シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:リューラク

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僕は悪くない、クリスマスっていう大義名分が悪い。

ある意味で前話のほうれん草ちゃん視点でのお話。



評価バーに色がつきました。見てくださっている方、大変ありがとうございます。
これからもできる限りシャンフロらしく、それでいてオリジナル要素もしっかり立てた作品にしていきます。
応援よろしくお願いします。


「僕」も「私」も貴方のことが大好き

あの日、「私」が憧れていた彼は、この国で最も強い剣士と試合っていた。

あの日、「僕」のただの幼馴染だと思っていた彼は、「幼馴染」から「大好きな人」に変わった。……いやまぁ幼馴染である事に変わりはないけど。

 

あの日。「僕」の好(・)き(・)と「私」の憧(・)れ(・)は1人の男の子に収束した。

 

恋心は今も心の内で猛っている。

 

◇◇◇◇

(…………今日は、ちょっと疲れたかな?)

 

いつも通りの練習量、だと言うのに疲労がいつもより少し濃い気がする。いや、きっとそれは本当に気のせいなんだろう。

「私」は剣道が大好きだ。だから僕が「私」でいる時は疲労なんて感じない、ただひたすらに竹刀を振って稽古を積み重ねる事に喜びを、勝つ事に嬉しさを感じる。

「僕」はこーくんが大好きだ。だから私から「僕」に戻った時に真っ先に必要だと感じるのは食事とか睡眠とかそういうのではなくこーくんが必要に感じる。

 

「こういう時、長期休みってのは嫌になるね……」

 

夏休み。毎日会っていたこーくんとは毎日会えなくなる期間……まぁ正直適当な理由をつけて家に行っても良いんだけど。

どうしようかと迷っていると不意に背後から声がかけられた。

 

「あ、あのっ!!龍宮院さん!!」

 

「……?僕に何の用かな?」

 

……目の前にいる子は確か去年の夏頃に剣道を始めた子だった筈、何故わざわざ自分に声をかけたのだろうか?

 

「そ、そのっ!白石さんって、どんな人なんですか!?」

 

あ、敵かなこれは。

一瞬にしてカテゴリが「敵対生物」に変わる、なるほどこの女の子はこーくんに惚れたらしい。

何の用だろうかという疑問は一瞬にして解決した。こーくんはイケメンすぎてそこら中にガチ恋勢を作り出すからいけない、その度にまず自分の方に人が来るのもどうにかしてほしいけど。

 

「…………それを聞いて、どうするつもりなのかな?」

 

「えっ……そ、それはぁ……そのぉ……」

 

「…………ふーーーん、なるほどね?」

 

大方こーくん目当てってところかな?良い度胸してるじゃないか……。

ほんの少し驚かせよう、そう思ってさりげなく脚を彼女の……どことは言わないけど、まぁ僕にとっても弱点である場所に押し付けて壁に寄り掛からせる。

自分でも自覚している、お世辞にも目つきがいいとは言えない細長い眼を更に細めて、口を耳元に寄せて一言。

 

「――――――――渡すと思う?」

 

「はひゃっ…………」

 

――――――――――勝った。

腰が抜けたように座り込む彼女ににっこりと笑ってみせる。ごめんね、やりすぎちゃった。

 

「やっぱり今日はこーくんちに行こうっと」

 

竹刀袋と道着が入った袋を肩にかけながら僕はその足でこーくんの家に向かったのだった。

 

◇◇◇◇

「あらキョウちゃん!いらっしゃい、ご飯食べる?」

 

「ありがとうございます、紗奈さん。ご馳走になります」

 

「いーのよ別に!あぁ、虎堂ならいつものように部屋でゲームしてるわよ?」

 

「まぁいつもの事ですね……」

 

こーくんの家につけば紗奈さんが出迎えてくれる、実家だと使用人の人達が出迎えてくれるけどやっぱりここの温かみは違うね。

 

何度も訪れてもう彼の部屋へは目を瞑っていても辿り着く事ができる、数度ノックして室内に入ればそこはこーくんの匂いが充満した部屋。あっ好き、これやばいなぁ癖になる……いやもうなってるのかな?

普通の学習机に棚には沢山のゲームパッケージがトロフィーのように飾られている、部屋の隅にはベッドが備えられていて、その上ではヘッドギアを装着して今頃電脳の世界を楽しんでいるだろうこーくんの姿。

 

「………………ちょっとだけなら、良いよね?」

 

寝ている……正確にはフルダイブしてるのが悪いんだ、僕悪くない。

ぺらっぺらの大義名分を持って枕元に僕は座り込む、目の前にはヘッドギアで頭半分が隠れていてもカッコよく感じるこーくん。

 

あぁ、やばいなぁ。止まろうとしても体が止まってくれないかもしれない、止めようとしてる意思もどこかで「そうしたい」と思ってるかもしれないけど。

 

 

 

そっと、こーくんの唇に顔……というより僕の唇を近づける。よくない、そう思うのに体は正直で。あと少しで当たる、その時。

 

キュイーーーーーーーーン…………キュウウウウゥゥゥウン…………

 

「………………!!」

 

これは……ログアウトしてフルダイブ空間から現実に戻ってくる前兆……!

こうなるといつ帰ってくるか定かでないので渋々引き下がる、いや、というかあのままだとそれこそ最後まで続けてたかもしれない、その点においては感謝を示した方がいいのかな……? 

 

格好を整えて、いつもの笑みを浮かべて。

帰ってきた時の第一声は何だろうか、「楽しかった」?それとも「つまらなかった」?あるいは「もっとやっていたい」かもしれない。

 

「………………腹減った」

 

「………………ログアウトしてから第一声がそれかい?もうちょっとまともな事を言いなよこーくん」

 

予想とは全く違う第一声に吹き出しそうになるのと同時に愛おしさを感じる。

あぁ、やっぱり僕はこの人が大好きだ。

 

 

 

 

この後とんでもない責め(無自覚)をされて一瞬腰が抜けたのは忘れることにした。

耳元で「良い匂いだ」って…それ、耐性が出来てる僕でも腰が抜けそうになるっていうのに他の人が食らったら昇天するんじゃないかな…?





ダメージ表記
ほうれん草ちゃん HP100

肩を掴む マイナス300
↓
首元に顔を近づける マイナス30000
↓
匂いを嗅がれる マイナス100000
↓
「良い匂い」 即死攻撃



何だこの無自覚女たらしは
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