シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
「うーん、昔からちょくちょく読み込んでたし好きは好きなんだが……いつもながらギャラクセウスは何だって傍観者側に回りたがるのか……割とちょっかいはかけてくるのに」
座席に備え付けられたフルダイブではない簡易版のVRヘッドギアゴーグルを頭に付け、それを手持ちの携帯端末と接続しカッツォから「読んでおけ」と言われていた米国発祥漫画……まぁ、つまりはアメコミを読みながら思わずポツリと呟く。割と小さい頃からこの作品自体は知ってるどころかなんなら愛読しているのだが長年このギャラクセウス関連だけはやはりどうしても解せない、
はぁ、とため息を1つ吐いて俺はヘッドギアを外し何気なく外を見る。
(まさか地理的な問題で現地入りが遅れると言った瞬間こんな手段に出るとはな……カッツォの奴、本当に頭がおかしくなったのか?)
沈みゆく太陽、その眠りの時間に合わせて眼下に広がる都市が煌々と灯りを灯し始めていく。この高度からだと正直光の塊と形容できるが……さて、そろそろ到着の時間だろうか?
正直に申し上げると俺は現在日本の首都へと向かう人間を大量に乗せた飛行機の中にいる。
チェンソーカジキはどうした?正直に申し上げると派手に負けた。次回以降は負けるつもりはないが正直アレはちょっと初見では無理だと言わざるを得なかった……何ですか、吻がなくなったからって他に回す余力が出来たみたいな感じで急に加速したり動きの細かさを増やさないでくださいよ。あと例の吻を補う形で出てきた仮称雷電吻な、あれ多分まともな人間に向けちゃダメなやつだよ。
死因はその雷電吻が突如発動したレーザーに消し炭にされたことだったが……いやぁ武器装備が消し飛んでなくて本当よかったよかった。
さて死に戻りした俺に待ち受けていたのは轟音と破壊が呼水となって集まってきたプレイヤーとNPC達だ、どうもサンラクがそれを見つけ次第回収していたらしい。それとありがたいことにメガリュウグウノツカイ……何でも名前をアルクトゥス・レガレクスと言うらしいが奴はサンラクが討伐することに成功したとのこと。思わず唇噛み締めかけたがどうも傷だらけな上恐らく半魚人の中にいた何かの影響で毒にやられていたとのことだった……食中毒引き起こすような半魚人までいやがんのか油断も隙もありゃしねぇ……。
さて、そこで合流自体は出来たもののいくつかの問題と新たな人間……種族?が出てきた。
まず問題点が3つ、1つ目はまさか誰もEXに直通するとは一切思っていなかったらしくリソースにあまり余裕がない点、2つ目は流石に7日間の制限時間内をフルで戦えるプレイヤーがいないという点……こればっかりはしょうがない、全員
俺は4日目まで予定が立て込みに立て込みまくってるからかなり参加日数自体は少ないがその分働きでカバーしていきたいと思う……うん、思うぞ。
秋津茜が3〜5日目まで部活関連でログイン不可、ルストさんともう1人いたあのゴツいプレイヤー……「モルド」さんの話を聞くに彼ら2人も外せない用事があるとかで2、4、6は確実にログインできない……唯一の救いは最終日の予定は全員空いてて攻略に参加できるってことくらいかな?
そして最後の問題はサイガ-0との合流が果たせなかったということ……正直かなり痛いと言わざるを得ない。シャンフロというゲームにおいて自分達の誰よりも頭抜けた存在があのプレイヤーである以上セーブポイントの仕様は見当がつくはず、果たして次ログインするのがいつかは定かでないが流石に7日以内に合流は行けるだろう……後は各々これからの予定を話し合い攻略を続行したりログアウトしたりした。
問題はここまでなのだが……サンラクの言っていたツレとはどうやらアーラムと同じ、とは言えずとも近しい仲である種族……
「
「アーラム!!?!!!まさか君まで連れて来られていたとは……!!」
魚人族、アラバ。
外泳ぎ回ってる人魚とは完全に別物、味方NPC枠らしい。
詳細は詳しく知らないがどうも血縁者が昔クターニッドに引き摺り込まれて唯一帰って来られたとかいう凄い人とかなんとか……あれ、そういえばアーラムの奴がなんか前に言ってたような気が……まぁ思い出すのは今度でいいや。
「にしてもサンラクのやつ本当に俺と同年代なのか……?今時メールアドレスって、いくら普段連絡してる外道共とのやり取りがメールだからって…………」
俺とサンラク、カッツォ、ペンシルゴンの連絡手段は主にEメールだ、その理由はまぁ明白と言うかなんというか……かたや10代20代の女性達から神格化され崇められているまであるカリスマモデル、こなた世界でも指折りのトッププロゲーマー。2人とも仕事用のSNSアカウント自体は持っているが「プライベートアカウントと間違えて誤爆しそう」と口を揃えて言う為Eメールでの連絡をとっている。正直1度あの2人の本性を全世界に晒すべきだと言うのが俺とサンラクの意見が一致するところであるがまぁそんなクッソしょうもない理由でアイツらの社会的地位を貶める程俺も人間性が腐っているわけでもなし……まぁ?あまりにもはちゃめちゃな外道ムーブに巻き込まれたらそれもやむなしだが?
「えーと、あ、これかこれか」
1度読書の手を休め俺自身もよく使っている中高生御用達SNSアプリを起動、うわ結構通知溜まってるな……何にこんな反応が……あ、この前キョウと出かけた時に撮った写真にか。
確かペアチケットを貰ったとかなんとかで連れられた水族館で撮った写真だな、魚と言われると今少々荒んだ気持ちになりそうだが中々楽しめたものであった、特に熱帯魚エリアは中々見応えがあった…ノーツが降りかかってくる感覚をモロに思い出してしまい一瞬身構えたのは黒歴史、記憶から抹消とする。
思い出に浸りつつ「ルルイアス攻略最前線」と銘打たれたルームに入室、サイガ-0とサンラクを除いた他のメンバーは既に入室しておりいくつかの情報が交換されている、サイガ-0はともかくサンラクもそのうち入ってくるだろう。
あ――――……あのチェンソーカジキ、やはり居座ってやがるのか。ん?にしては動きが妙?
「まるで誰かを探すかのように……オイオイどこまで俺を憎んでやがるんだ」
どうも俺が斬り落とした吻は奴にとって命の次か命そのものくらいには大事なものであったらしい、他のメンバーからの報告によれば誰かを……いや、俺を探す為にルルイアスを遊泳し時折腹いせか何かのように半魚人ごと家屋を巻き込んで破壊しまくっているらしい。正直ごめん、仮に拠点壊されたら責任持って討伐しにいきます……。
『当機は間も無く〇〇空港へ――――……』
「流石に速いな……もう着いたのか」
徒歩や自転車じゃどれだけの時間がかかるかわからない長距離も飛行機に乗ってしまえば一瞬だな、リニアならもっと速いし家の距離からも近かったのだがまさかの運行トラブルで乗れなくなっていたとは……まぁ久々に好きな漫画を読む時間を作れたと考えればいいか、うん。
空港に降り立ちサクッと外に出る、なんか保安検査場で呼び止められていた外国人の一団がいたので興味本位で少し聞き耳を立てていたらどうも持ち込み禁止の飲料を持ち込んでいた人間がいたらしい。馬鹿なことするもんだなぁと思っていたら聞き覚えのある単語が出てきたので少し驚いた……「ライオットブラッド」とはな。…………断じて合法な筈なのだが。
そんなことを考えつつタクシーを呼び止めカッツォに指定された住所をドライバーのおじさんに伝え発車してもらう。いやぁにしても夜の首都は流石に明るい、リュカオーンの透明分身だろうが余裕で暴き出せる気がするぜ。
夜景を眺めながら車に揺られること15分、目的地に到着したことで車が停車し、料金を支払い礼を言って車を降り降り立った場所の目の前に聳えるその建物を眺める。
「えーと……ホテルグランドスプリームってここのことか……あれ?ここって確か前に龍宮院の人らに連れられて来たことあるな?」
確かあれは師匠の講演会だったかなんだったかだったと思う、その時ついでだからと当時恐らく門弟の中で最も
当時は値段なんて特に気にしていなかったが今は違う、何気なく一泊料金を確認してみたところフルダイブに必要な機材費がそれで全て足りてしまうどころか諭吉単位でお釣りが帰ってくる額がそこには記載されていた……あれこれって所謂高級ホテルってやつじゃない?高校生にする待遇じゃないぞカッツォ。寧ろ精神的に落ち着かないから今からでもネカフェに行かせてくれ、首都圏のネカフェはかなり設備がいいと聞いてるから1度は行ってみたいとも思ってたんだよ。
「えぇ…………「魚臣 慧の連れのビャッコですと言えば通してくれる」とかカッツォは言ってたんだ、が……」
どうしよう気が引ける、すごい気が引ける。高校生1人にここを攻略させようって言うのかカッツォ、なんて酷いことをするんだカッツォ。ゲームならまぁ遠慮なく爆弾投げ込んだり屋上から侵入して中の人間鏖殺〜〜だとか割と平気でできるがリアルでは不可能なんだぞ。ホテル自体は何度も入った経験はあるがこういうマジで雰囲気からして違うホテルはここ数年の内ない為難易度がベリーハードに跳ね上がっているような。
「いや、臆するな俺。殺されるわけでもなし……!やる時ゃやるんだよ!!」
◇◇◇◇
「あれがOMOTENASHIってやつか……良いもの見た気がする」
いやまぁ似たような対応自体は結構されるのだが。主に龍宮院家で。
とはいえ出掛けるに際し髪と服をきっちり整えたのは間違いなく正解であったと言わざるを得ない、少なくともこのホテルにおいてあまりにも場違いな高校生ではない……筈。スイートのような本当に格式の高い部屋にこそ案内はされていないがやはり落ち着かないな、どうにもムズムズするというか……あ、確か今夜の晩飯はキョウと食べるんだったな。荷物纏めて慌てて飛び出してだったから……夕飯こそ作ってはいるが1人で寂しくないだろうか?
「…………あとで電話の1つや2つ、かけてやらないとだよな」
カッツォに到着したことを伝えると「サンラクも来たからサンラクの後そっちに行く」と返答が返って来たので部屋で待機しなくちゃいけない、それにいつ来てもおかしくない以上電話をかけるのはその後になる……やることがない、ので部屋を物色しようとする。それ以前の問題で部屋のど真ん中に特大のメカニカルな
「…………あれこれ一般家庭の人間に買わせる気が微塵たりとも感じられない価格とサイズの最新型フルダイブシステムじゃ……えぇ……?」
駄目だ、多分
「それはそれとしてこのフルダイブシステム、興味がないと言えば嘘になるわけでぇ……」
確か以前読んだカタログに書かれていた仕様としてはここにスイッチがあってそれに寝転んで……んぉ、ノック?
従業員であれば備え付けのインターホンがなる筈、であれば外にいるのはカッツォか?取り敢えず出るか。
「はーーい……」
「やっほービャッコ君! プロゲーマーだと思った? なんと! スーパーカリスマモデル天音様が直々の降臨だよー? さぁさぁそのお顔を見せて見せて!!」
「えぇ……うるさぁ…………」
出て来たのはスーパーカリスマモデル(自称)でした、と……取り敢えず閉めるか。
「あーーー…………多分、人違いだと思うんで。それじゃ……」
「あーー待って待って待ってビャッコ君ストップちゃんとカッツォ君もサンラク君も来てるから!ほら早く開けて!!ね!?」
俺の対応は果たして今をときめくスーパーカリスマモデルを懇願させるという快挙……快挙なのかこれ?ともかくトロフィーを獲得するに至った。
スーパーカリスマモデルの懇願
全プレイヤーの内0.01%のプレイヤーが獲得