シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
あぁ、終わった。終わっちまった。色々と湧き上がる感情と未だ冷静な部分がこれから詰まりに詰まりまくっている予定を俺に突きつけてくるがそれら全てひっくり返って蓋を開けてみればやっぱり「楽しかった」が全てだ。
ただここではしゃぎ散らすのはみっともない、なけなしの理性を総動員して平静を保つ。恐らくの今の俺と同様サンラク、サイガ-0、秋津茜にも同様のウィンドウが表示されているだろうな。
――――リュカオーンのユニークシナリオEX、「夜闇を祓うは勇気の灯火」を俺、いや、俺達
「「はぁ…………馬鹿馬鹿しい」」
「へ?」
「ん、あぁいやちょっと雑念が。なぁビャッコ?」
「そうそう、今更過ぎる問題を今更思い出してどうでも良くなったってだけだからな」
そう、もう今更なんだ。今から選んだ選択肢で起こった結果にうだうだ文句立てるなってやつだ。MMO、やり直しの効かないゲームだからこそ面白いのにそれにケチを付けるというならオフラインゲームに一生篭ってやがれって話だ……あ、バグとかそういうクソデカ不具合の場合のロルバ、システム上のタイムスリップとかならアリな?シャンフロどころかどのゲームでもそうそうないと思うがそんなこと、とは言い切れないのが悲しいところか。
ま、どうせその辺りの悪巧みはペンシルゴンが担当する領分だしなんとかしてくれるだろう。円卓でブイブイ言わせてた頃のやつを俺は知らないがこと主導権やそれに類するものを握れば最後確実に場を引っ掻き回してくれることだけは知ってるからな、まぁその後RPGのラスボスよろしく派手に爆発して死ぬか派手に周囲を巻き込んで自爆するが。…………まぁ黒狼辺りがまだ幅を利かせてる以上まだ爆発する時ではない、筈。
「ユニークシナリオEX……これが、ユニークモンスターに挑むために必要な……」
「そう、墓守のウェザエモンの時は「此岸より彼岸へ愛を込めて」ってシナリオがウェザエモンに挑む為のシナリオだった」
「な、なんだかよく分かりませんけど私もそのユニークシナリオいーえっくす? を受けても良いのでしょうか!?」
「大丈夫大丈夫、受けた方が楽しいから。それに君の援護が無ければ勝てない戦いだったしね」
「実際居ないと透明分身どうにもならなかったしな…それに、オルト達を連れて来てくれたのも本当に助かった」
マジで、秋津茜がこの戦いにおけるファクターとなったと言っても過言ではない。オルトが居なければ、いやそもそもサイガ-0が落とされていたら最後どうにもならなかったから秋津茜が途中参戦してくれたからこその勝利と言えるのだ。
兎達NPCを連れて来てくれたことで退けない理由を作り俺のエンジンを更に加速してくれたことも踏まえて感謝しかない。さて……そろそろリュカオーンを倒した時に得た特殊状態とやらを確認してみますか?状態異常とは表記されていない以上麻痺や毒のようなデバフ効果付きのものではないと思ってるんだが。
・特殊状態「導きの灯火」
昏く黒い夜闇の中において夜の帝王への道を示す小さな炎をその身に宿した状態。
ユニークモンスター「夜襲のリュカオーン」が一定範囲内に存在する場合、その方向を指し示す。
闇を束ねるリュカオーンは、逆説的に光を払う事ができる。リュカオーンより授けられた灯火はリュカオーンの一部であり、破棄された光である。
「リュカオーン本体を探知するレーダー的な役割か」
一定範囲、というのが若干引っかかる。どれ程の範囲なのか検討がつかないので。だが説明欄を読む限りこれが大前提リュカオーン本体へ挑むことが許されるパスポートの役割を果たしていることだけは確実だ。
(問題は何をどこでどうするべきなのかを最初から提示してくれていた「此岸より彼岸へ愛を込めて」と違ってほぼノーヒントだってところか……)
ふと周囲に広がる暗闇に目を向ければ姿形は無くとも消えぬ気配とこちらを見つめる視線だけははっきりとわかる、上等だよ狼野郎、こうなったらお前がどこに居ようと引き摺り出してぶちのめしてやる。
俺が静かにリュカオーンをぶちのめす意思を固めた時、不可視の圧が霧散しようと――――――
「おい何勝手に〆ようとしてんだちょっと待てワンコロ!!」
する前にサンラクの声がそれを引き止めた、お前何言ってんの?
怪訝な顔をする俺や他の2人、兎3羽を尻目にサンラクは叫ぶ。
「
………………あっ、呪い。
◇◇◇◇
確かに呪いというものは「呪いをかけた大元を倒すことで解呪される」、要約すれば呪いの説明欄にはそう書かれてあった。分身体のリュカオーンとはいえサンラクに呪いを掛けたのは間違いなく分身だ、なれば自動的に解呪されているのかと思えばそうでもないらしく半裸の鳥頭は怒りを露わにさせながら不可視の狼に叫んでいた。
まぁ心中お察しする、あの感じからして恐らくサンラクのやつもレベル99には到達しているんだろう。そしてその上で装備不可のデメリットが重いことを再認識した……単身での討伐でないと解呪不可とかそういうのであればまだ分かるが呪いのテキストに関してそういう書き方はされていなかったから怒るのも自明……だからと言って呪いが付与された足と胴体を叩きながらアピールするな鳥頭。
「せめて装備を付けることくらいは許せよ!」
「うわぁ、めっちゃわかるぅ………………」
そうだよな、そうだよなぁ……俺達ウェザエモン相手にしても半裸だったもんな……俺だってウェザエモン抜きにしてもエリアボスに上裸
「オフラインゲーならともかくオンラインでこの格好ってやっぱ中々にしんどいもんな……」
「そう、ですよね……」
「頭装備付けれないのってしんどいですよね!」
そうだね秋津茜、でもそういう意味とはちょっと異なるんだなこれが。
あいつとしても必死なのだろう、何せここに至るまでの道中で街中で何度他人に見られたか……俺は化かしの枝葉で対策できたがサンラクは確か妙な白布をかぶっていた筈、それをこれまでとは比べ物にならないプレイヤー人口を誇るであろう現大陸最後の街フィフィティシアでも続けるというのはあまりに酷というものだろう。ある程度覚悟は決まっていそうだったが呪いが解けるなら解けるに越したことはない筈だ。
だから外野である俺達は固唾を飲んで見守る、リュカオーンが一体どういう反応を見せるのか。
キレ散らかすサンラクに対してリュカオーンが取った行動は果たして――――――
「あっ、なんか来た」
薄れて霧散しかかっていた気配が再び一点に集まる、それはまるで「あ、ごめんごめん忘れてた」と言われて慌てて立ち去る足を止めたときのような若干のシュールさを感じさせるものであったがやはりそこは七つの最強種、ある程度の威厳は感じた。
「さぁ、
ここ最近の中で恐らく誰よりも切実かつ迫真の勢いでそう言い放ったサンラクに対してリュカオーンが取った行動はと言えば。
「ちょっ!!?あいつ喰われてる喰われてる!!」
「サンラクサーーン!!?」
「うっわ滑る飴玉体験会!?」
「「なんか余裕そうだな(ですわ)!!?」」
モチャモチャと咀嚼……咀嚼?口の中で転がされてるだけか?どっちかわからないがサンラクがリュカオーンの口の中に入って…………
「おべっ」
地面に唾を吐くような感じで雑に吐き出された、恐らくなんらかの処理の為のイベントだとは思うのだがあまりにも字面が酷すぎる、いつになるかはさっぱりわからんが俺の呪いが解かれる時はああいう扱いでは無いように祈るしかない。まぁ兎にも角にもこれでサンラクは防具を付けれるように……つけれる、よう、に………………?
「お前なんかその傷跡色が濃くなってないか?」
「リュカオーンの、刻、傷???」
どうも呪いは解かれなかったどころか悪化したらしい。南無。
次回はビャッコに[閲覧不可]を付与するよ