シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
ギャラクシア・ヒーローズシリーズは多分今まで「未完成」……というより、「本当にやりたいことができなかった」んだと思う。対戦ゲームとしての側面は
ギャラクシア・ヒーローズシリーズはお行儀良くリングの中で殴り合いをする格ゲーをコンセプトに作られたのではなく、あのキャラのように空を駆けたい、このキャラのように望むままに暴れ回りたい、コイツのように誰よりも人生を愉しみ全てを吹き飛ばしたい……そういうギャラクシアコミックの追体験を行いたいという想いがこのゲームを作る原動力なんだと思う。
「けどこれまではそれを可能にするだけの技術がなかった……シャンフロが現れるまでは」
技術的問題により望みこそすれ叶うことのなかった「未完成」のゲーム。それは格ゲーという形で部分的に模倣され、限定されたフィールドのみで許された挙動としてキャラクタースペックだけをなぞるしかなかった。
しかしシャングリラ・フロンティアがこの世に生まれた結果、「未完成」のゲームは遂に「完成」を迎えたのだ。
ディスプレイ型ゲームから進化を遂げたフルダイブ型ゲーム、そしてそのフルダイブ型ゲーム史における歴史の転換点……全てのゲームを置き去りにした神ゲーシャングリラ・フロンティア。開発元たるUESに一体幾ら金を積んだのかは一庶民の俺には想像もつかないのでそれは傍に置いておくとして……そういう経緯があってギャラクシア・ヒーローズ:カオスはこれまで叶えたくとも叶えられなかった本来のコンセプトの実現に至ったわけだ。
このゲームの本質は格ゲーではなくシミュレーションゲーム……つまり、この世界においての正解択はこのケイオースシティという舞台セットでどれだけヒーローらしく、ヴィランらしく振舞えるかどうか。
「ウルト発動やキューブ回収に必要なヒロイックゲージもヴィラニックゲージも、ただ殴り合うだけじゃ効率は悪い。効率的な貯め方は……!」
停めてあったバイクとひしゃげたパトカーに手を伸ばす、呪われた牢獄に囚われていても尚行使可能な凶星の重力が抵抗を許さず取り込んでいく……さぁ、今だけ俺は暴君であろう。
「「俺様」が!!!カースドプリズンだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!!!」
効率的な貯め方、それは…ロールプレイだ。
◇◇◇◇
「おいおいおいおい……なんか口調からしてギャラクシアコミック好きそうなのは知ってたけどまさかそこまでとは……!!」
オイカッツォ……否、プロゲーマー魚臣 慧は苦笑いを隠せなかった。何故試合開始数秒後に目の前に
問題はそのカースドプリズンが引きずっている大量の兵器と纏った装甲である。
「よぉ「アムドラヴァ」。今すぐ擦り潰してやるから覚悟しろよな……!!」
「それは良いんだけどさ……どうやって俺のことこんなに早く捕捉したわけ?ゲージとか全く貯まってないんですけど」
「警官脅して捕捉したんだよ」
「その警官は?」
「さぁなぁ、俺の装甲のどっかに肉片か何か挟まってたら多分そいつだ」
「なるほど暴君……!!」
ガシャリ、と引き摺って運搬してきた大量の兵器類から手を離し無手となったカースドプリズンはそれを聞いて無言で構える。それに応じてアムドラヴァも自ずと迎撃対戦を取る……その前に。
「死ねぇ!!!!」
「そう言ってくると思ってたよ……!」
カースドプリズンが踏み込み、自身を中心に放射状にコンクリートを砕きながら突貫した。
当然ながら予期していたアムドラヴァがカウンターの構えを取るがそれはカースドプリズンにとってあまりに想定内の事象であった。
「遅い!!!!」
「速――――――」
放たれた溶鉄弾を最低限以下の挙動、ほんの少しのダメージなど誤差と言わんばかりに距離を詰めアムドラヴァの脇腹に蹴りをめり込ませる。
次の瞬間カースドプリズンの脚に取り付けられた
「ぐぉっ………!?!」
「まだまだ甘過ぎなんだよプロゲーマー様ァ!!!」
瞬時に跳躍し追撃、強攻撃により一時的なスタンに陥ったアムドラヴァは目の前に
(やば…………っ!?何も出来ないまま本当に嬲り殺しにされる――――!!?)
「死――――――ッ、小賢しいなヒーロー!!」
「言ってくれるじゃんか、人の体で好き放題やってくれちゃって……!!」
気絶状態に追い込まれる寸前ヤケクソで放った溶鉄弾が窮地を救い、1度離れたカースドプリズンを見遣りつつ痛む頭を振りながらアムドラヴァは自身の置かれた状況を冷静に俯瞰した。
(体力は4割吹っ飛んだか……!クソ、接敵が速すぎて溶鉄弾のチャージだってろくに出来てないっての!それに向こうは……!)
カースドプリズンを睨み付ける、そこにいたのは白と黒の
先程の攻防で放たれたアムドラヴァの溶鉄弾は弾速が遅い為確かに回避は容易い……だがプロゲーマーの中でもトップクラスの腕前を誇る魚臣 慧がそれを対策しないはずがなく、基本的に回避するタイミングに合わせ避けた先に溶鉄弾を飛ばすなどといった動きを行うため大体は当たるか回避をダメージを無くすため大振りにするといった選択を行う。
その選択肢を全て投げ捨てて突貫を選ぶカースドプリズンにどこか己の宿敵の姿を幻視しながらも冷静にこれからどう詰めていくかのプランを練り組み上げていく。
(取り敢えず
「見え透いた思考だなぁ!!!!」
しかし、暴君がそんな不遜を赦す訳もなく。再び加速しながら突貫してきたカースドプリズンに対して防御を行う為両腕をクロスして――――
「
「なっ、ガッ――――――」
防御し切る前にカースドプリズンが発動した能力により周囲に存在していた鉄屑が飛来し右腕に纏わり付く。そしてそれを振り抜きアムドラヴァの溶岩の腕を溶けながら貫通させてみせた。溶け残った金属達はギャリギャリと嫌な音を立ててアムドラヴァの体力を削っていく。
「ちょっ、ビャッコお前!!?」
「俺様は!!今!!カースドプリズンだぁぁぁぁぁぁ!!!!」
振り抜いた拳はアムドラヴァの顎に直撃しアムドラヴァの視界が揺らぐ。次の瞬間アムドラヴァが最後に見た光景は削れ切った己のHPバーと飛び散るポリゴン、そして大量の金属とマグマであった。
◇◇◇◇
「神ゲーだなぁ…………!?」
すげぇ、カスプリが原作でやってた動きが本当に再現できるとは……!!あの金属コークスクリューを喰らわしてやったのは実際のところアムドラヴァではなくミーティアスなのだがこれはゲームだ、何も気にすることはない。強いて言うならば本当に神ゲーだってことぐらいか?
「まさかシリーズ通して1話しか出さなかった
というかテンション上がり過ぎてちょっと勘が冴え渡りまくってる、さっきの溶鉄弾かわしたの直感だけだったんですけど……?
さっきの戦闘場所……たしかラウンドじゃなくて試合ごとの引き継ぎだからあそこにはカッツォついでに集めた重武装が山程ある、あれ取り込んで原作135話の「
「おっ…………第2ラウンドか。それじゃあ……暴君の時間だ!!!!」
やばいこれメチャクチャテンション上がる、文句なしの神ゲーです。
湧き位置を素早く確認して武装を置いた東2番ストリートでないことを認識、次に自分の現在位置を……げ、西の4番街?まさかの真逆か……下振れ乱数引いちゃったか。
「だが今の俺様の脚ならばァ…!!!」
陸上のクラウチングスタートの体勢を取りエンジンを蒸していく、回れ回れ回れ、暴発するくらいまで加速しろォ!!
コンクリートを粉微塵に砕きながら通りを猛進する、一般市民邪魔!!……と言いたいところだがヴィラニックゲージも溜めたいので程よく半殺しにしつつ駆け抜け目的地に到着、かかった時間は45秒と少し……普通だな!と、言いたいところなんだが。
「チッ。先に着いたのはオメーかよ」
「さっきは随分好き勝手やってくれたねぇ……!
あーあー、折角態々道すがら見かけたパーツを根こそぎもぎ取って運んで2ラウンド目やりやすい様にしたのにこれではカッツォに塩を送っただけではないか。もしカスプリをピックする場合この辺も頭に入れておかなきゃ駄目だな……さて、向こうの溶鉄弾のストックは十分そうだな、正直プロの溶鉄弾とかさっきはたまたまカスダメ程度で対処できたが次はそううまいこと行くか分からない……ここは慎重に、出方を窺いつつ…………いや、それはなんか違くね?
「違う、違うなぁカースドプリズン。そうだよな、俺達らしくないよなぁ…………!」
出方を窺いつつ?何寝ぼけたこと言ってるんだ俺。そんなもん、カースドプリズンがやることか?違くないか?カースドプリズンは傲慢であるべきだろうが……!
「チップなんざいらねぇよ、取っとけ……代わりにサービスならいくらでもしてやるぞ?お前の脳天をかち割るって内容なんだがなぁ!!!?」
「抜かせ!!」
接近してきたアムドラヴァを迎撃する為に構える、溶鉄弾なら回避多分そのまま避けた先に追加で撃ってくるから被弾承知でカウンターを……!?
「なっ――――」
「誰が溶鉄弾だけだなんて言ったのさ……!」
なっ、これは……鎖!?さっき俺が集めてたやつ、不味い、動きが拘束され――――弾撃ってくるのか?いずれにせよ早く拘束を剥がさなければ……!
「この程度の鎖取り込めば……!!」
「そうすると思ってたよカースドプリズン!!」
やべっ、鎖に気を取られ過ぎてた……グラップル!!?!!!いや、というか嘘だろ双手刈からの河津掛!?というかそれ禁止技じゃねーの!?
待て、待て待て待て待てその腕で触られ続けたら……!
「おいおいおいそれがヒーローがやることかよ……!」
「ヴィラン倒せるならどんな非道もやるってもんさ……特にお前みたいなやつにはな!!」
スリップダメージで削り殺される……?やられた、アムドラヴァはカウンタータイプのキャラだから接近してくると思ってなかった!
「クソッタレがァァァァァァァァァァァア!!」
全力で力んで鎖ごとグラップを解除、バックステップで距離を取りHPを確認……3割程度で済んでよかったと思う反面距離をとってしまったことで相手の得意距離になってしまったことを悔やむ気持ちもある、いっそDPSの観点から言えばこちらの方が上だったのだから攻め続けても良かったか?
「俺をあのタイミングでやり損ねたのはミスだったなアムドラヴァ……!」
「ほざいてなよビャッコ、それよりもその溶けたブースターは使い物になるのかな?」
見れば先程の攻防の何処かで派手に壊れたらしくプスプスと細く黒煙を上げている……駄目だな、もう置物程度にしかならない。
ブースターを引っ剥がして身軽になった俺は改めて状況を把握する。
(ブースター使い物にならなくなったのが1番痛いな、これでトロいカスプリに元通りだ……武装を固めておいたのはちょっと悪手すぎたなぁ、テンション上がってたのが原因だけど。向こうの溶鉄弾のストックがどれだけ残ってるかは知らないが多分あと10発は最低でも撃てるはず、ヴィラニックゲージは……あと少しか、であるならばもう少し派手に立ち回って溜めるとしよう。1ラウンド目でつけたリソースとゲージの差をここで活かす!!)
「確かに、こりゃもう使いもんにならねぇな……だが!!俺様はカースドプリズン!!お前程度身一つで十分だってことを文字通り叩き込んでやる!!!」
「今のうちにキャンキャン鳴いてなよ、囚人君!!」
混沌の街でお互いに啖呵を切り合い、そして殴り合いと弾幕の勝負が再開される。
実はテンションの上がり過ぎでいつもの4割くらいしかまともな判断ができていない、普段のビャッコならそもそも武器を集めて置いておくなんて絶対にしないしそもそもこんなアドリブみたいな挙動ではなくもっと冷静に理詰めと直感を巧みに組み合わせた立ち回りをする。
テンションアタッカーよりになった結果直感は強化されたが代わりに冷静な判断を下しにくくなってプラマイちょっとマイナスになった感じ