シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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フレンと夜見様のシクぶち抜いたので歓喜の舞を踊りながら投稿


慷慨憤激(イカリノホノオヲムネニヤドシテ):暴徒覚醒(ボウトハメザメル)

「あ、スイッチ入ったな」

 

「え?」

 

「あーほんとだ、サン……顔隠し(ノーフェイス)君確かにスイッチ入ったね」

 

人にはブチギレスイッチというものが存在する。そしてこれは俺の持論ではあるが、親しい人間のそういうスイッチが入った瞬間というのは割と分かるものだ。

その点から見て俺と鉛筆の見解としてはサンラクのスイッチが何らかの理由で入ったということで……そうなると、少々話が変わってくる。

 

「ああなった顔隠し君なら、話は変わってくるよね?」

 

「そうだな、今の奴の頭の中じゃ諸々の全部が吹っ飛んでるだろうし……もしかしたら、あるいは?」

 

「ね、ねぇ……」

 

夏目さんがおずおずと問いかけてくる。

 

「つまり、えぇと……どういうこと?」

 

「んふふ……夏目ちゃんはああなった顔隠し君を知らないもんねぇ。時間稼ぎがどうとか全部頭から吹っ飛んで勝つことだけに全神経を注いでるんだよ、彼」

 

 

『ぶちのめぇぇぇぇぇすっ!!!!!』

 

 

俺とペンシルゴンが見上げるディスプレイの先、電脳世界にのみ存在することを許された混沌の街のど真ん中で、サンラクが吼える。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

今や俺の頭の中に時間稼ぎなどと言う思考は存在しない。接待も時間稼ぎもカッツォとかいうユニークの1つも自発できないプロゲーマー(笑)のことも全て未来に着払いで発送だ、最悪後で何を言われようが知らん、ビャッコに丸投げしてしまえばいい。

今はただただ奴の鼻持ちならない顔面に全力でパンチを叩き込みギャフンと言わせたい。

そらそうだろうよ全米一(ゼンイチ)、お前の言う言葉は全て正論だ、間違いない認めよう。

 

それはそれとして自覚してるものを他人に指摘されることが1番腹が立つ。何が全米一だ、今すぐそこから引き摺り下ろして覆面ごと称号を剥ぎ取って投げ捨ててやる。

 

「そうだよな、そうだよなぁ……!お前()の設定からしてあんなシケり散らかしたツラで勝たれるのが1番腹立つわなぁ…!!!」

 

ロールプレイという点で言うならばさっきのラウンドは無様という他ない、10数時間前のロールプレイに羞恥心を覚え顔を若干赤らめながら辿々しくロールプレイしようとしてた夏目氏を笑えんぜ。

シルヴィア・ゴールドバーグという怪物への対応で手一杯になった結果その辺りが疎かになったという言い訳はしたくはないが……実際問題マジで手一杯でそこまで気が回らなかった、だがここからは違う。何せ今の俺を突き動かすモチベは怒りと……いや厳密には違うな、反抗心だ。余りにも理不尽な怪物にボコられっぱなしでいられるかという反抗心。それと体内を恐ろしい速度で駆け巡る黒いカフェインの血潮。

 

「上等、上等!!やってやろーじゃねぇか!!」

 

そして、探す。俺とビャッコと鉛筆とカッツォと夏目氏の5人体制で1時間ほどだが総動員してあれでもこれでもないと街中のスクラップを纏いミーティアスに対抗できる可能性のある装備を。そして……その内の1つが目の前にあった。何を考えてたんだ第1ラウンドの俺、あんな薄っぺらいカス装甲ばっかり纏いやがって、間抜けか?…………間抜けか。

 

「ハロー市民を守る心優しい白バイ隊員ズ!!ちょっとハートに傷が入った可哀想な俺にバイクを寄付してくれないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「拒否権はお前らに存在しない……というより、拒否したら()()()でそこらの人間を叩き殺す。オーケー?」

 

見てろよクソッタレ……何が何でも堕としてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

(あーあ、カースドプリズンだってわかってちょっとウキウキしてたんだけど。やっぱり()()()()か)

 

シルヴィア・ゴールドバーグは落胆と退屈と……ほんの数滴の失意の中、心の中で小さなため息を吐いた。

 

遅延、遅延、また遅延。ひたすらに続く遅延戦術に気づいた理由は幾つかあるが、やはりそれを決定的にさせたのはシルヴィアがダイブするまで姿を一切見せなかった魚臣 慧の存在だった。

 

()()()が今までやってこなかったヒールプレイをやってきた時点で……ねぇ?何かしらのアクシデントがあったのは間違いないでしょうね)

 

格ゲーの実力だけで言えば大したことのない、だがある別の面から見ると恐ろしいほどの強敵が今までやってこなかったヒールプレイを行い、まだ研究が進んでいない為本来のスペックを出し切れていないとは言えスターレインの一番槍を降し、自らに次ぐ最強格にあと1歩というところまで追い縋った彼女への評価を3段階ほど上げつつこれからの試合へ思いを馳せた。

 

シルヴィア・ゴールドバーグは端的に言って最強、ここに挟む異論の余地はない。客観的にも主観的にも最強である。

スペック面だけを見て討論を戦わせた結果そうなったわけではない、シンプルに、全世界のありとあらゆる名だたる強豪選手を叩き潰し、払い除け、捩じ伏せてきた結果……つまるところ、純然たる事実。

そして、その中でも確かに少人数だがシルヴィアをして苦戦させたプレイヤーは存在する。だがその誰もがカースドプリズンを扱ってはいない。

 

その理由は彼女がミーティアスであるから。不倶戴天の宿敵であり最大のライバルであるカースドプリズンに彼女は一切手を抜くことをしない。いっそ過剰とも呼べる程の全力を持って擦り潰す、相手がカースドプリズンであるから。

シルヴィア相手にカースドプリズンを選択することは即ち「全身全霊、本気を出してこい」という宣戦布告。その宣戦布告を行なってきた時点では少しばかりの期待感は確かにあったのだが、今やそれも星空よりも遠い彼方まで消えていった。

 

(Ms.ジェーン・ドゥ……名前のない誰かさんがそれなりに出来るプレイヤーだった分期待しすぎたかしら)

 

思い起こすはつい数十分前から悪逆非道の限りを尽くしメンバー2人の心に決して小さくない傷を残し、そしてつい数分前己に袋叩きにされて散っていった爆弾魔。なんてことないように見えてかなりヒヤッとさせられる爆破が複数回あった時点で名前隠しの評価はそれなりに高いのである。それに比べて顔無しの誰かは虚仮威しと来た、退屈な気分にもなるというもの。

 

(さぁ、ケイの前にもう1人いるのよね……そっちの方はどうなのかしら?それに……まぁ1番気になるのはケイとの試合(マッチ)ね、一体どんな策を弄してくるのか……楽しみね)

 

そこで彼女は気づいた。NPC達が逃げ惑っている。つまるところ標的たるカースドプリズンが近いということであり……自らの望む試合をさっさと始める為には迅速にそれを叩きのめさなくてはならないという思考に至ったシルヴィアは一気に最高速までギアを上げ走ろうと脚に力を込め……気付く。

 

本来そうあるはずのない人間が、市民と同じように逃げ惑っている。簡潔に言えば警察官であり、そしてその組織に属する他の警官とは異なる制服を着込み制帽ではなくヘルメットを被っていることから彼女は彼らがどういった部隊に所属していて、何を奪われたのかを把握した。

 

「あら……着替えの時間は終わりかしら?」

 

「ああ、随分待たせちまったか?」

 

警察組織が用いる白を基調としたバイク。先程の警官の数から察するに取り込んだ総数は……7台ほどを取り込んだのであろう。ありとあらゆる場所にタイヤが取り付けられ、各部からまるで闘志が如くゆらめく煙から目を背ければ純白の重装甲を身に纏った騎士にも見えないことはないそれは、ゆっくりと、リラックスしたような、それでいて戦意を全身に漲らせて1歩1歩確実に距離を詰めてきていた。

 

「随分様子が変わったじゃない、どういう心境の変化かしら?」

 

お互いの距離、およそ25メートル。

 

「色々吹っ切れてな、それと……悪かった。さっきのラウンドはあまりにも不甲斐がなさすぎた」

 

「良いわよ別に。ここからは……違うんでしょ?」

 

お互いの距離、残り20メートル。

 

「ああ。その通りだ」

 

「そ、じゃあ始めましょうか」

 

「そうだな、それとその前に……言っておきたいことが1つあるんだよ」

 

お互いの距離、およそ10メートル。

 

「?何かしら?」

 

「なんて言ったっけな……そうそう思い出した」

 

シルヴィア・ゴールドバーグ(ミーティアス)はその時、カースドプリズンの鎧の下に確かに笑みを見た。決して逃さぬと言わんばかりに装着された呪われた牢獄の中で尚浮かべる、ギラついた笑みを。

 

「キック、ユア、アス」

 

その意味はズバリ、「俺はお前をぶちのめす」。

 

「上等じゃない!!!!」

 

開戦の火蓋が今まさに切られた。

 

ギアを一瞬にして引き上げたミーティアスが超高速機動に移行、地を駆け抜け壁を駆け抜け空すら駆け抜け、踏み締めて飛ぶ。天地全てをフルに活かして撹乱しつつみるみるうちに速度を上げ、ガラ空きの背後に流星の蹴りを叩き込もうと振りかぶった瞬間。

 

「は?」

 

「やると思ってたわバァァァァァアカ!!!!!!」

 

顔面を掴まれ地面に叩きつけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆

顔面を確実に捉えた。どのルートを辿ってやってくるかは正直言ってギリギリまで把握できなかったがフィニッシュが背中への蹴りであることだけは容易に想像がついた。

何せ散々教え込まれたコンボルートの起点作りにビャッコの野郎が多用してやがったので。

 

ウェルカムトゥージャパァァァン(ようこそ日本へ歓迎するぜクソッタレ)!!!!!」

 

1ラウンド目同様脚に取り付けられたタイヤを互いに逆の方向へ回転させて超信地旋回、俺に蹴りを叩き込まんとするミーティアスの顔面を掴むあたりはギャンブルだったが無事成功したのだから最早気にすることではない、それらは全て1ラウンド目の敗北の時綺麗さっぱり全てを投げ捨てた。

 

顔面を鷲掴みにした状態で超信地旋回は続行し遠心力もオマケで地面に叩きつけ、遥か遠方から帰ってこれないと思うほどの万力の力を込めて投擲。

背中から伸びた3本のマフラーがまるで獣が如く唸り声を上げ、俺の背中を押すような感覚を与えてくる。普段ならば何回か試行回数を重ねてようやっと成功するかどうかという無茶な動きだが今俺は自分が出来ないと思うことは何1つない。今ならウェザエモンだろうがリュカオーンだろうがソロ討伐できる気がする……そんな全能感が全身を支配している。

 

カースドプリズンは鈍足だが今の白バイ8台を取り込んだ高機動型カースドプリズンは違う、提供してくれた白バイ隊員達に感謝だな、1人は抵抗してきたのでNPC3人ほどに叩き込んで物理的に黙らせたが。

なんてことを言っていても今の俺は実は全フォームの中で最も遅い疑惑のある状態だったりする。何せパーツ各所をいくつか省いているとは言えバイク8台分の重量+シンプルなカースドプリズンの重量だからな。本来であれば歩くことすらままならないこの鈍重な肉体を無理やり駆動させる8台のエンジンは大雑把な動きに限定すれば凄まじい馬力を発揮する。

 

「おらおらおらおらおらどこまで飛んでくんだよ金銀野郎!!!!」

 

例えば遥か遠くまで吹っ飛んでいくミーティアスに追撃する為に脚部のタイヤを全力で回転させることだったり。

 

「っしゃこらいくぞぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

「えっちょっ、なっ!!?」

 

「堕ちろ!!一等星!!!」

 

跳躍、脚を掴む、バスケのダンクを叩き込む要領でミーティアスを地面に叩き付ける。

全力を持ってぶん投げたミーティアスが凄まじい勢いで地面に着弾、コンクリートが砕け地面が捲れ上がるのを確認する。

 

「ふはははは…………あーーーはっはっはっはっはっはっ!!!」

 

気分は最高!!!!野球で言うなればメジャーに行ってホームランと三振を量産する二刀流、バドミントンなら超高速のスマッシュを連打する超パワータイプの選手、陸上なら他と圧倒的なタイム差をつけてゴールに辿り着く超高速選手。そんな怪物を、今、俺が!!!!ぶん投げ、地面に叩きつけた!!これほど、これほど面白いことがあるかよ!!

 

「シケたツラを拝みに来たぜぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「げっ!!?」

 

重力に従って俺もミーティアスと同様堕ちる。堕ちる先は勿論ミーティアスのほぼ直上、怯みモーションから復帰した直後のミーティアスが土煙が晴れた先で降ってくる俺に目を剥いて回避しようとする。おやサイドステップ程度の回避で良いのかい?まだ舐められてるのかな?ぶっ殺してやる。

 

「ここっ…………!なっ!!?」

 

「――――――着地後の硬直狙いか?甘いぜ全米一(ゼンイチ)様。ウチの雇い主様の方がよっぽどちゃんと着地狩りをしてくる」

 

着地の後隙を狙って放たれた拳が空を切る、普通ならば硬直で動くことの出来ない俺が回避できたのはとてもシンプル、着地寸前から脚部のタイヤを駆動させ着地した瞬間俺の体が旋回機動を勝手に始めたからだ。

確実に当たると思って放った大振りな拳が空を切り、ミーティアスに大きな隙が生まれる。俺はそこを逃すことなくタイヤを全力で回し加速、顎を思い切り刈り上げた。

 

「――――――――ッ…………!!」

 

スタン、勝機!!!

 

「くぅぅぅぅたばり、やがれぇぇぇぇぇぇえ!!!!!」

 

カチ上がったミーティアスの体の真芯を捉える拳がめり込む感触、まだだ、俺、まだ、いける!!!腕から伸びたマフラーが火を吐き出し更に加速、押し込め、ぶち込め、エンジンが焼き切れるまで!!!!

 

「ぉぉぉぉおぉぉぉぉぉおおおおらぁぁぁぁぁァあッ!!!!!」

 

ミーティアスが吹き飛び超速でビルに突っ込む、だが止まらない。壁数枚程度で俺の全力を込めた拳でぶっ飛んだミーティアスは抑えられない。ビル数本をあっさり貫通して壁にめり込みそこで止まった。

 

「来いよ無敗の一等星(チャンピオン)様ァ!!!それかマジでお星様になっちまったかァ!!?」

 

一瞬の静寂、次の瞬間。

 

「言ってくれる、じゃない!!!」

 

超高速で駆け抜けてきたミーティアスの声が響き渡る、だが視認できない、前、違う、横?迂回路はない。下、ナンセンス、上、上!!

 

「来やがったか!!!」

 

上から降ってくるミーティアス、そしてそれがかかと落としの体勢を取る。

 

(2段ジャンプを使ったか?スターロードは使用可能な筈。ビルが数棟あればこいつはそんな小細工なしでも十分接近してこれる。だが――――……あぁもうどうでもいいわ、頼むぜカフェインの神様!!俺に力を!!!!)

 

「死ねぇぇぇぇぇぇえ!!!!」

 

「そんな甘い対空で……!」

 

「もらったぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 

「なっ、がっ!!?」

 

真上に突き上げるハイキック、高機動型カースドプリズンの可動域的に体を中空に投げ出す必要がある為やりたくはなかったが俺が賭けた勝負の舞台に俺が上がるためにはこうするしかなかった。

 

即ち2段ジャンプを残した状態で俺に向かって襲いかかってきたことに1点賭けした。どの方向に跳躍するかまでは考慮しない、どうせその程度ならば一切の問題なく今の俺なら()()()()()()

 

ハイキックの状態からゴリ押しで横から吹き飛ばすような形の蹴りへ移行、ちっ、ガードされたか。だが反撃の糸口は潰したぞ!!

 

「けどそっちも手は出し尽くしたでしょ!?」

 

「人がドリフト出来ないとでも思ったか!!?!!!」

 

「何それ気持ち悪い!!!」

 

失礼な奴だなぁ!!俺は少し……そう、お前を蹴った右脚のその後を有効活用するために右肩のタイヤを右半身を捻ることで無理やり直線上に持ってきて即興のバイクを再現しただけだ。ハイキックからの横蹴りコンボは古の格ゲーからパクらせてもらったがその後の後隙を潰すには非常に有効なんだぞ。そのまま捻りを戻すことで力技のドリフト、抑えが効かない体がドリフトによる遠心力の手を借りて無理やり起き上がるどころか前へ進む為そのまま四足歩行の獣が如き体勢へ移行。

 

吼えろエンジン、あの腹立つ顔を歪ませるまで俺は攻撃の手を緩めない!!

 

「お前がくたばるまでッ!!俺はッ!!止まらない!!」

 

往生しやがれクソッタレ。

ショルダータックルをかましてマウントポジションへ移行、ギャリギャリと肩のタイヤと地面がミーティアスをサンドイッチにする。そうなった場合少なくとも人類の形を保ってる奴はどうなる?すりおろした人参より酷いことになるんだよ。具体的には血とか中身が飛び散る。だがここはゲーム、そんなことにはならないので遠慮なくやらせてもらうぜ!!!

 

「はな、せ!!」

 

「うはははは生ぬるい蹴りをどうもありがとう!!!」

 

俺の腹を狙った蹴りをわざと喰らって起こしてもらう、何せこの図体じゃ自力での立ち上がりも困難なので。

数度刻まれたバックステップから一転全開で距離を詰めてきたミーティアスが俺の鳩尾に蹴りを叩き込んでくる、残念鎧のお陰でカスダメだ、だが……お粗末としか言いようがない、そして俺は最早お前を人とは思わない、対ヒト形小型モンスターと想定して戦闘を進める。鳩尾を突いてきた右脚を掴み左半身を引く、顔面が拳の射程内に入った。大ぶりな左のパンチがミーティアスの顔面を叩き砕かんと振り抜き、両腕をクロスさせることで辛うじて顔面への一撃だけは免れられた。いや、だが。

 

(7割削った!!ミーティアス、インパクトの衝撃、スタン状態!いける!!やれる!!このまま……フィニッシュまで持っていく!!)

 

コンボを叩き込む。ミーティアスの体をひしゃげさせる勢いで放つ渾身の右フック、今度は確実に捉えたそれがミーティアスを錐揉み回転させる。左手で頭を掴みコンクリートに叩きつけんと持ち上げたミーティアスと目があった、まだ目は死んでいない、寧ろ「お前を殺してやる」という戦意がメラメラと燃え上がって……上等!!

 

「そうでなくっちゃ、なぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

フルパワーで地面に叩きつけ、その衝撃により一瞬浮いた体をコンクリートが抉れるほどの力を持って……今。

 

「シューーーートッ!!!!!」

 

蹴り抜く。振り上げた右脚のタイヤが煙を上げながら空転し、俺から発散される熱が闘気よろしく空間を歪ませる。

俺の中で巡るカフェインが燃え盛るかのように各部マフラーからは炎が噴き出ていた。

 

「さぁ全米一(ゼンイチ)。まだ立てるだろ!?ぶちのめしてやるからさっさと立ち上がれよ!!」

 

あのコンボはおよそ3割は間違いなく削った、削ったが、ラウンド終了のアナウンスが流れてこない。それが意味するところとは、まだ決着はついていないってことだ。油断はしない、した瞬間付け込まれ何もさせてもらえずに殺されるという自信……というより、確信があるからだ。

何よりあんな眼をするような奴があの程度で死ぬわけがない。

 

 

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