シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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やっ!久しぶり!!(10日近く休んでたことにすっと目を逸らしながら)


道照らす灯火抱き、我ら進まん 其の三

率直に言えばサンラクは躊躇っていた。

目の前にいる巨大な黒狼は忌々しき呪いを刻みつけたユニークモンスター。倒すことがほぼ不可能だとわかっていても諦めることができない、諦めたくない。

しかし仮に倒すことができたなら?できてしまったら?

その場合サイガ-0にもユニークシナリオEXのシナリオフラグが立つ可能性が高い、それこそがサンラクを躊躇わせる最大の理由であった。

サンラク自身としては別にあまり気にする必要はない、だが「旅狼(ヴォルフガング)」の一員として考えると話が変わってくるのだ。もし仮にシナリオフラグが発生すればまず間違いなく「黒狼(ヴォルフシュヴァルツ)」が出張ってくる、そうなれば自分達の付け入る隙すら与えられることなくシナリオが独占されてしまう可能性が高い。

サンラクは思う、やはり純粋にレベルキャップに到達したプレイヤー達は、最前線に立つもの達はやはり強い、と。

プレイヤースキルだけでなく純粋に装備やスキル、魔法、アイテムなどなどで戦う術を持ち合わせているのだと理解した。

 

(純粋な攻略編成としてなら、例のカーケスカブとやらが乱入していなければ。もしかしてがあったかもしれない。そして何より「黒狼」によるリュカオーンの独占、これこそが今一番回避しなくちゃいけない最悪の展開か……)

 

様々な考えが頭の中でぐるぐると駆け巡り決断できない、いっそ足を引っ張ってこの場にいる全員が死ぬことが最良なのでは……?という考えもふっと頭に浮かんだものの流石に棄却した。どれほどマナー的に失礼なものなのか理解しているから。

 

リュカオーン、知り合いとの約束、ラビッツ、件の「アキツアカネ」、サイガ-0、ユニークシナリオEX……

 

単語と単語がぶつかり合って波紋を作り出し決断にまで至れない、思わず頭を抱えそうになったところでサイガ-0がサンラクに話しかけた。

 

「ーーーーーーーーーー」

 

その言葉を聞いた瞬間、サンラクの頭のどこかでぷつんと何か大切な糸が切れたような音がした。

 

◇◇◇◇

(なーに躊躇ってるんだあの鳥頭は……)

 

俺はサンラクを見ながら心の中でため息をついた。

いやまぁ悩むのもわかるよ?隣にいるその人の所属してるクラン頭おかしいくらい筋金入りのオオカミスキーの集まりだったもんね?正直さっさと死んだ方が楽まであるよね?サンラクの葛藤はぶっちゃけ正しい、ソロであるならばあまり考えなくても良いことではあるが今の俺達は「旅狼」というクランに所属しているからな。その上で俺はこう思う。

 

 

 

 

けどそれって今考えることか?

 

今目の前には死ぬほど厄介そうなクソデカ狼とコピー野郎がいる、最高の獲物だ逆に殴りかからず死んだり尻尾巻いて逃げ出したりする方がナンセンスだろう?

少なくとも向こう2人が離脱したとしても俺は1人でも挑戦する、それで死んだって後悔はそんなにない、挑戦したっていう最高のトロフィーが貰えるからな。今この瞬間を最高に楽しむことこそがゲームの醍醐味、であればこれを逃すなんてことはしたくない。

 

「ーーーーーーーーーー」

 

「ーーーーーー……ふ、ふふふふ……くくく、はははははは………!」

 

サイガ-0がサンラクに向かって何事か声をかけた、その次の瞬間サンラクがちょっと気色悪いレベルで笑い出した。何お前なんて声かけられたの怖いんですけどキモイんですけど。

 

「レイ氏、ビャッコ、やろう。勝とうが負けようがせっかくのチャンスを無駄にする方が馬鹿らしい」

 

「……………………はい!」

 

「こっちは元々1人になってもチャレンジするつもりだったっての……!いつでもいいぞ!」

 

さぁ、サンラクの気合いもバッチリ入ったらしい。勝ち負けなんか気にしない、最高に楽しい戦闘を始めようか……!

 

◇◇◇◇

さぁここでユニークモンスター、「夜襲のリュカオーン」と話によればレアモンスターかつこのエリアに出てくるモンスターの中じゃランダムエンカの(リュカオーン)(ジークヴルム)を除けば最強クラスのカーケスカブくんのコンビに無謀もいいところだけど挑みかかったシステム的に言えばフレンドな鳥頭とフレンドじゃない聖騎士を紹介しておこう!

 

レベルがカンストしたり装備によって多少の下駄を履くことによってティッシュ装甲から段ボール装甲あたりまでには改善された俺!

よく分からないがまぁ少なくともウェザエモン戦時よりかはまず間違いなく強くなっているであろうサンラク!

俺とサンラク何人分の装甲を持っているのかさっぱり不明!イカれた火力を持ち合わせた文句のつけようが一切ないシャンフロ最強プレイヤー、サイガ-0の3名だ!

さて、そんなパーティーに臨時ではあるが加入した俺が今何をやっているかというと、だ。

 

「やっぱりのあの魔術師共取り込んだ影響か……!?()()使()()()()()()()…………!!!」

 

コピー野郎、もといカーケスカブ君の対処である。

 

どうもカーケスカブ君に詳しいサイガ-0曰くこいつは補足したプレイヤー1人にヘイトを向け、それが変更されることはないらしい。じゃあなんでリュカオーンにヘイトが移ったの?と思わないわけでもないがここは軍用AIをさぞ当たり前のようにNPCやモンスターに搭載するシャンフロだ、通常のルーチンを外してでも生きるという結論を弾き出したのだろうと考えるしかない。そしてリュカオーンではないがSF-Zooのデバッファー諸君を取り込んだことで本来の獲物を思い出したらしい、サイガ-0の言う通りさっきからずっと俺のことを狙ってきている。

正直この状態で俺がリュカオーンの方に参加するのはデメリットしかない、俺がカーケスカブの処理の方で手一杯になって結局向こうに参加する意味がないと言うのもそうだが他2人に巻き添えで攻撃が飛んでいった場合本当に不味い、だったらさっさとこいつをぶちのめした方がいい、と言うわけで少し離れた位置でカーケスカブ君と戯れているわけだが。

 

「雷、氷炎鎖……!魔術師取り込んだからって大盤振る舞いにも程があるだろうがクソッタレ……!!」

 

ドス黒い杖(どう考えても文字通り()()())を振り回すフードを目深に被ったヒトガタと化したカーケスカブ君、振り回した杖先から雷が迸り地面から氷の塊が生えて俺を刺し貫こうとする……飛び上がって回避した瞬間俺を縛り付けんと鎖が四方八方から浮かび上がった魔法陣から飛び出し更に炎が襲いかかってくる。

 

正直めんどくさいことこの上ない、鎖はどう考えてもSF-Zooのデバッファーが使ってた拘束魔法の類だろうし他は喰らったら死ねる、まぁどの攻撃も俺の場合喰らったらアウトなんですが。幸い鎖自体は覇兎で弾けるからまだマシだが有効打を与える為の接近ができないってのがまぁしんどいなぁ……せめてあと1人、いや……相棒が居れば、な。

 

「泣き言は言ってられない、か。1人でもどうにかしてやるよコピー野郎程度!!!」

 

打開案未だ浮かばず、とはいっても何もせずに防戦一方というのも癪だ。俺は諦めることなく攻略の糸口を探っていくのだった。

 

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