シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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長い夢を見ていたようだ(夏風邪)


音無き捕食者

「どうしよう迷った」

 

フラグ回収である。現在ビャッコは思い切り無果落耀の古城骸で迷っていた。なお現在時刻は午後11時34分、撃破時間との待ち合わせ時間まであと約7時間半である。

 

まずどうしてこうなったのか、そこから解説していこうと思う。

ビャッコは大量のストーム・ワイバーンから逃げながらエリアを進んでいた、序盤は奇跡的に正規ルートからは殆ど外れずそのまま順調にいけば問題なくエリアボスの所へ辿り着くことができた。だがしかしそんなに上手い話などあるわけもなく、次第に正規ルートから外れていき本人は知る由もないが現在彼はエリアの端の方にいる。

 

「………………ちょっと本気で急がないと不味いな、予定時間には多分問題ないと思うけど睡眠時間とか取れない気がする」

 

だがそんなビャッコに更なる苦難をシャングリラ・フロンティアというゲームは課す。

 

無果落耀の古城骸には何種類ものレアエネミーが存在する。ストーム・ワイバーンの異常変異個体であり、通常風を纏うことしかできないストーム・ワイバーンが雷の力をも宿した個体、「テンペスト・ワイバーン」。

古城骸内部の一画から動くことがない代わりに自身を構成する()以外には当たり判定のない線画の騎士、「輪郭の騎士(コントゥアル・ナイト)」。

ハードラッグ・ライノが長い年月を生きた結果本来突進に特化している筈がブレーキやカーブなどの小賢しいことをやり始める「ドライブラッグ・ライノ」。

他にも挙げ始めればキリはないが、たった1種だけ「エンカウントしたらほぼデスが確定する」とまで評価されるエネミーが存在する。

このモンスターについて知りたいのならばまずイレベンタルやこの先のフィフティシアのNPCの中で伝わる御伽話……「骸漁り」について知る必要がある。

その物語の内容自体は得体の知れない怪物を旅の開拓者が討ち倒す、という割とありふれた話ではある。だが実態はその物語に出てくる「骸漁り」というモンスターに対しての警告を込めた物語であり、「骸漁り」の異常性を指し示すものである。

 

――――――――「骸漁りは何も持っていませんでした、だから骸を漁ります。己を己とする為に。骸漁りは骸を漁ります、力を得る為に。もう誰にも止められません。骸を漁り、骸を得る為に目につくもの全てを鏖殺して生まれた骸をまた漁る。」

 

この一節からも分かる通り「骸漁り」は非常に好戦的かつ己の力たり得るものを認め次第何が何でも殺しにかかってくる気性である。

そしてそんな「骸漁り」にとって開拓者という()()()()()()()()()()()()()エサは最高のご馳走である。

出現条件は『夜』、そして『隠しステータスである歴戦値が一定以上』かつ『ソロ』であること。

これらの条件を満たすことで「骸漁り」は城骸の外を徘徊する。

 

「骸漁り」、真名を「カーケスカブ(死体を漁る者)」。己を己たらしめんと骸を喰らい姿を保つ()()()()である。

 

ビャッコに課される受難。カーケスカブは己を更に強くせんと音も気配も一切を隠蔽しビャッコに襲いかかった。

 

◇◇◇◇

「……………………!!!?」

 

何だ、俺は何に襲われた?

 

真っ先に頭に浮かんだのはまぁ妥当なことだがモンスターの奇襲。にしては野生味というか……荒々しさがない。

まるで暗殺者のような完璧な奇襲、首を狙ったその攻撃は正直勘で避けられたとしか言う他ない。

 

「……………Quuuuuuuuuuu」

 

「………………何だ?こいつ」

 

鳴き声らしき音がした方を振り向くとそこにいたのは不定形なナニカ。グジュグジュとあまり聴き続けたくはない気持ちの悪い音を立てながらそいつはそこにいた。

 

こいつがさっきの奇襲を仕掛けてきた?まさかそんな、こんなモンスターが?いやでも一応警戒はするべきか。何たって経験なものを言う、見た目からして明らかに味方サイドなのにバチバチの敵キャラだとか味方の癖して敵の強化ばっかりするアホがいたからな……お前のことだぞ、聞いてるのかオイコラアプカス。

取り敢えず白雪(ブランシェス)()狼槍(ガングラスター)を構える、次の瞬間。

 

「…………GuuuuuUUUUUUAAAAAAA………!!!」

 

「あっそういう感じなのね」

 

ズモモモモモと言ったSEが付きそうな挙動でナニカが形を変え姿を得る、にしたってアレなんだ?

四足歩行の獣……というには前脚が何か人間っぽいし後ろ脚はバッタとかその辺の虫みたいな形だ。その癖顔は犬とかその辺に近い造形をしている。何というか、色んな生物を見境なくごた混ぜにしているような……

 

「GUU"UUU"」

 

「ッ!!」

 

ナニカが踏み込んだ、次の瞬間俺の目の前に牙が迫ってきた。

咄嗟に俺は身を逸らし槍を支えにして顎を狙って蹴りを叩き込んだ、が。

 

「かっっった…………!?」

 

顎に何かある!?…………鱗?いや違う、鱗だとしてもあんな金属の塊を蹴りつけた感触なんて……まさか……装甲…?

 

「お前取り込んだ物を自分の要素として扱えるタイプのモンスターか!!!」

 

納得いったわ、道理でごたついた造形してるよ!ところで何で顎に装甲なんて取り付けたんですか?まさかとは、いや本当にまさかとは思いますけど()()()()()N()P()C()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて面白い(笑えない)要素搭載してないよね?

 

「逃げたいところだが正直逃げ切れる気もしない、さっさとぶちのめしてやる……!」




カーケスカブ君のここが凄い!
・取り込んだ素材やらモンスターやらNPCやらプレイヤーやらの性質を模倣できるぞ!顎を蹴り抜かれたらスタンするかも?装甲(食べた鉱石とそこら辺に落ちてた鎧)を纏えばOK!ソースは食べたニンゲンの頭!
・取り込んだ物質からその状況下に合った最適な姿になるぞ!
・殺意がヤバいぞ!絶対に逃さないという強い意志の元地の果てだろうが追いかけ回すぞ!
・長生きする程取り込んだ物質が物理的に多いからその分引き出しが増えるぞ!
・結局スライムなことには変わらないからコアさえぶち抜けば死ぬけどそのコアも特定しづらいぞ、倒したいなら丸ごと消し飛ばすくらいしか碌な方法がないぞ!

餓獣形態
ちょっとお腹が減り始めた時にとる形態、瞬発性や火力に優れている。
爪が掠ったら猛毒と麻痺と腐食の状態異常が付与されるぞ!
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