シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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身バレ防止(一部顔出し)分隊出撃、ついで風雲急を告ぐ

斬雷轟くアトランティックス・マールィアン戦におけるリザルト

 

・淵魔鮙の皇雷骨

・淵魔鮙の鏖陣尾

・淵魔鮙の電耐皮

・淵魔鮙の斬空鰭

・やけくそで使いまくってほぼ空になった回復アイテム

・今では何処に消えたのかわからない経験値

 

追加特殊報酬

・斬雷轟く淵魔鮙の壊神核

・斬雷轟く淵魔鮙の斬雷吻片

 

斬雷轟くアトランティックス・マールィアン戦における現実世界への影響

・状態異常:寝不足

・時計を確認して朝6時の絶望

・次に目を開けたら朝7時の希望とも絶望ともなんとも言えない感情

・外道3人の寝坊

・そう言えばと思い出した魔王と鰹2人に隠している事実の噴出

 

 

 

 

「1時間しか寝てねぇことを喜べば良いのか悲しめば良いのか……くそ、なまじ他の外道どもが揃いも揃って寝てることに対してマウント取れるからプラスマイナスギリプラス……か?どう思う夏目さん」

 

「え、えぇ……私に聞かれても」

 

そりゃそうだ、ソーリー夏目さん今度鰹野郎の相談乗るね……。

ゆっくり朝食を摂りつつぼんやりとふと家は今どうなっているのだろうかと考えた。恐らく母さん達は突発旅行から帰ってきているだろうがキョウはどうなのだろうか?思い出すと凄まじい罪悪感に苛まされる羽目になったが間違いなく10:0で俺が悪いので甘んじて受け入れるしかない、何か埋め合わせをしないとな。

 

(…………あいつそういえばなんか欲しいものがあるとか言ってたような、地味に高くて手が出せないとか何とか……それ買ってやるのも悪くないかもしれないな)

 

「……ねぇ、えーと、ビャッコ君?」

 

「あ、はい何ですか?あとそちらが年上なんで呼び捨てで大丈夫ですよ」

 

「いや、それはなんか悪いしやめておくわ。それで、ちょっと話があるんだけど」

 

「?」

 

何だろうか、何かしただろうか?昨日はなんだかんだあって結局夏目さんとは対戦出来てないしさっさと飯食ってやり合おうぜってやつか?さすがプロゲーマーストイックさが一味も二味も……

 

「ケイのことなんだけど」

 

「いくらでもお伺いいたしましょう」

 

ほっほーーん?面白いことになってきたぜカッツォくぅん…

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁあ…………おはよメグ……と、ビャッコ。ところで何でメグはこんなに顔赤くてお前はニヤニヤしてるわけ?」

 

「イヤートクニナニモナイヨーホントダヨー」

 

「………………?」

 

朝9時前にカッツォが現れた、へへへ鰹君よぉ随分と面白いことやってんじゃーん……ゲームでユニーク発生させられないけどリアルでユニーク発生させるんだねぇ……取り敢えずこれは鉛筆とサンラクには共有だな間違いない。

 

 

 

「おはよ――……ふぁあ」

 

「そんな大欠伸かまして良いのかトップモデル」

 

「今はオフだし変装してるから良いんですー」

 

朝9時45分過ぎ、魔王鉛筆降臨。ところでサンラクまだですか?

 

 

 

 

 

そして朝10時過ぎ、ガスマスクをつけたリアルでもゲームでも変な奴(サンラク)がやっと現れた。

 

「畜生……何よりも現実こそクソゲーってそれ一番言われてるから……」

 

「重役出勤のヒヅトメさんちーっす!」

 

「ブランチのお味はどうだったかなー? みんなを待たせて食べるブランチの味はさぁー??」

 

「平然と大寝坊するあたり流石クソゲーで鍛えられたメンタルは違いますねぇー?」

 

「言い返せないという事実が何よりも痛い、これが罪悪感……?」

 

「っつーかお前シャンフロやってたろ、何やってたんだ?」

 

「一晩かけて二属性シャチを……って待て、何で俺がシャンフロやってたこと知ってるんだお前」

 

「あっ…………何バカなこと抜かしてるんださっさと飯を食え!」

 

「話逸らさないでもらって良いかなビャッコくぅーん……君ら2人ともども何してたのー?」

 

しまった墓穴を掘った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、何とかかんとかペンシルゴンとカッツォからの追撃を逃れ切りところ変わって電脳世界でございますよと。

それぞれ直前まで使用していたキャラをアバター代わりに現在はエントランスに用意された円卓を囲むようにして座っている。

 

「会場は今現在進行形でGGCの第1日目が開催されている訳だけども、生憎俺達は2日目……つまり明日のエキシビジョンにおける対スターレイン作戦会議です」

 

「…………うわ、なんかシークレットサプライズで新作の音ゲー発表されてる……カッツォ俺これだけ見に行ってもいい?ダメ?」

 

「ダメに決まってるだろ音ゲー中毒者」

 

「カッツォ君、一応確認なんだけどあのシルヴィアちゃんとランファンちゃん以外のマッチョ3人組って……どれだけ強いの?」

 

「他のゴリラ3頭も前作の世界ランキングトップ20位内に食い込むガチガチのランカーだよ。ついでに1位と2位はシルヴィアとランファンなんだけど、そこに立って以来1度もその座を明け渡したことないよ」

 

「それもう試合前に下剤とか盛った方が良くない?」

 

「サラッと外道発言はやめてもらえるかなぁ!?」

 

わいのわいの騒ぐチームメイトを他所に無言で隣に座った俺とサンラクは小声でとある問題に頭を悩ませていた。

 

(…………マジでどうする?クターニッドとルスト&モルド)

 

(それどころかリュカオーンの一件だって未報告だろ俺達、マジで下手こいたら鉛筆に処されるぞ……社会的に)

 

(社会的にかぁ……)

 

なんなら俺の場合ブレークロック……ブレクロも話せてはいない、マジでどうしようか……他クランにユニークのことを一切話さず、挙句同クランメンバーの内の半分にすら黙った状態だ、下手をこかなくても死ぬ可能性がある。特に……

 

(こいつらにバレなくてもリュカオーンの件は……サイガ-0からサイガ-100に伝わるんじゃないか?)

 

(あーー…………そっちもあるよなぁ。レイ氏あんまりリュカオーン自体には興味ないって言ってたけど流石にクランには通達するよなぁ)

 

つまるところ遅かれ早かれ露見する。それ以外でも俺達は色々鉛筆とカッツォに伝えていないことはいくつかあるわけで……えぇ……これってもうぶっちゃけ……

 

「「無理じゃねぇかなぁ…………」」

 

「ほら見てよサンラク君とビャッコ君が口揃えて弱音吐くレベルだよ?」

 

「おいおいおい今からボケたこと抜かしてくれるなよサンラク、ビャッコ」

 

なーんか外野がうるさいが知ったこっちゃない、それよりも大事なことがあるんだよ。いやマジでどうすればいいんだ、1番丸いのは今進行してるユニークシナリオEXを終わらせること……なんだが、そうなるとNPC達がみんな死ぬ気がする。となると……

 

(EXシナリオを成功させてEX由来のアイテム、情報を入手し条件丸ごと秘匿して成果を交渉材料にするってのはどうだ?)

 

(なるほどその手があったか、つまりはユニークアイテムの類を――――)

 

「「人質にして、脅迫する……」」

 

「ねぇケイこの老侍達物騒なこと言いだしたんだけど!?」

 

「サンラクビャッコ気を確かにして! 外道芸はペンシルゴンの十八番でしょうが!」

 

「まず君に下剤を盛るべきなのかなー? んー??」

 

外野うるさい、しゃらっぷ、しゃらーーっぷ。

 

極論上手いこと全てを運ぶにはやはりどう転んでもユニークシナリオEXのクリアはマストか……カッツォ、はどうとでもなる、となればそこで下剤を真剣に吟味している鉛筆さえなんとかすればいいのだ。

 

「…………で、何でサンラクはカッツォにチョップもらってるわけ?」

 

「ビャッコ君も話聞いてなかったみたいだよカッツォ君」

 

「プロゲーマーチョップ!!」

 

「ごふぁ!!?!」

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、頭がユニークなことになってるマンと見た目まとも中身ユニークマン、お前らから見たスターレインの印象を教えてもらおうか?」

 

「何って言われても……なぁ?」

 

「ぶっちゃけ鉛筆でマッチョ3匹共々上手いことやればハメ殺せるだろうな」

 

中々にキツめの一撃、まだ頭が痛い……頭を抑えながら俺とサンラクはバッサリと対戦チームのエース2人以外の評価を下した。

 

「この3人……昨日も言ったけどさ、全員何かしらの格闘技……ボクシング、レスリング、その辺は確実に触ってるでしょ?」

 

「やってるねぇ……このゴリラは確かボクシングのヘヴィ級ライセンス持ち、こっちのゴリラはレスリングで……こいつもボクシング、極め付けにミドル級の大規模大会で優勝したらしいよ」

 

「何でそっちの方向に進まないのかね……言えた口じゃないか。まぁ、そういう奴らって正直立ち回りがその辺に寄るんだよね、戦いにおける常識……みたいなのがさ」

 

普通であればそれは弱点でなく長所になる、だが……今回のゲームを触ってみて、そして彼らがやり合うことになるであろう女の悪辣さを知っている俺達からしてみればそれは大きな弱点となるのだ。正直今から何されるか想像もつかないが碌なことではないのは間違いない、今のうちに合掌でもしておくか。

 

「まぁ……簡単に言うとだ、ボクシングはリングでグローブはめてやるものだしレスリングもリングの上でお行儀よくやるものだってことだ」

 

「ふふふ……分かってるじゃんサンラク君ビャッコ君」

 

うっわ凄い良い顔してる、碌なことでないのだけ確定してるのが何より酷い……それを見せられている夏目さんの表情も何とも言えないことになってるよ。というかなんだけど。

 

「そういえばペンシルゴン、お前まさか顔出して大会出ないだろうな?」

 

「まさかそんなわけないじゃん、ちゃんと顔隠して行くよ。流石に世の中のティーンのみんなには刺激がほんの少し強すぎるだろうからね」

 

「ほんの少しで済めば良いんだが……」

 

「あ、それで思い出した3人とも名前何にしてエントリーしとく?何も要望ないならサンラク、鉛筆戦士、ビャッコにするんだけど」

 

……あ、そっか名前……流石に本名ってわけにもいかないしなぁ。ビャッコ……はダメだ爺ちゃんが気付く、確か毎年GGCは現地観戦するから恐らく今も会場で目を輝かせていることだろう、明日のエキシビジョンマッチもシャンフロシステムを使った「最新」作である以上観に来ないとは考えづらい。

そこまで考えたところで他2人が案を発表しだした。

 

「匿名希望アルファとかで宜しく」

 

「あ、じゃあ私は匿名希望オメガで」

 

「ふーん……じゃ、匿名希望ガンマ?」

 

「……いや、やっぱり匿名希望零式とかにしようかな」

 

「じゃあ私は……匿名希望非存在番号(ゴーストナンバー)とかにしよっかなぁ……」

 

………………なるほどそうきたか。

 

「…………匿名希望罪宝(アザミナ)

 

「むむっ」

 

 

 

 

――――5分後。

 

 

 

 

 

「はぁ……じゃあサンラクは「彼方より解き放たれし宿痾の匿名希望」でペンシルゴンが「†気高き匿名希望の淑女(ミスティック・レディ)†」、ビャッコが「深淵より滲み出る開闢の匿名希望」で良いんだね?」

 

「「「やっぱなしでお願いします」」」

 

ごめん無理、正直他2人に引っ張られた結果ではあるがそれで呼ばれた場合メンタルが死ぬ。あらゆる意味で死ぬ。

 

「……もう謎の助っ人一号二号三号でいいんじゃないかしら?」

 

そこまでいくと「なんかこう……なぁ?」っていう思いを抱いてしまうのが人間の……人の心と言うんですよ夏目さん。

 

「よし、もうこの際プロゲーマー様直々に名前を決めてあげよう」

 

「ほう」

 

「言ってみろよ」

 

「サンラクが「ガンボール」でペンシルゴンが「ブラックカーテン」、ビャッコが「ビースト」で」

 

「誰が「鉄砲玉」だコラァ!?」

 

「今回の「黒幕」はむしろそっちじゃーん!!」

 

「おいコラ誰が「猛獣」だと?」

 

「ええい黙れ現役厨二病共、昼までに決めないといけないんだぞ!」

 

くっ、ちょっとかっこいいと思っちまった自分が憎い、憎いぞ!!!!

 

さらに30分経過。

 

 

 

「……はい、というわけで厳正な殴り合いの結果名前が決定しました」

 

ビャッコとはあくまでもプライベートな名前でしかない。であるならば……隠れ蓑とする皮も必要なわけで。そんなわけで俺の公式大会用の真名は…………まぁ、うん。

 

 

とりあえずカッツォ、他2人に比べても酷いわぶち殺してやるから覚悟しておけ。

 

 

 

 

 

『なぁシルヴィ、ケイんとこのチームにこんな名前のメンバーいたっけか?』

 

『んー? 誰か新入りでも入れたのかしら……って何これ、「顔隠し(ノーフェイス)」と「名前隠し(ノーネーム)」、それと……「皮隠し(ノースキン)」?』

 

 

 

 

「ちっ……ふざけやかって、何が「ガワはマトモだが中身が狂犬すぎる人間なんだからそれが上等だろ、それか今からでも「猛獣(ザ・ビースト)」にでも変更するか?」だクソッタレ……」

 

中身狂犬ってあいつらの俺に対する評価どうなってんだ全く、他2人に比べてインパクトに欠けるような……なんだよ皮隠しって、しかもそこにやけっぱちみたいに意味を当ててそれっぽくすんなよそこに努力をするくらいなら統一した名前を考える方に労力を割けよ。

いっそ「猛獣(ザ・ビースト)」の方がかっこいいような……いや、やめておこう何せ相手には本物の猛獣がいるのだから。

 

(………………飯、は後でもいっか。取り敢えずそうだな……ちょっと汗かきたい)

 

その後ホテル内に併設されているレストランに食べに行こう、VRゲームは体が資本、日課のトレーニングは何かしらやっておきたかったからありがたい。高級ホテル内のジムとは一体どんなものなのや、ら…………?

 

ドドドドドドドドドドドドッ!ダンッ!!ボンッ!!バンッ!!!(恐ろしい速度で放たれる拳がサンドバッグを打つことにより発生している音)

 

ジムに入った瞬間目に飛び込んできた光景を見てまずそれが己の幻覚であることを心の底から祈った。生物的な恐ろしさ……ではない、それをやってみせた人物が問題なだけで。

 

「なぁんでここにいるのかなぁ……?」

 

艶のある黒髪のウルフカット、スポーツウェアを着込んだ

その姿は昨夜見た姿にそっくりで……そして、どうしようもなく特徴的な真紅の瞳。

 

全米最強格ゲーチーム「スターレイン」の最強格、藍華(ランファン)がそこにいた。

やばい、何がやばいって気づかれた場合確実に面倒なことになるのがヤバイ。

 

 

 

「………………日本人必修技能、気配消失」

 

日本人が修めるべき必修技能をフル活用して全力で存在感を薄めランファンを遠巻きに眺めるギャラリーの中に紛れ込み何食わぬ顔で筋トレ器具に触れる。僕は端役、僕は景色の一部なんだ。だから気にしなくて良いよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(………………あれ、あの子は昨晩の。…………話しかけてあげたいけど流石にこんなに人目につくと難しいか。向こうもほっといてほしいだろうし気づいてないふりしてあげようか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

「………………は?」

 

自らへと告げられたそれが、上手く認識できない。今自分は何と言われた?今、何と?

理解の及ばない中慧は自らが命ぜられた「命令」をもう一度理解しようと試みて……果たしてそれは失敗した。

英語か何かで話しているのだろうか?日本語などとほざくのであれば言葉の意味は理解したくもない。

 

「…………冗談っすよ、ね?」

 

「残念ながら冗談でも何でもない、単なる事実だ魚臣。これは電脳大隊(サイバーバタリオン)の……というよりかは「スポンサー」からの「命令(オーダー)」だ」

 

「ふっざ……! それがどういう意味が分かってて言ってるのか!?」

 

タブレットを地面に叩きつけて慧は目の前の、役職上は自身の上司に当たる人物へと一切臆することなく吠える。

だがしかし、世間では好青年で通っている慧の怒りの咆哮にすら眉ひとつ動かすことなく、男は再度その言葉を……言い聞かせるかのようにはっきりと宣告する。

 

「プロゲーマー魚臣(うおみ) (けい)、君には明日のGGCで「ルインズ・ウォー・ハウンズ6世界大会」の決勝戦に「強襲中隊(アサルトカンパニー)」のメンバーとして出場してもらう。フルタイムでだ、手を抜くことは認められない」

 

風と雲が様相を変え、急を告げながらその動きを変える。

 

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