

 

またボコる。

 

また来る。

 

「学習能力どこ置いてきた?」

 

ある意味ラドンより面倒だった。

 

---

 

そして。

 

別格。

 

髑髏島の王。

 

コング。

 

こいつだけは違う。

 

速い。

 

とにかく速い。

 

あの巨体でどうしてそんな動けるんだ。

 

しかもパンチが重い。

 

食らうと脳みそが揺れる。

 

マジで痛い。

 

俺も負ける時は普通に負ける。

 

勝率は五分五分。

 

会えば殴り合う。

 

勝っても負けても次会えばまた殴り合う。

 

そんな腐れ縁。

 

ライバル。

 

そして宿敵。

 

……まあ。

 

嫌いじゃない。

 

少なくともラドンよりは。

 

 

 

## ある日

 

今日は何しようかな。

 

……決めた。

 

海だ。

 

「今日は海鮮祭りや!」

 

イカでもタコでもサメでも何でもござれ。

 

この身体になってから魚介類が本当に美味い。

 

生で食っても最高だ。

 

考えただけで腹が減る。

 

俺は鼻歌交じり――いや、鼻歌というより地鳴りを響かせながら海へ向かう。

 

ドスン。

 

ドスン。

 

ドスン。

 

……途中。

 

「Gr?」

 

空からとんでもない轟音が聞こえた。

 

見上げる。

 

何かが空を突き破り、大気を焦がしながら地上へ落ちていく。

 

「隕石?」

 

いや、違うか。

 

まあいい。

 

どうせこの世界じゃ珍しくもない。

 

最初の頃は「あっ、隕石だ!」なんてテンション上がって見に行ってた。

 

でも。

 

一日に何回も落ちてくる。

 

その度に何かしら怪獣が生えてくる。

 

もう慣れた。

 

「あー、また何か落ちたのか。」

 

その程度である。

 

俺は気にも留めず海へ向かった。

 

この時。

 

もし少しでも様子を見に行っていたら。

 

もしあの時、嫌な予感を信じていたら。

 

未来は変わっていたのかもしれない。

 

……まあ。

 

後の祭りである。

 

 

「ふぃ~。」

 

今日は大漁だった。

 

巨大イカも獲れたし、サメも食った。

 

満足満足。

 

帰って昼寝でも――

 

「……ん?」

 

何かおかしい。

 

辺りが妙に騒がしい。

 

小型の怪獣は一斉に逃げ出し、

 

中型も大型も落ち着きがない。

 

皆、同じ方向を見ている。

 

「……何だ?」

 

俺も視線を向ける。

 

その瞬間だった。

 

地平線の向こう。

 

巨大な竜巻。

 

黒雲を裂く雷。

 

そして。

 

黄金。

 

三本の首。

 

巨大な翼。

 

その姿を見た瞬間。

 

全身の本能が叫ぶ。

 

『危険』

 

『敵』

 

『排除しろ』

 

《ピルリルリル……ピルルルル》

 

電子音のような不気味な鳴き声。

 

「……」

 

俺は思い出した。

 

いや。

 

思い出すまでもなかった。

 

「GRAAAAAAAAAAAAR!!」

 

来やがった!!

 

宇宙怪獣!!

 

キングギドラ!!

 

俺が咆哮を上げる。

 

すると。

 

遠くから別の咆哮が返ってきた。

 

ウオオオオオオオ!!

 

コング。

 

さらに。

 

ラドン。

 

MUTO。

 

そして各地の怪獣たち。

 

まるで世界中のタイタンが一斉に立ち上がるようだった。

 

ギドラも三つの首をゆっくり持ち上げる。

 

見下すように。

 

嘲笑うように。

 

そして。

 

翼を大きく広げた。

 

「……」

 

腹が立つ。

 

なんだその態度。

 

ここは。

 

俺たちの星だぞ。

 

「GRAAAAAAAAAAAAR!!」

 

地球舐めんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!

 

俺は地面を蹴った。

 

コングも走る。

 

MUTOも突撃する。

 

ラドンは空へ舞い上がる。

 

世界中の怪獣が。

 

たった一体の侵略者へ向かって突撃した。

 

 

 

 

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