冒険に脳を焼かれたスグリ(旧題もしも幼スグリがアデクと出会っていたら)   作:すぺしうむ

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第30話

エリアゼロの冒険から一夜明けた今日この頃。

テーブルシティの街並みをしみじみと見つめる。

 

「おれたちがこの平和を守ったんだなあ」

 

アデクさんから旅を勧められた時からは想像もつかない。

だからこそ、そんな自分の全力をアオイにぶつけたい。

遠くから手を振っている人物が見える。

主役のご登場だ。

 

「おう、アオイ。調子はどう?」

 

「ばっちり!」

 

「よっしゃ。ならここでバトルするか?」

 

「うん、しよ!」

 

恋愛感情とか以前の話。

友達として全力でぶつかっておきたい。

どうせもうすぐ向こうに行くんだ。

コートの反対側まで移動し、ボールを構える。

最初に出すのは、相棒で行こう。

 

「オオタチ、行ってこい!」

 

「コノヨザル、お願い!」

 

うーん、じゃれつくがあるとはいえ、相性は悪いか。

かといってかくとう技や、交換を読んでのゴースト技もどっに転んでも痛い。

ならせめてゴーストを無効にしているオオタチで突っ張るしかないか。

 

「オオタチ、じゃれつく!」

 

フェアリーはこうかばつぐん。

このまま押し切る...とはいかず、ばつぐんでも耐えている。

だがあと一発もあれば倒せるはずだ。

 

「コノヨザル、インファイト!」

 

「やっぱり狙ってくるよな!」

 

かくとうタイプの大技。

ここで決めに来たんだろう。

コノヨザルの無数の拳がオオタチにヒット。

ヨロヨロと一度は立ち上がったが、戦闘不能に。

 

「お疲れさん、くそ、早速やられたー!でも、こっから!」

 

お次に出すのは、こいつ。

 

「マリルリ、頼んだ!」

 

みず・フェアリーのこいつなら、コノヨザルを張り倒せる。

 

「うーん、まずいか。一旦戻って、デカヌチャン!」

 

交換してきた。

しかしなぜデカヌチャンなんだろう。

こうかばつぐんの技は覚えるけど、マリルリに対してそこまで強くは出れないはず。

もしや、強く出れるポケモンがいない?

なら、一度交換してデカヌチャンをやり過ごす。

 

「戻れ。シャンデラ、頼んだ!」

 

「くー。デカヌチャン、はたきおとす!」

 

あいにくとこっちは持ち物がない。

だからこうかばつぐんでも特に大きなダメージなし、無問題!

 

「シャンデラ、かえんほうしゃ!」

 

巨大な炎に身を包まれ、デカヌチャンは戦闘不能となった。

これで5VS5で五分五分だ。

 

「...ガブリアス!キミにきめた!」

 

ドラゴン・じめんのめちゃ強ポケモン。

出し渋ったのはそういうことか。

これだとこっちの分が悪いな。

マリルリはできる限り温存しておきたい。

かといってヌメルゴンを出すわけにもいかない。

 

「ガブリアス、じしん!」

 

さすがにシャンデラの素早さは抜いてきたか。

こうかばつぐんでタイプ一致。

シャンデラ、戦闘不能。

こっちは残り4体。

 

「なら、ブラッキー!」

 

あくタイプのこいつのどくどくとイカサマで少しでも削ってつなげる。

 

「ガブリアス、スケイルショット!」

 

連続技のスケイルショットできゅうしょを狙っているのか、それとも。

ヒット数は3回。

しかし、ブラッキーならこれを耐える。

 

「ブラッキー、どくどく!」

 

ガブリアスをもうどく状態にできた。

これでジワジワと追い込ませてもらう。

 

「ガブリアス、もう一度、スケイルショット!」

 

「ブラッキー、まもる!」

 

これで一度は防げた。

素早さは確実に負けているので、次の技でここから先の選択肢は大きく変わってくる。

 

「ガブリアス、じしん!」

 

じめん技での安定したダメージに切り替えてきたか。

だが、俺のブラッキーはそれでも耐える。

生半可な鍛え方はしてないもんで。

 

「ブラッキー、イカサマ」

 

ガブリアスのこうげきの高さはポケモンの中でも上から数えたほうが速い。

その矛を今度は俺が使わせてもらおう。

 

「うぐぐ、ごめんガブリアス、じしん!」

 

「ブラッキー、まもる!」

 

これで残りは僅か。

だが、ブラッキーもそろそろ限界といったところだろう。

 

「ガブリアス、スケイルショット!」

 

弾丸のように放たれる鱗によって、ブラッキーは倒れた。

しかし、向こうももうどくとイカサマのダメージが響いたようで。

 

「ガブリアス...お疲れ様」

 

「さんきゅ、ブラッキー」

 

これでようやっと3体4。

でも、すぐに追いついて見せる。

 

「グレンアルマ、お願い!」

 

「ヌメルゴン、吹っ飛ばせ!」

 

よし、グレンアルマなら素早さは勝ち。

向こうはとくこう主体のポケモンで、こっちはとくぼうの高いポケモン。

 

「ヌメルゴン、りゅうのはどう!」

 

このダメージならあと一発当たれば、倒しきれる。

あとはどれだけ少ないダメージに抑えられるかだ。

 

「グレンアルマ、サイコキネシス!」

 

エスパーの主流技で攻め来たか。

でも、こっちはあと一撃で削りきれる。

 

「ヌメルゴン、りゅうのはどう!」

 

ドラゴンのブレスがグレンアルマを強襲する。

グレンアルマ、戦闘不能。

ようやっと追い付いた。

 

「...よし、マスカーニャ。行っておいで!」

 

コノヨザルじゃなくてマスカーニャを出してきたか。

でも、相性はこっちが完全に有利だ。

いくら素早さで上回っても、パワーでひき潰す。

 

「マスカーニャ、じゃれつく!」

 

こうかばつぐんでも、まだまだ戦えるだろう。

そんな浅はかな想定は、一瞬にして裏切られた。

 

「ヌ、ヌメルゴン!?」

 

なぜか大きなダメージを負い、ボロボロになっている。

きゅうしょに入ったのか?

 

「ヌメルゴン、かえんほうしゃ!」

 

こうかばつぐんを狙ってのかえんほうしゃ。

しかし、高く見積もっても半分ほどしかダメージを与えられていない。

これはどう考えてもおかしい。

もちもの?それとも...とくせいか。

そういえば、ボタンがへんげんじざいがどうのと言っていたような。

ならこのダメージも説明がつく。

 

「へんげんじざいか!」

 

「...正解!?よくわかったね!」

 

だとしたら大失敗だ。

マリルリを早めに出して、誰か一匹でも残しておけばよかった。

出し渋りの癖がここに響いてきたか。

 

「マスカーニャ、もう一度じゃれつく!」

 

だが、これでマスカーニャのタイプは固定された。

もう変わることはない。

ならマリルリで倒してもらおう。

 

「マリルリ、頼んだ!」

 

「マスカーニャ、トリックフラワー!」

 

こうかばつぐんできゅうしょを突いてきたか。

そうしょくでないことはすでに向こうも理解している。

もう一発食らったら間違いなく倒されるだろう。

 

「マリルリ、お返しだ、じゃれつく!」

 

マスカーニャがドサッと音を立てて崩れ落ちた。

ヌメルゴンの頑張りとマリルリの根性が実を結び、なんとか倒しきれたか。

だがマリルリはもはや風前の灯。

 

「コノヨザル、お願い!」

 

やっぱりここで出してきたか。

素早さでは間違いなく負けている。

ここは、これしかないか。

 

「マリルリ、アクアジェット!」

 

せめて少しでもダメージを与えてもらおう。

完全に戦法を誤ったな。

アオイとの最後かもしれないバトルがこんななんて情けない。

...でも、せめて、俺の全力をぶつけ切りたい。

明日死んだとして、それで後悔がないように。

 

「ルカリオ!」

 

キーストーンをつけたグローブをはめ、呼吸を整える。

 

「...おれの全身全霊だ。うけとってくれ」

 

まっすぐに倒すべき相手を見つめる。

コルニが言っていた。

キズナとココロこそが強さだって。

...これが俺の強さだ。

 

「命!」

 

回し蹴り一回。

鼓動がリズムを刻む。

 

「爆発!!」

 

回し蹴り二回。

己のココロが熱く燃えたぎる。

誰にも止められる気がしない。

その想いをすべて、この叫びに乗せて。

 

「メガシンカ!!!」

 

ルカリオナイトとキーストーンが共鳴。

ルカリオがメガルカリオへと姿を変えた。

 

「こっからが本番だ」

 

「...うん!」

 

メガルカリオなら、コノヨザルの素早さを上回っている。

しかし、かくとうタイプとノーマルタイプのこうげきは効果がない。

なら、残りのはがねタイプの技で攻める。

今日のために技を見直しておいてよかった。

 

「コメットパンチ!」

 

もはや迫撃砲といえるほど強靭な拳。

コノヨザルの顔面を捉え、そのままコート外まで吹き飛ばした。

あと一体。

最後は当然あのポケモンだろう。

 

「お願い、ミライドン」

 

ミライドン、バトルフォルム。

正面から見たことは数回あるけど、こんなに迫力のあるものだったか。

ミライドンの特性、ハドロンエンジンによってエレキフィールドが展開された。

 

「ミライドン、テラスタル!!」

 

テラスタルオーブにエネルギーが集まり、ドラゴンの王冠が形成される。

こっからが正念場だ。

 

「ミライドン、テラバースト!!」

 

テラスタイプ、ドラゴンによるエネルギーの奔流。

次、あと一発は耐えきれるはずだ。

でも、そんな甘えるようなことは言わない。

ここで最高の技で撃ち抜く!

 

「ルカリオ、インファイト!!」

 

タイプ一致+てきおうりょく。

これで倒しきれなければ、俺の負けだ。

ルカリオの拳がミライドンを滅多打ちにする。

どんなポケモンでも倒れているだろう。

 

「...ニヘヘ。やっぱアオイはすっげえや」

 

だから、ミライドンが立ち上がった今、俺の負けだ。

 

「ミライドン、テラバースト!!」

 

ルカリオが吹っ飛ばされ、メガシンカが解除される。

俺の手持ち6体は戦闘不能。

よって勝者、アオイ。

 

 

 

...

.....

.......

 

 

 

「負けたべ」

 

テーブルシティ、コート外のベンチで休憩をとる。

俺の全力をぶつけたんだけど、まさか負けるとは。

 

「でも、スグリが勝っててもおかしくなかった。ルカリオがメガシンカした時、もうダメかもーって思ったもん」

 

「お世辞でもうれしい」

 

「お世辞じゃないよ」

 

ペチっと額をはたかれる。

 

『ロトロトロトロト...』

 

唐突にスマホロトムから着信が来た

こんな時間に誰からだろう。

アオイには悪いけど、出よう。

 

「いいよ、でておいで」

 

「ごめん。もしもしスグ」

 

『もしもし、スグリ?ボタンだけど、明日空いてる?』

 

こちらの声をかき消すかの如く、勢いで捲し立てられた。

っていうかボタンかよ。

 

「あ、空いてるけど」

 

『な、なら、ハッコウシティのカフェの近くで待ってるから!9時に来て!』

 

「お、おう」

 

え?急に約束を取り付けられたんだけど。

 

「今の誰から?」

 

「ボ、ボタン。なんか、明日の9時にハッコウシティのカフェに行くことになったべ」

 

自分で行っててもよくわからない。

 

「ふーん、なるほどなるほど。スグリ君」

 

「あ、はい」

 

「服を買いに行こう。明日きるための服を!」

 

「ヱ?」

 

 

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