冒険に脳を焼かれたスグリ(旧題もしも幼スグリがアデクと出会っていたら)   作:すぺしうむ

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第12話

 

息を整え、繰り出したブラッキーの背を見つめる。

今のところ判明しているネモの手持ちは、ウェーニバル、ヌメルゴン、ミミズズ。

うちウェーニバルは戦闘不能なので残りは9割は削れているヌメルゴンとミミズズ。

そして不明で体力も万全な状態が3体。

しかし、マリルリ相手に交換してこなかったので、マリルリは温存しておきたい。

だとして、自分が次に何をすべきか。

 

「ヌメルゴン、ドラゴンクロー!」

 

やはり物理技で攻めてきたか。

りゅうせいぐんは一撃こそ強いけど、継戦の場面では弱い。

ブラッキーの様子を見るに、ドラゴンクローは耐えれて3発程度。

 

「ブラッキー、どくどく!」

 

ヌメルゴンをどく状態にして、確実に戦闘不能にさせる。

一部では嫌われている戦術だけれど、チャンピオン相手に出し惜しみはしない。

どくどくによってヌメルゴンの体力は削られ、地に伏せた。

これで残りは4体。

 

「ありがとう、ヌメルゴン。どう?調子は戻ってきた感じ?」

 

「うん。こっからおれが巻き返す!」

 

「いいね。バトルはこうでなくっちゃ!!お願い、パーモット!」

 

パーモット。

以前に辛酸をなめさせられた相手。

 

「パーモット、インファイトで押し込んで!」

 

やはり行動が速い。

パーモットの連打が轟く。

ここはブラッキーの耐久を信じるしかない。

 

「!?わやじゃ!よく耐えたべ!」

 

「うそ!絶対決まったと思ったのに」

 

...なるほど、こいつの性格はずぶとい。

だからギリギリ耐えることができたのか。

インファイトによってパーモットのぼうぎょ、とくぼうが一段階下がる。

だったら、

 

「ブラッキー、もう一回どくどく!」

 

パーモットをもうどく状態に。

もうどくは時間がたつにつれてダメージが膨らんでいく。

なら、ここですこしでも時間を稼いで後ろのポケモンたちにつなげるんだ。

 

「パーモット、もう少しだよ!マッハパンチ!」

 

「ブラッキー、まもる」

 

まもるによってパーモットのマッハパンチが防がれた。

もうどくによってパーモットの体力がさらに削られる。

十分仕事をしてくれたといえるだろう。

 

「頑張って、パーモット!マッハパンチ!」

 

「ありがとう、ブラッキー。お前の頑張り、無駄にしない!」

 

俺の手持ちで残りは万全のルカリオと、半分強ほどのマリルリ。

たいしてネモは不明が2匹と残り半分のパーモット、2割程度のミミズズ。

 

「いってこい、ルカリオ!」

 

こいつなら、残り半分のパーモットを戦闘不能にできる。

 

「ルカリオ、しんそく」

 

目にもとまらぬほどの速さの一撃がパーモットへと届く。

しんそくはマッハパンチよりも優先度が高い。

かつ、ルカリオのパワーなら手負いのパーモットを倒せる。

手持ちの技をもう一度組みなおして正解だった。

 

「パーモット、お疲れ様。...すごい。私のポケモンがどんどん倒されていく!」

 

ネモがうれしそうにその場で飛び跳ねる。

はじめてのゲーム機を買ってもらった小さい子のようだ。

 

「でも、私だって負けないよ!」

 

「...おう。おれもこっからが本番だ」

 

「ルガルガン、行っておいで」

 

確かこの前のバトルでインファイトを繰り出してきた。

ルカリオの脆さなら一撃で倒れてしまうのもやむを得ないだろう。

それでなくてもじしんなんかの技で倒されてしまうことだってある。

だったら答えは1つ。

 

「ルカリオ、バレットパンチ。少しでもマリルリに繋げろ!」

 

すばやさで負けている現状、これしかない。

こうかはばつぐんなので8割とまではいかずとも、6割5分程度はダメージを与えたはずだ。

だったら残りのマリルリで決めきれる。

 

「ルガルガン、じしん!」

 

じめんタイプの大技、じしん。

ぼうぎょととくぼうが下がるのを警戒したんだろう。

隆起したじめんにルカリオが大きく投げ飛ばされ、戦闘不能に。

 

「...これが、おれの全力だ。踏ん張れ、マリルリ!」

 

出会ったのはつい先日。

しかし、今この瞬間の勝ちたいという思いは、目の前のこいつとシンクロしている。

心臓が高鳴り、体が燃えつきそうなぐらい熱い。

 

「マリルリ、アクアジェット!」

 

水をまとった高速の体当りがルガルガンへと突き刺さる。

ちからもち+こうかはばつぐんによる一撃のため、当然ダウン。

これで残りは2匹でうち1匹は9割削られている。

次に出すポケモンでこの勝負が大きく左右されるだろう。

 

「...もう少しだよ、ミミズズ!」

 

来たのは重症のミミズズ。

アクアジェットで倒しきれるかはギリギリのライン。

しかし、すばやさでは負けているし、ばかぢからではこうげきが一段階下がるので、次のポケモンが何かによっては、自分の首を絞めることになる。

一か八か、俺とこいつの全部をのせて

 

「吹っ飛ばせ、アクアジェット!いっけええええ!!!」

 

喉がはち切れんばかりに、声を張り上げる。

その思いが天...いや、マリルリに届いたのか、

 

「ミミズズ...!?」

 

最初のシャンデラのかえんほうしゃ。

あれがなければ今のアクアジェットで倒しきれていなかった。

それだけじゃない。

ヌメルゴン、オオタチ、ブラッキー、ルカリオ。

みんながつないでくれたバトン、ここで落とすわけにはいかない。

俺とマリルリでゴールまで届ける!

 

「...いよいよ、最後の1匹かー。私今、すっごく楽しい!」

 

「おれも」

 

「だから、私も出し切るね。ノココッチ!!」

 

最後に出たのはノコッチの進化系、ノココッチ。

ノーマルタイプのたいりょくとこうげきが高いポケモン。

ばかぢからで倒しきれるだろうか。

 

「ノココッチ、ハイパードリル!」

 

ドリルのように回転した尻尾による攻撃。

一撃なら耐えられるだろうけど、次はないと考えた方がいい。

 

「マリルリ、ばかぢから!」

 

かくとうタイプによる猛烈な打撃。

しかし、ピンピンとはいかないものの耐えきって見せた。

次のアクアジェットでこの勝負を終わらせる。

 

「マリルリ、アクアジェット!」

 

先制で放つ水をまとった体当り。

しかし

 

「えッ...」

 

それでもなお、よろよろと立ち上がる。

ばかぢからでこうげきが一段階下がったせいで耐えきれたのか。

絶望という暗雲がさす。

 

「さすがだよ、ノココッチ!もう一度ハイパードリル」

 

再度、高速回転した尻尾がマリルリを襲う。

...目の前が真っ暗に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ならない!!

マリルリがプルプルと短い両足で立ち上がる。

驚愕でつい、口があんぐりと開いてしまう。

それにしてもどうして...

 

「そいや、オボンの実持たせてた」

 

最初の一撃をくらった後に、俺の気が付かぬうちに食べていたのか。

これは嬉しすぎる誤算!

 

「これで最後!マリルリ、アクアジェット!」

 

今度こそ、ノココッチは倒れ伏した。

 

「勝った?」

 

そう、俺の勝ち。

その事実に安堵し、足腰から力が抜ける。

立っていられず、その場でしりもちをつき、背中から仰向けに倒れこんでしまった。

 

「ニヘヘ」

 

嬉しくてつい、笑みがこぼれてしまう。

それをのぞき込む人が一人。

 

「大丈夫?」

 

「うん。勝ったと思ったら力抜けちゃった」

 

「あはは。最後とか必死だったもんね。...すごいよ。私本気だったもん」

 

「...でも、テラスタルなしじゃ。あったら多分負けてた」

 

そんな気がする。

ありとなしの経験の差が出てくるだろう。

 

「ネモは、満足できた?」

 

考えもなしについそんなことが口から出てきてしまう。

 

「満腹...とは言いづらいけど、でもほんとに楽しかった。もっとやろうよ」

 

「アハハ、ちょっと休憩で」

 

一息つき、空を眺める。

そういえば、バトルの途中なんかとんでもないようなことを口走っていたような。

 

「そういえば、スグリの言ってた大好きな人って」

 

「いや、あの、やめてほしいべ」

 

そういえばそんなこと言ってた。

恥ずかしさで顔が熱くなる。

なんだか締まらないなあ。

 






最終戦績

シャンデラ 撃破なし
ヌメルゴン 撃破なし(9割削り)
オオタチ  撃破なし
ブラッキー 1体撃破
ルカリオ  2体撃破
マリルリ  3体撃破


蛇足:感想乞食です
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