今、仁頼は東京都立呪術専門学校に向けて全速力で向かっていた。
何故向かう呪力があるかと言うと、直前まで話していた禪院真依のお陰である。
「ありがと、今度必ず会いにいくから、僕のことを待っていてほしい」
「」
「」
2人が2人その場で硬直した。
「……それどう言う意味よ。」
仁頼の発言に対して顔を真っ赤にしながら返答する真衣。
それをぽかんとした顔で見つめる仁頼と、どうすんのよこの空気!と言う顔で睨む西宮である。
「んー、、どう言う意味って、そのままの意味?かな?
貴女に会いたい、だから会いに行く。
それだけですけど、駄目ですかね?」
「あっ!…なたね!!
今がどういう状況か分かってるの?!
今は戦闘ちゅ「次!」っ!!」
真衣の言葉を仁頼が遮る。
「…次いつ会えるかなんて…そんな保証はない、それが呪術師だ。
だから今この瞬間、後悔だけはしたくない。」
仁頼の言うことはもっともだ、いつ誰が何処で死ぬのなんてわからない、なんならさっき別れた仲間が任務で死んだ、なんて言うこともざらにあるのだ。
「…そこまで言うなら待っててあげる。」
「!!
マイちゃん本気?!」
真衣の発言に西宮が驚いた顔をするが、真衣は西宮を一瞥してから、困った顔をしながら笑みを浮かべた。
「しょうがないじゃない?
だってこの子、真っ直ぐこっちを見てくるんだもの、なら少しくらい答えてあげるのが出来る女の筋ってものじゃない?」
真衣なりに考えて、考えた結果が仁頼の意思を尊重することであった。
仮にも相手は年下、そして仮にも特級術師にも引けを取らない逸材である、禪院家ではゴミのように扱われ女は子供を産む道具と言われ続けてきた、多少なりとも利用してやろうと言う気持ちがないとは言えないが、真正面から言葉をぶつけてくれた仁頼秀治という男に少しだけ期待をしているのだ。
「…ふふ、ありがと。
ちゃんと会いに行きます。では。」
仁頼が真衣の返答を聞いて軽く笑顔を返しながら夏油の居るであろう東京の呪術高専に向かおうとした時、今度は逆に真衣が仁頼を引き止めた。
「行く前に私の呪力を吸収しなさい。
呪力空っけつの状態じゃ何も出来ないじゃない。」
真衣の言う通り、実際秀治の呪力はないに等しい、秀治の「吸収呪法」の一つ《吸管湖倉》の蓄えていた呪力も今現在も稼働し続けている
《吸天泣》の発動の為に広大な『簡易領域』に自身の術式をプログラムする為に使用した為に備蓄は無くなっているのだ。
この戦いに参戦する前から青森の呪霊掃討でほぼ自爆という形で怪我を負い、その後すぐに体を治したのち東京へ向かい、その後すぐに京都である。
無理が祟ってしまったのだ。
「…本当に有難うございます。」
素直に感謝を述べ真衣に《充》を施し待機している所に西宮も近づいていき手を差し出す。
「私のもいいよ、多分まいちゃんより少ないかもだけど、役には立つでしょ?」
「えっ、いいんですか?」
「…まぁ、助けて持ったし!
それに真衣ちゃんにあんなこと言ったあんたが約束すっぽかしてこのまま帰らなかったら困るしね!」
軽く額にデコピンをかまし、ニシシと笑顔を浮かべる西宮。
「…ありがと、、ございます。」
こんなに優しい言葉をもらえるとは思っていなかった仁頼はまたもや目元に厚いものが込み上げるのを感じた。
「よし!
これだけあれば何とかなります!
本当に有難うございます!」
「お礼はいいからさっさと行った!行った!」
「…私にここまでさせたんだから、ちゃんと会いにきなさいよ。」
西宮に背中を押してもらい、真衣から約束を守れと小指を突き出された。
「……はい、必ず!!
どれだけ時間が掛かろうとも!」
軽い挨拶を終えて出発した仁頼。
真衣との約束を思い出しながら守れないかもしれない事実に、胸を痛めるのであった。