シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
「しゃaaaaaaaaa!!!!!くuuたばれeeeeee!!!」
「GUUUuUUUUUUUUUU!!!!?!!!」
はははは!!!!早っえ、ちょっとでも集中が途切れたらどっかにぶつかるかつんのめるかして死にかねないなぁこれ!
放たれる雷を、炎を、氷を、風を。最小限の動きで見切り避けながら的確に攻撃を仕掛けていく。
カーケスカブの第一右腕が握りしめた杖から放たれる炎を槍から放つ冷気で相殺し続いて炎をブラインドとして接近してきた第二右腕を軸に駆け抜ける、左腕諸君魔法は使えないな?自傷行為に等しいものなぁ!
一気に胴体近くまで接近し核がありそうなところを片っ端から突いていく、頭……なし、やはり胴体か?だが俺がもっとも執拗に攻撃を仕掛けたのは胴体だ、核が胴体にあるのならば先ほどまでの集中攻撃のどれか1撃くらいは必ず掠めているはず。それがないってことはつまりこいつには胴体、頭部というファンタジーの代名詞たるスライムさんがよく弱点を抱えてる場所に弱点なんてものは存在しないということだ。
「時間かけteられねeんだぞこっちはaaaa…!行けや狼共ッ、喰らい尽くせeeeeeee!!」
吠えることなく数体の銀色の狼の残影がカーケスカブに襲い掛かり、その身に喰らいつく。噛んだ箇所が凍りつくものの効果は薄いか……それどころか残影が弾き飛ばされた。弱点なんてものには期待しないほうが良いな、であるならば先程と同じ手法で行く。
「お前を完全に氷漬けにすりゃ済む話なんだろoooooo!!?!」
そう、こいつは何故か再起動しやがったが1度は確実に氷漬けになり動かなくなっていたはずなのだ。ということは間違いなく氷結の状態異常はこいつに有効だということ……だがそれには1つ問題がある。
「ぐuu…………!邪魔くさい魔法ばっか撃ってきやがってeee……!!!」
正直これに尽きる。回避しても弾いてもそもそもの発生源である腕、そして杖を吹き飛ばしたり斬り飛ばしたりしても尚即再生からの魔法連打をし続けてくるのだ……あまりにも厄介すぎる。炎や雷氷風なんかは簡単に回避できるのだが妙に鎖、拘束系の魔法が上手い。
他の魔法をブラインドに拘束を仕掛けてくるのは当たり前、1本目を回避したら避けられない場所に2本目を仕掛けてくるのも時折やってくる……意識し続けるってのは相当しんどいだぞクソッタレ、大方さっきたらふく食べてたSF-Zooの魔術師共仕込み()なんだろうなぁ。おのれSF-Zoo……は流石にお門違いか、そもそも突然乱入するなんて想定外事象だろうし。
「だが厄介なことには変わりない、めんどくさいことこの上ないなぁ……!!?」
鎖を弾き、拘束の効果をもたらしてくるのであろう謎光線を回避する。向こうのAIが予想できない挙動をし続けないといずれ魔法の物量に削り殺される、ただでさえ向こうのほうがしんどいんだからここで俺が落ちてちゃ世話がない!何よりサンラクに煽られる気がする!いや煽られる!何故なら俺も煽るから!
バク転で距離を取りつつ襲い掛かる鎖を槍で引っ掛けて思い切り後方に引っ張ることで無理やり慣性方向を後ろから前方へシフトする、空中の逃げ場がない場所に俺がいることを認識したカーケスカブが容赦無く今まで以上の密度と速度を持って魔法を叩きつけてくる……残念ながら想定の範囲内だ。
「凍れや空気!【
こいつの効果適用範囲内は「水分を含む」こと!多少の水気があれば凍りつく……!ならば空気は?水分を含んだ空気ならどうなる?答えは簡単、空気から氷の壁を作り出せる。
「実体があるタイプで助かった……!」
もし非実体系の魔法とかなら壁を貫通してたからな、まぁ白雪の狼槍で弾ける時点で実体があることは確定してたが。
勢いそのまま防壁に使った氷を蹴り抜き接近、槍を振りかぶって投擲態勢へ移る――――――
「GUKUKUKU」
「なっ、ッ……………………!?」
じゃらり、と。何かに体が縛られ引っ張られる感覚に襲われた。振り返るとそこには鈍い黒い光を放つ鎖が数本あった……どういうことだ?後方から鎖に絡め取られた?んな馬鹿な、鎖は今までの戦闘からして何かに着弾した時点で消失していただろう、何故後方から鎖に……まさか。
「ずっとブラフをかけてきてたってか…………?」
馬鹿言っちゃいけない、モンスターがそれやり出してくるとかもう無理ゲーだよ。
というかヤバい、いや拙い、すごくヤバくて拙い。鎖自体にダメージがないのはまだギリギリ救いとしてこの行動阻害のデバフを喰らった状態でこいつの前に居るのは……あ、死ねる。
(くっっっそ…………完全に俺のミスだ、すまんサンラク、すみませんサイガ-0氏……1人で引き受けるなんて大口叩いてこんなあっさり負けるとか申し訳なさすぎる…)
駄目だこれはもう無理だ。ステータス画面見てみたらあり得ない量のデバフが付与されてやがる……麻痺に弱体化、衰弱、スタミナ常時消費……ぐぉお最後が1番キツい、どんどん力が抜けていく感覚がする。
「ぐ、お ”お“お”お“お”お“…………!!?」
ギチギチと鎖が俺を締め付ける力を強くしていく、つーかさらっと這うみたいな感覚で首に伸びてきてやがるなこれ、絞殺か?絞殺ですね悪趣味だなクソッタレ!
「あ、が、が……!!」
あ、いかんステータス見てたら酸素ゲージの判定が出てきた。みるみる内にゲージが削られていく、ダメだこれ終わった。
ちゃんとリアル準拠なのか視界がどんどん狭窄していく、しかもちゃっかり息苦しさまで再現してやがるどういう精神でこんなところまで作り込みやがったんだ……あっHPが削れ始めた。
「ごの“やろoooooo……ぜっだい”にい“づかぶっごろじてやる”kaらなぁ“……!!」
気合いで恨み言を吐き捨てて覚悟を決める、あと数秒もすれば死ぬ……ふっと目を閉じて死の感覚を待ち構えた……が、それが訪れることはなかった。
「何やってるんですか、ビャッコさん」
「…………a”??」
やけに久しぶりに感じる声が俺の耳に飛び込んだ、
目を開けるとそこには俺のこの世界における相棒がいつものマリンルックを着込みロップイヤーをふるりと揺らしながら、魔法の刃で鎖を断ち切り、俺を見下ろしていた。
…………え?何で?頼んでた「アキツアカネ」関連どうしたの?とかそんな色々な疑問をないまぜにした上で一応本物かどうか確認してしまった。
「…………オルト?」
「はい、オルトです。……随分と格好が荒々しくなりましたか?」
「はは、ちょっとまぁ色々あってなaaaaaaa……ところで、頼んでた件はどうなったaaaa?」
「こちらも色々ありまして……少しややこしくなってしまいました。…………ですがビャッコさん、その話をするより先に優先するべきことがあるのでは?」
「ん?あa……確かにそうだなaaaaa、じゃあちょっと、頼まれてくれるか?」
「言われずとも」
確かに談笑してる場合じゃないな、疑問は後からいくらでも解決できる。目の前にいきなり現れた白黒兎に少々混乱したらしいスライム野郎がとうとう復帰してきやがった、うごうごとうねる鎖や伸ばしたスライム状の触手を今にも俺達に指し向けんとしている……が、残念だったなカーケスカブ。オルトが合流した時点でお前にもう勝ち目はない……!
少し寂しさを感じていた首周りに慣れ親しんだ暖かさを感じる、あぁ、とてもしっくりくる……やっと違和感がなくなった感じがする。
「今tiーーーーーっと滑るからなぁaaaaaa……!落ちるなよooooooo!!!!!」
「今更落ちるなんて初歩的ミスをするとお思いですか?」
そりゃ愚問だったわ。そんじゃ、クソスライム狩りと行きますか。