シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
早速だが、龍宮院京極はあまり内面を知らない人間が見ればわりと完璧超人と思われることが多い。
まぁスタイルも顔もぶっちゃけ満点に近く、性格も(一部場合を除いて)良い。成績は優秀でスポーツにおいては言わずもがな。ここまで聞けばマジの完璧超人である。10人に聞けば9人はまぁ「完璧だ」と回答するだろう。え?じゃあ残り1人は何で完璧だって答えないのか?その残り1人が俺で、幼馴染としてキョウの内面を知っているからだよ。
まずこいつ、他人が思ってるよりも数倍……いや、数十倍くらいはグータラだ。確かに自炊なんかの家事はある程度できるが俺がいるとなると途端にポンコツと化す、具体的に言えば米を炊く時水の分量を派手に間違えて死ぬほど硬くなったりベチャベチャになる。あとは基本的に生活リズムは整っている方(なおゲーマー基準で考えるものとする)だが偶に羽目を外しすぎて昼頃、酷ければ午後3時辺りまで平気でグースカ寝ている。こいつ俺が起こさなきゃ起きれないとかどういう生態してるんだとは思うがまぁここは可愛げがあるで済ませよう。
他にも挙げればキリがないほどに粗が出てくるのだが、目下1番の問題はコイツのファッションセンスだ。多くは語らない、これを見て貰えばわかると思う。
「ふぁあ……おはよこーくん」(デカデカと
「服を何とかしろォ!!!」
「どうしたのいきなり!!?!」
下は問題ないがその上だよ上ェ!!どうなってんだそのクソダサTシャツは!!!逆にどこで売ってるんだそんなもんッッ!!!
思わず用意していた
「…………あー、おはようキョウ。ところでそのTシャツは一体どこで……?」
「ん?これ?ふふん良いだろう僕もたまたま見つけてね、思わず買ってしまったんだ。一緒に来てた他の子達も僕の買ったこのTシャツをずっと見ていたからね、よほど欲しかったんだろう」
思わず天を仰いだ。というか俺としては何も言わなかったその友人殿がガン見以外のリアクションを取らなかったことに驚きを隠せない、普通ならもうちょっと何かしらのリアクションを取るものではなかろうか?
とはいえ、年頃のJKがこんな格好で本当によろしいものなのか?俺は訝しんだ。いくら何でもこのシャツだけはダメだと思う、というかこれが最近の中でダントツってだけで他にもヤバいものは幾らでもある……ちなみにこの「
◇◇◇◇
「というわけで、イ◯ンにやって来ました」
「どういう訳なんだいこーくん」
「お前の壊滅的な服のレパートリーをどうにかする為だよ!!!」
はい、超有名総合ショッピングモール◯オンだ。何時もなら適当に店を覗いたり映画見たりゲーセンでゲームしたり本を買ったり色々する訳だが今回の目的はたった1つ、
今回は季節が秋ということもあって秋らしいコーデに仕上げてみた、本人たっての希望でボーイッシュなコーデを望まれたのでそっちも踏まえてな。まずまずキョウは素材
丸みのあるシルエットが特徴的なカーキ色のベイカーパンツで下半身のボリュームを出して上半身は無地の白シャツを着せるだけであら不思議、こんなにも美少女が爆誕する。これが普段から自分でできていたらと思わなくもない。小物なんかは靴は本人の気性と相談してある程度の機動性が確保された緑のアンクルストラップサンダルとキョウが気に入ってよく使っているショルダーバッグ(俺が確か去年のクリスマスに渡した奴)、あとはなんかもしかしたらと思って適当に付けさせてみたラウンド型の度が入ってない丸メガネ(なんか信じられないほど似合ってる)だ。正直自分をすごく褒めたくなったが俺よりも褒めるべきはキョウなので全力で褒めちぎった。なんか暫く口を聞いてくれなくなった、解せぬ。
「正直こーくんが大体見繕ってくれるからあんまり気にしてないのに……」
「着る人間がいてくれた方が意見も取り入れやすいんだよなぁ、後は自分でも真っ当な服を選ぶ為の知識を身につけてほしい」
「失礼すぎない?」
「1人で服選んだらあんなTシャツくらいしか買ってこないやつが何を言うか……ほら行くぞ、取り敢えず店頭に並んでる服からちょっと好きなやつ見つけてそこから考えよう」
「はーい」
というわけでウィンドウショッピング開始、適当に好みの服があればそこに寄って適当に服を見繕い良いものがあれば買ってなければ店を出てまたモール内を見て回って……これ、世間一般で見ればデートじゃね?
思わず隣でアイスラテを飲んでいるキョウを凝視しながらふと思ったがまぁこいつはそんなこと一切気にしてないか、と考え直したった今浮かんだ考えを即座に廃棄処分する。そもそもこんな感じで出かけることなんか今まで数えきれないほどあるんだから今更だろうしな。ところで……
「なぁキョウ、俺の気のせいかな」
「僕も多分おんなじことを考えてるから多分気のせいじゃないね」
うん、なんというか……さっきから結構見られてる気がするんだよな、どうも。まぁキョウは見た目と普段の外面は満点も満点だからな、当然人目を引くし目立つ。普段の制服姿でも十分どころか十二分以上に人目を引くのに今の俺コーディネートによって着飾ったキョウはいつも以上に人目を引いている。
「ん――――……いつもはこんなに見られないんだけどなぁ」
「そりゃお前がいつもより可愛いからじゃないのか?やっぱちゃんとオシャレしたら可愛いんだからあんなクソダサTシャツじゃなくてちゃんとした服着ような?」
「みゅっ…………こ、こーくんもっ、見られてると思うんだけどなぁ」
「俺?ないない、せいぜい引き立て役が関の山だろ」
みゅってなんだみゅって。というか俺が見られてる?ないないないあり得ない、何言ってるんだお前は。そりゃまぁ引き立て役として値踏みの視線くらいはくると思うが俺個人が人目を引くことなんて殆どないだろう。
「ほら、そろそろノートかシャー芯切れそうなんだろ?ちょっと文具店覗きに行こうぜ」
「うっ、うん……わっ!!?」
「危なっ」
何に躓いたのやら、思いっきりこけそうになったキョウを見て咄嗟に腕を強く掴んで引き戻す。今はいつものようなスニーカーではないから幾らある程度動きやすいとは言えこけるものはこけるだろう……危なっかしくて見てられん。
「ご、ごめんこーくん、いつもならこんなこと絶対にないんだけど……」
「最近練習キツそうだし疲れてるんだろ、ほら、手」
「へぁ……て……てぇ…………!?」
さらっと手を取ってこけないように握ってみればキョウの顔がトマトか何かのように真っ赤になった。かと思ったらどんどん青くなって……さらに白……いやこれ土気色……ん?
「何で息止めてんの?」
「………………っぶ、はぁっ!!!」
俺の言葉に思い出したかのように息を吐き、ついでゼーゼーと荒い呼吸を繰り返すキョウを見てつい笑ってしまう……相変わらず面白いやつだなこいつは。
「…………何で笑ってるのさ」
「いや、面白いな、と」
それを聞いて一瞬ポカンとしたキョウは次の瞬間ぷくーっと頬を膨らませてしまった。怒らせてしまったか?取り敢えず機嫌を直して貰う為に俺は慌ててキョウが今飲んでいるアイスラテに合うものが周囲で売られていないか考え始めた……クソ、あの時やはりシナモンロールを買っておくべきだったか、己の判断ミスに嫌気がさすぜ。
◇◇◇◇
あの後どうにかこうにか機嫌を直してもらい、文具店に行って良い感じの文具を見繕って購入し、キョウが個人的に行きたい店があるとかで俺がしばらく待ち合わせ場所に設定したモール内の広場で待つことになった。
まぁキョウも華の女子高生、男である俺に見せたくないもしくは見られたくないものの1つや2つあるだろうし俺は待つという行為自体にそこまで抵抗がないから何も問題はない、適当にスマホを眺めるなり何なりでいくらでも時間は潰せる。………………にしても。
(……………………おかしいな、キョウがいないのにやたら注目を浴びてるような気がする)
ちらちらと視線を感じるのは気のせいではないだろう、フッと目線を上げると何人かが慌てて目を逸らしたのが容易に分かった。何で見られてるのか不思議で仕方ない、確かに普段よりは少し真面目に髪や服は整えたがあくまで本当に少しだ、具体的にはいつも3分かそこらで済ませるのを5、6分かけた程度。
まぁ正直気にするほどのものでもないか……そう考えて何となくふるりと軽く頭を左右に振って、次に挑戦する音ゲーを探していく。
うーん、この前まで挑戦してた「Ace:Ombat」がアクションにかなり振った音ゲーだったからな、今度はそういう要素が少なめな音ゲーが………あぁ、そういえば今年の春先に発売してたな「シャングリラ・フロンティア」。このゲーム信じられないほど評価高いし何でも神ゲーと呼ばれるらしいから興味は惹かれるが……音ゲーではないから多分プレイすることはないな。が、一応頭の片隅には残しておくとする「ねぇ、そこのお兄さん!」か?
見知らぬ声にスマホに落としていた目線を正面に向けるとそこには4、5人の女性達が俺はあまりそういうのはよくわからないが男受けしそうな笑顔を浮かべこっちを見ていた。
多分大学生……もう少し若く見積もったとしても俺よりは年上であることは確かだな、秋晴れの爽やかな外出日和らしく俺から見てもガッツリおしゃれした彼女らを見た俺の第一印象は「そのおしゃれ精神がどうか一欠片でもいいからキョウに宿って欲しい」だったが彼女らはどういう受け取り方をしたのやら「そんなにマジマジと見ないでよ〜」とか言っている。まぁあながち彼女らの言い分は間違っていないし波風立てたくないし謝っておくかと頭を下げながら詫びる。
「あぁ、大変失礼しました。ところで俺に何か用ですか?」
そうなんだよなぁ、周囲から見れば絶対に「話しかけてほしくない」的なオーラが出ていた筈だ。こうやって明るく話しかけてくるアグレッシブさは見習うべきかもしれない、それこそ音ゲーばかりに引きこもるのではなく色々なゲームに手を出すような……比べるようなことではないか。
「やーん、そんなにお固い言い方しなくてもいいじゃん!それとね、今暇?暇ならちょっとお茶でもどう?私達とお喋りしない?」
…………お喋り……なるほど、尋問か拷問かな?
そこまで考えて雑念を振り払う、まさかゲームでもないのにそんなことあるわけないだろうが俺。冷静に断れ。
「お誘いはありがたいですけど、今人を待っているのでお断りさせていただきます」
このタイミングで荷物になるし邪魔だろとキョウから預かった(強奪したともいう)本日の戦利品、キョウのファッションセンス改善につながるかもしれない女性向けブランドの服が入った紙袋に気づいてくれないかなとそれとなく見せるもどうも視界に入っていないのか、それか気づいた上でなお言ってくるのか定かではないが構わず俺とコミュニケーションを取ろうとしてくる。
「ーーーーーでね?それでーーーーーー」
「お誘いは本当に嬉しいんですけど先にしていた約束があるので……」
「じゃあその男の子も一緒にどう?ここから少し行ったところに新しいカフェができたんだけど」
やばい、ちょっとしつこく感じてきた。今近くにハクアレンコがいれば容赦無く
まぁそんなアホなことはさておきどうも連れが同性だと判断されたらしく相も変わらず話しかけてくる女性陣に対してさてどうしたものかと思案する。
・連れがキョウ、つまり女性だと言う。効果ありかもしれない、ただこの感じを見るにそれでもお構いなしな気がする。
・無視を決め込む。俺の良心と常識が却下。
・キョウが帰ってくるまで待つ。なんか見られたくないし却下、あまりにもしつこい場合はその手段も考えておく。
さてパッと思いつく限りだとこれぐらいか……どうしたもんか。
その思考が強制的に中断されたのはモールに響く大きな声だった。
「ーーーーーーやめてくれませんか?しつこいですよ」
「しつこいとか酷いなぁ〜!ちょっと一緒に遊ぼーぜって言ってるだけなのにさぁ〜」
とても聞き覚えのある声だ、何年も一緒にいるから絶対に聞き間違えることのない声だ。
「………………キョウ?」
◇◇◇◇
さてどうしたものか。
目の前にいる男数人を見ながら京極は冷静に自らが置かれた状況を冷静に分析しつつ対処法を考えていた。
まず何故こうなったのか、それは虎堂にあまり見せられない(見られるのが恥ずかしいとも言う)ものを買いに行き、無事気に入ったものを確保しさぁ待ち合わせ場所に向かおうとした時声をかけられ応対していると気づけば周囲を取り囲むように男達がいたのである。
どう考えてもナンパである、ここまでは京極も理解できた。最初は穏やかに断ってさっさと離脱しようとしたのだがどうもしつこい、しきりに「カフェに寄らないか」だとか「お話ししよう」だとかの今のご時世では少々古臭い文句が飛び交ってくるのだ。こうもしつこいと流石に手が出そうになるがそこはこと勝負事以外では自制心が強いと自負している京極、ぐっと堪えて少し語気を強めるに留める。
「あの、すみません。何度も言ってるんですけど人と来てるのでお誘いは断らせていただきます」
「えー?良いじゃん良いじゃん別にさぁ〜、ちょっとお話ししたいだけなんだよ俺ら」
なぁという風に周りを見渡すどうもリーダー格っぽい男を見遣りつつ静かに嘆息する、これと比べたらこーくんは何て紳士なのだろうか、爪の垢でも煎じて……いやそれなら自分が飲んでしまおうか。
少し道を外した考えが頭に巡るも即座に叩き潰した京極が次に考えたのは「もういっそのことボコボコにしてしまおう」作戦である。この人数の男に手こずるほどやわな鍛え方もしていないし家の方で一通りの護身術は叩き込まれている、
次に手を出してきたりした場合確実に肉貫を敢行すると誓って相手の出方を窺う。
「あのさぁ、もうそろそろ良い加減わかって欲しいんだけど……」
男の右手が京極の肩に触れようとした、グッと力を込めて右脇の肉と肉の隙間を狙い使用不能にしてやろうとした京極……
「――――――――何やってんだ、お前」
ゴギョッ!!メキメキメキ……!
「い"っ"…………っだぁ"!?!!!」
「…………こーくん!?」
の、更にそれより早く横から手が伸びてきた。次の瞬間肩に手を伸ばしていた方のナンパ男の肩から先が通常では絶対にあり得ない動きをしながら揺れる、そして次にそれをやった下手人……もとい虎堂の手がナンパ男の顔に伸び、恐るべき握力でメキメキと人体からあまり鳴ってはいけなさそうな音を立てながら鷲掴みにする。
「すまんキョウ、変なのに絡まれてるのにすぐ気づけなくて悪かった。ところでコイツら何?」
「え、あ、うん……ナンパかな?」
「おっけーわかった」
とうとう握力と腕の力でナンパ男の体を持ち上げてしまった虎堂はしかし一切の油断なく周囲を取り囲む男達の顔を一通り見渡して一言。
「
「あ、あーーーーーー………………」
「ふざけんがぁっ!??!」
ミリミリと音を立てて頭蓋骨が軋む、それを聞いた瞬間数に物を言わせて女性に言い寄っていた男達が逃げる判断を下した。
「し、失礼しまーす……」
「あぁはい、さようならー……っと、お前は逃す気ないからな?腕か顔か、要らない方を……」
「ひっ」
「こーくんストップ!!!やりすぎだしそろそろ制限時間だよ!」
逃げ去った男達を見送った後普段の穏やかな顔つきからは想像もつかないほど冷ややかな目をした虎堂がさぁ骨でもへし折ろうかという一種の殺気とも呼べる空気を纏った瞬間、京極がそれに待ったをかけた。
◇◇◇◇
結局あの後、モールの警備員がやって来てそいつは引っ張られて行った。ついでに俺たちも事情を聞くと言う名目でそいつとは別の警備室に連れてこられ、状況の説明や学校名、氏名を書かされた。
そして俺がキョウに言い寄っていたクズどものうちの1人の顔面を砕きかけた30分後。
「あーー、もしもし母さん?うん、うん。多分そっちの方にも電話来たと思うんだけどなんかキョウが厄介なのに絡まれてさ。俺?手は出したか?出したよ、腕の1本2本持って行こうかなと思ったけど……何でって、そりゃキョウが言い寄られてたら……え?よくやった?……キョウに変われ?」
「うん、うん。僕は何もされてないよ、精々肩に触られかけたくらいで……え?報復?なんかこーくんが腕へし折りかけてたけど……こーくんに変われだって?」
携帯から耳を離して振り向く、背中合わせに電話していた俺達の目が同時に合った。
「「キョウ(こーくん)、なんか母さん(父さん)が電話変われって……え?」」
どうも要件は同じらしいので取り敢えず携帯を渡し、渡され耳に当てる。
「えーーと……もしもし、白石です」
「虎堂君、ありがとう助かったよ。娘に触れようとするクズを叩きのめしてくれるとは!……ところで今日は泊まる予定があったりするのかい?大丈夫だ、愚息2人は私が何とかしてみせよう」
「何言ってるんですか……明日学校なんで普通に帰りますよ」
相変わらずだなあの人、基本いい人なんだけど時折どうもおかしなことを言う。
あ、キョウの方も電話が終わったらしい……なんでそんなに耳真っ赤なのお前。
「そ、そんなまだ早いことを……」
「何言われたんだお前」
「ナンデモナイヨ」
何でもないらしい。
「あ、君達の正当性が証明されたのでもう帰っていいですよ。デートなのに災難だったねぇ」
「デッ!?!?!???」
「ははは、デートじゃないですよ。そんじゃ帰るかキョウ…………キョウさん?」
ダメだこいつオーバーフローしてやがる。
耳やら頭のてっぺんあたりから火か煙が出そうなくらいに顔を真っ赤にしているキョウを引きずるのに苦心しながら俺達は帰路についた。
◇◇◇◇
「――――――にしても、本当に災難だったな今日は」
「うん、本当にね」
2人で家に辿り着き母さんが「何故だか」ウキウキで用意していた晩飯(今日はおろしポン酢をかけた鰹のフライだった)を食べてから入れ違いで風呂に入った後どうにかこうにか一息つく。
にしても今日は中々濃い内容の1日だったと言える、本当は服を買うだけだったのにどうしてナンパマンを張り倒すことになったのやら。まぁあの輩共は2度と忘れられない思い出をプレゼントしてやった、特にあの触ろうとした奴な。
見渡せば既に母さんは居ない、大方寝に入ったのだろう。居るのはキョウだけで、ソファに1人で座っていた。そこに麦茶を注いだコップを2つ持って行って俺も座る。
(とはいえちょっとやりすぎたところはあるかもしれない、キョウに怖がられてないといいんだが)
チラリとキョウの横顔を見ながらそんなことを考え……いや、何で俺がキョウの心象を気にする必要があるんだ?冷静に考えて。
首を捻る中ポツリとキョウが呟いた。
「…………あのさ、こーくん」
「おうどうした」
「あの時、さ。割とよくこういうのはあるから慣れてるつもりだったんだけど……実のところを言うと、ちょっと怖かったんだ」
「………………」
そらそうだろう、幾らキョウが剣道において無類の強さを誇っていたとしても、幾らキョウが護身術を収めていてあの状況下でも充分すぎるほどに自衛できていたとしても。
コイツはまだ俺と同じ高校1年生だ、怖かったに決まってる。そう、怖かったに決まってるんだよ。
(…………あの時、俺が最初からそばについていれば)
そう思わざるを得ないのだ。あの時店自体には入らず近くにいるという判断をするだけでも間違いなく何かが変わっていた、少なくともキョウがたった1人で7、8人の男共に囲まれることはなかった。
情けない、だからお前は弱いんだ。
「ごめ――――――」
「謝らなくても良いよ、こーくんが謝ることでは絶対にない」
俺の謝罪を途中で遮ってキョウはそう言った。その後続けて「寧ろ
「…………それでも、ごめん。あの時俺が一緒についていれば少なくともお前が1人で迫られることはなかったのに」
「あの手合いなら例えこーくんが一緒にいたとしても来ると思うよ、だから本当に気にしなくて良いの。そもそも僕が1人で行きたいって言ったのが根本的な原因だし」
「…………でも」
「でもじゃない。それに、結局こーくんは僕のことを助けてくれたじゃないか。それだけで僕は充分なんだよ」
「…………そう、か」
けど、と言ってキョウは静かに俺に寄りかかって目線を下に向け、脚を前で畳みながら静かにこう言った。
「――――――やっぱりちょっと怖かったし、肩に触られるの嫌だったんだ。だから……ちょっとだけこのままでも良いかな?ついでに頭も……撫でて欲しいかも」
「――――あぁ、幾らでも」
俺が静かに頭に触れ、出来るだけ髪を傷つけないようにと注意しながら頭を撫でると嬉しそうに、くすぐったそうにキョウがほんの少し身を捩らせる。俺達は静かに隣り合ってコオロギの鳴き声をBGMに夜を過ごしていった。
余談ではあるがそれ以降ほんの少しキョウのファッションセンスは改善された。少なくとも例の
途中からほうれん草ちゃんのブレーキとエンジン壊しちゃった…
近い未来ほうれん草ちゃんのビジュが発表されることは間違いないのでその時絵も描いてみたい(儚い願望)
斎賀流護身術
人体をおおまかな部位に分けた上でその筋肉と筋肉の間を貫手でこじ開け使用不可にするとかいう中々バイオレンスな技。3箇所同時脱臼の骨抜や顎の粉砕、意識を刈り取ることに重点を置いた砕惨よりはまだマシな部類……とはいえ充分危険なことには変わらない技だしこの技は肉を貫いた「後」に重点を置いている、具体例としてはかつて京極の母が暴漢に襲われた際肉貫で生まれた隙を突いて肉貫によって生まれた筋肉と筋肉の間に手を突っ込み投げ飛ばすという離れ業を見せた。他にも肉貫→骨抜、肉貫5連撃のようなコンボも存在する。
マジで護身術かこれ
今回の話はどうでしたか?
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最高だった
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面白かった
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普通
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そんなことよりさっさと本編進めろ
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そんなに面白くなかった
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面白くなかった