シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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待ち合わせ時間は余裕を持って決めましょう

「おやビャッコさん、丸1日ぐっすりでしたがよく眠れましたか?」

 

「おうオルト、よく眠れたついでに……あーー、そうだな、天啓も得られた。フィフティシアに行くぞ」

 

たった1日しか開けてないというのに何故だかとても久しぶりに感じるシャングリラ・フロンティアにログインした俺はオルトと軽く会話しつつ今後の予定について頭を巡らせる。

 

まず今回フィフィテシアに向かわなければいけない理由は例のユニークシナリオ「忘れ難き深淵の都(ルールイア)」の為だ。結局あの後結論として俺も受注して2人で挑戦することで決着がつき、要請があった上で()()であれば俺が作戦に参加するという形で契約した……くくくバカめ、「可能であれば」が前提なんだから俺側はのらりくらりと幾らでも回避できることに気づかないとは。まぁあのゲーム自体は普通に好きなので余程のことがない限り参加すると思うが。

その為にまずは投げておいた素材を使って武器を作ってくれている……と信じているビィラックの所へ行って、武器を受け取って最短ルートでフィフティシアに向かうしかない。いやマジで何だって翌日に設定したんだ、せめて1日開ければまだ多少ゆっくりと攻略できたものを。

 

悩んでいたって仕方ないのでオルトとビィラックの工房に向かう最中中々聞き捨てならない話題が飛び出してきた。

 

「そういえばラビッツに鳥の人やビャッコさんとは別に新しく人間さんがやって来たんですよ」

 

「何だって?」

 

「はい、連れて来たのはシークルゥ兄さんなんですが何でも「実にあっぱれな人間にゴザル!」らしいです」

 

「そっか……なるほど」

 

ここ、兎御殿に訪れたということは間違いなく俺やサンラクのように「兎の国からの招待」を何かしらの形で発生させたプレイヤーが現れてしまったということだ。……いやそれちょっと不味くないか?まともに進めれば遅かれ早かれまず間違いなくユニークシナリオEXである「致命兎叙事詩(エピック・オブ・ヴォーパルバニー)」にまで辿り着く。

 

「なるほど……なるほど……不味い、非常に不味い」

 

俺達……ひいては旅狼が抱えている切り札であるこのシナリオの存在が露見するのは大変不味い、切り札は隠し持っておくことで他の手札とは一線を画した効果を発揮するのであって、もしそのプレイヤーがネットに「兎の国からの招待」を流してしまえば切り札は最早切り札と呼べなくなってしまう。

なんだかんだ言いつつ俺はまだ始めて1ヶ月も経ってない初心者プレイヤー、同じクランやフレンドならともかく知り合いでも身内でもない全くの赤の他人に対して口止めさせることなんて到底できるわけがない。

 

いやまずはどうやってフラグを立てたんだ、自分でも思うが相当頭がおかしい難易度してたぞアレは。ジークヴルムの逆鱗をぶち抜いたり夜襲のリュカオーンに何百回もクリティカルを叩き込むくらいのことをしなければいけないシナリオの発生条件を満たす奴が俺やサンラク以外にいるとは思ってなかった……どうする、最善手はペンシルゴンに全部丸投げすることだがそれ以前に俺には撃破時間との約束がある、が、今最優先で対処するべきなのはその3人目のラビッツ入国者で……

 

「ままならねぇなMMO……!」

 

いや落ち着け落ち着け、音ゲーでもギミックと物量にテンパったら最後飲み込まれて死ぬだろう?今のお前に必要なのは冷静な心持ちと判断だ。

 

「オルト、その入国者の名前分かるか?というか今から会える?」

 

「確か……「秋津茜(アキツアカネ)」さんだったかと。会うことは難しいかもしれません、父上に会う前にお休みになられているので。シークルゥ兄さんに関しても基本何処かへフラリと出かけられることが多いので会えるかどうか……」

 

ぐぅ、今すぐ会えないと来ましたか。しかも寝る……ログアウトしたってことは余計情報をネットの海に放流してそうで笑えない、良心と独占欲という人間の欲求にお祈りして今すぐ確認するのは堪える方向でいこう。

ならどうするか、決まってる、フィフティシアへ最速で行くことだ。そしてその間にも打てる手はある。

 

「オルト、お前に重要な任務を任せたい」

 

「秋津茜さんへのコンタクトですね、わかりました」

 

ウチのオルトさん有能すぎて泣けてきたわ、まさか指示の内容までバッチリ予測してくるとは。

 

「その通り、流石は俺の相棒だ……頼むぜ、お前が頼りだ」

 

「心得ています、それでは行ってきますね」

 

オルトと別れそのままビィラックの工房に直行しつつこれからのチャートを組み立てる、えーと確か地図は前に見て覚えてるが……例の魔力運用ユニットを見つけた去栄の残骸遺道を踏破しそのままイレベンタルを突っ切って最後の関門たる「無果落耀の古城骸」を攻略してフィフティシア到達、そして撃破時間と合流しユニークシナリオ……なんて過密スケジュールだ、ゲームじゃなければ死んでいた。

口約束とはいえ重要な情報という点では何も間違っちゃいないんだから明日の朝7時半までに何が何でも待ち合わせ場所として指定されたフィフティシア貴族街の門前に辿り着く……!

 

「ビィラック!頼んでた武器は出来てるか!?」

 

「ワリャか……おう、出来とるぞ。これぞわちの最高傑作の1つ…………鳥の人は何も聞かんと持っていったがワリャなら聞いてくれるじゃろ……その名も」

 

「悪いすまんいまは俺も無理だ!今度諸々含めて3時間くらい感謝の言葉と使い心地説明するからーー!」

 

「ちょお!?!ワリャもか!?ワリャもなんか!?!?!!!」

 

置いてあった()()を引っ掴みインベントリアに叩き込みながら部屋を飛び出る、背後から凄まじい怨嗟の声が聞こえる気がするが誤差だ誤差、さっさと攻略に行くぞ。

 

「まさかRTA(リアルタイムアタック)をやる羽目になるとはな……!?」

 

タイマースタートは去栄の残骸遺道からスタートでいいのかな?




本当は掲示板回でしたが予想以上に名前関連が来なかったので泣く泣く通常回です、というかいっそのこと読んでくれてる読者の人達が良いって言ったら丸々その名前を採用するのもありか…?どうなんだろこれ
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