シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
◇
プリズンブレイカーの蹴りがミーティアスの脇腹に直撃した。
ミーティアスの脚がプリズンブレイカーの顎を刈った。
HPがほぼ同時、同速で削れていき……そして結果が出力された。
『
ゆっくりと、観客達が示された結果を認識し、理解して、ざわめきが広がっていく。そしてぽっと出のよくわからないカボチャ頭があの無敵の流星相手に引き分けまで持っていったことに理解が及んだ次の瞬間。
『――――――――――――!!!!』
大歓声が誇張でも何でもなく文字通りスタジアムを揺らした。
「マジか……まさか引き分けとはな」
「あれってどういう扱いになるの?」
「多分引き分けで両者敗北……かな?」
ってことはあいつ雇い主様の意向フル無視したことになるのでは?これは今回の打ち上げに行く店の選択権を剥奪するしかないな、よし。
そこでサンラクが使っていたVRシステムがその機能を停止し奴が電脳の混沌世界から現実世界に帰ってきた。取り敢えず中を覗き込んでみるとまず止むことのない大歓声を認識したのかうるさいなどと呟いている、それだけのことをやったんだから諦めろとしか言いようがない。
「あ"ーー……ゔるっせぇ……」
「10割自業自得の結果なんだよなぁ」
「うっせー
「おい、下手に喋ったら公共に生声乗るけど良いのか?」
そう言ってやるとサンラクはすぐそばに置いてあったヘルメットを被り直してのそのそと這い出してきた。
「つーかログアウト? 引き分けで両方負け扱いなの?」
「そうだろうな……まぁかなり時間押してるらしいし何よりお前とお相手が命削るような戦いしてるからストップかかった可能性もあるし」
というかこいつ多分もう無理だろ、さっきの相打ちですら恐らくギリギリの状況下で放った最後の勝ち筋だったろうにあれを対処されてはどうしようもない。よしんば4ラウンド目をやるにしても今のコイツはサンドバッグになるだけだ、使い物にはならない。
「ほら、これやるよ」
「…………おっ、バックドラフトじゃん……なんだけど悪い、今飲んだら拙いから遠慮しとくわ」
「カフェイン=
「いや割とマジで冗談抜きに、これ以上飲んだら合法堕ちの可能性が」
「…………渡したのあのライオットブラッドだけなんだけどあれ以外にも飲んだの?」
「あれ1本でこうなってるんだよ……持続力も即効性もカフェインもエグい……」
「ぶっちゃけ凄いわかる」
だってこれヤバいぞ、天井ってものを知らないのかひたすらカフェインがキマり続けている。正直さっさと次の試合に入りたいぐらいだ。
ちらりと横目で向こうを見ればそこには次俺と体験する相手になるランファンがこちらを射抜くような鋭い目つきで見ている、こっわ何だあれ……というかそれよりもヤバいのは。
(なんでサンラクはこんなにヘロついてるのにお前は何事もなかったかのようにピンピンしてるんだ……?!)
元気いっぱいさっきまで死闘を繰り広げていたとは思えないほどの明るさをした
ただでさえまともに戦えるとは思えない今の状態のサンラクと比べて消耗した様子は一切無い……どうなってるんだあれほんとマジで。
するとシルヴィアがこちらに駆け寄ってきてサンラクのカボチャ頭を両手でがしっとかいうSEが付きそうな勢いで掴みキラキラした目で覗き込んでいた。
「うおっ!?」
「Mr.Pumpkin Head!!Good!Very good!!オミゴト!!アッパレ!!!」
「え、あ、どうも……」
勢いが急すぎて若干フリーズしているサンラクに代わりフォローをかけてやってひとまずその場を収める、ついでにカッツォとの対戦がおじゃんになったことについてもしれっと謝ったらニコニコで「No problem!!」とのお返事が返ってきた。
そして、ついにその時が訪れる。
『お待たせいたしました皆さん!!!!これより第4試合目、
「…………っと、そろそろか。それじゃあ行くとしますかね」
「おーう……いってこーい……」
「どうせだからもうそのまま暴れてきなよビャッ……
「負けたら打ち上げ選択権剥奪ねー」
「が、頑張って!!!!」
四者四様励ましてるのか貶してるのか負けろと言外に抜かしているのかどうか分からないエールを受け取りVRシステムの中に入る。
さぁ、サンラクがあれだけのことをやってみせた手前舐めた試合は出来ないな。フルダイブを完了し、キャラクター選択画面に移行した俺は躊躇うことなく
「さぁ行くぞランファン……勝負だ」
最近では考えられないほどの短さ