# 《シン・ゴジラ編》
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2016年。
11月3日。
東京湾。
異変は突然始まった。
無人のプレジャーボート。
大量の水蒸気。
海底から発生した謎の熱源。
政府は当初、それを自然現象だと判断した。
海底火山。
熱水噴出孔。
そう。
考えられる範囲の現象。
しかし。
人類は知らなかった。
海の底には。
まだ終わっていない存在がいることを。
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「……」
暗い。
まただ。
この感覚。
冷たい。
重い。
長い眠りから目覚める感覚。
俺は。
何度目だろう。
目を開ける。
……。
何かがおかしい。
身体が重い。
違和感がある。
俺はゆっくり動く。
海底が揺れる。
周囲の生物が逃げていく。
当然だ。
俺が目覚めたのだから。
……。
なのに。
何だ?
この感じ。
前とは違う。
身体の奥。
細胞。
何かが動いている。
変化している。
まるで。
俺自身が。
俺の知らない方向へ進化しているような。
「……」
まあいい。
考えるのは後だ。
今は。
腹が減った。
そして。
感じる。
陸地。
大量の気配。
人間。
鉄。
機械。
昔と同じ。
俺の縄張りへ入っている。
「……」
またか。
人間。
本当に懲りないな。
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東京湾。
異常事態発生。
海面が盛り上がる。
巨大な影。
長い尾。
人類が初めて見る姿。
しかし。
それを見た一部の人間は気付く。
「……ゴジラ?」
過去の記録。
戦後に現れた怪獣。
黒い身体。
放射能。
熱線。
だが。
目の前の存在は。
同じ名前を持ちながら。
何かが違った。
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「巨大生物を確認!」
「上陸します!」
人間たちは慌てる。
だが。
俺は気にしない。
小さい。
弱い。
昔と同じだ。
俺は海から進む。
邪魔なものを押し退ける。
すると。
身体が変わる。
「……?」
違和感。
足。
骨格。
筋肉。
変化している。
歩き方が変わる。
身体が。
環境に合わせて作り変えられている。
「……」
何だこれ。
俺は。
俺自身を更新している?
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人間たちは混乱する。
予測できない。
理解できない。
攻撃すれば変化する。
逃げれば追ってくる。
倒せない。
止められない。
それは。
かつての怪獣王とは違う恐怖だった。
だが。
俺にも分からない。
なぜ。
俺は変化する。
なぜ。
俺は進化する。
そして。
なぜ。
この身体は。
もっと強くなろうとしている。
「……」
面白い。
久しぶりだ。
こんな感覚。
モンスターバースの怪獣たち。
ギドラ。
コング。
あいつらとは違う。
こいつは。
敵というより。
俺自身の可能性だ。
俺は東京へ向かう。
進化するために。
戦うために。
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人類はまだ知らない。
この出会いが。
ただの怪獣災害ではないことを。
ゴジラ。
その存在そのものが。
新しい生命の形へ向かっていることを。
# 《シン・ゴジラ編》
## タバ作戦
東京。
人間の巣。
昔も。
今も。
変わらない。
小さい建物。
小さい乗り物。
小さい生き物。
それでも。
数だけは多い。
俺は街を進む。
ドスン。
ドスン。
その度に大地が震える。
「……」
妙な感じだ。
昔なら。
ここまで来れば終わりだった。
人間たちは逃げる。
怪獣を恐れる。
それが普通だった。
だが。
今回は違う。
遠くから大量の気配。
鉄。
火薬。
機械。
そして。
殺意。
「……」
来るか。
人間。
俺は立ち止まる。
川。
その向こう。
大量の兵器が並んでいる。
戦車。
航空機。
ミサイル。
昔とは比べ物にならない。
「……」
少しだけ。
楽しみだった。
久しぶりの戦いだ。
俺は口を開く。
……いや。
待つ。
先に来るのは向こうだ。
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自衛隊。
全部隊投入。
多摩川。
ここを防衛線とする。
作戦名。
タバ作戦。
人類は知っている。
目の前の存在が。
普通の生物ではないことを。
だから。
持てる全てを叩き込む。
戦車砲。
ミサイル。
航空攻撃。
一斉攻撃。
轟音。
爆炎。
東京の空が埋まる。
しかし。
煙が晴れた時。
そこにいた。
無傷の怪獣。
「……」
弱い。
そう思った。
だが。
違った。
昔とは違う。
こいつらは。
俺を倒そうとしている。
本気で。
その事実だけは理解できた。
俺は一歩進む。
攻撃を受けながら。
ただ歩く。
止まらない。
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人間たちは絶望する。
効かない。
何を撃っても。
何をぶつけても。
傷一つ付かない。
それは。
怪獣王を知る者なら理解できる光景。
だが。
次の瞬間。
俺の背びれが光る。
「……」
懐かしい。
この感覚。
昔。
何度も使った。
敵を焼き尽くす力。
放射熱線。
ただ。
今の身体は違う。
熱が。
エネルギーが。
全身を巡る。
背中。
尾。
口。
全てが。
武器になる。
「……」
人間たち。
悪いな。
俺は昔から。
手加減が苦手なんだ。
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政府は見た。
怪獣の背中が発光する。
次の瞬間。
世界が静かになった。
口から放たれる。
一本の光。
放射熱線。
それは。
ただの攻撃ではなかった。
東京を切り裂く光だった。
ビルが消える。
道路が消える。
空気が燃える。
一瞬で。
人類は理解した。
今まで戦っていたものが。
ただ巨大な生物ではないことを。
災害。
いや。
それ以上。
「神」
そう表現するしかない存在。
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俺は周囲を見る。
静かになった。
やっぱり。
これが一番早い。
……。
だが。
妙だ。
身体が熱い。
力を使った反動。
違う。
これは。
進化だ。
俺の身体が。
また変わろうとしている。
「……」
面白い。
この世界の俺は。
どこまで行く?
俺は空を見る。
敵はいない。
だが。
まだ終わっていない。
人間たちは。
まだ諦めていない。
「……」
いいだろう。
来い。
俺も。
まだ見せていない力がある。
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人類は知らなかった。
怪獣が。
戦いながら進化していることを。
そして。
この進化こそが。
最後の戦いへ繋がることを。