シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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人は天に届かず、だが掠めることなら。

「く…………っそ!!致命の包丁が……!」

 

『ははははははは!!卵よ、そんなものか!!?』

 

致命の包丁、その片割れがとうとう限界を迎えて砕け散る。それは俺が最初に手に入れたそこそこに思い入れのある品だった訳だが……無駄にはしない、絶対にだ。

 

(流石にっ、今のタイミングで三本目を使うわけにはいかない……!)

 

沼潜の短刀を展開してジークヴルムの鱗に叩きつける。冗談だろう、クリティカルを出したというのに弾かれた?馬鹿げてやがる、鱗じゃなくてクソ硬い鎧を重ねて潰して鱗の形にしてるだけじゃねぇのかこれ?

 

「っ、おおおおおおお!!」

 

『これも避けるか!!』

 

ブレスを回避、正直言ってギリギリな訳だが割となんとかなっている。いやマジで優秀だよジャストパリィとロールステップ、ブレスを回避しながら接近できるし、ジャストパリィはその後の攻撃をタイミングさえミスらなければ弾くことができる。

 

(けどこれ、かなり()()()()けどどこにもないな……?まさかこいつには()()がないのか?)

 

今のところ俺が思いつくこいつの弱点がそれくらいしかないんだが、とても困るぞそれは。ない場合本当にどうしようもなくなる。

 

「このやろっ……!!ちょっとぐらい怯めよ……!!」

 

『天覇たる我は怯むことを知らず!!』

 

「一応生物なんだから怯むくらいしろや!!」

 

ロールステップのリキャストが回復、即座に攻撃体制へ移る。

まだまだ攻めてくぞオラ――――ッ!!

 

「くっ…………!!どこもかしこもクソ程硬ぇなぁおい…………!」

 

『我を打ち斃すは英雄!未だ英雄たりえぬ卵に負ける我ではないわァ!!』

 

ぬかせ、なにがなんでも吠え面かかせてやる!

それに…………!!

 

「やっと見つけたぞ、お前の()()……!」

 

喉元……ブレスを放つ口に近い位置か、接近にはかなりの難易度があるな。

まぁそれに賭けるしかない、やるっきゃないってやつだ。

 

『弱点、とな……!!?よかろう、何をしようともその全てを打ち砕こうぞ!!』

 

そうかよ、遠慮なく行くぞ後で泣き言喚いても知らねーぞぉ……!!

 

「回避は自前の見切りでどうにかすらぁ!!」

 

尻尾の薙ぎ払いをジャンプして回避、ブレスはスライディングすることにより回避……頭上数十センチを切り裂く爆炎が死ぬほど熱いよクソッタレ!

 

「ダメージがないなら誤差ぁ!!」

 

走り、踏み込み、飛び上がる。爪も尾も息吹も当たらなければどうということはない!

 

「心の火を鎮め己の河川を御する……!残念だったな金ピカ野郎!お前の攻撃は見切ったぜ!」

 

『抜かせ!焼き尽くしてくれよう!』

 

ブレスの溜めが始まる、なるほど一点集中ではなく回避不能の面制圧と来たか。遅いよバーーーカ!!

 

「要所要所で有能アピールしてくるなジャンプレッグ……!!」

 

踏み込み、起動し、飛び移る。

 

『ぬ…………!我が身を駆けるか、面白い!だがそれが弱点だとでも……?甘いわ、我が我の炎に焼かれると思うたのか!?』

 

ちげぇよ、お前はただの足場。

 

「どんな竜にも逆鱗ってものがあるんじゃねえか……!?」

 

狙うは喉元!唯一逆向きに生えている鱗!どんな竜にも存在するとされている逆鱗、お前にもあるものだと思って探していたがやっと見つけた、解りづれぇんだよクソッタレが!

 

左腕を駆け上がり、伸びてきた右腕を回避、尾の薙ぎ払いがない時点でお前の攻撃パターンくらい絞り込める。

 

「これでもっ、喰らいやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

リキャストが上がって再使用可能となったジャンプレッグとロールステップを使って一気に喉元まで近づく。

 

『む……!貴様、狙いは我が逆鱗か!!』

 

ここまで近づいて漸く気づきましたか。遅いよ流石に、ブラフかとすら思ったわ。

 

 

投擲した致命の包丁が確かに逆鱗を穿つ、ジークヴルムが呻いてブレスの溜めが無くなる。おっしゃ勝機!!

 

突き刺さっていた致命の包丁とは違う最後の三本目の致命の包丁をご開帳だ。すまん二本目致命の包丁君、君には楔になってもらう……!!

 

『グッ、ぬ、おおおおおおおおおおおお!!』

 

「砕け散れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

只管突き刺さった致命の包丁を押し込んでいく、鱗の罅が広がっていく。あと一撃……!あと、一撃ィ………………!!

 

『なめ、るなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

「なっ…………!!?」

 

まさかこの野郎自爆覚悟のブレスを――――っ!!!!?

 

 

◇◇◇◇

「…………あーーー、スッキリした」

 

流石はユニークモンスターってところか?

最後の一太刀を叩き込む直前で自爆とも言える超大規模な爆発を起こしやがった。

 

「現実は甘くないって聞くけど、まさかゲームも甘くないとは」

 

突然高出力なスキルを出せたり、謎の高レベルプレイヤーが助けにきた訳でもない。

あぁ、でもなんかHPが0な筈だというのにいまだに俺は意識を保ち、アバターに残り続けている。いや、マジでなんでだ?

 

『く、ははははは……小童よ。英傑の卵などと言ってすまなかったな……我の見誤りだった、まさかもう英雄の片鱗をその身に宿しているとは……!』

 

いや知らねーよ、というかお前のせいで全身焼け焦げているんだわ治んなかったらどうする?

 

『さて、戦士よ。貴様の名と辞世の句を聞いておこうか』

 

「…………あぁ、遺言残してから死ねってことね?HP0でも死なねぇのはそういうことね。んじゃあまぁ、辞世の句と行きますか……」

 

――――俺の名はビャッコ、いつかお前をぶちのめしてやる。

 

『我が逆鱗を穿ち、よくぞここまでやり遂げた。祝福に値しようぞ……!では、さらばだ』

 

ブレスが溜められる、吐き出される。次の瞬間俺の上半身は消し飛んだ。

 

『ジークヴルムの呪い(祝福)が付与されました』

 

◇◇◇◇

 

ジークヴルムの呪い(祝福)

天覇のジークヴルムは己を超えんとする英雄こそ好む。そこに善悪賢愚は考慮されず、ただ己の存在を示した者にジークヴルムは自身の呪いを刻みつける。

それは己に認められた強き者であるという徴であり、傷跡の呪いより発せられる黄金の龍王の気配は半端な存在に大いなる力の残滓を示す。

呪いは、天覇を超える力にて解呪するか、天覇を討ち滅ぼす他に解く術なし。

「ジークヴルムの呪いが付与された部位は装備品を装備することができません。」

「ジークヴルムの呪いを持つキャラ以下のレベルのモンスターはキャラから逃亡します。」

「ジークヴルムの呪いを持つキャラは他の呪いに対して強い抵抗を得ます。」

「ジークヴルムの呪いを持つキャラはNPCとの会話で補正がかかります。」

 

起きたらなんか頭と胴に凄え火傷みたいな跡が残ってるんだけど。これもしかしてかなり詰んでる?

 




噛み砕かれたり爪で八つ裂きにされたわけでもないのでブレスで焼かれた時の跡がビャッコの呪い。
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