さらに時は数日流れ俺は術式の練習及び解釈を広げる為に自分の家の近くの図書館に来ていた、高専にも図書室はあるのだが、ほとんどの本が昔の字で書かれておりとても読みにくいのだ、しかも俺が参考にしている化学の本があまり無い、というわけで久々に地元の図書館に顔を出しているのだ。
「…久々だな、帰って来たのは」
地元には両親と過ごした思い出があるとともに、学校でのいじめや辛い思い出もたくさんあるのだ、本当はあまり顔を出したく無いのだが、強くなる為!生き抜く為!死んだ両親に
『最後まで頑張ったよ!!』と胸を張って会えるようになるため!!と、自分に言い聞かせて本を漁る
「化学…化学、あった、宇宙の謎っと、後は〜吸収…吸収〜」
ほしい本を探してうろうろとしていると話し声が聞こえて来た
「でさぁ!!あいつまじウケるんだぜ!
少し俺がナイフチラつかせたらしょんべんチビってやがんの!!まじウケるだろ!」ゲラゲラ
「えー、やだ〜汚いんですけど」ケラケラ
「まじかよ!今度は脱糞させてみようぜ!」ゲラゲラ
図書館なのにうるさく騒ぐ学生くらいの年齢の若者、3人は人目も気にせず大声でゲラゲラと笑いながらも自分の話を武勇伝が如く話していた
「…」
「?あ?何見てんだよ?」
やっぱ目があっちゃったよ、ここはそそくさと逃げますかねぇ〜
逃げ出す時に拭いとかけられた言葉に俺は動きを止めてしまった。
「あんた、、秀治??」
「え!あの引き篭もりの?!
うっわキモイやつと目があっちゃったよ!
ヤダヤダ!おい!どうしてくれんだよ!お前のせいで気分悪くなったんだけど?」
「えー、マジか、引き篭もり君何で出て来たの?家からでちゃダメじゃん?」
「いや、その、調べ物があって」
この3人俺の学校の奴らか?
中学1年の頃のいじめがヤバすぎて、それ以来行ってないから全然知らなかったわ
「へぇー、てかお前金あるだろ?
ちょっと俺によこせよ」
「あー、うちも金欠だからちょうだい」
「俺は定期的に10万でいいよ〜」
「いや、持ってないですよ、俺」
「あ?
あんだろ?金、たくさん入ったろ?」
何の話だ?
もしかして!こいつも呪じゅ「親が死んだんだから保険金!!入ってんだろ?」ドン!!!
この瞬間俺は呪力を濃密に外に出していた、イヤ、出してしまった。
呪術師ならば相手の呪力量などでレベルの差や感知などをしたりと出来るらしいが一般の人たちはそんなことはできない、そう感知や力量などを測ることはできない。
「おぇ、ゴェェェェェ」ビチャビチャ
「ヒィぃぃ!!」
「うわ!!」
ただ、あまりにも強い呪力を至近距離で受ければ、一般人だとしても気分が悪くなったり、悪寒がしたりなど特有の症状が現れることがある
そして俺はそれを、同級生と思われるこの《ゴミ屑》に一心に注いでいる、何故か分からないが、抑えられないのだ
「げほ!!げぇぼ!」
そいつはひどく嘔吐し、胃の中のものがカラになってもなおも嘔吐しようと体が反応している、このゴミは何をしているのだろうか
「…このゴミ屑風情が」
無意識に手が前に出る、術式《吸》をまだ人間には試した事がない、こいつで試してみるのも一興だな、術式に呪力を流し込み目の前のゲボ野郎と後ろのゴミ虫、計3人に《吸》を設置する、3人とも怯えて震えており動く事ができない、呪霊より楽だ、こいつらなんかいなくてもいい、後は起動させれば「まった」
「…!!」
「それをしちゃいけないよ、秀治。
感情を抑えるんだ」
起動させようとした瞬間何故か五条先生が現れて俺の手を掴んだ、だか何故ダメなのか分からない
「何でですか?こんなゴミ屑いなくなっても問題ないですよ、こいつらの話聞いてましたか?」
「見ていたし、聞いていた、その上で言ってるんだ『抑えろ』って」
先生が話し終えると同時に俺にプレッシャーがかかる、そのプレッシャーで俺は我に帰る事ができた、俺の顔に驚きと恐怖と失望が一気に現れる、先生はそれに気付いたのか俺に圧を掛けるのをやめ、優しく両肩をパンパン!っと2回叩いてくれた
「……よく堪えた」
「…すみません、ご迷惑をおかけしました、
先生」
「なんて事ないよ!僕からしたらなーんって事ないから!!」
わざとらしく明るく振る舞っている先生だったが、少し、ほんの少しだけ焦っているようにも、動揺しているようにも見えた、、、その後先生がどこかに電話んかけて、直ぐに帰るよ〜っと俺の手を引いて歩き出した、俺はそんな先生に手を引かれながら図書館を後にしそのまま高専に帰り、借りている部屋でそのまま瞼を閉じた。
秀治が高専に居ないから棘達に聞いたら地元の図書館に調べ物をとりに行ったらしい、稽古をつけると言いながらあまり稽古をつけてあげてないので、暇が出来たから稽古をつけようと思ってたらすれ違いになってしまったらしい。
「ここが秀治の地元の図書館ねぇ」
人目のないところまで跳び秀治を探しに図書館に入ると少し離れた所で「引き篭もりの?!」
と声が聞こえた、自然とそちらを見たら秀治がいた
「…(あの3人は、、友達かな?)」
そのときまでは友達?ふざけ合っている?と思っていたがある1人が秀治の目の前まで行き金を貸せと要求し出した時にあれは違うと判断した、すぐさま駆け寄ろうとした時に、そいつが何かを言ったその瞬間、濃密な呪力が図書館全体を覆い尽くした
「…!!!!(何だこれは?この呪力、、秀治か?!)」
突然の事に少し焦りはしたがそこは現代最強の呪術師、直ぐに冷静さを取り戻し状況を判断し、この呪力の元を見つめた
「な!!(一般人に術式を使おうとしている!!)」
秀治が一般人に術式を使い殺害を行おうとしている姿を見た瞬間に頭にノイズが走った
『悟』『生き方は決めた』『あのなぁ悟』
『君になら出来るだろ?』『意味もある、大義ですらある』
その瞬間には秀治を止めていた
「それをしちゃいけないよ、秀治。
感情を抑えるんだ」
秀治と目があった、その瞬間に驚いてしまった、瞳にいつもの秀治にある温かみが全くない、どこまで行っても冷たい、冷え切った瞳
「何でですか?こんなゴミ屑いなくなっても問題ないですよ、こいつらの話聞いてましたか?」
「(正直最後の所は聞こえていない、ところどころしか聞こえていないが、、今はそんなこと言える状況じゃないな)
見ていたし、聞いていた、その上で言ってるんだ『抑えろ』って」
少しプレッシャーを秀治に向けて放つと直ぐにいつもの秀治に戻り、そして自分の行おうとしていた行為に酷く絶望したような顔になっていった。
「(少しでも今の気持ちを紛らわせた
方がいいな)……よく堪えた」
その後秀治から謝罪をされたが、状況が状況なので直ぐに伊地知に連絡を入れ、秀治を高専に連れ戻し、部屋に寝かせた
「ふぅーーー」
その後の一般人に術式を使おうとした件をどうにか有耶無耶にし、気絶した人や嘔吐した人、その他複数人の人達に話を通しどうにかしたがそれはたいしたことじゃない
「……傑」
あの時……秀治の姿が、傑と重なって見えていた。
後一歩遅ければ、秀治も傑のように、、、イヤな考えをやめて伸びをし、空を見上げる。
「……」
この虚しい気持ちを埋めるのはいつだってあの淡い青春の思い出、だけどそれを思い出すたびに思い出される気持ち
この日五条悟は、秀治をしっかりと導いていかなくてはならないと、そう強く決心したのである。