シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
「おいおいおいおい…………!オルト!!!!エムルちゃんと2人して何やってんだ!!?」
「ビャッコざぁぁぁぁ"あ"ん!!!ごめ"んなざーーい!!」
畜生普段クールなオルトが泣きながらこっちに向かってる時点でこれ以上怒るに怒れねぇじゃねぇか!!
何と言えばいいのやら、8両編成の電車を横からプレスして縦に平らにした上で電車の先頭車両をドラゴンの首にすげ替えたと言えばいいのか……?メガリュウグウノツカイもそうだがチェンソーカジキがやばすぎる、ギャリギャリと轟音を立てながら
挙句周囲に放電している、となればどう考えても見た目以上の攻撃判定があると思っていいな?
(いやこれ、どう考えてもソロ討伐だとかそういう次元じゃないな?)
どちらか片方だけでもレイドボスじみた戦闘力を誇っているだろうな、恐らく大量の半魚人に追いかけ回されてどうしようもなくなったことで偶々偶然ほぼ同時にランダムエンカウンターを発動させたってところか?哀れな半魚人共はまず真っ先にあの2体に海の藻屑以下のチリになるまで消し飛ばされ、己を呼びつけた傲慢な兎2羽とクソチビをターゲットに定めた……うーむ、不幸な事故だな。オルト、俺はもうお前に対して怒らないぞ。
「エムルちゃん!!!!そのチビ俺に寄越して!!オルトこっち来い!!」
「エムル!クソガキビャッコに渡してこっちに掴まれ!!」
「はいなぁぁぁぁ!!!」
「わがりまじだぁぁ"ぁぁ!!!!」
クソチビを担ぐには俺やサンラクの方が最適だ、そしてステータスの関係上安定してサンラクよりもAGIが高い俺がクソチビを担ぐべきだろう……何よりあいつ今後ろに半魚人大量に背負ってるからな、これ以上負担かけて事故られても困る。
エムルちゃんから素早くクソチビを回収、次に人化を解きながら飛びついてきたオルトを首回りにセット……おいコラオルト!!!!分かったから泣くな!!!!な!?
「サンラク!!!!こっちにそこそこの規模の隠れ家がある!!ついてこれるか!!?」
「当たり前だろ…………!?」
渡影は使えない、あれはあくまでも魔力の流れを観測して行使するものである以上俺だけ移動できてもオルトやスチューデはその対象外だ。今までは素のステータスといくつかの機動系スキルでどうにかなっていたがこの化け物2体はちょっとそれじゃ無理だ、暴走特急じみた怪物と破壊兵器じみた怪物から逃げ切るには自己強化は前提条件……!!
「
天覇宣言や覇貫炎燼は一定時間戦闘し続けないと強化倍率は微々たるものだがその少しの積み重ねは必ず報われる。
天覇を掲げ、覇を貫く
――――――さぁ、
燃え盛る赫と金のエフェクトを纏った脚が地面を砕きながら我ながら恐ろしい程の初速でアーラムが隠れている隠れ家へと猛進していく。トップスピードじゃなきゃ振り切れねぇぞサンラク、悪いが気合いで付いてきてくれ。
「おいコラクソガキ死にたくなきゃ死に物狂いでしがみついてろ!!できなきゃ大人しく死にやがれ!!!!」
ガキが…………!今置かれている状況を理解できてるのか理解できてないのか、果たして受け入れることを拒んでいるのかは知らないがボケっとしてるだけなら何だってあんな馬鹿な真似しやがったんだ……!
だがまぁ呼びかけに反応する程度には気力を喪ってはいなかったらしい、背中にしがみつく両手足の力が強まった。
「ビャッコッ!!今から何処行くんだ!!?!!!」
「俺と、あーー……ここで知り合った奴が隠れてるところ!!!!あそこならかなりの人数入っても問題ないからまずはそこに逃げ込む!!つーか後ろの奴らは!!?!!!」
なんか後ろからありとあらゆる物体が吹き飛ぶ音だったり何かがチェンソーで破壊されてるみたいな音聞こえるんですけど!?何やったのお前!?
◇◇◇◇
恐怖すら覚える大質量を伴った破壊の嵐から命からがら逃げ切った俺達は隠れ家に飛び込んだ瞬間大きく息を吐いて地面にへたり込んだ、すまんアーラム説明後だわ……。
「悪いアーラム、取り敢えず、そこの鳥頭の変態がサンラク、あいつの頭の兎がエムルちゃんでこっちがオルト、向こうでガタガタ震えてるのはクソガキ、嫌ならクソチビでもいいぞ……」
「ふむ…………ところでだがビャッコ、遠くの方なら何やら凄まじい音が聞こえてくるんだが」
「いいかアーラム、耳塞いで目を閉じろ、そうすりゃ世界はお前の知ってる世界のままで平和そのものだ」
「何を言ってるんだお前は……」
アーラムの話は1度スルーとさせていただこう、あとはアーラムを知らない他の奴らにサクッと事情と身元を話しておいてと。
「竜人族……まぁ
「おっきな翼ですわ……」
「オルトと申します、よろしくお願いいたします」
クソチビは……チッ、怯え切ってろくに目も合わせようとしねぇな話にもなりゃしねぇ。まぁ俺らプレイヤーと違ってNPCはこの世界に確かに
「取り敢えずここでじっとしてろ、ここを拠点として音を出すことや見られることだけ注意してれば安全だからな。サンラク、そっちはこれからどうする?」
「…………広さ的にも家の損耗具合からしても多分こっちの方が安全だし元々使ってた臨時拠点から1人連れてくる、ビャッコどうする?」
そうだなぁ、まぁ……
「ちょっともう1回行ってくる、2体でやり合ってくれてるならまだしもコンビ組まれちゃそれこそ終わりだ……1体だけでも十分危険だろうしどっちか片方堕としてくる」
「…………話を聞いていたが、やはり開拓者という存在は頭のネジが外れているのか?お前達に恐れや恐怖という感情が存在しているのか?」
「いや人並みにはあるよ、なぁビャッコ?」
「まぁあるな、今この状況に対して恐怖は感じないけど」
「……んで、だよ……」
「あ"?」
あわよくば他のプレイヤーもあいつらに気づいて近づいてこないかなぁ、流石にあんな質量兵器の側にわざわざ近づいてくることはないか?まぁ第一目標はどっちか片方ないし両方の討伐だが試しに特攻でも……とサンラクと2人してスタミナを回復させ腰を上げた瞬間それまで怯え切ってろくにものも言えなかった
「なんで怖くないんだよ……こんな、意味わかんない場所で……なんで笑えるんだよ……!」
マジで腹立つなこいつ……クソガキとかそういうのを通り越して俺が1番嫌いな人種だ。だがまぁ好感度に関連することであるのは間違いない、どう返したものか。
「怖いに決まってるだろ間抜け、それでも誰かが進んで拓かなきゃいけないことなんて幾らでもあるんだ……今回のこれは、俺達開拓者がその役目を果たすってだけだ」
「未知を楽しむ、開拓者魂ってやつだよ。俺達はそうやって前に進んできた……それだけさ」
イベランの為に既知の曲を周回するのもご愛嬌、効率曲を真顔で回してこそ一人前だ……今夜は寝かさないぜ()ってやつだな。噛み合いを祈れ、最高効率で最高の結果を出す為に努力を積み上げろ、半分脳死でも中難易度程度の曲くらい全良を叩き出せるようになったら立派な音ゲーマーだ。
拠点の外へサンラクと俺は忍び出て、先ほどの自分の吐いたセリフを思い出して無言の悶絶をかます。
多分お互いここ数年でもトップクラスの気障なセリフ吐いたな、カッツォや鉛筆がいなくて本当に良かった。奴らならこれをネタに数年は煽ってくる間違いない。
「と、りあえず俺はさっきのところへもう1回行ってみるわ」
「俺も……向こうの拠点へ行ってみる」
お互い覆面と狐面で隠れているがその下は真っ赤であることはこれから先の付き合いの中でも絶対に口にすることのないものになる。
◇◇◇◇
「っはーーーーー……あんだけいた半魚人やらメガリュウグウノツカイ全部ぶちのめしたりした?単体スペックなら余裕で
ユニークモンスター並のスペックか……どうも「ユニークモンスター」は全てのモンスターのどれよりも強いというわけではなく、それ以外でも割とそれに近しいスペックを持った奴はいる。俺が出会った限りだと
というか目立った傷ないんですけどまさか自己再生ですかね?それともシンプルに手傷を負うことなく蹴散らしたと?どっちもどっちで頭がおかしいがまぁ落ち着いていこう。
(結局のところこのシナリオにおけるターゲットはクターニッドだけ、こいつを相手にするメリットは特に無いし寧ろリソースをこいつに使うくらいなら温存しておけという話になる……が)
俺自身の思考を、俺自身が否定する。
ゲームは全力でプレイするものだ、何か明らかにヤバそうなお札が貼ってある神社は大体突っ込むし世界崩壊一歩手前で呑気に音ゲー嗜んでるような奴もいる。そして……どう考えても勝てそうに無い敵に突撃するんだよ。
「カジキ野郎が……!美味しく捌いて料理してやるよゴラァ!!」
救世正宗、呑世村正展開。二振りの小太刀を握り締め俺は静かに覚悟を決めチェンソーカジキに宣戦布告を高らかに宣言したのだった。
なんかまたエグい速度で総合評価増え始めてる…?
年内2000達成、いけるのか……?