シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
「まずは肉質確認……!!」
チェンソーカジキに向かって接近、救世正宗の効果であれば肉質もクソもないのだが救世正宗1本で戦えるほど生ぬるい相手では絶対にない。
地面を強く踏み込み加速、周囲の建物を足場に近寄り勢いそのまま飛んで――――!!?
「成る程近づけさせてくれもしないと……!!」
バヂリ、と稲光が輝きチェンソーカジキの周囲にイナズマと電熱が放出される。慌てて勢いを殺して即死の雷撃圏内から離脱を試み…………ってはっやいな!!?!
仮にも魚類とは到底思えないようなコンパクトな加速で俺に向かって突っ込んでくるチェンソーカジキを遮那王憑きを使って回避、機動性も抜群だなクソッタレ!
「なんてもん呼び寄せてくれやがったんだあの2人は……!」
だが文句も言ってられない、こいつに万が一にでもルルイアスに居座られた日には半魚人と人魚に加えこいつも警戒しなければならなくなる、そうなれば探索に大きな影響をもたらすことは言うまでもないし他プレイヤーとの合流にも影響が出るに違いない。
俺に課せられたミッションは『チェンソーカジキの討伐もしくは撃退』、やってやろうじゃねーか伊達にウェザエモンと斬り合いしたりリュカオーンの脚ぶった斬ったりしてねーんだよ!!
三枚おろしにしてくれるわ、魚が。
◇◇◇◇
「くぅぅぅぅぅぅそったれがぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
速い!強い!やり口が一々腹立たしいくらいに小賢しい!!総評、「ユニークモンスタークラス」!!
もう何度目か分からない
(戦闘開始から大体6時間ってところか?正直サンラクあたり救援に来てくれるかとも思ってたがそんな様子はない……まぁ諦めて俺1人と覚悟決めた方がまだ心持ち楽だな、戦闘で割れたチェンソーカジキの性能を再確認するか……!!)
移動速度、速い。兎にも角にも速い。向こうは反転の影響で空中が水中になっているはず、だから水中での判定が働き加速や反転は難しいはずなのに当たり前のように鋭角に曲がってくる上初速からほぼトップスピードで突っ込んでくる。
攻撃範囲はまぁ、案の定というか何というか吻が届くまでが攻撃範囲なんだが。近づくと周囲に放電を放ってくるし吻からもレーザーの様に雷を放ってくるので油断したら簡単に足元を掬われてそのまますり潰されかねない、特に俺のような物理特化にとって周囲への放電は危険すぎる読みを間違って突っ込んだら黒焦げとか笑えない冗談はやめろ。
チェンソーカジキはそれなりに、いやかなりデカい。だからこそそれ相応の水の抵抗が向こうにとっては発生しているはずなのだ。こちらにとっては陸上、回避は容易いなんて思っていたがそんな考えあっという間に吹き飛んだ。
挙動がかなり大ぶりなだけに攻撃の予備動作は分かりやすいし加速しながら突っ込んでくる時もモーション自体があるのは救いだな、それすらないと本格的に調整を間違っていると言わざるを得ない。
そして何よりやばいのはヤツの吻だ。唸りを上げながら電熱を撒き散らしているそれは戦闘開始時点から大きな大きな障害となって俺に立ちはだかっている、触れたら即アウトなのは知ってるぜ、なにせ偶々家に触れたらその家が消し飛んだからな。捕食目的じゃなくて殺戮目的じゃねーの?
「何度か入った攻撃も効いてる様子はないしな……」
隙をついて何度か攻撃を仕掛けてみたものの見事に弾かれた、救世正宗なら関係ないが暇がない……どうやってあの凶暴な吻と雷撃を回避し続けながら救世正宗で斬りつけ続けろと?腹なら効くかな……まだ腹には攻撃入れれてないしな、試す価値は十二分にありそうだ、だがその為にはどうやって隙を作り出すかが課題になってくるわけで。すみませんそれぶっちゃけ鬼のように難易度高いと思うんですけど??
「だがやらざるを得ない……!」
ろくな有効打が見つけられていない以上試せることは何でもやるしかない、何も出来ずに死んだとしても今できる限りの範囲で情報を集めて他のメンバーに共有し今後の対処に役立てることが役目だ、出来なきゃ死ね……あ、その場合だともう死んでるじゃん俺。
「っし…………!まぁやれることはやっておくに越したことはないよな……!」
というわけで白雪の狼槍展開、からの
お決まりの流れとなった自己強化、銀氷を纏い、白銀の残滓を従えて力強く地面を踏み締め飛び上がる。
電撃圏内発動、分かっている、分かりきっている。お前は今まで俺が接近する度にそれを発動していたからな。……だが、何度もその動きを繰り返していればこちらも分かってくるものがある。
「
そしてもう1つ分かっていること、それはこいつの展開する電撃圏内のダメージ判定についてだ。ひたすら永続してダメージが叩き込まれるタイプならば俺になす術はなかった、だがそうではなかった。科される判定はほぼ必中の雷撃を叩き込み続けるというもの。もちろんそれでも十分すぎるほどの脅威だ、というか基本どう頑張ってもそれをされたら何も出来ずに死ぬ。だが俺を守る何かがいれば話は別だ。
「残滓共ォ!!」
雷撃飛び交う十死零生の空間へと飛び込む。次の瞬間降り注いで来る豪雷の雨を時に避け、時に防ぎ、時に残滓を身代わりに進む……おっ、ようやくちょっと困惑というか傲慢っぷりが抜けて戸惑いやがったな?心配するなよ、話はここからだって!!
「【
絶死の空間を駆け抜け狙い穿つは奴の腹。
寸分の狂いなく放たれた白き狼の槍は真っ直ぐチェンソーカジキの腹に突き刺さり一気に凍結させていく。
「qqqqqqqqqqqqqpqqq!!!!?!!」
「内側から氷漬けにされるのは初めてか!?存分に味わえよ!!」
苦悶の声を上げ、展開されていた電撃の空間が解除される。この事象が何を意味するかは明白だ、これが有効打であることを雄弁に語っている……どうだクソ魚これこそが人間様の根性だよ。
なんならおかわりをくれてやる。いい加減その吻邪魔だったんだよなァ!!!
呑世村正展開、狙うはチェンソーカジキの吻……その根本。だが俺の今のステータスじゃ到底アレを破壊することは出来ない……例え【半月断ち】を使おうとも、だ。
だが最早【半月断ち】はその名を変えた。
【半月断ち】の前に添えられていた言葉は「致命剣術」。
致命の剣術を極めた先にあるのは何か?簡単な話だ……秘せられた奥義を体得する。奥義の名は――――
「
振り抜いた刃がチェンソーカジキにとっては
斬った。そう確信させる手応えと共に凶悪な吻がチェンソーカジキから断ち切り分かたれた……回収!!あれだけは絶対に回収する!!!!!
先程までの戦闘に関する思考の全てをほっぽり出してあの吻を回収することのみに全力を注ぐ……いやほんと許してほしい、これぐらいは。
誰に謝っているのかわからないがとにかく俺はシャンフロを始めてからのプレイの中でも恐らく最速の動きでウィンドウを展開し吻をインベントリアの中に叩き込んだ、よしこれでもう憂いはない。
「それに……随分怒ってるしな?」
まぁあんだけ存在感を放っていたんだから当然お前のアイデンティティというか誇りであるものだったんだろうな。
それを持っていかれたとなればそりゃ怒るだろう、俺だってそんな目に遭えば間違いなくキレる。
無くなった吻を惜しむかのように今まで無差別に撒き散らされていた電雷が纏まり、一本の刀の如く鋭くなっていく。あの身体の中でどれだけの魔力や雷電が渦巻いてるのかは知ったこっちゃないがまぁかなり
さぁてマジでどうしよう、吻をぶった斬ったら何か強化かかったぞ??
「いやまぁだからどうしたって話だが」
どうせやることは変わりない、さぁ覚悟決めろ俺……向こうは俺を叩き潰すまで暴れることをやめない怪物に化したぜ。
「諦めること勿れ、諦めは即ち逃避、やれることを全力でやるだけだ……!!」
二振りの刀を構え俺は再びチェンソーカジキに向かう、今度は吻だけじゃ済まさない……その頭トロフィーにしてやるよ!!