原初のヴィラン"ゴジラ"   作:あいあいしか勝たん

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本編前4

# 《ゴジラ-1.0編》

 

――――――――――――――――――

 

1946年。

 

夏。

 

ビキニ環礁。

 

米軍による核実験。

 

クロスロード作戦。

 

人類は、その日。

 

自分たちが何を起こしたのか理解していなかった。

 

海の底。

 

遥かな深海。

 

そこには眠っていた。

 

遥か昔から生き続け。

 

幾つもの時代を超え。

 

弱肉強食の世界で頂点に立ち続けた存在。

 

怪獣。

 

その王。

 

彼らは知らなかった。

 

核の光が。

 

ただの実験ではなく。

 

王を目覚めさせる鐘になることを。

 

――――――――――――――――――

 

………………。

 

……ん?

 

ここ……どこだ?

 

目を開ける。

 

暗い。

 

冷たい。

 

何か。

 

懐かしい。

 

「……」

 

何かを思い出せそうな気がする。

 

でも。

 

掴もうとした瞬間。

 

霧みたいに消えていく。

 

……まあいい。

 

今は。

 

そんなことより。

 

「……」

 

身体の奥から湧き上がる。

 

飢え。

 

怒り。

 

破壊衝動。

 

暴れたい。

 

ただ、それだけ。

 

俺はゆっくり動き出す。

 

海底が揺れる。

 

眠っていた巨大な身体が目を覚ます。

 

周囲の生物が逃げ惑う。

 

当然だ。

 

俺は。

 

俺こそが。

 

この海の王だから。

 

――――――――――――――――――

 

1947年。

 

日本。

 

戦後。

 

アメリカの艦船や潜水艦が相次いで謎の被害を受ける。

 

巨大生物の存在。

 

その可能性。

 

米国は日本政府へ警告する。

 

しかし。

 

世界情勢の問題から直接介入は避けられた。

 

そして。

 

日本へ託された。

 

戦後初めての脅威。

 

怪獣。

 

ゴジラ。

 

――――――――――――――――――

 

海。

 

広い。

 

だが。

 

感じる。

 

これは俺の場所だ。

 

俺の縄張り。

 

知らない奴らがいる。

 

鉄の塊。

 

小さい。

 

弱い。

 

だが。

 

妙に腹が立つ。

 

「……」

 

邪魔だ。

 

全部。

 

壊す。

 

俺の中にある何かが叫ぶ。

 

排除しろ。

 

奪われる前に。

 

消せ。

 

――――――――――――――――――

 

「新生丸」。

 

巨大生物によって破壊された船舶を発見。

 

その直後。

 

海面が盛り上がる。

 

巨大な影。

 

黒い背びれ。

 

海を割りながら現れる存在。

 

人間たちは恐怖する。

 

だが。

 

ゴジラは違った。

 

ただ見ていた。

 

敵か。

 

それとも。

 

縄張りに入った獲物か。

 

そこへ。

 

重巡洋艦「高雄」が到着する。

 

砲撃開始。

 

轟音。

 

爆炎。

 

しかし。

 

ゴジラは止まらない。

 

「……」

 

痛い。

 

少しだけ。

 

本当に少しだけ。

 

だが。

 

怒りの方が大きい。

 

俺へ向けて攻撃する。

 

俺の海で。

 

俺に。

 

「……」

 

許さない。

 

ゴジラは口を開く。

 

青白い光が集まる。

 

次の瞬間。

 

海と空を裂く一撃が放たれた。

 

放射熱線。

 

それは。

 

人類が初めて見る。

 

怪獣王の力だった。

 

 

 

# 《ゴジラ-1.0編》

 

## 銀座

 

街。

 

小さい。

 

脆い。

 

だが。

 

妙に騒がしい。

 

俺は海から上がる。

 

足元で何かが逃げていく。

 

小さな生き物。

 

人間。

 

前にも見たことがある。

 

弱い。

 

本当に弱い。

 

だが。

 

なぜか。

 

俺を見る目だけは覚えている。

 

恐怖。

 

絶望。

 

怒り。

 

色んな感情が混ざっている。

 

……。

 

まあいい。

 

ここも俺の縄張りになる。

 

邪魔するなら。

 

壊すだけだ。

 

ドスン。

 

ドスン。

 

歩く。

 

建物が崩れる。

 

鉄の塊が向かってくる。

 

またか。

 

小さい奴ら。

 

学習しないな。

 

俺は口を開く。

 

青白い光。

 

一瞬。

 

世界が白く染まる。

 

次の瞬間。

 

目の前の全てが消えた。

 

「……」

 

静かになった。

 

やっぱり。

 

これが一番楽だ。

 

――――――――――――――――――

 

人間たちは必死だった。

 

戦争で焼けた街。

 

失ったもの。

 

それでも。

 

もう一度立ち上がろうとしていた。

 

そこへ現れた。

 

怪獣。

 

ゴジラ。

 

人類には。

 

兵器も。

 

軍隊も。

 

十分な力もない。

 

それでも。

 

彼らは諦めなかった。

 

そして。

 

一つの作戦を立てる。

 

海神作戦。

 

――――――――――――――――――

 

「……」

 

何だ?

 

妙だ。

 

海へ戻った俺の周囲。

 

いつもと違う。

 

何かいる。

 

小さい。

 

だが。

 

大量に。

 

警戒する。

 

その瞬間。

 

身体に何かが巻き付く。

 

「……?」

 

これは。

 

何だ。

 

動きづらい。

 

力を込める。

 

だが。

 

外れない。

 

「……」

 

初めてだった。

 

俺の力で。

 

簡単に壊せないもの。

 

さらに。

 

身体が沈む。

 

海底へ。

 

深く。

 

深く。

 

「……!」

 

圧力。

 

身体が押される。

 

今まで感じたことのない感覚。

 

痛い。

 

いや。

 

違う。

 

苦しい。

 

俺は暴れる。

 

海が荒れる。

 

だが。

 

人間たちは止まらない。

 

俺を倒すため。

 

俺を沈めるため。

 

命を懸けている。

 

「……」

 

理解できない。

 

なぜだ。

 

弱いのに。

 

なぜ向かってくる。

 

俺より遥かに小さいのに。

 

なぜ諦めない。

 

その時。

 

身体が急に浮き上がる。

 

今度は逆。

 

引っ張られる。

 

深海から。

 

一気に。

 

海面へ。

 

「――!!」

 

身体がおかしい。

 

何だ。

 

これは。

 

内側から壊れる。

 

再生が追いつかない。

 

痛み。

 

苦しさ。

 

初めて感じる。

 

死。

 

その言葉が。

 

頭をよぎった。

 

――――――――――――――――――

 

「まだだ。」

 

人間たちは叫ぶ。

 

「ここで終わらせる!」

 

最後の一手。

 

震電。

 

小さな機体。

 

だが。

 

そこに乗る人間の覚悟は。

 

今まで戦ったどんな怪獣よりも強かった。

 

爆発。

 

衝撃。

 

身体が揺れる。

 

「……」

 

力が抜ける。

 

海へ沈む。

 

身体が崩れていく。

 

終わる。

 

そう思った。

 

――――――――――――――――――

 

……。

 

……。

 

……。

 

「……?」

 

目を開ける。

 

まだ生きている。

 

俺は。

 

まだ。

 

死んでいない。

 

だが。

 

何かが変わった。

 

身体の奥。

 

細胞。

 

そこに。

 

新しい何かが生まれている。

 

人間は知らない。

 

あの時。

 

俺の近くにいた者たちも。

 

あの黒い痣を持つことになることを。

 

そして。

 

俺の細胞が。

 

この世界を変えることになることを。

 

 

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