冒険に脳を焼かれたスグリ(旧題もしも幼スグリがアデクと出会っていたら)   作:すぺしうむ

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第9話

 

ネモとのバトルから一夜明けた今日この頃。

パルデア地方は現在も平和一色である。

以前、旅で近くにキャンプすることになった人の話だが、船に町を氷漬けにされたことがあったらしい。

そんな事例がないと考えるとこの地方は平和だなと思える。

話は変わるが、現在は何をしているかというと。

 

「シャンデラ、シャドーボール!」

 

「うわあ!エーフィ!」

 

こんな具合に、今までボックスで眠っていたポケモンたちを鍛えている。

旅の中で手持ちのポケモンたちは鍛えることができているが、いざこんな風に個別で鍛えていくというのはなかなかなかった。

幸い、こんなパルデアも観光客やバックパッカー、地元のトレーナーがたくさんいるので、けいけんには困ることがない。

先ほどのバトルでの反省点も踏まえ、メモ帳にがりがりと記入する。

 

「おつかれさま。...まだこいつの強みを活かしきれてねえな」

 

シャンデラをボールに戻し、一息つく。

一応形にはなってきてはいるが、それでも付け焼刃。

なまくらもいいところだ。

 

「友達が強くなりたいって言ってんだ。おれが置いて行かれるわけにはいかねえ」

 

かといって今日一日バトルに付き合ってくれる友人なんて...

『ねえ』

俺にはいない...

『バトルしようよ』

えーい、やめんか!

頭の中でネモがちらつくが振り払う。

見た目も性格も間違いなく素敵な子ではあるんだが、バトルの時の目が怖い。

ご馳走を貪り食う寸前の人間みたいな眼力があった。

 

「お、そろそろつきそうだべ」

 

目当ての先はチャンプルタウン。

なんでも宝食堂という有名なご飯屋があるらしい。

 

「腹満たしてから、もっかい考えっか!」

 

傍らにつれたオオタチとともに目当ての場所までぶらぶらと歩く。

町中から漂ってくるいい匂いに、すきっ腹がさらに食べ物を求める。

足元からキュイっとオオタチの鳴き声。

オオタチが向くほうには目当ての宝食堂があった。

 

「おなかが限界じゃ」

 

オオタチは一旦ボールへと戻す。

ポケモンたちのお昼はあとで俺が用意するので無問題。

宝食堂のスライドドアをあけ、中へと入る。

 

「いらっしゃいませ、一名様でしょうか?」

 

「はい」

 

「カウンター席へ、どうぞー」

 

言われるがままカウンターの席へ着席し、メニューを見る。

まぜそば、ゴーヤーチャンプルが目を引く中、からしむすび(750円)、じかせいうめぼし(500円)という謎のメニューが目につく。

もしかしてぼったくりとかいうやつだろうか。

一旦見なかったことにして、無難なまぜそばを注文しよう。

 

「すみません、まぜそば一つお願いします」

 

「はーい。まぜそばー」

 

ふと隣のお客さんを見る。

やせ細った中年のサラリーマンがからしむすびをおいしそうに食べていた。

俺は記憶を消し、今日のバトルの反省点を書いた手帳を見る。

 

「んー。やっぱフェアリータイプを入れたほうがいいのかなあ」

 

やはり一番の懸念点は自分の手持ちのタイプの少なさ。

それこそドラゴンタイプにめっぽう弱い。

ヌメルゴンにこうげきの高いドラゴンが来られればこちらは太刀打ちできない。

どうしたものか。

 

「あの」

 

突然隣の中年男性から声を掛けられる。

いつの間にか、机の上のからしむすびがなくなっていた。

食べたんだ...。

 

「え?あ、すみません。うるさかったですか?」

 

「いえ。お困りのようでしたので。これでもバトルには詳しいので、よければ相談にのりますよ」

 

「え...ああ。ありがとうございます」

 

男性に今日一日の反省点をまとめて話す。

 

「...それでしたら」

 

と話をする男性をさえぎり、注文したまぜそばが届く。

 

「はい、まぜそばお待ち。ごゆっくりどうぞー」

 

しばしの沈黙。

 

「...何か、すみません」

 

「いえ、大丈夫です。食べながらでもよろしいですか?」

 

「あ、はい」

 

手元の割りばしを二つに割り、まぜそばを口に運ぶ。

かつおの風味がきいていておいしい。

でも具材がねぎしかないのはなんで?

 

「で、話の続きなんですが」

 

「!?んぐ」

 

急に話しかけられたので、つい驚いてしまう。

コップの水でまぜそばを流し込む。

 

「マリルリを入れるのがよろしいかと」

 

「パルデアにもいるんだべ?」

 

「ええ。これでしたら弱点の補完もできる。なによりポケモン単独での強みが出しやすい。私は専門外ですが、はらだいことちからもちでの攻撃力には苦しめられたことがあります」

 

「へえー。わかりました。やってみます」

 

メモ帳に今言われたことをがりがりと書き記し、まぜそばをすする。

具材も少なく、さほどの量もないので見る見るうちになくなっていき、

 

「ごちそうさまでした」

 

10分もたたないうちに完食した。

もちろんスープも飲み干して。

席を立とうとすると、入り口近くで見知った顔の人間を発見した。

 

「アオイ?」

 

「...スグリ!」

 

「アオイもここにお昼食べに来たんだべ?」

 

「ううん。私はジムのほうかな」

 

「ジム?」

 

「うん」

 

それだけ言うと、アオイが先ほどの男性の方へと歩くと、何かを話し戻ってきた。

今度は入口の店員に話しかけ、だいもんじとかレモンとかいうと。

ズゴゴと振動がする。

じしんだろうか。

 

「アオイ、机の下に」

 

と言おうとしたとき、真ん中の席がバトルステージへと変化。

あまりの衝撃に開いた口が塞がらない。

 

「わ、わや」

 

「じゃあ、行ってくるね」

 

なるほど、この宝食堂自体がジムになっているのか。

...ごはん食べるところで暴れて大丈夫なの?

 

「ア、アオイ」

 

「ん?」

 

「アオイなら絶対勝てる!あと、これ」

 

バッグの中からげんきのかけらを取りだし、渡す。

そんなにいいものでもないが、せめてものエールだ。

 

「ありがとう、スグリ。勝ってくるね!」

 

「...ニヘヘ」

 

「それでは、非凡サラリーマン。ジムリーダーアオキに挑戦しますか?」

 

「はい!」

 

「それでは、バトルコートにおあがり下さい。アオキさーん、出番だよー!」

 

カウンターにいた先ほどの男性がスクっと立ち上がり、こちらに向かってくる。

 

「ジムリーダーだったんですか!?」

 

「...ええ。どうも。チャンプルジムジムリーダーのアオキです。えーっと、この店は焼きおにぎり以外もうまいです。あまり雑談ばかりしていると上司に怒られますので、勝負を始めましょう」

 

ジムチャレンジがスタート。

ジムリーダーのアオキさんはネッコアラを繰り出す。

なるほど、ノーマルタイプ主軸か。

 

「行っておいで、オコリザル!」

 

 

 

 

...

.....

.......

 

 

 

 

チャンプルジム、ジムテスト。

結果としてはアオイの勝利。

途中危ないところもあったが、それでも最後には勝利をもぎ取った。

その後はジムリーダーのアオキさんとアオイが写真撮影し、ジムテストは無事終了。

 

「お疲れさま」

 

「やったー!勝てたー!!」

 

ハイタッチ。

 

「でもおなかすいちゃったー」

 

「あはは。あれだけ激しいバトルなら仕方ないよ。お昼食べてく?」

 

「そうしよっかなあ」

 

二人でカウンターにもう一度座りなおす。

 

「私、ゴーヤチャンプルにしよっと」

 

「じゃあ、おれは焼きおにぎりで」

 

「スグリってもしかして小食?」

 

「あんまりおなか空いてないだけだべ。それよりもせっかくジム勝ったんだから、ここはおれがおごるよ」

 

「わーい、太っ腹!」

 

とこんな具合にお昼を済ませてこの日は解散。

帰りに南2番エリアでマリルリを捕まえて近くにテントをたてて就寝。

こうやってしていられるのもあと4日かあ。

 

 

 





現在のスグリパーティ。

オオタチ
ルカリオ
ヌメルゴン
ブラッキー
シャンデラ
マリルリ

現在の実力

ネモ>>>キラフロル>四天王≧スグリ>ジムリーダー
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