冒険に脳を焼かれたスグリ(旧題もしも幼スグリがアデクと出会っていたら)   作:すぺしうむ

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碧の仮面3

4人とオーガポンでスイリョクタウンの前まで移動する。

途中にともっこが襲ってくるようなこともなかった。

村に入ろうとしたとき、オーガポンが足を止め、怯えだした。

姉ちゃんが心配して声をかける。

 

「オーガポン、どうしたの?」

 

恐らく村に入りたくないんだろう。

今まで虐げられ、のけ者にされてきたんだ。

ボタンが華奢な体を屈ませ、オーガポンと目線を合わせる。

気持ちがわかるんだろうな。

 

「村に入りたくないんだと...思う。うちも気持ちわかるよ」

 

「のけ者にされてきたから、仕方ないよ」

 

「...それじゃあオーガポンにはここで待っててもらって。私たちだけで情報収集しましょうか」

 

俺も屈んでオーガポンと視線を合わせえる。

綺麗な目をしてるなあ、吸い込まれそうだ。

 

「おれたちで行ってくるから、いいこで待っててな」

 

『ぽにお!』

 

わかった...でいいのだろうか。

俺とボタンの頭を頭巾越しで撫でてきた。

子供扱いされてる?

 

「わかったって」

 

「なんでアンタはわかるのよ!?」

 

重たい腰をゆっくりと上げ、4人で村の中に入っていく。

さっきの二組なので時間はかかるかもしれないが、そこまで大きい村じゃない。

あっという間に集まるだろう。

さて誰に話しかけていけばいいだろうか。

バッグからメモ帳を取り出し、話を聞く準備を整えた。

 

「んじゃあ、聞き込み始めてくか」

 

「うーい、スグ、よろー」

 

よろーっとは何だろうか。

ニュアンス的によろしくねという感じか。

 

「え、おれだけだべ?」

 

「あたまえ。うち人見知りやん」

 

「じゃあなんで村さ入ったじゃ...」

 

というわけで俺のワンマンでの収集となった。

前の俺なら恥ずかしがっていたかもだが、2年でだいぶ変わった。

というか一人旅で話ができないは致命的過ぎて直すしかない。

手当たり次第に人に声をかけていこう。

 

 

 

 

 

...

.....

.......

 

 

 

 

 

あれから数十分後。

大体の情報はそろったので、みんなでオーガポンの元に一度引き返す。

全員...というか俺とアオイしか集めていない情報を集約させると。

 

「てらす池にマシマシラ、楽土の荒地にイイネイヌ、鬼が山にキチキギスっとところね。詳しい位置はスマホロトムで共有しましょう」

 

スマホロトムにともっこの居場所のデータが送信されてきた。

これでお面奪還の準備は整ったわけだけど。

 

「んだば、このまま今の2組でお面取り返しにいくべ」

 

「いや、待って」

 

とボタンが頭に指をあて、うなる。

しばらくすると考えがまとまったようで。

 

「一度別れたほうがいい...かも」

 

「そうね、別れたほうがいいわ!特にアンタとスグは、絶対に!!!」

 

姉ちゃんが目をかっぴらき、吠える。

他意しか感じない。

あきれたアオイがボタンに尋ねた。

 

「理由と作戦を聞かせてもらっていい?」

 

「オーガポンはお面が1つしかないから本調子じゃないし、もし他に襲われたりしたら守り切れない。...あとともっこ無駄にずる賢そうだから、罠とか、張ってるかも。っていうわけでオーガポンの護衛で2人、お面奪還で2人に別れよう」

 

「なるほど、それなら別のチームがピンチになったらカバーしに行けるし、いいんじゃない?」

 

「それなら土地勘があるおれと姉ちゃんは別れようか。もし逃げに徹することになった時に必要だし」

 

というわけで、おれとアオイがお面奪還ペア。

姉ちゃんとボタンがオーガポンの護衛ペアとなった。

...あんまり大きな声では言えないけど、ボタンは休みたいだけだろうなあ。

 

「うっし、チャンピオンの恐ろしさ、ともっこたちに見せてやるべ!」

 

「乗った!...ミライドン!」

 

ボールから俺たちの頼れるアギャッスことミライドンが出てきた。

アオイとハイタッチし、ミライドンにまたがる。

出発する前に一応釘だけ刺しておこう。

 

「姉ちゃん、喧嘩しないでね」

 

「し、しないわよ」

 

「...喧嘩しないでね」

 

「なんで2回言った!?」

 

驚愕する姉ちゃんをよそに、ミライドンが走り出す。

風が気持ちいいけど、後ろが心配だなあ。

まあ、さっさと取り返せばいいか。

 

 

 

 

...

.....

.......

 

 

 

 

鬼が山のいるキチキギスを追って、二人で登山。

険しい岩場を乗り越え、洞窟の中へと入っていく大きなとりポケモンを見つけた。

洞窟の前でボールの準備をし、アオイに声をかける。

 

「あれだな。アオイ、準備はいい?」

 

「いつでも」

 

二人で息をひそめながら洞窟へと入っていく。

洞窟を抜けた先は開けて外へと繋がっていた。

大きくは羽ばたく紫の羽がこちらを威嚇してきた。

心なしか前より図体が大きくなっている気がする。

 

「なんか...大きくなってねえか?」

 

スパイスたっぷりのもちの影響だろうか。

だが、今の俺たち二人にはそんなもの関係ない。

 

「よし、アイツの鼻っ柱、へし折ってやる!ルカリオ!」

 

「うん!行っておいで、デカヌチャン!」

 

アオイの証言曰く、こいつはどく・フェアリー。

ならルカリオで叩き潰す。

向こうはこっちのことなんかお構いなしにムーンフォースを撃ってきた。

ルカリオに直撃するが、次は耐えられる。

ならその前に決めきればいい。

 

「ルカリオ、コメットパンチ!」

 

「デカヌチャン、デカハンマー!」

 

図体が大きいということはそれだけ的も大きくなる。

鉄塊のような拳と重金属のようなハンマーで肉体を殴打された。

相当応えたのか、若干涙目になっている。

しかし、まだ闘志は消えていないようでルカリオにもう一度ムーンフォースを撃ってきた。

だが、俺のルカリオはそんな生半可な攻撃じゃ倒しきれねえな。

 

「その小綺麗な顔、張り倒す。ルカリオ、ボーンラッシュ!」

 

「デカヌチャン、もう一度デカハンマー!!」

 

鈍器による一方的な蹂躙。

なんだか見ている側も可哀そうになってきた。

まあ、こいつらが100悪いんだけど。

耐えきれなくなったのか、小さくなりお面を落として逃げていった。

お面に傷がついていないかを確認し、アオイに渡す。

 

「これがかまどのお面だな。赤くてわやかっこいい。...あと2つもさっさと取り返そう!」

 

「だね!」

 

 

 

 

...

.....

.......

 

 

 

 

 

てらす池の真ん中。

そこで手遊びをしながら暇を潰している頭でっかち。

2体目のともっこ、マシマシラだ。

 

「さて、アオイ。準備は?」

 

「いつでも!」

 

「おうさ!一泡吹かせんべ」

 

向こうもこっちに気が付いたのか、大きく吠えてきた。サルの癖に。

俺の見立てだとおそらくこいつはどく・エスパー。

村の人もそれらしいことを言っていた。

選出するとした、最近頼りになっているあのポケモン。

 

「ドラパルト!」

 

「マスカーニャ!」

 

こいつは型が多くてわからん殺しができる点が強い。

向こうがそれを理解してるかはわからないけど。

 

「ドラパルト、ひかりのかべ!」

 

「マスカーニャ、ふいうち!」

 

お互いすばやさに重きを置いたポケモン。

壁を張ってじわじわと削り殺していこう。

マシマシラが負けじとヘドロウェーブを放ってくるが、特に大きなダメージはない。

ドラパルトはともかく、マスカーニャは倒せると踏んだのか驚いている。

 

「賢いって言ってもそれで動揺してるようじゃまだまだだ!ドラパルト、シャドーボール!」

 

「マスカーニャ、もう一度ふいうち!」

 

マシマシラが倒れ、縮んでいった。

不味いと思ったのか、急いでその場を離れていく。

さきほどまでマシマシラがいた場所で光り輝いているものが見えた。

 

「...お面、2つ目だな」

 

泣いているような面、いどの面奪取完了。

軽く土を払いアオイに渡す。

 

「あと1つだ。けっぱろう!」

 

「任せてー!」

 

 

 

 

 

...

.....

.......

 

 

 

 

 

 

 

楽土の荒地の開けた場所。

でかい図体でむさっ苦しい筋肉が突っ立っていた。

 

「あれがイイネイヌ。バカっぽそうな顔だなあ」

 

「アハハ、確かに」

 

「アオイ、準備は?」

 

「いけるよー」

 

「よし来た!」

 

イイネイヌの前に飛び出す。

鎖をぶんぶんと振り回し、筋肉で威嚇してきた。

 

「そろそろ飽きてきた。ぱっぱと倒す!シャンデラ!」

 

「グレンアルマ、お願い!」

 

ボタンの推測によるとこいつはどく・かくとう。

すばやさはイイネイヌのほうが速く、先にこうげきを仕掛けてきた。

繰り出された技はおそらくはたきおとす。

グレンアルマがあく技を受けるが、まだまだ戦える。

 

「シャンデラ」

 

「グレンアルマ」

 

「「サイコキネシス!」」

 

お互いのエスパー技でイイネイヌを粉砕。

最後というにはあまりにもあっけなかったな。

ひとえに俺たちが強すぎるせいかも。

 

「おれとアオイ、鬼にごぼうって感じだな」

 

「金棒ね。あれ、お面じゃない?」

 

イイネイヌがいた場所まで行くと、力溢れる模様の面があった。

これがいしずえのめんか。

おっかないけど、パワフルって感じだ。

面を拾い上げ、アオイに渡す。

これで全部そろったな。

 

「3つ目ゲット。オーガポンのところに戻ろうか」

 

「うん。オーガポン喜んでくれるかなー?」

 

 

 

 

...

.....

.......

 

 

 

 

...おかしい。

スイリョクタウンの近くまで戻るが、姉ちゃんとボタンの姿が見当たらない。

 

「なんか村の方が騒がしいね。行ってみようか」

 

二人で急ぎ足で村の中まで入っていくと、オーガポンがみんなに囲まれていた。

 

「あれ、もしかしていじめられて...!」

 

と言いかけた時、オーガポンが笑顔でこちらに駆け寄ってくる。

特に大きな怪我はなく、傷も見当たらない。

姉ちゃんもこっちに近づいてきた。

 

「お帰り。遅かったわね」

 

「はあー、マッジでないわー」

 

「黙りなさい」

 

「一体なにが?」

 

「アンタらが遅かったから、アタシとボタンで村のみんなの誤解を解いていたのよ。骨が折れるかと思ったわー」

 

「もう、一生分喋ったし...」

 

ボタンがげんなりとうなだれる。

遠くから管理人さんがこっちに近づいてきた。

 

「センターで管理していたお面ももともとオーガポンさまの持ち物だとか。ともっこから返してもらったのなら、そのままお持ちください」

 

「...オーガポン、はい」

 

アオイが取り返してきた3つの面をオーガポンに返す。

 

『ぽにお!』

 

飛び上がって喜んでくれている。

俺たちも頑張りがいがあったってもんだ。

 

「めでたしめでたし、ってとこね。最後にお面取り戻し隊のみんなでオーガポンを送っていこうよ」

 

「いい加減改名希望」

 

「黙りなさい」

 

 

 

 

...

.....

.......

 

 

「着いたー!」

 

みんなでオーガポンを恐れ穴まで送迎。

これで安心して暮らしていけそうだ。

 

「やっぱり実家が一番よ」

 

「...それじゃあ元気でね、オーガポン」

 

するとオーガポンがさみしそうにアオイの元に駆け寄る。

なんとなくだけど言いたいことはわかる。

 

『ぽにー!』

 

「アオイと行きたいってさ。...やっぱり一人で暮らすのは寂しいよな」

 

俺もその寂しさはわかる。

旅を始めた当初、朝起きて家族も誰も居ないときは悲しくて泣きそうになっていた。

 

「じゃあ、捕まえないとね。アオイ、準備はいい?」

 

「...うん、任せて!」

 

両者が配置までつき、アオイがボールを構え、オーガポンはお面をつけた。

 

「ミライドン、お願い!」

 

『ぽにおー!!』

 

オーガポンのかわいらしい雄たけびと共に、お面が結晶に包まれた。

結晶の中から真っ赤な大きな面とオーガポンが君臨する。

 

「お面をテラスタルさせちゃった!?」

 

「ええー!!?どういう仕組みなん!」

 

「はは、すっげえ!わやかっこいい!」

 

しかし、アオイも百戦錬磨のチャンピオン。

簡単には負けず、徐々に相手を追い詰めていく。

一度オーガポンが膝をつくが、立ち上がり今度は別のお面を出してきた。

あれは、いどのめん!

 

『ぽにー!』

 

煌びやかに輝く面が辺りを鮮やかな光で満たしていく。

オーガポンの攻撃によってミライドンが怯んだ。

 

「ミライドン、アオイ、けっぱれー!」

 

タイプの相性が良かったのか、もう一度オーガポンを押し始める。

どんどんとミライドンの強さに押されていき、また膝をついた。

しかし立ち上がり、今度は3つ目のいしずえのめんをテラスタル。

色鮮やかな戦いで見ているこっちまで楽しくなってくる。

 

「ミライドン、テラスタル!」

 

ミライドンをテラスタルさせ、オーガポンに立ち向かう。

アオイにはまだ控えのポケモンがいるのでアオイの方が優勢だろう。

放たれたテラバーストとりゅうのはどうによってお面のテラスタルが解除された。

だがそれでもオーガポンは立ち上がる。

今度は一番最初に着けていた碧の面を顔にはめ、再度テラスタル。

 

「アオイ、もう少し!いけるよ!」

 

「がんばってー!あと一歩よー!」

 

「いけー!」

 

皆の声援がアオイとミライドンの力となる。

 

「これで最後!ミライドン、テラバースト!!」

 

ドラゴンテラスのテラバーストによってオーガポンは倒れた。

捕まえるなら今しかない!

 

「アオイ、今なら捕まえられるべ!やっちゃえー!」

 

「そおれッ!!」

 

オーガポンへがモンスターボールを投げつけられ、吸収されていった。

やがてボールの動きが止まり、星を散らす。

流石アオイだな。

 

「オーガポン、ゲットおめでとう」

 

「さすが、副リーダーなだけはあるわね」

 

「おめでとさん」

 

アオイがボールからオーガポンを出す。

 

『ぽにおー!』

 

「これからよろしくね」

 

『ぽに!』

 

「じゃあ、みんなで帰りましょうか...!」

 

「うん」

 

夕暮れの中を楽しそうに歩いていく4人の男女と一匹のポケモン。

その背中にはもう寂しさ何てきっとない。

 

 

こうして俺たちのお面による波乱の今話は幕を下ろした。

めでたし、めでたし。

 










キャラ紹介

スグリ
作者が妄執の結果生み出した悲しきモンスター。
荒波に揉まれまくった結果くそつよ人誑しに進化してしまう。
彼女に外堀を埋められまくってるが、本人はまったく知らない。
現在、彼女に独占欲発揮中。


ボタン
バトルを吹っ掛けられた相手が理解ある彼君だった悲しきモンスター。
よく彼氏のスマホをハッキングして女の影がないかチェックしてる。
言葉には出さないけど愛はめっちゃ重い。


アオイ
作者も扱いに困っている悲しきモンスター
めっちゃ強い。
ボタスグ、もしくはスグボタの陰にはこの女の存在がうわなにをするやめr


ゼイユ
脳破壊された悲しきモンスター


作者
感想を求める悲しきモンスター
これを見たということは感想を書くということです。





Ps.アンケート回答感謝。
もうちょっとだけキタカミは続くよん。
次回、ゼイユ脳破壊!
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