シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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流星の雨に、一等星と北極星(ポラリス)

「にしても君、まさかシャンフロ素顔晒してプレイしてるの?」

 

「あーー……キャラメイク面倒くさくてな。ウカの狐面だったり化かしの枝葉で誤魔化してるから気にするもんじゃないが」

 

「そういう問題?…………まさか本当に素顔とは。素材だけでSSS級なんてファッション磨けば更に伸びるのでは……?普段ギャグみたいなことばっかりするのに」

 

「モテたいとか思ったこともないしなぁ…………顔だってそこまでよくはないだろ」

 

ドア前での攻防に決着をつけ部屋内に入ってきた天音 永遠(アーサー・ペンシルゴン)が改めて俺の顔を覗き込んでそう宣うが正直よく分からん。素材からしてSSSというのは流石に褒め言葉にして過剰すぎる気もするしこいつのことだ、間違いなく皮肉か何かの類に違いない。ファッション関係に関してはお前はモデルだろうが一般人に同等レベルを求めるでない、これでも割と良いって言われるんだぞ……キョウの服の諸々を任せられる程度には。

 

「別に冗談ではないんだけどねぇ……普段バカみたいなことよくやってるのに中身がこれかぁって思っただけだよ?」

 

「馬鹿にしてるだろテメー」

 

「存在自体がギャグみたいなサンラク君よりはマシだと思ってるよ」

 

さらっとあんまりな評価を下されたサンラクに合掌、というかそれはお前の方が当てはまるだろうが外面完璧な癖して中身は刹那的快楽主義の外道な魔王女。

 

「はぁ…………まぁ、ビャッコだ。よろしく」

 

「改めまして鉛筆戦士です、こちらこそよろしくネ?」

 

ふむなるほど、流石にカリスマモデルと言ったところか……どんな時でもカメラ映えするな、こいつ。堂々とした様子で握手を求めてくる様子は深く考えずにカメラ構えてパシャリと撮るだけでも雑誌の1ページを埋めることくらい容易な気がする。服も……うわすげぇ、自分の持ってる武器を最大限に生かす方法を分かってる……大変腹立つが参考にさせて頂こう、今後のキョウへの服選びの為にも。

外はこんなに良い顔してるのに中身が()()すぎるからなぁ……いや、そんなことより。

 

「それはそれとして……俺達を呼びつけた雇い主殿と、覆面のバカは?」

 

「カッツォ君はもう1人のチームメイトを呼んでくるって言ってたよ。サンラク君は……ふ、ふふっ」

 

「…………?なんだよ急に……」

 

「い、いやちょっと……さ、サンラク君はもう少ししたら来るよ……君もたっぷり笑うと良い」

 

何言ってんだこいつ……お、インターホンが鳴った。こいつの言い分から察するにサンラクかカッツォかのどっちかか――――そう深く考えずにドアを開けた瞬間俺は目の前の()()()を見てこれは現実かとふと疑った。

 

「しゅこーー……しゅこーー……」

 

「誰だオメー」

 

え?マジで誰?少なくともホテルには間違いなく合わないガスマスクを被る知り合いは俺の中には……いたわ、いるわ。ついさっきまで話題に上がっていた内の1人だろこいつ。

 

「え、なに?まさかサンラクな訳……?」

 

「あははは!!そのまさかだよビャッコ君、それ、サンラクくふっふふ、おかしすぎてお腹痛くなってきた……くくく……」

 

「まだ笑ってやがんのか鉛筆……あー、お前がビャッコ?」

 

「あ、あぁ……ッ、こっち見るなお前笑いそうに……くっ、くく……!」

 

「お前もかよ!!」

 

ガスマスクは笑うに決まってんだろうが!!

 

 

 

 

 

ひとしきり笑った後部屋に入って一息つく。備え付けの冷蔵庫を漁ってみたらエナドリがあったので更に調べてみると出るわ出るわライオットブラッドの各品種が……思わずサンラクと2人して顔を見合わせ慌てて細かく確認する、嘘だろどれもこれも米国産だと……?

 

「どう思うサンラク……ヤツの頭が本格的に壊れたとしか思えないぞこれ」

 

「あぁ……米国産ライオットブラッドは輸入しなきゃいけない問題で地味に高いのに。それも各種5本ずつ……!」

 

「君らくらいじゃない?エナドリでそんなに盛り上がれるの」

 

いや、これはライオットブラッドユーザーにとっては盛り上がらない方がおかしい。エナドリは元々どこかで調達するつもりだったから寧ろ嬉しい誤算だ、それに日本産ではなく米国産であるのも好印象……そこまで手間をかけるのかカッツォ。

そんな風に騒いでいるとノック音、この感じからすると……ようやくおいでなすったか、雇い主殿。

 

ドアを開けるとそこに居るのは雑誌やテレビでよく見かける中性的な青年と鉛筆と同年代くらいの少女の2人組……

 

「よう、雇い主殿……初めましてって呼んだ方がいいのか?」

 

「……そうだな、初めまして。来てくれて感謝するよ、ビャッコ」

 

さっきの鉛筆やサンラク同様握手を求めて右手を差し出す青年……プロゲーマー魚臣 慧(オイカッツォ)はいつも浮かべている不適な笑みを浮かべて俺にそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

「高級ホテルにガスマスクって組み合わせが既に面白すぎるんだけどリアルでもそんな感じな訳?」

 

「うるせ、再販未定のレア物だぞ。あがめろ讃えろ」

 

「それクソゲーだからだろうがサンラク……」

 

ひとしきりカッツォが爆笑した後若干の余韻を残しつつ気を取り直したかのように頭を振って連れて来ていた女性の方へ向き直る。

 

「さて、とりあえず改めて紹介するよメグ。この3人が俺のプライベートなゲーム友達のサンラクとビャッコ、それと鉛筆戦士。まぁ、こっちのは顔を隠すつもりもないようだから言うけど天音 永遠ご本人」

 

「夏目 恵、雑誌で結構君のこと見かけるよ。よろしくねー」

 

夏目 恵……確か聞いたことがあるな、雑誌とかでもよく見るプロゲーマー、中々の腕前だとかなんだとかよく聞くが……。

 

「んでそっちのガスマスク野郎がサンラク、頭おかしいのはゲームの中だけだと思ってたけどリアルでも狂人だったみたい」

 

「外し時を見失ったんだよ察せ」

 

「そして最後にビャッコ。ぱっと見まともに見えるけど結局中身はそこのガスマスクや鉛筆と変わらないよ」

 

「喧嘩売ってんのか?帰るぞ?」

 

「ははは、もしそうなったら君にホテルの代金払ってもらうよ」

 

こ、この野郎……!実質的に逃げれない環境を作り出したってか!?高校生相手にすることかよそれが!!!!

 

「さて……それで、彼女が夏目(ナツメ) (メグミ)。我らが爆薬分隊(ニトロスクワッド)のメンバーで、明日明後日の予定が空いていた唯一の人物だ」

 

カッツォが俺達3人に気の強そうなポニーテールの少女を紹介する、気の強そうな女といえば何人か知り合いがいるがこの子は多分そのどれとも該当しないタイプだな。にしても夏目 恵……うん、知らないな。音ゲーやってたりしたら割と憶えてたりもするが別ジャンルのプロゲーマーとなると門外漢だ。

 

「じゃあ単刀直入に本題に入るけど、俺達は明後日のGGCでアメリカのプロゲーマーチーム「スターレイン」と対戦するわけなんだけど……メールでも説明した通り、色々あってメンバーにドタキャン食らってさ、その穴埋めに3人を呼んだわけ」

 

「ねぇケイ、その前に聞きたいんだけど……この3人、本当に強いの?」

 

カッツォの言葉を遮るように夏目さんがこちらに向けて胡乱な眼差しを向けてくる、いやまぁそうだろうね、1人は有名とは言えモデルな上その横にいる2人はマジの一般人()ガスマスク(サンラク)だもんね。そんな奴らがプロの欠員を埋める実力に足るかどうか疑問を抱くのは間違っちゃいない。というかそれはまともな感性としか言いようがない……多分俺が夏目さんの立場なら俺でもそう思う。

 

「実力は保証する。そっちのモデルは今回のゲームシステムと相性が極めて良いしそっちのガスマスクは……そうだな、俺と戦って勝率4割維持する腕前って言えばわかるかな。ついでに言えばそこのイケメンは格ゲーでやり合ったこと自体が少ないから何とも言えないけど……うん、読みと直感の兼ね合いがバグってるから普通に勝率5割かそこらくらい平気で確保すると思うよ」

 

えぇ……プロゲーマー相手にそんな上手いこといくわけないじゃん、ちょっと過大評価しすぎだぜカッツォ。

まぁ格ゲー自体そこまでやらないから俺の実力はあまり正確ではないかもしれないな、確かに以前気まぐれに誘われた格ゲーを軽くやってみた時は十先勝てたがそれもお互い始めたばかりだったからこその勝ちであったと言わざるを得ない。読みと直感に関して言えばまぁ鍛えられて多少の自信はあるがそこまで言うレベルなのだろうか。

だがその評価(一部誇張表現)は夏目さんの俺とサンラクに対する評価を一変させたらしく目を見開き俺達を凝視した。

 

「嘘……え、ケイ相手に、4割と5割……!!?」

 

「イェーイ」

 

「どもども」

 

「まぁ、2人とも基本は俺に6、7割負けてる雑魚だけどね」

 

「あ"?」

 

「よっしゃ喧嘩なら買うぞ?」

 

そりゃお前基本的に格ゲーなんて触りもしないマジの初心者に言うセリフじゃねーだろ舐めてやがんのかこの野郎。

態々自分の方が格上だとアピールするあたり流石の外道臭だと俺とサンラクが睨みつけているとちょいちょいとペンシルゴンが俺達をつついてきた。

 

「なんか察してなさそうだから解説するけど……プロゲーマー魚臣 慧にダイアグラム4割、5割取れる格ゲーマーが日本に何人いるか知ってる?」

 

「あいつ結構アドリブに弱いから普通にいるんじゃないのか?」

 

「な、正直俺みたいな初心者でも軽いフェイント入れたら綺麗にすっ転ぶ奴だもんな」

 

「国内公式戦じゃカッツォ君、誰が相手でも勝率8割落としたことないんだよ?」

 

「へぇー……」

 

「ほーん……」

 

「反応淡白だなぁ」

 

それはすごい、確かにすごいことなんだろう……俺でも分かるくらいには。だが……何と言えば良いのやら、金塊だとか大量の宝石箱を見ればその価値や希少性みたいなのはひしひしと伝わってくるのだが、ある程度知ってる人間に「実は凄い奴だし君は実は凄いことをやってるんだ!」なんて言われてもほーーん、で?としか言えない……しかもなまじやってたら割と勝てるしな。だからうん、何と言うか……

 

「驚愕から口を開けすぎて顎を外しつつ腰が抜けてそのまま椅子から滑り落ちた後悲鳴あげながら地面転げ回って失禁し、目から涙流しながら鼻から鼻水垂らして土下座すれば良いわけ?」

 

「それいいね、早速やってみよっかビャッコ君」

 

「――――ってサンラクが考えてました」

 

「何でここで俺に飛び火させたんだよ!!??」

 

「なるほど、じゃ早速やってみよっかサンラク君」

 

「やらねぇよ!?!」

 

キラーパスぶん投げた俺も大概染まっちゃいけないものに染まってるんだよなぁとか思いつつ、それでもやっぱり鉛筆の本性は全世界に晒した方がいいと思うのは決しておかしいことじゃないとも思う。やっぱこいつの性根は邪悪そのものだよ。

 

「まぁいいや、本題に入るよ。兎に角だ、俺達が明後日に戦う「スターレイン」ってチームは……まぁ、一言で言うと全米最強クラスの格ゲーチームなんだけど」

 

「なぁ、もしかしてこいつ全国規模で俺達に敗北晒し上げさせようとしてるんじゃないのか?」

 

「んー、そんな酷いことされる謂れは……パッと思いついただけで8個くらいあるんだけどサンラク君は?」

 

「そんな! 俺がそんな酷いことするわけないじゃないか……うーん、6個くらいかなぁ、ビャッコは?」

 

「まったく、鉛筆やサンラクみたいな外道はともかく俺がそんな酷いことをやったことがあるとでも……うん、大体6個か7個だな」

 

笑顔で敵陣営に身柄や情報を売り渡し、当たり前のように裏切りを繰り返す俺達だが間違いなく僕達の関係は友人のそれです……とはいえお前まさか本気でそんな化け物どもを相手取る為に俺達を呼んだってか?ここにいる5人中3人は言ってしまえばアマチュアなんだぞ?何考えてやがるんだ?

 

「敗北確定のクソイベをやる為に君ら3人を呼んだわけじゃないさ、メグ含めたこの5人なら勝ちの目は無くなっていないって確信したからこそ呼びつけたんだから」

 

そう言いながらカッツォが手持ちのタブレット端末を操作し5人の顔写真を表示させ、円形テーブルの中央に置いた。

 

「こいつらが明後日に試合に出る5人、チーム「スターレイン」の1軍スタメンだよ」

 

「うわえげつねぇ……何だこのゴリラどもは」

 

「凄いねこれ……あ、見てよサンラク君にビャッコ君。R-18のハードなNTRものの竿役みたいなマッチョいるよ!!」

 

「とんでもねぇキラーパスを未成年に投げ込んでくるんじゃねぇよまったく。にしてもこれはリアルで格闘技やるべきでは……?」

 

「R-18 云々は俺も未成年だからノーコメントで行くけど……サンラク、多分このゴリラ何かしらの格闘技はやってると思う。筋肉のつき方からして多分レスリングだと思うけど……」

 

「当たりだよビャッコ、補足するならそいつはリンゴを片手で砕ける」

 

俺も頑張ればそれくらいはやれる気がするが……本当に頑張らないと無理だな、やっぱマッチョってすごい。

 

それ以外でもなかなか顔の彫りが深い濃い連中が続く中で……だからこそ現れたその2人は、まるで星空に輝く一等星のように見えた。

 

「あら可愛い子達、紅一点ならぬ紅二点?」

 

「黒髪赤目……赤目なのはともかくとして、顔の造形的にはチャイニーズ、かな……?」

 

「当たりだよビャッコ、そいつの名前は(ラン) (ファン)……そして、こっちがシルヴィア・ゴールドバーグ」

 

そう言いながら5枚の顔写真の内の2つをオイカッツォは拡大し、名前を呼びながらそのうちの片方を指差す。なるほど、金髪碧眼でこちらはまんまザ・外国人みたいな風貌だな。

 

写真の中で微笑む金髪碧眼の俺より少し年上な……つまりはカッツォと同年代くらいと思しき少女と、自信満々な表情で赤い瞳を爛々と輝かせる俺と同年代くらいの少女を顰め面で眺めていた日本国内における最強グラスのプロゲーマーはポツリとその事実を端的に口にした。

 

「シルヴィアは全米一(ゼンイチ)。名実ともに()()のプロゲーマーで、ランファンは……全米最高(ヒーロー)()()()()()()()()()()()()()()()()プロゲーマーだよ」

 




タイトルの一等星は文字通り、北極星は全ての格ゲーマーの目指すべき最高のヒーローとしての道導…それを目指すのは、一等星も同じ。

(ラン)(ファン):黒髪赤目のウルフカット、アホみたいに強い。ジャパンの「ケイ」自体はそこまでお気に入りというわけではないけど日本は大好き。

ーーーーーーーーーそして、世界の誰よりもヒーロー。





黒髪赤目で何故「藍」なんだと言いたくなったそこのあなた、許してください自分ルールとして中華系の女性キャラ出す時は必ず1人目は「藍」を付けるようにしてるんです…
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