# 《シン・ゴジラ編》
## ヤシオリ作戦
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東京。
静まり返った街。
俺はそこにいた。
動けない。
いや。
動いていない。
身体が重い。
まるで。
自分の意思とは関係なく。
眠りにつかされているような感覚。
「……」
妙だ。
何かがおかしい。
俺は倒れている訳じゃない。
傷ついている訳でもない。
なのに。
身体が動かない。
その時。
遠くから音が聞こえた。
小さい。
本当に小さい音。
鉄の塊。
人間。
また来たのか。
「……」
もういいだろ。
何度来ても。
俺は――
そこで。
違和感に気付く。
攻撃じゃない。
これは。
戦い方が違う。
俺を倒そうとしているんじゃない。
俺を止めようとしている。
「……」
人間。
お前ら。
まだ諦めていなかったのか。
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無人列車。
爆薬。
建物。
大量の薬剤。
人類最後の作戦。
ヤシオリ作戦。
正面からでは勝てない。
ならば。
戦う場所を変える。
倒せないなら。
止める。
殺せないなら。
眠らせる。
それが。
人類が出した答えだった。
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爆発。
衝撃。
ビルが倒れる。
身体が揺れる。
「……」
鬱陶しい。
だが。
まだ動けない。
さらに。
空から何かが来る。
小さい飛行物。
攻撃。
爆発。
また爆発。
身体の中の力が減っていく。
「……」
なるほど。
そういうことか。
俺の力を削っている。
今まで戦った奴らとは違う。
殴らない。
噛み付かない。
ただ。
俺を分析して。
勝つ方法を探している。
「……」
面白い。
人間。
お前らは。
弱いままじゃなかったのか。
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熱が消える。
身体の奥にあった力が。
少しずつ失われていく。
まずい。
本能が警告する。
動け。
立て。
逃げろ。
でも。
身体は言うことを聞かない。
「……」
嫌な感覚だ。
昔。
ギドラに掴まれた時とは違う。
あれは力比べだった。
あいつは強かった。
だから楽しかった。
でも。
これは違う。
見えないところから。
少しずつ。
確実に。
追い詰められている。
「……」
俺が?
この俺が?
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最後の薬剤が投入される。
身体が冷えていく。
固まる。
動かない。
「……」
嘘だろ。
俺が。
止められる?
怪獣王が。
人間に?
違う。
まだだ。
まだ戦える。
俺は。
俺は――
「嫌だ。」
声にならない声。
「まだ……」
何もしていない。
モンスターバースで。
戦った。
ギドラを倒した。
コングと戦った。
王になった。
それでも。
まだだ。
まだ俺は。
ゴジラとして。
やり切っていない。
こんなところで。
終われるか。
「動け……」
身体よ。
動け。
頼む。
まだ。
まだ――
だが。
身体は動かない。
視界が暗くなる。
意識が沈む。
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人類は成功した。
ゴジラ凍結。
作戦終了。
誰も知らない。
その瞬間。
怪獣の内部で。
何かが変化していたことを。
細胞が。
遺伝子が。
新しい可能性を探していたことを。
そして。
ゴジラ自身も知らなかった。
この敗北が。
終わりではないことを。
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…………。
……。
「……」
暗い。
冷たい。
またか。
またこの感覚か。
でも。
今回は違う。
俺は。
まだ生きている。
なら。
次こそ。
次こそは。
俺は。
俺は――
もっと強くなる。
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人類は知らなかった。
ゴジラを止めたと思った。
しかし。
本当の意味で。
ゴジラの進化を止めることは。
誰にもできなかった。
# 《シン・ゴジラ編》
## 凍結のその先
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静寂。
音がない。
動けない。
身体は完全に止まっている。
外から聞こえるものはない。
人間の声も。
兵器の音も。
何も。
ただ。
暗闇だけがある。
「……」
俺は考える。
今まで。
こんな時間はなかった。
いつも戦っていた。
怪獣と。
人間と。
自分自身と。
でも。
今は何もない。
だから。
初めて気付いた。
俺は。
ずっと走り続けていたんだ。
王として。
強者として。
負けない存在として。
「……」
でも。
本当にそれだけだったのか?
ギドラとの戦い。
あいつは俺より強かった。
コング。
あいつは俺を倒すために何度も立ち上がった。
人間。
あいつらは弱いのに。
何度でも向かってきた。
昔の俺なら。
ただ壊して終わりだった。
でも。
今は違う。
俺は知っている。
この星には。
俺以外にも。
生きようとする者がいる。
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身体の奥。
何かが動く。
細胞。
遺伝子。
俺にも理解できない何か。
シン・ゴジラ。
あの姿。
あの進化。
あいつは。
ただ強くなったんじゃない。
生き残るために変わった。
なら。
俺も。
「……」
変わるべきなのかもしれない。
ずっと昔。
俺はゴジラになった。
そして。
怪獣王になった。
でも。
まだ終わりじゃない。
俺は。
まだ知らない。
この世界のことを。
まだ見ていない。
戦っていない相手がいる。
なら。
ここで終わる訳にはいかない。
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外。
人間たちは復興を始める。
ゴジラは止まった。
そう思っている。
しかし。
誰も知らない。
凍った身体の内部で。
生命活動が続いていることを。
誰も知らない。
王が。
眠っているだけだということを。
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「……」
意識が薄れる。
また眠る。
だが。
今までとは違う。
怖くない。
昔なら。
力を失うことを恐れていた。
負けることを恐れていた。
でも。
今は違う。
次に目覚めた時。
俺は。
もっと強くなっている。
もっと。
俺らしくなっている。
「……」
待ってろ。
次の世界。
次の敵。
次の戦い。
俺は必ず――
帰ってくる。
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そして。
人類は知らなかった。
ゴジラという存在が。
ただの怪獣ではないことを。
破壊だけを求める存在ではないことを。
長い時を生き。
戦い。
敗北し。
それでも進化し続ける。
一つの生命であることを。
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深海。
凍結した巨大な影。
その身体の奥。
小さな光が灯る。
青い光。
放射能ではない。
もっと別の何か。
新たな進化の兆し。
そして。
怪獣王は。
次なる時代へ向けて眠りについた。