冒険に脳を焼かれたスグリ(旧題もしも幼スグリがアデクと出会っていたら)   作:すぺしうむ

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第20話

 

四天王戦を踏破した先。

パルデアリーグの頂上のバトルコート。

その先に彼女は佇んでいた。

 

「ようこそ、スグリさん」

 

トップのオモダカさん。

勝てるかどうかはわからない。

心臓が大きく、そして早く鼓動する。

 

「まさか、こんなに早くここに来るとは。あなたをお誘いしてよかった」

 

華奢な体から出る異様な威圧感。

 

「最終テストは、トップチャンピオンであるオモダカとの勝負。これに勝利すればはれて合格です。...しかし、残念ながら私、手加減はできない性分ですので」

 

手加減なんてむしろ邪魔だ。

全力でつぶしに来てほしい。

こっちも全身全霊で相手するから。

 

「それでは、準備はよろしいでしょうか?」

 

「はい」

 

「...貴方の才、見定めさせていただきます!」

 

最終バトル、オモダカさんとの決戦。

先発は。

 

「頼むぞ、ルカリオ!」

 

いつもとは違う装飾をまとったルカリオを出す。

 

「...飾り?まさか...クレベース!」

 

こおりタイプのクレベース。

ぼうぎょが特別高く、今のルカリオの技構成ではこうかばつぐんをとれても相性不利か。

 

「ルカリオ、戻れ。シャンデラ、頼んだ!」

 

クレベースのとくぼうなら、シャンデラの炎で溶かせる。

 

「クレベース、じしんです」

 

さすがに交換するのを読まれていたのか、あっさりばつぐんのじめん技を出された。

しかし、次のシャンデラの攻撃で、クレベースは倒せる。

 

「シャンデラ、かえんほうしゃ!」

 

業火に身を包まれるクレベース。

だが、倒れることはなかった。

 

「な、なんで!」

 

「クレベース、もう一度じしんです」

 

シャンデラ、戦闘不能。

理解が追い付かない。

どうしてクレベースは立っていられる?

 

「...クレベースの隠れ特性はがんじょうですよ」

 

本来のポケモンが持つとくせいとはちがう、低確率のとくせい。

まさかそんなポケモンを使ってくるとは。

 

「だったら、ブラッキー!」

 

イカサマで削りきって、次のポケモンの出方を考える!

 

「イカサマ!」

 

残りの体力も少なかったのか、特に抵抗もなく倒れた。

 

「クエスパトラ」

 

エスパー単タイプのクエスパトラ。

ブラッキー相手に出してくるなんて、なめているのか作戦なのか。

 

「マジカルシャイン!」

 

さすがに持ち前のすばやさでつぶしに来たか。

フェアリー技はそうなんども受けきれない。

もってあと2発か。

 

「イカサマ!」

 

クエスパトラのこうげきはそこまで高くないので、あと1発か、2発は必要だ。

なら少しずつ喉元をえぐっていって倒せばいい。

 

「クエスパトラ、リフレクター」

 

ぶつり技を半減する壁。

ならこっちもそのままの作戦で行かせてもらう。

 

「ブラッキー、どくどく」

 

もうどくでじわじわとダメージを入れていく。

五月雨、石を穿つ!

 

「ふむ。クエスパトラ、マジカルシャイン」

 

「まもるで防げ!」

 

あと少し、次を入れられればこっちの勝ちだ。

 

「クエスパトラ、マジカルシャイン」

 

さすがにあと一発はしんどそうだ。

ブラッキーの足取りがおぼつかない。

 

「頑張れ、ブラッキー。イカサマ!」

 

とどめと言わんばかりに、放たれるあく技。

クエスパトラ、ダウン。

 

「うし、いいぞ!」

 

なんとか戦闘不能には追い込めたが、残り5体のうち、目の前のブラッキーは重症。

このまま押し切るには無理がある。

かといって一度ひっこめるのもさっきのクレベースしかり、ミスにつながりかねない。

 

「ゴーゴート、お願いします」

 

くさタイプのこうげきと体力が多いゴーゴート。

こいつなら今のブラッキーを押し返せると判断したのか。

 

「ゴーゴート、じゃれつく」

 

「ブラッキー!」

 

さすがに体力が持たなかったのか、ブラッキーが戦闘不能に。

こうかばつぐんを何度も食らえば仕方がない。

むしろここまでよく仕事をしてくれた。

 

「ありがとう。...まだまだ、オオタチ!」

 

今のところ残りのポケモンは、オオタチ、ヌメルゴン、マリルリ、ルカリオ。

向こうは今バトルコートにいるゴーゴートを含めて残り4体。

 

「オオタチ、おかたづけ!」

 

一度こうげきを上昇させて、そのままれいとうパンチで殴り倒す。

 

「ゴーゴート、ビルドアップ」

 

向こうもこれを読んでいたのか、こうげきとぼうぎょを上昇させた。

こうげきは兎も角、ぼうぎょをあげられたら鼬ごっこだ。

さっさとれいとうパンチで倒した方がいいかもしれない。

 

「オオタチ、れいとうパンチ」

 

こおりの拳が炸裂。

目視でおそらく4割ほどのダメージか。

リフレクターによって半分まで威力を抑えられたので、あと2発は打たないと倒しきれない。

 

「ゴーゴート、ウッドホーン」

 

くさタイプの回復兼ぶつりこうげき技!

メガホーンかしねんのずつきかと思っていたらタイプ一致の技。

残り6割の体力が8割ほどまで回復されてしまった。

一度ヌメルゴンかルカリオに交換するか?

いや、むしろそれを読まれてこうげきしてくる可能性がある。

 

「オオタチ、れいとうパンチ」

 

再度こおりタイプのぶつり技。

残り体力は半分以下まで削ってくれたんだが...

 

「ゴーゴート、ウッドホーン」

 

またウッドホーン。

オオタチもこうげきが一段階上昇したぶつり技を耐えきれず、地に伏す。

 

「お疲れさま」

 

倒れたオオタチをボールの中に戻し、一度頭を整理する。

次に出すべきはだれか、向こうは何を使ってくるのか。

まずマリルリは相性を考えると出せない。

それを踏まえるとヌメルゴンかルカリオ。

ゴーゴートのじゃれつくなら、ヌメルゴンは2発は耐えきれるし、かえんほうしゃなら上がったぼうぎょも意味がない。

 

「...ヌメルゴン、頼んだ」

 

ヌメルゴンもやる気満々のようである。

一進一退の攻防。

ここを乗り切って次のポケモンを引っ張り出す。

 

「ヌメルゴン、かえんほうしゃ!」

 

とくしゅほのお技のド定番。

倒しきってくれ。

 

「...ゴーゴート、よくやってくれました」

 

「うし!いいぞ、ヌメルゴン!」

 

俺の声に呼応するようにヌメルゴンが咆哮する。

 

「ミガルーサ、出番です」

 

みず・エスパーのミガルーサ。

きゅうしょを駆使してのトリッキーな攻撃ができるんだったか。

ならそれをされる前にでんきわざでつぶせばいい。

 

「ヌメルゴン、10万ボルト!」

 

命中と威力の安定している10万ボルトで、とっととご退場いただこう。

 

「ミガルーサ、こおりのキバ」

 

すでにボロボロのように見えるが、なんとかこうかばつぐんの技を放ってきた。

しかし、ヌメルゴンならあと一発は...!?

 

「ヌメルゴン!?」

 

体全体が凍り付き微動だにしない。

まさかここでこおり状態を引き当ててきたか。

 

「おや、これはラッキーですね」

 

「...不味いべ」

 

「ミガルーサ、こおりのキバ」

 

「ヌメルゴン!」

 

こおりの中でなんとか藻掻こうとする意志は見えるが、どうにもできない様子だ。

一気に作戦が瓦解してしまった。

 

「ミガルーサ、とどめのこおりのキバ」

 

凍り付いた中で、ヌメルゴンが目を回す。

こおり技を何度も受け、ついに体力の限界が来てしまった。

ヌメルゴン、戦闘不能。

残りはマリルリとルカリオ。

ミガルーサはマリルリで削りきれるだろうが、果たして。

 

「マリルリ、頼んだ!」

 

「ルカリオは出してきませんか。ミガルーサ、サイコカッター」

 

きゅうしょで少しでも削ってきたか。

だが、こっちのマリルリはその程度のダメージなら意に介さない。

 

「マリルリ、じゃれつく!」

 

元々ボロボロだったせいかじゃれつくでミガルーサが戦闘不能に。

ヌメルゴンがあと少しの状態まで追い込んでくれていたので、じゃれつく1発で倒せた。

 

「あと2体!ここで終わらせる!!」

 

「ドドゲザン!」

 

キリキザンの進化系であるドドゲザン。

あく・はがねとそこそこのタイプの補完だ。

しかし、それだけじゃない。

こいつの真骨頂はその特性にある。

 

「当然、とくせいはそうだいしょうか」

 

「ええ」

 

そうだいしょうは味方のひんし状態のポケモンの数だけこうげきが上昇する。

向こうは4体がひんし状態で、こっちには手負いのマリルリ。

 

「ドドゲザン、アイアンヘッド!」

 

重厚な金属の頭がマリルリを殴打する。

耐えきれるはずもなく、マリルリがコート外まで吹っ飛ばされた。

 

「ごめん。次はもっといい場面で出す」

 

さて、残り1体。

 

「...最後の1匹となりましたね」

 

「最後?違うな」

 

ボールの中から、出てくるのは。

 

「切り札だよ」

 

チャームを身に着けたルカリオ

 

 

 

...

.....

.......

 

 

チャンピオンテスト前日の夜にさかのぼる。

俺は不安のあまり、懐かしい人に電話をかけていた。

 

『もしもし、コルニですけど』

 

『...あ、スグリ君?久しぶり!全然連絡くれないからどうしたのかと思ったよ』

 

『へー、今パルデアで、チャンピオンテスト!?やるね!』

 

『...そろそろメガシンカできた?』

 

『え?メガシンカってなに?いや、キーストーンとルカリオナイトあげたでしょ?』

 

『お守りじゃないよ!!』

 

『あー、そういえば使い方言ってなかったっけ?ゴメーン』

 

『メガシンカしたら普通のポケモンの100人力になるんだよ!...ふふ、なんてね』

 

『...メガシンカのやり方はね』

 

 

 

.......

.....

...

 

 

キーストーンをはめたグローブを付け、深呼吸する。

ルカリオの背中をじっと見つめていると、こっちを振り返ってきた。

 

「やろうぜ、おれたちで」

 

拳をあわせると、お互いのキーストーンとメガストーンが火花を散らし、共鳴した。

ドクドクと血液が全身を還流し、鼓動が叫びをあげる。

わくわくが止まらない、今ならどんな相手でも倒せそうだ。

 

「いくぜ」

 

服の上から、胸を鷲掴みにしオモダカさんをまっすぐと見つめ。

3回上段の回し蹴りを行い、肺の奥底から大声を出す。

 

「命、爆発!!」

 

左手でキーストーンに触れ、拳を空へと掲げた。

その瞬間、ルカリオがまばゆい光に包まれ、姿かたちを変えていく。

 

「...メガシンカ!!」

 

リオルからの進化とおなじかそれ以上の光がコートを照らした。

光はだんだんと消えていき、中から見たことのない姿のルカリオが見参する。

背中から感じる熱い波動と、絶対に勝ちたいという気高き意志。

メガルカリオがこちらを向き、サムズアップしてきた。

波動のエネルギーには飲まれていない。

 

「まさか、これほどまでとは」

 

驚愕のあまり声が出ないようだ。

ふーっと息を吐き、ドドゲザンとオモダカさんに視線を向け、一言。

 

「勝負はこっからじゃ」

 

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