周りを確認する。
敵は複数、呪霊。
俺の残り呪力残量は2〜3割程度、、
この後夏油さん達のところに行くとしたら、、
かなり不味いな。
「僕の近くから離れないようにお願いします。
はぁーー、ふぅぅぅぅぅー!!!」
秀治は焦っていた。
五条悟と夏油傑、2人を接触させたくないがために間に割って入ることを決めていたのだが、夏油傑の企みにより、禪院真希の肉身が狙われていることを知り助けに馳せ参じたのはいいが、相手は秀治が今まで夏油に捧げてきた呪霊達、それも一級は確実である。
「…吸収呪法、《吸》×5《絲》×5」
秀治は悩みつつも自身の後ろに居る京都高の救助を優先することを決め、最もこの場に適した呪術を選ぶ
「…あまり僕が出した《吸》に近づかないでください、根こそぎ呪力を吸収される可能性がありますから。」
「わ、分かった、、」
秀治の言葉に後ろの面々は少したじろぎ、加茂が代わりに返事を返した。
守りながら自身の呪力を回復させる為に《補》を発動させるほど余裕はなかった秀治は、《変》を使い《吸》を変化させながら戦闘することを避け、即死性を高めた縛りを用いた《吸》を《絲》で繋げて戦闘する事を選択した。
『ぁぁぁ、ぁぁぁぁぁ』
秀治の呪霊を見る目はとても冷たく、
その雰囲気は後ろに居る加茂達にも伝わりヒヤリとした汗を垂らしていた。
「…時間がないんだよ、、、
秒殺だ」
『ぁぁ!!……あえ?』
秀治が言葉を発した直後、呪霊は動く事すらできず身体を抉られて地面に倒れ伏した
「さぁ、行きましょうか、先輩方」
言葉の通り。
呪霊は秒殺され、全滅寸前だった加茂達は
たった1人の自分達よりも幼い青年により助けられた。
「あ、あぁ、行くぞ!皆んな!」
秀治の言葉に応え、移動を開始するのであった。
「…(何という強さだ、、彼は一体?)」
加茂達を連れて移動する青年の強さに、何者かと疑う京都高の皆々。
そんな疑問を察したのか、呪霊を秒殺しつつ移動を続ける秀治が口を開いた。
「…移動しながらで申し訳ありません。
僕は、東京の高専でお世話になってる呪術師見習い、みたいな感じです。
名前は仁頼秀治と言います、よろしくお願いします」
軽く自己紹介をしながらも、向かってくる呪霊を全て祓い続ける少年。
その少年の言葉に一番強い反応を示したのは、意外にも真希の妹、真衣であった。
「仁頼秀治?!!
五条悟が突然連れて来て、まだ中学生なのに
特級術師と言っても過言ではない実力があるって言われてる、、あの仁頼?!」
その真衣の言葉に京都高の面々は目を見開き、
先頭を走り続ける少年に、目を向けた
「ははは、、ためを張るって言っても、実際はボコボコにされて終わりでしたけどね」
苦笑いをしつつも否定をしないあたり、あの
五条に遠からずのものがあると面々は思うのであった。
「!!
見えて来ました!
あそこです!」
そういう仁頼の目指す先、約1キロあるかないかの広場には京都に派遣されていた術師が大勢集まっていた。
「?!
何故あんなところに術師が集まっている?!
これでは防衛網を引いた意味がないじゃないか!!
何をしているんだ!!」
加茂が荒げた声で言葉を紡ぐが、その返答を
秀治が即座に返した
「僕が指示しました。
京都全体に広がった人を、全員守りながらでは僕も戦えませんから。
七海一級術師にお願いして集めてもらいました。」
「何を勝手な事を!!
これでは市民達を守れないではないか!」
「…責任は取ります。
ですが、事実京都に居る呪霊全てが一級相当の実力を持っている、そう考えると薄く広げる防衛網よりもいい案があるんですよ。」
「っっ、確かにそうだが!
しかし、加茂家嫡男として、、俺は!!」
加茂の苦虫を噛み潰したような顔を見ても顔色を変えず前を向き直しひたすら走る仁頼。
「…策は、、あります。
ですが今の俺では圧倒的に呪力が無くて、実行
に写せません。
皆さんの協力が必要なんです。」
そう言葉を紡ぎ術師達の集まっている場所に到着した秀治は、真っ先に先頭に立っていた七海のもとに駆け出した
「七海さん!
すみません、遅くなりました!」
「いえ、貴方の残した《吸》という術式が守ってくれていたので、こちらの被害はゼロです。
、、、それで、私たちは一体何をすれば良いのですか?」
即座に守ると同時に、何かをする為でもあると判断した七海が仁頼に指示を仰いだ。
「……京都の呪霊全てを今から、掃討します。」
「?!
ですがどうやってするんですか?!
君はそもそも呪力が尽きかけています。
まさか、1人で行くとは言いませんよね?」
仁頼の言葉に声を荒げる七海。
そんな状況を察してか、周りにいた術師が自分よりも幼い仁頼に目を向けた。
「…いえ、僕1人では何もできません。
ですから皆さんの協力が必要です。
どうかお願いします、僕に協力してください」
そんな秀治の言葉に術師達は、素直に頷き
秀治の指示を仰いだ。
「…分かった、協力するよ」
「七海さん、彼に賭けましょう。
我々だけでは、一級相当の呪霊の群れを相手取るのはとても、、、」
「俺たちは何をすればいいんだ?」
「、、、仁頼君、指示を。」
皆々が言葉を交わす中、七海の一言でその場には沈黙が走った
「……ありがとうございます。
では今から皆さんに僕の術式、吸収呪法《充》
を付与します。
効果は呪力の吸収、そしてその吸収した呪力を高い純度で自身の呪力へと変換出来る事です。
僕の術式発動の為の呪力を、皆さんから提供してもらいたいのです。」
秀治の言葉の反応は様々であった。
「…本当にそんな事出来るのか?」
「七海さん、あいつ信用していいんですか?」
「意味のわからない事を、、やはり金魚のフンか」
「……分かりました。
皆さん協力しましょう。
実際、彼抜きでは私達は対抗出来ません。
彼の指示に従いましょう」
七海の言葉に全員黙るが、一人一人と黙って
秀治の元に近付いて行った。
「……すみません、有難うございます。
ふぅーー、吸収呪法《吸》《操》《充》」
自分よりも先に戦いに身を投げていた人達に、申し訳なさを感じながらも、術式を発動させる
「う、、ゲボォ!!
はぁ!ハァ!!」
「!!仁頼君!」
今この場に居るだけでも50人と少しはおり、
それぞれ残りの呪力残量が違う為、《充》で吸収する量を手動で操作する過程で脳への負担が多く出てしまい、秀治の頭に鋭い激痛が走り、
呪力切れを起こす寸前まで追い込まれていた
「フゥ!…フゥ!!!!!!
大!…丈夫です!、、!ッッ!
(クッソ!!!反転で定期的に脳を回復させてたけど、節約の為に辞めてたのがここできたのか?!
でも、まだ倒れるわけにはいかない!
先生と夏油さんを合わせるわけにはいかない!)」
「う!」
「ゲホ!」
「!!
体調が悪くなった人は座って休んでいてください!!
ご協力感謝します!!」
体調に変化があった人の《充》をすぐに中止させ、空中に漂わせておく
「私の呪力量は多い方でしょ、他の人たちよりも私を優先的に使いなさい」
七海がそう仁頼にいってきた
「…そうですか、他の人より早めに吸収しますよ!」
そう言葉にした瞬間、七海の《充》がとてつもない勢いで七海の呪力を吸い出した
「っ!(これは凄まじいですね!)」
七海は時間の縛りを用いて呪力を上昇させていた。
その呪力量が多い事を理解した秀治は七海についている《充》の吸収を強めた
「…よし!
これだけ呪力があればいける!!」
秀治が一際大きな声を上げた瞬間全ての《充》が吸収をストップした
「ふぅーーー!!!!!!
今から呪霊達を掃討します!!
あまり動かないでください!!
後呪力を練らないでください!!万が一がありますからね!!!」
「!分かりました!
頼みます!」
七海が声を上げた瞬間、七海は呪力操作の
全てを止めた。
それに続いて他の人達も極力呪力を練らない・又は弱めていった。
「(思いだせ、五条先生が目の前で見せた、あの技を!!
呪力を!術式に流さずに、薄く!!!!
広くのばせ!!!!!!)
スゥぅぅぅーーハァぁぁぁぁぁーー」
七海から少し余分に貰った呪力で頭を治癒し、
なおかつ50人余りの呪力を一気に吸収した
仁頼からは言い表せない威圧感があり、彼を
見守る術師達は皆その場から動けなくなっていた。
「…五条先生、見様見真似で失礼します。
(呪力を!雷が地面にある−の力に引っ張られるように!!空中にあると仮定して広げる!)
シン・陰流《簡易領域》!!!」
仁頼が行ったのは五条と戦った時に見た技、
シン・陰流《簡易領域》を見様見真似で真似た
不出来なものだった。
足元から広がった呪力の円からは所々から呪力が溢れ出ていた。
プログラムとしての知識がなく、ぶっつけ本番で行った結果である。
だが、、、
ここで仁頼のセンスは光り輝く。
「…ふぅぅぅ!
吸収呪法!!術式解放!《吸管湖倉》!!!」
《吸管湖倉》、その効果は、、、
「オラ!!!!!!!
無理矢理にでも広がれ!!!!!!!!」
吸収した呪力が尽きるまで続く、呪力による断続的な付与による強化である。
「いきなり出来るわけない!!
あれは師事して教わるか!先生の六眼で出来るかの二択!!!
ぃまの、、っ!俺にはこれが限界!!
れんっっっっど!は!ねぇ!!ぁぁぁぁぁ!!っったま、いったっっ!!」
シン・陰流《簡易領域》の効果として
京都高三輪が使う抜刀では入ってきた敵を自動で迎撃するというものだが、これはしっかりとプログラムとして読み込んだ場合である。
仁頼のプログラムは不完全、故に広げれば広げるだけ《簡易領域》内に居る呪霊の反応が全て脳にいくのである。
その増えすぎた情報量に脳味噌はパンク寸前まで追い詰められていた。
「ッッッッッッッ!!!!
(いた!!!いたいたいいたいたいちい!!
ぁぁぁぁぁ我慢!!!!!!我慢我慢!頑張れ!)」
必死に耐える仁頼に術師達が皆片唾を呑み込む。
「!!(呪れィ、、、ハのゥ、ない)
《きゆうがンコぞウ》……ガィじョ」
「!!!仁頼君!!もうやめなさい!!!!!!
あなたの身が保たない!今すぐ解きなさい!
そして反転術式を!!早く!」
七海がすぐさま忠告を叫ぶが仁頼には届かなかった。
「」
仁頼が動かずに静止、その後ゆっくりと手を上に向けて一言
「…吸収呪法、《吸天泣》」
そう呟いて秀治は気を失い倒れた。