シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
神も良も凡もクソもありとあらゆる音ゲーを嗜んできた俺が思う音ゲーにおける最も厄介なものはつまるところ「物量」、「密度」だ。
いくら技巧が卓越していようがいくら目が良かろうがいくら反射神経が良かろうが体が動かなければ、間に合わなければAPどころかフルコンすら取れない。
もちろん高難易度曲なんかだとそういうのはどのゲームにだって存在するしクソゲーはそんなの標準搭載だ、BPNが300を超える曲が実装された時はそのゲーム内で出来たコミュニティの人達と腹抱えて笑った、よりによってその曲の進行スピードがバグって実質BPN500とかいう人類にクリアさせる気がない密度にまで昇華されたとかいう笑えないオチまで含めてな。
さて、どうやらアクションゲーにおいてもこの「物量」と「密度」が正義の風潮は変わらないらしい。何が言いたいって?そうだな…………物理的に手数を増やしながら超高速で接近しながら的確に急所を突いてくるモンスターがもし仮にいたとしたらそれは音ゲーに置き換えると大体こんな感じだってことかな。まぁ、何というかだ。
「フィールド湧きのモンスターに施す調整かこれがァァァァァァァァァ!!!!」
「GUUUUUUUUU」
獣型のナニカ……呼びづらい、コピー野郎で良いか。コピー野郎が両脇腹から通常あり得ないだろう昆虫か何かのような節を持った腕を生やして襲いかかってくるのを根性で回避するために跳躍、真下を通過していくコピー野郎に向かって突きを繰り出す。
いや待って普通に弾かれたんですけど切実にスキルが欲しい、槍系スキルが欲しい!
「やっぱスキルとか補正がない以上いくら素の攻撃力が高くても運用しづらいか……!」
【金龍】と【赫竜】を展開、やっぱ手に馴染むな、レベル差がどうなっているかがわからなくて運用するのを躊躇っていたがどうやら杞憂だったらしい、中々な量のバフが俺に付与されている。
「腕何本生やしてどんだけ早く動こうが結局関節で可動域は制限されるんだから見切れはするよなぁ……!?」
嘘ですスキルないと見切れません。
しかし有用なことには変わりない。周囲がスローモーションに感じられ俺を仕留めんとする攻撃がゆっくりと迫ってくる感覚、まぁ多少ゆっくりに見えるってだけで十分早いんだがこの程度の速度ならば問題なく対処可能だ。
「右右左、右前脚のスタンプからの噛みつき薙ぎ払い両前脚グラップ……全部見えてんだよバーーーーーカ!!!」
右脇腹から生えた腕の2連撃を冷静に捌きフェイント込みの左脇腹の貫手を【赫竜】でパリィ、スタンプ攻撃をバックステップで回避し薙ぎ払いを股割りのような姿勢でやり過ごした後両前脚のグラップをヴィクトリア・スマッシュを使って蹴り飛ばして弾き飛ばす……これ便利だなヴィクトリア・スマッシュ、殴る蹴るヘッドバットみたいな格闘モーション全部に補正がかかるようになってる上にクリティカル率にも補正かかってるのか。
っと、スキル効果について思いを馳せるべき時じゃないな、今すぐにこいつを張り倒してエリア踏破しなくちゃいけないんだから。
「にしたってこいつどうやって攻略すれば良いんだ……?」
少なくともまともな攻撃じゃ攻撃が通らない、一撃必殺クラスの火力……あるにはあるし使えるには使えるのだがぶっつけ本番で使うのはちょっと……まぁ本当に追い詰められたら使う最終兵器的な方向性でいこうか。
「というか俺の仮説が正しければお前には「空腹」の概念があると思うんだが……弱体化か強化なのかがわからん」
そう、コピー野郎のやたらめったらいろんな物を混ぜたような見た目から俺はこいつのことを「食った物をコピーもしくは消費して姿形をとる」タイプのモンスターだと予想している。この場合考えられる選択肢は2つだ、1つ目は消費する以上出力が落ちて弱体化していくタイプ、2つ目は消費するごとに凶暴化して強化されていくタイプ。
心の底から前者であることをお祈りしているがまぁ後者の方を前提にしておいた方がいいだろう、まぁこの仮説「消費」が前提になってるから取り込んだものがまるまる自分の体の一部として使われている場合ずっとこの出力な訳だけどね!
その不安要素を解消するためにも攻撃して体力を削っていかないことには始まらな……いや?もしかして
さっきから俺に向かってやたら殺意高めに攻撃を仕掛けてくる右脇腹(腕)君、割と攻撃ばっかりで回避だとかそういうのが頭になさそうなので攻撃しやすいな、あ、元から頭はないのか?というかなんか腕の感じどう見ても人の腕だしなんかちょっと残ってる装備品の残骸的なやつから推測するにこれプレイヤーじゃね?
…………なんかやたら攻撃的なのPKだからとか言わないよね?もうちょっと本当に笑えないんだけど?
「できるだけ早急にぶった斬ってやる……!」
腕が伸び切ったタイミング、さっきからずっと見てたけど伸び切った一瞬は全身を覆ってる装甲が薄くなる!
「ここ!!」
俺に向かって手を伸ばしてきた瞬間を狙って一閃、根本からザンッと切り落とした瞬間変化は現れた。
「GUGUUGUGUGUGUGUGUUUUUUU!!!!」
「効いてるじゃねぇか生えてるもん全部切り落としたら弱ってくれるかぁ!!??」
怯んだ、多分純粋に殴って体力を削るより生えてる腕やらをぶった斬ったほうが効くのか。
おっしゃわかった。
「達磨にしてやるから覚悟しろよな」
ところで切り落とした右脇腹(腕)君消えずにビチビチ動き回ってるの最高に気持ち悪いんだけどどうにかならない?ならない?ならないのかぁ……
◇◇◇◇
あれから10分、とりあえず生えてくるもの生えてくるもの片っ端から落としてきて無事コピー野郎は達磨になった。正直このまま芋虫よろしくうごうごしてるだけで終わって欲しいんだがどうも問屋がそうは卸さないらしい。
「今度は……騎士、か?」
達磨になったコピー野郎が姿を変え、しっかりとした2本の足が大地を踏み締める。腰に佩くのは1本の剣、身に纏うは鎧……に見えるがあれ絶対まともなものじゃねぇだろ、ゴーレムの素材かモンスターの肉か骨かで構成されてるだろ間違いなく。
顔面はまぁぶっちゃけ異様だな、物理的に目を増やせば動体視力上がると思ってるのか虫型モンスターを取り込んで複眼の性質をコピーしたのか知らんが8つの目玉が顔のいろんな箇所に適当に配置されている。
「GU,GUGUGUGU」
異形の騎士が剣を抜き、構える。
一瞬の静寂、次の瞬間。
「GU」
大地が割れた。
餓騎士形態
普通に空腹な時。
剣を振る時だけ筋肉(実態は取り込んだ物質を使い潰してる)が膨張してとんでもない出力で大体全部薙ぎ払うぞ!使ってる剣は勿論取り込んだモンスターの素材から!掠ったら状態異常各種にワンチャン即死効果も付与されるぞ!
第1形態と言うべき餓獣形態を突破したとしても大体ここで死ぬ。