原初のヴィラン"ゴジラ"   作:あいあいしか勝たん

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本編前3

## 怪獣総力戦

 

「GRAAAAAAAAAAAAAAAAR!!」

 

俺は一直線にギドラへ突っ込む。

 

ギドラも逃げない。

 

三つの首が同時にこちらを睨みつける。

 

そして。

 

真正面からぶつかった。

 

ズガァァァァァン!!

 

大地が割れる。

 

衝撃だけで周囲の木々が吹き飛び、海面には巨大な波が立つ。

 

「おおっ!」

 

押せる。

 

力は互角だ。

 

なら――!

 

俺はそのまま押し切ろうと腕へ力を込める。

 

……その瞬間だった。

 

「え?」

 

ギドラの尻尾が俺の身体へ巻き付く。

 

さらに。

 

巨大な両脚が肩を掴む。

 

嫌な予感しかしない。

 

「おい待て。」

 

ギドラの翼が大きく羽ばたいた。

 

ドォォォォォォン!!

 

身体が浮く。

 

「うわああああああああ!?」

 

飛んだ。

 

俺。

 

飛ばされてる。

 

いやいやいや!

 

俺だぞ!?

 

何万トンあると思ってんだ!!

 

ギドラは俺を掴んだまま空高く舞い上がる。

 

「これ絶対落とす気だろ!」

 

その予想は当たった。

 

ギドラは空中で俺を放り投げる。

 

「終わっ――」

 

ドゴォォォォン!!

 

……と思った瞬間。

 

真横から巨大な何かが激突した。

 

「GRAAAAA!」

 

ラドンだった。

 

俺ごと体当たりしてきやがった。

 

地面へ一直線。

 

ズガァァァァァァン!!

 

俺もギドラもまとめて地面へ叩き付けられる。

 

「痛ぇ!!」

 

……。

 

…………。

 

いや。

 

助かった。

 

結果的に助かった。

 

「今だけ感謝してやる。」

 

でも。

 

寝込みを襲った件は忘れてねぇからな。

 

後で焼き鳥確定だ。

 

俺が立ち上がるより早く。

 

コングが動く。

 

「ウオオオオオッ!!」

 

巨体とは思えない速度。

 

拳がギドラの胴へ突き刺さる。

 

同時にMUTOも左右から飛び掛かる。

 

「今だ!」

 

――だが。

 

ギドラは笑っていた。

 

三つの首が同時に口を開く。

 

《ピルリルリルリル》

 

次の瞬間。

 

黄金の雷が世界を裂いた。

 

ズバァァァァァッ!!

 

三方向から放たれた引力光線。

 

コングが吹き飛ぶ。

 

MUTOも弾き飛ばされる。

 

「チッ!」

 

ならこれだ!

 

俺は背びれを青白く発光させる。

 

熱が集まる。

 

空気が震える。

 

そして。

 

「放射熱線ッ!!」

 

蒼白い閃光が一直線に走る。

 

対するギドラ。

 

三つの首のうち一つがこちらへ向く。

 

引力光線。

 

二つの光が激突した。

 

ゴォォォォォォォ!!

 

世界が白く染まる。

 

「押せぇぇぇぇぇ!!」

 

少しずつ。

 

少しずつ押し返す。

 

「勝てる!」

 

そう思った。

 

だが。

 

「…………あ。」

 

忘れてた。

 

首。

 

三本あるじゃん。

 

残り二つの口がこちらを向く。

 

「ちょっ――」

 

ドォォォォォン!!

 

二本の引力光線が俺へ直撃した。

 

「GRAAAAAAA!!」

 

地面を何度も転がる。

 

身体中が焼けるように痛い。

 

それでも。

 

立ち上がる。

 

「まだだ。」

 

まだ終わってねぇ。

 

ここで倒れたら。

 

誰がこの侵略者を止める。

 

俺は再びギドラを睨み付けた。

 

 

 

## 怪獣王の誕生

 

「GRAAAAAAAAAAR!!」

 

俺は立ち上がる。

 

身体は痛い。

 

鱗も何枚か剥がれている。

 

でも。

 

まだ戦える。

 

俺はゴジラだ。

 

この星で生きる怪獣だ。

 

たかが宇宙から来た侵略者一匹に負けてたまるか。

 

その時だった。

 

「……ん?」

 

空から光が降ってきた。

 

最初は何か分からなかった。

 

だが。

 

その姿を見た瞬間。

 

俺は目を見開く。

 

巨大な翼。

 

美しい光。

 

怪獣でありながら、どこか神秘的な存在。

 

「……モスラ?」

 

生きてたのかよ!!

 

《ピキュルルルル》

 

モスラが鳴く。

 

その直後。

 

横から高速で飛来する影。

 

「お前……!」

 

ラドン。

 

あのクソ卑怯鳥がモスラへ向かって突っ込む。

 

空中で二体が激突する。

 

炎の翼と光の羽。

 

二匹の怪獣が空を舞う。

 

「今だ!」

 

俺は叫ぶ。

 

いや。

 

叫んだつもりだった。

 

でもコングには伝わったらしい。

 

あいつはもう走っていた。

 

ギドラへ向かって。

 

右手には斧。

 

あの斧。

 

俺の背びれから作られた、怪獣王殺しの武器。

 

「行け!!」

 

コングが跳ぶ。

 

ギドラも気付く。

 

だが。

 

遅い。

 

俺が止める。

 

「GRAAAAAAAAAAR!!」

 

放射熱線!!

 

ギドラも迎え撃つ。

 

黄金の光。

 

青白い光。

 

再び二つの力がぶつかる。

 

だが。

 

今回は違う。

 

ギドラの集中が僅かに乱れる。

 

なぜなら。

 

後ろには。

 

コングがいるからだ。

 

「今だぁぁぁぁ!!」

 

コングが斧を振り上げる。

 

ギドラが首を動かす。

 

しかし。

 

もう遅い。

 

一閃。

 

巨大な斧が黄金の首を切り裂いた。

 

ドスン。

 

一つ。

 

さらに。

 

二つ。

 

三つ。

 

ギドラの三本の首が地面へ落ちる。

 

「……」

 

静寂。

 

終わった。

 

……いや。

 

まだだ。

 

こいつはギドラだ。

 

宇宙から来た怪物。

 

こんな程度で終わる訳がない。

 

俺は倒れたギドラへ近付く。

 

そして。

 

「悪いな。」

 

口を開く。

 

「この星は、お前の遊び場じゃない。」

 

放射熱線。

 

ゼロ距離。

 

青白い光がギドラの身体を包む。

 

数秒後。

 

そこに残ったのは。

 

黒く焼けた巨大な残骸だけだった。

 

……。

 

勝った。

 

「…………」

 

実感が湧かない。

 

「GRAAAAAAAAAAR!!」

 

俺は空へ向かって吠える。

 

地球を舐めるな。

 

ここには。

 

俺たちがいる。

 

隣ではコングも吠えていた。

 

「……」

 

こいつとは。

 

もう二度と戦いたくねぇ。

 

疲れる。

 

本当に疲れる。

 

その時。

 

足元から気配を感じた。

 

「……ん?」

 

見る。

 

そこにいたのは。

 

ラドン。

 

こちらを見上げながら。

 

ゆっくりと頭を下げている。

 

……。

 

「…………」

 

お前。

 

今さら?

 

今さら仲間面?

 

俺はゆっくり足を上げる。

 

ラドンが震える。

 

「遅ぇんだよ。」

 

裏切ったこと。

 

忘れたと思ったか?

 

俺はそのまま――

 

「……」

 

……。

 

まあ。

 

少しだけ。

 

ほんの少しだけ。

 

腹立っただけだ。

 

でも。

 

許す気はない。

 

次はないぞ。

 

ラドンは慌てて飛び去った。

 

「……逃げたか。」

 

周囲を見る。

 

そこには。

 

今まで戦ってきた怪獣たちがいた。

 

誰も動かない。

 

ただ。

 

俺を見ている。

 

敵意。

 

警戒。

 

そして。

 

認めたような視線。

 

そうか。

 

分かった。

 

今日で終わりだ。

 

十年間続いた争いも。

 

誰が上か分からない時代も。

 

俺は一歩前へ出る。

 

そして。

 

「GRAAAAAAAAAAAAAAAAAAR!!」

 

吠える。

 

これは勝利の咆哮。

 

そして。

 

新たな王の誕生を告げる咆哮。

 

俺が。

 

この地球の怪獣王だ。

 

――――――――――――――――――

 

そこには二匹の怪獣がいた。

 

一匹は。

 

身体中を傷だらけにしながらも立ち続ける怪獣。

 

もう一匹は。

 

最後まで王に挑み続けた怪獣。

 

周囲には無数の死骸。

 

三つ首の宇宙怪獣。

 

巨大な翼竜。

 

昆虫のような怪獣。

 

数え切れないほどの命が散っていた。

 

まさに死屍累々。

 

しかし。

 

最後に立っていた者は一匹だけだった。

 

怪獣は天を見上げる。

 

そして。

 

世界へ告げるように咆哮する。

 

《GRAAAAAAAAAAAAAAR》

 

その瞬間。

 

怪獣王が誕生した。

 

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