冒険に脳を焼かれたスグリ(旧題もしも幼スグリがアデクと出会っていたら)   作:すぺしうむ

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碧の仮面4

林間学校最終日の夜。

本当は朝に帰るはずだったんだけど地面に頭をこすりつける勢いでお願いしたら特例で何とかしてもらえた。

ありがとうブライア先生。

昼はボタンと縁側でゆっくり休み、他愛のない話ばかりしていた。

そして現在、何をしているかというと。

 

「野菜多くない?」

 

「そう?」

 

ボタンとキャンプ中である。

ちなみに晩御飯はカレー。

作りやすいし好き嫌い別れるようなものでもない。

味はボタンに合わせて甘口にしてある。

 

「野菜嫌いだった?」

 

「嫌いじゃない...。いやもっとお肉とか入ってるかなって。おいしいからいいけど」

 

「なら次からそうする」

 

パチパチと音をたてて燃える火を二人で囲む。

辺りは薄暗く、火とその近くに置いてあるランプ、それと夜闇を照らす月明かりが頼りだ。

静寂ということばにぴったりの静かさ。

 

「最終日に、二人でこうやってキャンプさできてよかった。またしばらくは会えねえし、さ」

 

「...そうやね」

 

カレーを食べ終え、皿を洗いものができる場所に置く。

また離れ離れになるのは、うまくことばにできないけどすっごく嫌だ。

本当ならもっと近くに居たいけど、でも俺にはブルーベリー学園がある。

チャンピオンとしての責任をちゃんと全うしないと。

 

「学園に戻っても今まで通り、ちゃんと連絡しろし」

 

「うん、毎日する」

 

ふと空を見上げる。

そこには田舎特有の星空が広がっていた。

星々の輝きが目に焼き付く。

空を見上げる俺が気になったのか、ボタンも視線の先にある星を見つめた。

 

「...綺麗」

 

「うん、あ、あれカシオペヤ」

 

五つの星がWの字を作るように成り立っている星座、カシオペヤ。

この時期のキタカミの里だと結構きれいに見れるんだよなあ。

昔旅先で出会った人が言っていた言葉を思い出す。

 

「カシオペヤってさ、面白い星座だよな」

 

「...詳しく」

 

「たった五つの星でできてるのに、そのどれか一つがなくなれば、あれはカシオペヤじゃなくなるんだ」

 

「...うん」

 

「人生も似たようなもんでさ、間のどれか一つがなくなったら出会いも成長もないんだと思う」

 

ボタンが黙って俺を見つめる。

銀河を帯びたような美しい瞳。

いつかこの人と、あの星々の先、アステロイドベルトまで行けたなら。

 

「ありがとうボタン、おれと出会ってくれて。...いつか、二人でもっと遠いところ、あの星々まで行ってみてえ。なんて...ニヘヘ、ちょっと恥ずかしい」

 

ボタンがこっちをみたままポカーンと口を開ける。

センチメンタルな気分だからもしかして何かおかしなことを言ってしまったかだろうか。

 

「な、なんか言ってほしいべ」

 

「...ッハー、うちビックリしちゃった。ええ、なんで?」

 

「え、なんか言っちゃった?」

 

「アオイからスター団のこと聞いてないっしょ」

 

「スター団って、急に何の話だべ?」

 

「うわ、絶対聞いてない。ドン引きだよ」

 

なんか急に怖くなってきた。

地雷を踏んでしまったんだろうか。

 

「...一回立って、ほら。あ、あと髪もまとめて」

 

「よくわかんねえけど、わかった」

 

ポケットからヘアゴムを取り出し、後ろで前髪をまとめる。

事情も何もよく理解していないままあれよあれよという間にその場で起立させられた。

 

「頭にゴミついてるし、取るからちょっと目瞑って」

 

ボタンの言う通り目を閉じる。

視界が塞がれてしまったのでさらに怖くなる。

このままドロップキックなどされないだろうか。

 

【チュ】

 

なんて考えていた時、唇に一瞬だけ柔らかいものが触れた。

慌てて目を開けると目の前にはボタンの顔。

暗い中でもわかるくらいに赤く上気している。

今何をされたのか、理解するにはそう時間はかからなかった。

 

「い、今、唇に!?」

 

ボンっと音を立てそうなほどに、俺の顔も熱くなる。

言葉が上手く出てこない。

ボタンは恥ずかしそうに眼をそらした。

 

「ね、寝る!」

 

「ま、待って!もっかい、もっかい!おれ、今絶対変な顔さしてた!」

 

「寝るから!!」

 

テントに入っていこうとするのを慌てて止める。

ドロップキックがどうのこうのなど考えていたし。

少なくとも俺は全然ムードを整えてなかった。

これがお別れのキスなんて絶対いやである。

 

「お願い、もっかい!今度はおれの方からするから!」

 

手を合わせ、ボタンに頼み込む。

ここを逃せば後悔するのは目に見えている。

向こうもため息を吐き、

 

「わかったから、ほら、目瞑っとくから。その、さっさと...やれし」

 

その場で目を閉じる。

俺はできれば目を見た状態でしたいんだけど、仕方ない。

バトルの時のように脳みそをフル回転させ、過去に見た映画やドラマのキスシーンを思い出す。

頭の中で流れを形作り、いざ本番。

右手で軽く腰を抱き寄せ、左手でやりやすいように顎を少し持ち上げる。

 

「え、ちょ、待」

 

今更止まれないので、何かを言いかけた唇にそのまま口づけをする。

優しく、熱く、お互いが長く触れ合えるように。

華奢で俺より少し小さな体が、俺にもたれかかってきた。

どれぐらいしているんだろう、五年かもしれないし五秒かもしれない。

柔らかく愛しいそれを堪能していたら、胸板をペチペチとタップされた。

惜しいがゆっくりと離れていく。

 

「ほんっと、い、いい加減にしろ!足から力抜けたんだが!」

 

ハッと今のことを振り返る。

俺はとんでもないことをしでかしていた。

なんで急にイケメン俳優みたいなことを...。

 

「ご、ごめん。なんか変な気分さなってた」

 

「立てへん...。他の子にやってたろ、白状しろ!」

 

「し、してねえ」

 

「.........知ってる。テントまで連れてけ!」

 

「は、はいー」

 

っとボタンをテントまで連れていき、毛布で寝かせる。

後片付けなんかは明日でもできるので、俺も隣で眠る。

眼鏡をはずしたボタンの隣で、なんだかドキドキしていたが、気づいたらいつの間にか寝ていた。

楽しい日々も今日で終わり、明日には歯磨き粉が片付けていない仕事をやらないと。

 

 

 

 

 

 

...

.....

.......

 

 

茂みの中でボタンとスグリの様子を見ていた、オーガポン、ゼイユ、アオイ。

 

 

「うわー、すっごくドキドキしちゃった。私たちは戻ろっか...ゼイユ?」

 

「...」

 

「し、死んでる...!?」

 

『ぽにおー(昔を思い出すなー。推せるー!)』

 

 

.......

.....

...

 

 

 

 

 

翌朝、公民館の前で学園とアカデミーの生徒が集められた。

昨日ですべての生徒が課題を終わらせたこと、俺と姉ちゃんが一足先に帰ることが告げられる。

無理行って日を伸ばしてくれて本当にありがとう先生、ちょっと見直した。

 

「では、学園を代表してゼイユくん、挨拶を」

 

ぽかーんと目はかっぴらいているが口は半開きの状態の姉ちゃん。

先生から声をかけられているのに全く反応しない。

今日の朝からずっとこんな調子である。

朝ごはんのときなんてこのままで器用にご飯を食べていた。

軽くひじで小突くが反応なし。

 

「ゼ、ゼイユくーん?あのー」

 

先生も困惑しているし、他の生徒も頭にはてなマークを浮かべている。

仕方ないのでここは俺が喋ろう。

 

「先生、おれが代わりに話しましょうか?」

 

「う、うん。お願いしようかな」

 

「えー、コホン。アカデミーの皆さん、関わった時間も回数もとても少なかったですけど、どれもとっても楽しかったです。姉ちゃんは余所者なんて言ってましたけど、またいつでもこの村に遊びに来てください。ボタン、また会おうな。あ、あと、アオイ。次の交換留学、楽しみにしてる!」

 

これにて林間学校は閉幕。

いい息抜きになったし、こっからはバトル漬けの毎日だ。

みんな元気にしてるかなあ。

仕事は...絶対溜まってるだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【急募】弟を元に戻す方法

 

1:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

みんなの知恵を貸してほしい

 

2:空晴れればトレーナー ID:

イシズマイ

 

3:空晴れればトレーナー ID:

イワーク

 

4:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

しりとりしてんじゃないわよ!

 

5:空晴れればトレーナー ID:

ヨクバリス

 

6:空晴れればトレーナー ID:

スリーパー

 

7:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

弟が、ものすっごい大胆になっててさ

 

8:空晴れればトレーナー ID:

こいつ勝手に話し始めたぞ

 

9:空晴れればトレーナー ID:

大胆っていうのは具体的には?

 

10:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

彼女に対して、外で、その...言えないようなことをね

 

11:空晴れればトレーナー ID:

野外露出プレイかよ、とんでもねえな

 

12:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

>>11 違うわよ!!

 

13:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

うそ、見てたん?趣味悪

 

14:空晴れればトレーナー ID:

おお、彼女ちゃんやん、おっすおっす

 

15:空晴れればトレーナー ID:

進展あったってことか

 

16:空晴れればトレーナー ID:

どんなことしたん?

 

17:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

赤裸々すぎて言えん

 

18:空晴れればトレーナー ID:

ならしゃーない

 

19:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

泥棒猫女、私はアンタに聞きたいことがあるのよ

 

20:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

どうぞ

 

21:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

あんなキザで大胆な男がアタシの弟なわけないでしょ。

答えなさい、ウチの弟をどこにやったの!!??

 

22:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

>>21 キッショ、現実見なよ

 

23:空晴れればトレーナー ID:

これにはメロンパンもドン引き

 

24:空晴れればトレーナー ID:

死んだトンボも生き返るレベル

 

25:空晴れればトレーナー ID:

宿儺も記憶から消すレベル

 

26:空晴れればトレーナー ID:

獄門疆に封印されてろ

 

27:空晴れればトレーナー ID:

一生出てくんなよ

 

28:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

くっそー、いつか絶対別れさせてやるんだから!

 

29:空晴れればトレーナー ID:

キーボードでくっそーっていうやつ初めて見た

 

30:空晴れればトレーナー ID:

音声入力かよ

 

31:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

できるもんならやってみなよ

 

32:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

あら?随分と余裕じゃない、私知ってるのよ?

アンタ、お部屋デートの時、弟に掃除させたらしいじゃない。

ゴミも溜まっててポケモンの毛まみれの部屋を

 

33:空晴れればトレーナー ID:

汚部屋の住人なのかよ、よく呼べたな

 

34:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

部屋行ってみたいっていうから。

っていうかそれ誰から聞いたし

 

35:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

弟が仲のいい先輩に相談していたのを聞いたのよ

 

36:空晴れればトレーナー ID:

お姉さんそれ盗み聞きっていうんですよ

 

37:空晴れればトレーナー ID:Excadrill

そういうの可愛くないと思います

 

38:空晴れればトレーナー ID:

お部屋デートならぬ汚部屋デートかよ

 

39:空晴れればトレーナー ID:

弟君よく別れないな。十分理由にはなるぞ

 

40:空晴れればトレーナー ID:

汚部屋彼女vsブラコン小姑

 

41:空晴れればトレーナー ID:

エイリアンvsプレデターかよ

 

42:空晴れればトレーナー ID:

勝手にやってろ

 

43:空晴れればトレーナー ID:

身内がこの二人とか弟くんは前世でなにやらかしたんだよ

 

44:空晴れればトレーナー ID:

生きていることがそう消えない罪

 

45:空晴れればトレーナー ID:

弟ォ、逃ゲルォ!!

 

46:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

今は片付けてるから

 

47:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

そんな自堕落な女って知ったら家族はどう反応するかしら

 

48:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

は?なんそれ、個人の情報暴露して別れさせて嬉しいか?

 

49:空晴れればトレーナー ID:

はじまった

 

50:空晴れればトレーナー ID:

カーン、ファイ!

 

51:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

嬉しいわよ、特にアンタみたいな女が離れるなら!

 

52:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

弟君自体はうちと一緒にいたいようですけど?

 

53:空晴れればトレーナー ID:Knowhakaii

それも思い出よ。次はもっといい女を捕まえるでしょ

 

54:空晴れればトレーナー ID:Glaceon

個人の意思で両想いを別れさせるのが良くないって言ってんの

論点すり替えんな?

 

55:空晴れればトレーナー ID:

↓以下虚しいレスバ

 

56:空晴れればトレーナー ID:

風流だなあ

 

57:空晴れればトレーナー ID:

どこが?

 

 












ちなみにこのSSの最終回は
暴走した作者をスグリが泣きながら調理して連載終了。
これにしたくなければ、感想を書いてください
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