冒険に脳を焼かれたスグリ(旧題もしも幼スグリがアデクと出会っていたら) 作:すぺしうむ
注)もしかしたら人によっては解釈違いな内容かもしれません。
ご了承の上、ご閲覧ください。
俺がガラルにいたころの話。
時間にしておおよそ1年弱ほど前の話。
当時の俺は、なんというか命知らずだった。
冒険とキャンプにすべてを捧げて、ほかは考えない。
だから、あんな無茶をしたんだと思う。
ワイルドエリアでポケモンを捕まえていた時の事。
いじめられているプリンを発見した。
相手はジュラルドン。
ラスターカノンで何度もいたぶり、痛がる様子を楽しんでいた。
ここでボールを投げるっていう選択肢を取れなかったのが、良くなかったんだと思う。
今度はさっきよりも強い威力のラスターカノンを撃ってきた。
急いでプリンをかばい、背中で技を受ける。
「アッ、ゴア」
リュックは別の場所に置いてきてしまっているので、直接背中で受けている。
声にならない声が漏れ、背中が焼けるように痛い。
ぶるぶると痛みで震える体をなんとか鼓舞し立ち上がる。
だが、足にうまく力が入らず、ボールを投げることさえままならない。
あー、俺はここで死ぬのか。
死神の鎌が首筋に迫る。
「ダイオウドウ、ボディプレス!!」
野太い男性の声と共に、ダイオウドウが鋼鉄の体を踏み潰す。
驚いたのか、それとも恐れをなしたのか、ジュラルドンが逃げていく。
「おい、大丈夫か!?しっかりしろ!!」
これが俺ととある人との出会いである。
気が付いた時には、テントの中で寝かされていた。
痛む体をなんとか起こし、外へ出る。
「起きたか。まったく無茶しやがって。俺が助けなかったらどうなってたか」
「あの、えと、助けていただいてありがとうございます」
「礼なんざいらねえよ。体は痛むか?」
「いや、別に」
といったとき、さっきラスターカノンを受けた部分を触られる。
まだケガは治りきっていないので、当然痛い。
「痛ッ」
「痛むんじゃねえか。しっかり休んでろ。ほら、これでも食ってな」
というと、鍋から何かをよそい、差し出してきた。
「カレー、ですか」
「ああ。しっかり食べろよ」
「あり...がとうございます」
適当な座れそうな石の上に座り、カレーをむさぼる。
よく眠っていたのか、腹が異様に空いていた。
浅黒肌の男性が口を開く。
「さっきは、なんであんな無茶した?」
「え?」
「ジュラルドンに突っ込んだことだ。お前、下手すりゃもっと酷いことになってたかもしれねえんだぞ」
「...プリンを助けたかったから、です」
「そうか。その心意気はいい。立ち上がったド根性もな。だが、そんなんじゃあ命がいくつあっても足らねえぞ」
「...はい」
なんだか里の人が言っていたことと似たようなことを言われた。
なんで聞きたくないから外に出たのに、ここでも同じことを。
正直耳が痛くて聞きたくない。
「お前、家族はいんのか?」
「両親はすでに...。じいちゃんとばあちゃん。あと姉ちゃんと一緒に暮らしてました」
「お前の家族に、今言われたことと似たようなこと言われたか?」
ドキッと心臓が跳ねる。
なんでわかったんだろうか。
「その反応、図星ってとこか。俺はお前の親じゃねえ。だが、親の気持ちはわかる。俺にも娘がいるからな。...子供が怪我して嬉しい親なんざいねえ。どう生きるのかは勝手だが、もっと自分を労われ。自分を労われねえやつは、いつか人も労われなくなっちまうぞ」
「...はい」
「まあ、俺はしばらくここでキャンプしてるから。お前もしばらくここにいろ。っと名前を言ってなかったな。俺はピオニー。お前は?」
「スグリです」
「...ならスグ坊だな。よろしく頼むぜ」
俺とピオニーさんが仲良くなるには、そう時間はかからなかった。
「へえ、弱い自分を卒業するために」
「はい、キタカミの里ってとこから来ました」
「だっはっは、聞いたことねえ場所だ!...いいじゃねえか!気に入ったぜ」
「ニヘヘ、ありがとうございます」
「うっし、なら俺様が鍛えてやろう!喜べ、お前は弟子1号だ」
「弟子...ですか」
「ああ。助手はもう席が埋まってるんでな」
それから数日間、俺はこの人に鍛えてもらった。
別れ際に、縁があったらまた会おうと、ミサンガをもらった。
今でもそれをリュックに着けて、旅をしている。
なんで今こんなことを思い出しのかというと。
.......
.....
...
「てめぇ、よくも人の娘を誑かしやがったなぁ!!」
絶賛、腕ひしぎ十字固めを決められている。
俺とボタンとのデートの翌日の今日。
カラフシティでみついりりんごを競り落とし、ほくほくで帰っているとこで、ボタンから電話が来た。
会わせたい人がいるとのことで、しるしの木立まで来たらこの様である。
というかすっごく痛い
「ギ、ギブ、ギブ!」
「ギブ?もっと欲しいのか、コノヤロー!」
「絶対こうなると思った」
それならなぜ止めなかったんだ。
「ピ、ピオニーさん!」
「てめぇにお父さんといわれる筋合いはねえ!!!」
「言ってねえです」
「幻聴聞こえてるし。いい加減放してもらっていい?」
「チッ、ボタちゃんに感謝しやがれ」
あー、痛かった。
きめられた腕をぐるぐると回し、感覚を取り戻す。
それにしても、よく来たなこの人。
「愛娘に彼氏ができたんだ。来るに決まってんだろ」
この人のことだから報告受けてすっ飛んできたんだろうな。
「まあボタちゃんの方から告白したんだ。それはいい。だが、俺の娘に手を出すってことはわかってんだろうなあ」
「...その言い方だとフレばよかったように聞こえるから」
「てめぇ、ボタちゃんの何が不満なんだ!!」
「わやじゃ。なんも言っとらん」
意味が分からない。
理不尽すぎて理解が追い付かない。
「兎に角だ。付き合う前に、俺がテストしてやる。スグ坊がこの子に相応しいかな」
「もう付き合ってるんだけどね」
「まあ、細かいことはいいんだよ。俺とバトルだ!俺が勝ったら、付き合うのはナシ!わかったなスグ坊!」
「え、ちょ、絶対やめて。身内が理由で一日で破局とか死んでもゴメンだから」
「...わかりました」
「やめてって!二人とも!」
受けるメリットは俺にはない。
しかし、理由がなくとも男として引けない戦いなんだ。
意味のない戦いとか関係なく、恩人には俺流のやり方で恩を返す。
「そーいうわけだから、ボタちゃん、テラスタルオーブ貸してもらっていいかなー?」
「ハァー?...はい、これ」
そういってポケットからオーブを手渡す。
開けた場所へと移動し、お互いが遠く離れた場所へ。
キーストーンのはまったグローブをはめ、思考をバトルに切り替える。
すると、ボタンが服の裾をちょいちょいと引っ張ってきた。
「なんだべ?」
「絶対、ぜーったい、勝って。じゃないと許さんから」
「...任せろ。おれ、チャンピオンだから」
ピオニーさんと俺の視線が交差し、お互いがボールを投げた。
「ハッサム!」
「ヌメルゴン、行ってこい」
この人ははがねタイプ使い。
ならヌメルゴンのかえんほうしゃで有利をとる。
「チ、一旦戻れ、ドータクン!」
おそらくはたいねつのドータクンだろうな。
だが、それはよめている。
「ヌメルゴン、じしん!」
しかし、まったく効いていない。
ひっかけられたか。
「ハッ、ふゆうだバカヤロー!」
だからどうした。
すばやさではこっちの勝ち。
「ヌメルゴン、焦らずかえんほうしゃ!」
ドータクンがみるみるうちに弱っていく。
だが、向こうも簡単にやられる気はない様で。
「アイススピナー!」
こおりの物理技を持ってきたか。
だが、次の一手で決めきれる。
「ヌメルゴン、かえんほうしゃ」
たいねつではないドータクンがこれを食らって倒れないはずがない。
よし、次だ。
「やるようになったじゃねえか。ニャイキング!」
ガラルのニャースが進化した姿。
元のタイプとは違い、はがねタイプになっている。
ヌメルゴンを突っ張るか、それとも。
ピオニーさんの手持ちは5体。
場にいるのと、戦闘不能を除くとハッサム、あとおそらくだがダイオウドウは確定。
なら残りの1体に何が来るかだ。
考えを整理しだした答えは。
「戻れ。マリルリ頼んだ」
ヌメルゴンは温存しよう。
すばやさでは互角のはずだから、こいつで倒して速攻で引く。
「マリルリ、ばかぢから」
かくとうタイプの大技でひねりつぶす。
細腕では想像もつかないようなパワーでニャイキングの頭をぶった。
地面にめり込み、ボロボロの状態になるが立ち上がってくる。
「よく立ったな、ニャイキング。とんぼがえり!」
攻撃とともにピオニーさんの持つボールの中に帰っていった。
不味い、出力の下がったマリルリでは長期戦は不利だ。
「出てこい、ハッサム」
ボタンとの四天王対策で名前が挙がったポケモン。
特性のテクニシャンで威力の低い技を倍の威力にできる。
「ハッサム、ダブルウィング!」
ひこう版のにどげり、ダブルウィング。
次はないが、下手な動きはできない。
「うぐ、マリルリ、ばかぢから!」
「効くか!ハッサム、ダブルウィング!」
元チャンピオンの名は伊達ではない。
しかし、有利不利で考えれば断然こっちが有利だ。
「ヌメルゴン!」
ハッサムは一見素早そうに見えるが、数値で考えればヌメルゴンの方が断然上。
ならかえんほうしゃで焼き払う。
「ハッサム、バレットパンチ!」
高速の拳がヌメルゴンに刻み込まれる。
流石に先手を取ってきたか。
「ヌメルゴン、かえんほうしゃ!」
「へっへっへ、残念。オッカの実を持たせてんだよ!」
バッチリ対策をとってきている。
この人どんだけ俺に勝ちたいんだよ!?
「ハッサム、バレットパンチ!」
防御が弱いヌメルゴンではそう何度も受けきれず、倒れてしまった。
残りはオオタチ、カミッチュ、ルカリオ、ブラッキー。
ならここは
「オオタチ、頼んだ」
「...ハッサム、バレットパンチ!」
バレットパンチが突き刺さる。
流石に次はないだろうな。
「オオタチ、ほのおのパンチ!」
「なにぃ!?」
良かったー!!
ここに来る前に嫌な予感がしたから技を見直しておいて、本当に良かった!
「くそ。なら、ボスゴドラ!」
はがね・いわタイプで防御に関しては最強クラスのポケモン。
がんじょうも合わさって耐久力は化け物だ。
一番来てほしくなかったかもしれない。
だったら、とっととこれを使う。
「戻れ、オオタチ。ルカリオ、頼んだ!」
絶対に負けられない戦いなんだ。
ギアを上げていく。
三回回し蹴りを行い、
「命...爆・発!!メガシンカ!!」
キーストーンとルカリオナイトがスパークし、ルカリオの姿を変える。
メガルカリオ、爆誕。
後ろからシャッター音が聞こえるが、無視。
「ルカリオ、ボーンラッシュ!!」
じめんタイプの連続技でボスゴドラをタコ殴りに。
がんじょうも潰せて一石二鳥だ。
「なに!?ボスゴドラを一撃で」
正確には4回殴ったので四撃である。
だが、これで相手は残り2体。
「くそ、ニャイキング!」
「ルカリオ、しんそく!」
効果はいま一つでも相手はほとんど虫の息。
ニャイキング、戦闘不能。
「認めてやる、強くなったなスグ坊。これなら大丈夫か」
最後の部分がよく聞き取れなかったが、今は捨て置こう。
「だが、こいつにゃあ勝てねえな!ダイオウドウ!!」
やはり出てきたか、はがねポケモンの代名詞。
固くて重たいどうぞうポケモン。
「ダイオウドウ、テラスタルだあ!」
テラスタルオーブの奔流を受け止め、そのまま投げ込む。
結晶の中から現れたのは、はがねテラスのダイオウドウ。
そういえば、最初にボタンと出会った時も、はがねテラスだっけか。
「ヘヘ」
「なーに笑ってやがんだ!お前の全力をぶつけてこい!!」
上等
「ルカリオ、ボーンラッシュ!!」
じめんから棍棒を作り出し、ダイオウドウを殴打。
効いてはいる。
だが、元チャンピオンの相棒は伊達ではなく、倒れないどころか跳ね返してきた。
「ダイオウドウ、じしん!」
隆起した地面によってルカリオが大きく吹き飛ばされた。
なんとか両足に力をこめ、立ち上がる。
次の一手が最後だろう。
「ルカリオ、全部出し切れ!インファイト!!」
ダイオウドウに重たい拳を打ち込んでいく。
これで起き上がってこられたら、いよいよ成す術がない。
地面に倒れ伏す、巨体。
「ダイオウドウ!!」
その声と共に立ち上がってくるが、動く気配がない。
まさか...
「うそ、立ったまま戦闘不能になってるし」
「...ダイオウドウ、よく頑張ったな」
ダイオウドウ、戦闘不能。
よって、俺の勝ち。
ルカリオがメガシンカを解いた。
その瞬間、俺の体にどっと疲労感が流れ込む。
思わず膝をついてしまった。
「ったく、相変わらず無茶してんのかてめえ」
「あはは、面目ねえです」
大きく息を吐き、なんとか立ち上がった。
「それで...認めるの?」
「ああ、俺の負けだからな。好きにしろ、ただし!」
と俺の肩を万力がごとき力でつかみ、ドスの効いた低い声で
「泣かせたら、ただじゃおかねえぞ」
「は、はい!」
これ以外の返事が思いつかない。
「...俺は帰るぜ。じゃあね、ボタちゃん。......
「お元気で」
遠くなっていく背中を見送る。
なんだか哀愁のある背中だ。
「...伝言あるけど聞く?」
「伝言?誰から?」
顎で誰かを示す。
おそらくはピオニーさん。
なんだろう、まだ何か言われるのか。
「チャンピオン、おめでとうって」
「...そっか。また会いてえな」
「うちはあんまり会わせたくないけど」
「なしてー!?」
締まらないなあ。
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ボタンとスグリが付き合いましたね。
に対するみんなの反応まとめ
アオイ「...」(無言で親指を立てる)
ネモ「えー本当!?もしかしてって思ったけどー、そっかそっかー。記念にバトルしたいね」
ペパー「アオイから連絡が来てな。急いで映画を紹介してよかったちゃんだぜ」
アオキ「何の話ですか?」
ピーニャ「告白の時は泡吹いて気絶しちゃった。でも結ばれてよかった」
メロコ「泣かせたら蹴っ飛ばす」
シュウメイ「嗚咽を我慢するのに必死で何も覚えてないでござる」
ビワ「同じく。映画でも泣いちゃってごめんねー」
オルティガ「温和そうだし、いいんじゃねえの?」
オモダカ「そうですか、そうですか。スグリさんとボタンさんが。え?祝福の笑顔と拍手ですよ?別にいい首輪が見つかったなとか、これでスグリさんをパルデアに呼べる理由が増えたなど思ってもいませんよ?」
ピオニー「まあ、最初はぶっ飛ばしてやろうと思ったよ。だがな、引きこもりだったあの子が好きな男見つけて、メイクまでしたんだ。親なら祝う以外ねえだろ。ま、それはそれ、これはこれだ」
またしても何も知らないゼイユさん「うまくいったかしら」
ここまで見てくれた読者に素晴らしい提案をしてやろう。
お前も感想を書かないか?
死んでしまうぞ読者よ!感想をかくと言え!!