冒険に脳を焼かれたスグリ(旧題もしも幼スグリがアデクと出会っていたら)   作:すぺしうむ

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碧の仮面2

 

林間学校3日目。

姉ちゃんと共に公民館前でボタンとアオイが来るのを待つ。

鬼さまの仮面、どうしよっかなーなどと考えていたら2人が出てきた。

重たいからだを動かし、2人に声をかける。

 

「おはよう、2人とも」

 

「おはよう、アンタたち、昨日のことほかの人に言ってないでしょうね」

 

開口一番これだ。

もうちょっと会話のテンポというものを考えてほしい。

 

「言わんよ」

 

「うん、言ってない」

 

「ほら、2人が言うわけないじゃん」

 

姉ちゃんときたら余所者だから喋ってるかもしれないとわーわー喚いていた。

俺は最初から信用していたのに。

 

「うるさいわね、悪かったわよ!アオイ、昨日の鬼さまが落としたやつ持ってるでしょ?うちのじーちゃん村の歴史詳しいから。昨日のこと色々と相談しようと思ってね」

 

「賛成ー」

 

「うちも色々気になってた」

 

「そう、なら行きましょう、スグ、アオイ.............ボタン」

 

「めっちゃ間あるやん。名前くらい普通に言えし」

 

「じゃあ、みんなで行こっか」

 

田舎の整備のされ切っていない道を4人で歩く。

道中にブルーベリー学園のことなんかを話していたら、あっという間についた。

楽しい時間はすぐに過ぎ去ってしまう。

軒先にいるじいちゃんに声をかける。

 

「じいちゃん、来たよ」

 

「おお、ボタンさんにアオイさん、おはよう」

 

「じいちゃん、早速で悪いんだけどね。アオイ、あれ出して」

 

姉ちゃんがアオイを催促する。

鞄から碧の少し古いけど綺麗な大きなお面が取り出された。

 

「これなんですけど」

 

「こ、これは鬼さまのお面!これをどこで!?」

 

「昨日ねアタシたち会っちゃったの!鬼に!オモテ祭りで!優しく声かけたんだけど、そのお面落としちゃって」

 

「...まだ村の祭りに来てくださっていたということか」

 

じいちゃんが含みのある言い方をする。

なんだか鬼さまがいい人みたいな意味合いに取れるけど。

なんだかワクワクしてきたな

 

「伝えるときが来てしまったか。...本当の歴史はな、逆なんだ」

 

「逆?逆ってどういうことなの?」

 

「鬼さま、いやオーガポンさまにも会いなさったボタンさんとアオイさんにも聞いていただこう。我が家で代々語り継がれてきた歴史を」

 

とじいちゃんが話し始めた。

【曰く、はるか昔にキタカミの里の外から男とオーガポンがやってきた。

村の人々に恐れられる二人を憐れんで俺の祖先が男が持ってきた結晶を使ってお面を作った。

お面のおかげで村の人々に親しまれた時、欲深いポケモンたちがお面の噂を聞きつけやってきた。

男がなんとか4つのうち、1つを守ったが力及ばず3つは奪われてしまった。

オーガポンは輝くお面に喜ぶ3匹を懲らしめたが、ただただ怒り狂う鬼を見て村の人々はその姿を恐れた。

村人たちは3匹のポケモンが村を守ってくれたと考え親しみを込めてともっこと呼び埋葬した

悲しみに暮れた鬼は村の洞窟に今も一人でいるという】

 

じいちゃんが話し終える。

場の雰囲気は悲壮感で包まれていた。

 

「...オーガポン可哀そう!トモッコ最悪!!伝わってる話と逆じゃん、出るとこ出てやるわ!」

 

姉ちゃんが急いでどこかに向かおうとしている。

それの体を何とかつかみ、抑えた。

 

「姉ちゃん、待って」

 

「口外してはならんといっただろうに」

 

「だって!!」

 

「村の者は自分たちの歴史を信じておる」

 

「ともっこのこと嘘呼ばわりされたら反発も起きるやん」

 

「...あ!?」

 

「当然先祖は最初は真実を語ろうとしたがな、異端者だと扱われ迫害された。だから秘密裏に語ってきたというわけだ」

 

「なにそれ、許せん」

 

ボタンが義憤を露にする。

受け取ったおめんをじいちゃんがジロジロとみて

 

「...ふむ、よく見ると額の宝石部分が少し欠けておるな。直せるやもしれんから、しばらく預かってもよろしいですかな?」

 

「はい、お願いします」

 

とりあえず、今日やることは残りの課題か。

さっさと終わらせたらそれだけ事が早く済む。

 

「んだば、さっさとオリエンテーション終わらせて、鬼さまのことに専念した方がいいかもな。お面直るまでやることもねえし」

 

「せやね。うちらはうちらで行こうか」

 

「ならアタシたちもそうしましょっか。行くわよ、アオイ」

 

「うん!」

 

それだけ言うと、そそくさと2人が行ってしまった。

俺たちもとっとと行こう。

 

「残りは楽土の荒地だから、さっさと終わらせよう」

 

「了解ー。足限界になったらおぶってって」

 

「いいよ」

 

「いや、ツッコめし」

 

俺は全然おぶって行けるけど。

ここで時間を食ってもしょうがないので、家を出た。

後ろから「...若いのお」なんて言葉が聞こえる。

なんだか昨日と違って手が寂しい。

 

「あの、ボタン、手を繋ぎたいです

 

「え?聞こえないなあ」

 

ニマニマと笑いながら手をぐっぱーしてこっちをからかってきた。

絶対わかってやってるな。

 

「絶対わかってるじゃん。手、繋ぎ...たい」

 

「よろしい」

 

と言って俺の手を握ってきた。

やっと自分から誘えた。

手ごときでこれじゃあ、その先はどうなってしまうんだ。

二人で雑談しながら荒れた道を進んでいく。

急こう配になった場所を抜け、楽土の荒地に到着した。

課題である看板の内容は

黄昏時、村の向こうから何かが来たらお面をつけろ。お面がなければそれが人ならよし、それ以外なら祈れ。真の面をみられたとき、魂を吸われ二度と現世の人間にはなれない

 

「なんかこの看板だけ毛色違わない?」

 

「確かに、ともっこのことも鬼さ...じゃねえオーガポンのことも書かれてない」

 

オーガポンって名前なんかかわいいな。

タロ先輩が気に入りそうだ。

 

「...なんかオーガポン可哀そうだし、許せねえよな。一人だけのけ者にされて、村の外に追いやられて。寂しかったと思う」

 

「うん、うちもそう思う」

 

やばい、そういえばボタンは以前に学校で...。

 

「ああ、今の違う。その、ボタンの前の話とか」

 

「フフ、わかってる。焦りすぎだし」

 

「そ、それにおれが絶対守る!!」

 

「だから焦りすぎ。でも約束だから、絶対うちのこと守れな?」

 

「う、うん」

 

頭をポンポンと撫でられる。

大穴の時とは違った優しさを感じられた。

その後は公民館で二人で休憩して時間を潰した。

あんまりどこかへ出かけすぎでもボタンの体力が持たないだろうし。

明日にはお面直ってるといいな。

 

 

 

 

...

.....

.......

 

 

 

 

翌朝、林間学校4日目。

じいちゃんからオーガポン様のお面を完璧に直すにはてらす池にある不思議な宝石が必要。

というわけでアオイとボタンを連れててらす池に先に待っていた姉ちゃんと合流。

 

「姉ちゃん、来たよ」

 

「遅いわよ。...ここがてらす池ね。綺麗でしょ?死んだ人にも会えるっていう噂があるぐらいでね」

 

「なんかテラスタルと似てる...?」

 

姉ちゃんが池の底に沈んだ結晶をみて、こっちに向き直った。

なんかイヤーな予感。

 

「というわけで、スグ、レッツゴー!思いっきり池に飛び込むのよ!」

 

「着替えとタオル持って水着着てこいって、やっぱりこういうことだったべ」

 

ボタン、アオイ、姉ちゃんだから結果的に俺にのも仕方ないか。

上着を脱いで、水着一枚だけの状態にし、髪をひもで結ぶ。

どこかからシャッター音が聞こえたが聞かなかったことにしよう。

 

「スグ...あんた逞しくなったわね」

 

「...んだば、行ってくる」

 

「気を付けてね」

 

体を軽くほぐし、池に飛び込む。

池の底にはキラキラと輝く物体が無数に散らばっていた。

呼吸は持つだろうけど、大量に持って帰るのは無理。

と考えていた時、視界の端に巨大な魚影が移った。

直観的にまずいと思い、急いで陸地に上がる。

 

「取れたの?」

 

「な、なんかいる!!」

 

すると地響きと共に池の中からミロカロスが出てきた。

話は...聞いてくれないだろうな。

鞄の中に入れていたボールを構え、アオイと共にポケモンを繰り出す。

 

「カミツオロチ!」

 

「マスカーニャ!」

 

と二人でミロカロスをタコ殴りにしていく。

陸に上がって本調子じゃないといえ、こっちもチャンピオン。

 

「マスカーニャ、トリックフラワー!」

 

「カミツオロチ、きまぐレーザー!」

 

二人のコンビネーションであっという間に撃破できた。

 

「ここさっきみたいなのたまに出てくるのよね」

 

「なんで行かせたし」

 

「危うく襲われるとこだったべ」

 

「わ、悪かったわよ」

 

アオイがミロカロスのいた場所に近づき、欠片を拾い上げる。

 

「これで足りるかなあ」

 

「無問題よ」

 

っとそこに金髪の女性が現れる。

俺この人苦手なんだよなあ。

 

「池に沈む結晶、このエネルギーはやはり...」

 

「ブライア先生!」

 

「4人とも、元気そうだね。スグリ君...服を着ないと風邪をひいてしまうよ」

 

そうだった、俺水着のまんまじゃん。

寒くて仕方ないなと思ったら。

姉ちゃんたちが先生と話している間に別の場所で体をふき、着替えた。

 

「お待たせ」

 

「スグ、遅い。さっさと帰ってじいちゃんに持っていくわよ」

 

なぜ俺が怒られているんだろうか。

さっぱり意味が分からない。

考えても仕方ないので、4人で俺たちの家へと向かった。

幸いじいちゃんは特に用事も何もないので、そのままお面と欠片を渡すことに。

 

「おお、これだけあれば十分じゃ。しばらく待っといてくれ」

 

「ならともっこプラザに行きましょうか」

 

「え?うち歩くの疲れたんだけど」

 

「文句言うんじゃないわよ。オーガポンを悲しませたやつらの面、拝んでおきたいわ」

 

姉ちゃんの提案?によって4人でともっこプラザに行くことに。

俺もだんだん疲れてきたけど、ここまでくればもうひと踏ん張りだ。

 

「うち限界。スグ、おぶってー」

 

「わかった。背中乗ってくんろ」

 

「な!?アンタねえ!」

 

「スグの背中、快適だわー」

 

姉ちゃんが髪を逆立て、わなわなと体を震わせているが、無視。

4人でともっこプラザまで移動し、ボタンを下ろす。

なんかこうやって祀られてるのを見ると腹が立ってきたな。

憎まれっ子世に憚るとはよく言ったものだ。

 

「こいつら、今に見てなさい!」

 

「もう死んでるし」

 

墓に近づき、軽く柱に触れる。

ぶわっと体が一瞬重たくなった気がした。

 

「んん?」

 

「スグ、どうかした?」

 

「なんか体が」

 

...なんでボタンはもっと俺と一緒にいてくれないんだろう。

...なんで俺は一度もアオイに勝ててないんだろう。

...大体いつも仕事ばっかりしているせいで、皆との時間も!?

なんだか急に色んなことにイライラしてきた。

不意に鞄の中のボールが激しく揺れる。

ルカリオが何かを言いたいようなので出してみる。

 

「ルカリオ、何が」

 

と言いかけた時、胸をルカリオの暖かい手が触れた。

心が自然と落ち着き、イライラしていた理由も忘れそうだ。

波動で俺の心を落ち着けてくれてるのだろうか。

しばらくたつと終ったのか、ボールの中に帰っていった。

 

「ルカリオ、なんだか知らねえけどありがとう」

 

「なんだったのかしら」

 

姉ちゃんが続きを言う前に、何かが揺れた。

ともっこの墓がぐらぐらと揺れ、強烈なエネルギーのようなものを放出する。

急いで3人を下げ、ボールを構える。

 

「なんか出たー!?」

 

「ええ、ともっこの墓ってどうなってんの?」

 

「私が聞きたいわよ!」

 

放出が収まると、中から3匹のポケモンが出てきた。

 

「えええー!!?」

 

驚愕で開いた口がふさがらない。

容姿からしてイイネイヌ、キチキギス、マシマシラだろうか。

なんで急に復活なんてしたんだ。

3匹はなにかを話し合うと、咆哮をあげ、キタカミセンターに向かっていった。

 

「ど、どうしよう!」

 

「追うっきゃないでしょ、アオイ、スグ」

 

「だね」

 

「急がねえと」

 

4人で急いでキタカミセンターに向かうと、管理人さんたちがいた。

何やらワイワイとめでたそうだ。

様子から見るに、もうお面を持っていかれた後だろうか。

 

「おっちゃん、ともっこ見なかった!?」

 

「ともっこ『さま』」

 

「今はそういうのいいから」

 

「全くこの子は。そうそうさっきまでともっこさまがキタカミセンターにいらしてましてね。保管していた仮面を持っていかれようとしたので、一同どうぞどうぞとお返ししたんですよ」

 

「返しちゃったの!?」

 

「お腹を空かせたようでスパイスたっぷりのキタカミもちを一瞬で平らげて下さった」

 

「もてなしちゃったの!?」

 

「あの、ともっこ...さまってどこに行ったかわかるべ?」

 

「鬼が山に登って行ったよ。恐れ穴に潜んでいる鬼をやっつけに行ったのかもな」

 

だとするとオーガポンが危ない。

オーガポンのちからの源は伝承通りだとあの仮面から来ている。

あと1つはじいちゃんが持っているし、残りの3つはともっこが持ってる。

 

「急がねえと。オーガポンはお面のちからで強くなる。...姉ちゃんはじいちゃんからお面貰って来て、今なら完成してるかも。アオイとボタンはおれについてきて。おれなら恐れ穴までの近道を知ってる。アオイ、ミライドンて出せる?」

 

「お安い御用、おいで、ミライドン!」

 

俺を先頭にして3人でミライドンにまたがる。

覚えているルート通りに全速力で走ってもらい、恐れ穴まであっという間に移動した。

すでにともっこたちがオーガポンを3匹がかりでいじめていた。

ミライドンから降り、さっきのイライラの発散ついでに大きな怒号を出す。

 

「やめろよ!!」

 

向こうもこちらに気が付いたようで、オーガポンをいじめる手をとめ、こっちに向き直る。

 

「スグリ、ボタン、行くよ!」

 

「うん」

 

「了解」

 

3人それぞれがボールからポケモンを繰り出す。

ボタンはニンフィア、俺はカミツオロチ、アオイはデカヌチャン。

 

「イイネイヌにムーンフォース」

 

「カミツオロチ、マシマシラにきまぐレーザー」

 

「デカヌチャン、デカハンマー!」

 

復活してまだ時間がたっていないせいか、そこまで強くはない。

それぞれが攻撃を仕掛けていたら、あっという間に倒れてしまった。

俺たちが思っていたよりも強かったのか、一目散に逃げていく。

 

「コラー、逃げるな!」

 

「...オーガポン」

 

ボタンが怪我をしているオーガポンに近づいていく。

見たところ特にこっぴどくやられていないはいなさそうだ。

 

「みんな、無事!?」

 

姉ちゃんがお面をもってこちらに走り寄ってくる。

 

「うん、おれたちもオーガポンも無事」

 

「よかった。はい、これ」

 

アオイに出来上がった碧のお面を手渡す。

さっきとは比べ物にならないほど額の宝石が輝いている。

 

「はい、オーガポン。お面、返すね」

 

オーガポンが嬉しそうにお面をつける。

 

「喜んでんね」

 

「残りの3つも返してやんねえとな」

 

「元々はこの子のなのに!?あのともっこたち!またいつアイツらが襲ってくるかわからないし、オーガポン守りつつともっこ成敗よ。あたし達でお面取り戻し隊結成ね」

 

「名前ダッサ」

 

「うっさいわね!」

 

「アタシがリーダーで、アオイは副リーダーってことかしら」

 

「うちとスグは?」

 

「雑用よ」

 

「酷いべ...」

 

「そうと決まれば、スイリョクタウンでともっこの情報聞き出すわよ。えい、えい、おー」

 

手を挙げたのがアオイしかいない。

俺とボタンは全くついていけない。

 

「お、おー」

 

そのアオイですら若干ノリに乗れてないし。

 

「いやダサいから」

 

「もっとなんかねえの?」

 

こんなんで本当にお面を取り返せるんだろうか。

今になってなんだか心配になってきた。

 

『ぽにお!!』

 













みんなの感想気持ち良すぎだろ!
教えはどうなってんだ教えは!
言葉を慎めよ!!
まさか読者もアル信じゃないだろうな

あ、追加のアンケートにも答えてくれるとうれしいです
今回のは別に結果で何かは変化しないです
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