冒険に脳を焼かれたスグリ(旧題もしも幼スグリがアデクと出会っていたら)   作:すぺしうむ

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ザ・ホームウェイ1

現在、大地のありがたみをかみしめている今日この頃。

途中やばくなりそうな部分はあったが、なんとか全員五体無事でたどり着けた。

孤島や雪原と同じかそれ以上に大自然あふれるエリアゼロ。

 

「...また来ちまったな」

 

「途中、2回は死んだ」

 

ボタンはいいとして、ペパーは思うところがあるんだろう。

雰囲気も少しとげとげしいものになっている。

 

「どうしたの、ミライドン?」

 

アオイが声をかけた時、アギャっと何かに拒否反応を示し、ボールの中に戻っていく。

目が完全に何かに怯えきってた。

 

「自分からボールに戻っていった?」

 

「どうせ腹でも減ってんだろ」

 

ペパーがうーんと少し考え。

ハッと気づいた様子で。

 

「そういや、生徒会長は!?」

 

「みんながぐったりしてるときに、ポケモン探しに行った。遠くには行かねえように言ってある」

 

「ねー、ねー、みんなー!」

 

噂をすれば影が差す。

おれでさえぐったりしていたというのに、元気な方だ。

走り寄ってくる姿はかわいらしいのに、中身はジャンキーである。

 

「エリアゼロ、すっごいの!?早く行こー!」

 

「特性マイペースなん?」

 

「てんねんかもしれねえ」

 

『生体認証確認中、5人ともコンディション、オールクリア。バイタルは正常な数値です』

 

アオイのスマホロトムから博士の声が。

前に言っていた、変なアプリとかいうやつだったか。

 

「ッハ、ずいぶんと快適な着地だったぜ」

 

『それはよかった。現在可能な降下方法は難易度が高いため心配していたのだ』

 

皮肉を言うが、まったく通じていない。

向こうにいるのがアンドロイドだといわれても信じられる。

 

「イヤミ通じてないし」

 

「ア、アハハ」

 

「難易度高いなら、先に言ってほしかったべ」

 

「ご、ご心配ありがとうございます」

 

『これから最深部。ボクの待つゼロラボを目指してもらうわけだが、その扉は外部から4つのロックがかかっており、ボクでは開けることができない』

 

「4つのロック」

 

『キミたちには途中に建造されている観測ユニットを4か所巡ってもらう。その施設でロックを解除しながら進んでほしい。では健闘を祈る』

 

勝手に言い切り、スマホロトムが引っ込んでいってしまった。

特に質問なんかはない...いや、ミライドンのことを聞いておけばよかったか。

 

「4つのロックかー。なんかゲームみたいで楽しそう!」

 

一人だけテンションがおかしい。

なんでここまで元気なんだ。

 

「それじゃあ、エリアゼロの奥底目指して、いざ出発!!」

 

目指すは博士がいる最深部。

キリンリキなんかのポケモンも生息しており、環境自体はパルデアとそう変わりはしない。

各々の歩幅で歩みを進める。

 

「ここがパルデアの大穴。その中のエリアゼロ」

 

「なんか感慨深え」

 

「あれ、そういえばミライドンは?」

 

「ボールの中に戻っちゃった」

 

「えー、心配ー」

 

「もしかして、あの子いないと上に戻れん?」

 

「いや、前に来たときはそらとぶタクシーに泣き入れてきてもらった」

 

よく来てくれたな。

本来は立ち入り禁止なのに、学生だから来てくれたんだろうか。

 

「下に博士いるなら頼ればよかったじゃん。仲悪いん?」

 

それをペパー本人に聞くのは非常にまずい。

とくに今のカリカリしているペパーにとってはド地雷だ。

 

「ボ、ボタン、そっから先は...」

 

「うっせえな、お前。調子乗んな」

 

喧嘩勃発!

止められる気がしない。

 

「は?お前っていうな。何キレてんの?」

 

ボタンも案外武闘派なので、売られたものは買う主義だ。

いじめっこをボコボコにした度胸と強さは伊達じゃない。

 

「もー!せっかくの大冒険なんだし、楽しくしようよ!」

 

「そうそう、二人とも落ち着いて?ね?」

 

アオイとネモが静止に入る。

しかし、お互いは依然として険悪なムード。

 

「まあ一旦景色でもみ”」

 

足がもつれ、何もないところで転んだ。

何が恥ずかしいって、俺が喋り始めたので、全員の視線がこっちに集中している。

誰かに介錯を頼みたい。

アオイとネモが肩を震わせ、笑いをこらえている。

こらえるぐらいな思いっきり噴き出してほしい。

 

「ふふ、お前、今何もないところで。アハハ!!」

 

「ちょ、コントやん」

 

険悪なムードが一瞬にして消え去った。

ケガの功名というやつか。

 

「ほらよ、立てるか?」

 

「あんがと」

 

ペパーが手を差し伸べてくれた。

それをつかみ、ゆっくりと立ち上がる。

 

「...なんか馬鹿らしくなっちまった。ボタンだっけか、悪かった。父ちゃんのことってなるとカリカリしちまってな」

 

「こっちこそ、ゴメン。もしかして、深い事情とかあったりする?」

 

アオイがぼそぼそと耳元で話してくる。

急に距離が近くなったので恥ずかしい。

 

「すごいね、スグリ。さっきまで険悪だったのに」

 

「す、すごい?よくわかんねえけど」

 

まったくもって実感がわかない。

というか一番近くのアオイにガン見されたのが一番痛い。

 

「俺、人生で父ちゃんと会ったこと、あんまなくてさ。研究で忙しくて全然帰ってこないし」

 

フトゥー博士についての話をペパーがぽつぽつと話し始めた。

おれは以前に聞いていたけど、今考えてもやっぱりひどいと思う。

その場にいる全員がペパーの話を傾聴している。

 

「つくづく、変な家族だよなー」

 

「や、そんなん。人それぞれだし。ゴメン、ずけずけと踏みこんじゃって」

 

「ハハ。なんだお前いい奴だな」

 

「お前、やめろし」

 

ペパーの話を聞きながら、2年はあっていないであろう人のことを考える。

姉ちゃんは元気にしているだろうか。

たまにメールや電話はしているので、大変な目にはあっていないと信じたいけど。

 

「あ、もしかしてあれじゃない?」

 

ネモが指さした建物を見ると、博士の言っていた、なんだったか

 

もう少しで出てきそうなんだけど。

「満足ナゲット?」

 

「分速ロケットじゃなかったっけ」

 

「...観測ユニットね」

 

男二人が馬鹿な回答をしているのに対して、さらりと答えた。

褒めて遣わそう。

 

「それじゃ。記憶力良いな、ボタン」

 

「いや、こんなん誰でもわかるでしょ」

 

キラリっと何かの鳴き声が聞こえてきた。

視線を向けるとユニットの前に結晶のような物体が。

これは確か、オモダカさんが使っていたポケモン。

 

「キラダカ!いや、オモフロル!」

 

「キラフロルね。トップが使っているポケモンって大穴にいるんだ。アオイ!一緒に戦ってみよっか!」

 

「いいよー!行っておいで、コノヨザル!」

 

「ルガルガン、お願い!」

 

ダブルバトルで向こうは1体。

チャンピオンランク2人よるタコ殴りだ。

なんとも不運なポケモンである。

特に危なげなく勝利し、最終的にアオイがゲットした。

 

「珍しいポケモンいっぱいいるのかなー?」

 

「エリアゼロの恐ろしさはこんなもんじゃねえからな?気を引き締めろよ」

 

それに関してはペパーに同意見。

ここはいわば入口で、ここから先こそ本番。

 

「...それじゃあ、観測ユニットの中に入ろうか」

 

中に入ると、機械まみれ...というほどでもなく、どちらかというと休憩所のような場所だ。

ベッドを触ると、手にホコリが付く。

もう長いこと使われていないんだろう。

 

『無事1つ目の観測ユニットにたどり着けたようだな。87年前、エリアゼロ調査の中継地点として作られた施設だ』

 

「だからベッド...。私たちもつかれたらここで休めそうだね」

 

『では、アオイ。中央のパネルを操作してロックを解除してくれ』

 

「はい。...ポチっとな」

 

...本当に解除されたのか?

こいうのは大体スゴゴゴーンとなんらかの機械が大きな音を立てるものだと思っていたんだけど。

 

『その調子だ。引き続き、残りのユニットもよろしく頼む』

 

できていた。

なんかイメージと違って残念。

あ、またミライドンのこと聞き忘れた。

 

「よし、それじゃ、次行こっか!」

 

次なる観測ユニットを目指す。

急勾配となる坂を転ばないように進んでいた時、不意にペパーが話し始めた。

 

「そういや、昔、父ちゃんに会おうとしたとき、このあたりで見たことない生き物に襲われたんだ」

 

こういう話はネモが真っ先に食いつくだろうな。

 

「え!?どんなポケモン」

 

ほら。

 

「あれはポケモンっていうよりは、凶暴で荒々しい...」

 

「ちょっぴりワイルドめなポケモンなんじゃない?」

 

雪原で出会った、奇妙な生物を思い出してしまう。

 

「いや、全然違えから。生物として別物!マフィティフもそいつにやられて大けがしたんだ。二度と見たくねえヤバい奴なんだよ」

 

ますますあのポケモン?が思い当たる。

しかし、凶暴?

 

「...スグリ、なんか思い当たる部分でもある?」

 

表情に出てしまっていたか。

アオイが俺の顔をのぞき込んできた。

 

「以前にガラルの雪原で、ポケモンなのかポケモンじゃないのかわからない生物を見たことがあってさ。名前は覚えてないんだけど」

 

「そいつ、どんな特徴してた?」

 

「バチンウニみたいな頭に電気コードがついたやつと、頭がミラーボールで首から下がピエロみたいなやつ」

 

「...それ、ほんと?」

 

ボタンがいかにも嘘ついてるだろとでもいいたげな表情でこちらを見てくる。

こいつはそういう類の話は信じないからなあ。

 

「嘘じゃねえ。信じてくんろ!」

 

「喋って探偵やってるピカチュウと同じ。騙されとるよ、スグリ」

 

「ほんとだべ!ペパーもなんか言って!」

 

「そうだぞ、ボタン。スグはピュアなんだ。信じさせてやれ!」

 

「そうだ...いや、違う!それ信じてねえやつ!」

 

アハハとみんなが笑いに包まれる。

最初のピリついていた空気とは違う、暖かいムード。

 

「...そんなに恐ろしいポケモン。早く会いたいね」

 

をすべて台無しにするかの如くジャンキーを見せつけたネモ。

先行き不安しかないが、果たして奥底まで無事にたどり着けるだろうか。

 













これは命令です『感想を書きなさい』パン

蛇足 リアルのポケモンセンターで3万円溶かしました()
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